【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況当連結会計年度における観光業界は、長期化している新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも感染拡大防止と経済活動の両立を図り、まん延防止等重点措置が解除された3月以降に回復の動きが見られました。その後、一時的な感染再拡大があったものの、行動制限が徐々に緩和され、10月以降はインバウンド受け入れの本格再開や全国旅行支援といった追い風を受け更なる回復基調となりました。ロシア・ウクライナ情勢等による原材料価格および燃料価格の高騰や、宿泊・飲食サービス業種での人手不足といった懸念要素は存在しているものの、2023年も引き続き需要回復が期待される状況であります。このような状況の中、当社グループでは将来の持続的な成長の礎を築くべく、事業計画を推進してまいりました。主要戦略の一つである「構造改革の推進」においては、コスト改革を着実に推し進め損益分岐点売上高の低減を図ったほか、4月に人事制度を刷新し、挑戦し続ける人、成果を出した人が報われ、キャリアアップが可能となる仕組みを導入いたしました。さらに、「事業ポートフォリオの見直し」においては、マーケティング・ブランディング強化の全社的な取り組みとして4月に新会員プログラム「THE FUJITA MEMBERS」を導入し、顧客データを蓄積して活用する基盤を整備いたしました。また、当第4四半期連結会計期間(10月~12月)においては、前述しておりますインバウンド受け入れ本格再開や全国旅行支援により回復した需要を確実に捉え、各事業とも宿泊部門においてADR、稼働率が好調に推移いたしました。これらの結果、当社グループ全体の売上高は前期比15,315百万円増収の43,749百万円、営業損失は前期比11,773百万円改善の4,048百万円、経常損失は前期比12,081百万円改善の4,461百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、営業時間短縮等に係る感染拡大防止協力金や雇用調整助成金等による特別利益を計上したほか、減損損失および事業撤退関連等の特別損失を計上したことにより、5,789百万円となりました。
業績の概要は以下のとおりです。 (単位:百万円)
当連結会計年度
前期比
売上高
43,749
15,315
営業損失(△)
△4,048
11,773
経常損失(△)
△4,461
12,081
親会社株主に帰属する当期純損失(△)
△5,789
△18,465
セグメント別の概況については以下のとおりです。セグメント別売上高・営業利益 (単位:百万円)
売上高
営業損失(△)
実績
前年同期比
実績
前年同期比
WHG事業
20,587
10,153
△3,218
8,876
ラグジュアリー&バンケット事業
15,191
2,750
△23
1,843
リゾート事業
5,638
1,889
△439
686
その他(調整額含む)
2,331
522
△366
366
合計
43,749
15,315
△4,048
11,773
(注)調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
(WHG事業)WHG事業では、まん延防止等重点措置が発令されていた3月までは客室稼働の進捗が鈍化していたものの、4月以降はゴールデンウィーク期間や夏休みなどの旅行需要を獲得し、段階的に回復しました。10月以降はインバウンド受け入れ本格再開や全国旅行支援開始による需要を確実に捉え、特に東京、大阪において韓国を中心としたインバウンド利用が伸長しました。これらの効果により通期ではADR、稼働率ともに前期から大きく上昇いたしました。また、「ホテルグレイスリー新宿」など4施設を行政へ提供(一棟貸し)したことによる増収効果もあり、当セグメントの売上高は前期比で10,153百万円増収の20,587百万円、営業損失は8,876百万円改善の3,218百万円となりました。
(ラグジュアリー&バンケット事業)ラグジュアリー&バンケット事業では、「ホテル椿山荘東京」宿泊部門において「東京雲海」関連商品やスイートルーム拡販施策効果によりADRがコロナ禍前の水準である2019年を上回りました。婚礼部門は件当たり人員減の傾向が続きましたが、2021年からの延期分も含めた件数の回復があり、利用人員合計は前期比で44%増加となりました。宴会部門は依然として法人需要の本格的な回復には至っていないものの、個人利用をターゲットとしたイベントは堅調に推移したほか、料飲部門やゴルフ部門も好調に推移し、当セグメントの売上高は前期比で2,750百万円増収の15,191百万円、営業損失は1,843百万円改善の23百万円となりました。
(リゾート事業)リゾート事業では、「箱根小涌園 天悠」において、部屋食付きプランなどコロナ禍に対応した商品や高付加価値商品の販売が好調に推移したほか、夏休み期間にはディナービュッフェなどファミリー層向け商品の増強が奏功し、ADR、稼働率の引き上げに寄与しました。また「箱根小涌園ユネッサン」では、映画やアニメとのコラボレーションイベントの開催やメディア露出を増加させ、入場人員数が前期から伸長しました。加えて、10月以降はインバウンド受け入れ本格再開や全国旅行支援開始による増収効果もあり、当セグメントの売上高は前期比で1,889百万円増収の5,638百万円、営業損失は686百万円改善の439百万円となりました。なお、箱根小涌園ではエリア全体の再開発を進めております。新「箱根ホテル小涌園」は2023年7月の開業に向けた準備が順調に進捗し、またこれに合わせて「箱根小涌園ユネッサン」のリニューアルを実施しております。
②財政状態の状況当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して12,799百万円減少の99,962百万円となりました。流動資産は主に現金及び預金が減少したことにより13,328百万円減少、固定資産は主に箱根小涌園再開発にかかる資産の取得により529百万円増加いたしました。負債は借入金の返済等により、前連結会計年度末と比較して6,706百万円減少の77,222百万円となりました。なお、当連結会計年度末の借入金残高は49,732百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末と比較して6,093百万円減少の22,740百万円となりました。利益剰余金が5,789百万円減少したことが主な要因であります。
③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金および現金同等物(以下「資金」という)は24,110百万円となり、前連結会計年度末から14,509百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られた資金は、645百万円(前期は16,302百万円の支出)となりました。前期比では営業損失が11,773百万円改善したことが主な収入増の要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により支出した資金は、6,122百万円(前期は42,890百万円の収入)となりました。これは主に固定資産の取得による支出6,998百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により支出した資金は、8,935百万円(前期は8,319百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済7,867百万円によるものです。
④生産、受注及び販売実績
(ア)
生産実績該当事項はありません。
(イ)
受注状況該当事項はありません。
(ウ)
販売実績当社グループは、WHG事業、ラグジュアリー&バンケット事業およびリゾート事業の各事業を主な内容とし、更に各事業に関連するサービス等の事業活動を展開しています。セグメントごとの販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
WHG事業
20,587
97.3
ラグジュアリー&バンケット事業
15,191
22.1
リゾート事業
5,638
50.4
その他(調整額含む)
2,331
28.9
合計
43,749
53.9
(注)
調整額は、セグメント間取引消去および各セグメントに配分していない全社費用であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、この見積りは不確実性が伴うため実際の結果と異なる場合があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。 当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②経営成績の分析(売上高) 当連結会計年度の売上高は43,749百万円(前連結会計年度28,433百万円)となり、15,315百万円(53.9%)の増加となりました。まん延防止等重点措置が解除された3月以降に回復の動きが見られました。行動制限が徐々に緩和され、10月以降はインバウンド受け入れの本格再開や全国旅行支援により回復した需要を確実に捉え、各事業とも宿泊部門においてADR、稼働率が好調に推移したことが主な原因です。
(売上原価および売上総損失) 当連結会計年度の売上原価は44,976百万円(前連結会計年度41,631百万円)となり、3,345百万円(8.0%)の増加となりました。増収による労務費の増加や水道光熱費が増加した結果、当連結会計年度の売上総損失は1,227百万円(前連結会計年度13,197百万円)となり、11,969百万円の改善となりました。
(販売費及び一般管理費ならびに営業損失)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,821百万円(前連結会計年度2,625百万円)となり、196百万円(7.5%)の増加となりました。当連結会計年度の営業損失は4,048百万円(前連結会計年度15,822百万円)と前期比11,773百万円の改善となりました。
(営業外損益および経常損失) 当連結会計年度の営業外損益は412百万円の損失(前連結会計年度719百万円)となりました。この結果、当連結会計年度の経常損失は4,461百万円(前連結会計年度16,542百万円)と、12,081百万円の改善となりました。
(特別損益) 当連結会計年度の特別利益は助成金等の計上により1,092百万円(前連結会計年度37,088百万円)となり、35,995百万円減少しました。
また、特別損失は事業撤退損失引当金や減損損失等の計上により2,994百万円(前連結会計年度3,388百万円)となり、394百万円減少しました
(法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益および親会社株主に帰属する当期純損失) 当連結会計年度の法人税等は△578百万円(前連結会計年度4,469百万円)となりました。これに非支配株主に帰属する当期純利益5百万円を減じた結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は5,789百万円(前連結会計年度は12,675百万円の利益)となり、18,465百万円の減益となりました。
③財政状態の分析
(流動資産) 当連結会計年度末における流動資産の残高は30,947百万円(前連結会計年度末44,276百万円)となり、13,328百万円(30.1%)減少しました。現金及び預金が減少したことが主な原因です。
(固定資産) 当連結会計年度末における固定資産の残高は69,015百万円(前連結会計年度末68,486百万円)となり、529百万円(0.8%)増加しました。固定資産の新規取得が主な要因です。
(流動負債) 当連結会計年度末における流動負債の残高は27,321百万円(前連結会計年度末23,935百万円)となり、3,385百万円(14.1%)増加しました。未払消費税等やその他のうち未払費用等の債務の増加が主な要因です。
(固定負債) 当連結会計年度末における固定負債の残高は49,901百万円(前連結会計年度末59,993百万円)となり、10,091百万円(16.8%)減少しました。長期借入金が返済により減少したことが主な要因です。
(純資産) 当連結会計年度末における純資産の残高は22,740百万円(前連結会計年度末28,833百万円)となり、6,093百万円(21.1%)減少しました。親会社株主に帰属する当期純損失5,789百万円の計上が主な要因です。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析 (ア)キャッシュ・フローの分析 キャッシュ・フローの分析につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(イ)資金調達と流動性 当社グループは、事業活動のための資金確保、流動性の維持ならびに健全な財政状態を常に目指し、安定的なキャッシュ・フローの確保に努めております。その施策の一つとして、キャッシュマネジメントシステムの導入によるグループ各社の余剰資金の一元管理を行い、資金効率の向上を図っております。また、複数の金融機関と総額で208億円の当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結することにより、資金調達リスクに対する補完措置がなされております。 また安定的な資金調達の一環として長期借入金の比率を高めており、当連結会計年度末の借入金残高は49,732百万円、その内訳として、短期借入金の残高は10,042百万円、長期借入金(一年以内に返済期限の到来する長期借入金を含む)の残高は39,689百万円となっております。
⑤戦略的現状と見通し当社グループを取り巻く経営環境は、コスト増加や人手不足等の懸念要素はあるものの、旅行需要の回復が期待される状況であります。当社グループでは、引き続き事業計画を推進し、将来の持続的な成長と収益拡大を見据えた施策を実施してまいります。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。2023年通期の業績予想は、売上高は前期比12,850百万円増収の56,600百万円、営業利益は前期比4,448百万円増益の400百万円、経常利益は前期比4,661百万円増益の200百万円となる見込みです。親会社株主に帰属する当期純利益は800百万円を見込んでおります。なお、この業績予想は現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、実際の業績等は様々な要因により当該予想数値と異なる場合があります。
連結およびセグメント別の業績予想は下表のとおりです。
2023年12月期の連結業績予想(2023年1月1日~2023年12月31日) (単位:百万円)
第2四半期(累計)
通期
売上高
営業損失(△)
経常損失(△)
親会社株主に帰属する当期純損失(△)
売上高
営業利益又は営業損失(△)
経常利益
親会社株主に帰属する当期純利益
連結合計
24,600
△2,200
△2,300
△1,700
56,600
400
200
800
WHG事業
13,300
△1,200
―
―
30,300
350
―
―
ラグジュアリー&バンケット事業
7,600
△100
―
―
17,000
800
―
―
リゾート事業
2,700
△800
―
―
7,500
△600
―
―
その他(調整額含む)
1,000
△100
―
―
1,800
△150
―
―
(注)調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
#C9722JP #藤田観光 #サービス業セクター