【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進んだことにより、持ち直しの兆しがみられました。海外においても経済活動の再開が段階的に進行し、景気は緩やかに回復基調で推移した一方、ロシア・ウクライナ問題の長期化や中国のゼロコロナ政策、急激なインフレ・円安の進行など、サプライチェーンに対するリスクが増加し、物流環境の悪化とともに、原材料価格の高騰に歯止めがかからず、回復の勢いは力強さに欠けるものとなりました。
世界情勢を概観しますと、新型コロナウイルス感染症との戦いが新たな日常の定着へと向かう一方、世界的なインフレや金融引き締め政策に加え、地政学的リスクが深刻さを増し、米中関係の変化が世界の不確実性を拡大することとなり、経済の下振れリスクの懸念が依然として継続いたしました。
このような状況の下、当社グループは、中期経営計画「第5次MMプラン」の最終年度として神奈川エリアを中心とした水産物流通システムの構築を実現すべく、顧客密着型営業の展開によってグループ一丸となって邁進した結果、限定的ではありますが一部でその成果が出始め、取り巻く環境の変化に対応いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は40,670百万円と前連結会計年度に比べ3,078百万円(前年同期比8.2%増)の増収となりました。営業利益は122百万円と前連結会計年度に比べ275百万円(前連結会計年度営業損失152百万円)回復いたしました。また、経常利益は450百万円と前連結会計年度に比べ352百万円(前年同期比359.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は377百万円と前連結会計年度に比べ217百万円(前年同期比135.7%増)それぞれ増益となりました。
財政状態の分析は、次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、6,824百万円(前連結会計年度末は6,900百万円)となり、75百万円減少いたしました。現金及び預金の減少481百万円、受取手形及び売掛金の増加380百万円が大きな要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、12,287百万円(前連結会計年度末は11,246百万円)となり、1,040百万円増加いたしました。新たな賃貸管理物件の取得等による建物及び構築物(純額)の増加288百万円及び土地の増加192百万円、リース資産の増加170百万円、投資有価証券の時価評価差額等による増加427百万円が大きな要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、3,711百万円(前連結会計年度末は3,443百万円)となり、267百万円増加いたしました。短期借入金の増加100百万円、その他流動負債の増加183百万円が大きな要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、2,552百万円(前連結会計年度末は2,452百万円)となり、100百万円増加いたしました。長期借入金の減少83百万円、リース債務の増加144百万円、投資有価証券の時価評価等に伴う繰延税金負債の増加99百万円が大きな要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、12,848百万円(前連結会計年度末は12,251百万円)となり、597百万円増加いたしました。利益剰余金の増加262百万円、その他有価証券評価差額金の増加325百万円が大きな要因であります。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、売上高については、セグメント間取引の相殺消去後の数値であり、営業利益又は営業損失については、セグメント間取引の相殺消去前の数値であります。
(水産物卸売事業)
売上高は31,769百万円と前連結会計年度に比べ1,827百万円(前年同期比6.1%増)の増収となり、営業利益も22百万円と前連結会計年度に比べ125百万円(前年同期 営業損失102百万円)の回復となりました。
(水産物販売事業)
売上高は8,452百万円と前連結会計年度に比べ1,167百万円(前年同期比16.0%増)の増収となり、営業利益も2百万円と前連結会計年度に比べ115百万円(前年同期 営業損失113百万円)の回復となりました。
(不動産等賃貸事業)
売上高は143百万円と前連結会計年度に比べ29百万円(前年同期比25.4%増)の増収となり、営業利益も72百万円と前連結会計年度に比べ19百万円(前年同期比36.4%増)の増益となりました。
(運送事業)
売上高は305百万円と前連結会計年度に比べ54百万円(前年同期比21.6%増)の増収となり、営業利益も23百万円と前連結会計年度に比べ11百万円(前年同期比93.4%増)の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による獲得した資金186百万円、投資活動による使用した資金475百万円及び財務活動による使用した資金192百万円により、前連結会計年度末に比べ481百万円減少し、当連結会計年度末には1,833百万円(前年同期比20.8%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は186百万円(前連結会計年度使用資金448百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益458百万円、売上債権の増加額364百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は475百万円(前連結会計年度使用資金651百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出452百万円、投資有価証券の取得による支出100百万円、投資有価証券の売却による収入94百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は192百万円(前連結会計年度獲得資金169百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増額100百万円、長期借入れによる収入400百万円、長期借入金の返済による支出529百万円、配当金の支払額114百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
水産物卸売事業
32,361,043
6.7
水産物販売事業
4,790,929
6.7
不動産等賃貸事業
101,118
10.8
運送事業
336,105
10.2
合計
37,589,196
6.8
(注)1.上記の金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
水産物卸売事業
31,769,958
6.1
水産物販売事業
8,452,146
16.0
不動産等賃貸事業
143,650
25.4
運送事業
305,030
21.6
合計
40,670,785
8.2
(注)1.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当社グループの自己資本比率は67.1%と、引き続き高い安全性を維持していると認識しております。2022年10月から多様化する消費者ニーズをとらえた商品開発を目的として加工事業部を発足したことに伴い、横浜市中央卸売市場内に加工場を新設いたしました。また、中長期的な成長による持続的かつ安定的な企業価値の向上を目的に、新たに賃貸管理物件を取得いたしました。今後も必要に応じて銀行借入を実行し、設備投資を行うことで、財政状態の安定と経営成績および企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績に関して、新型コロナウイルス感染症により続いた様々な制限が緩和され、経済活動・消費活動が活発化し、売上高は増加いたしました。しかし、円安およびロシア・ウクライナ問題の長期化によるエネルギー価格の高騰、水産資源の減少など、水産業界を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いております。このような状況の下、当社グループは2023年4月よりスタートした新中期経営計画「横浜丸魚グループ中期経営計画2023 ~Rebirth~」に基づき、時代の変化を的確に捉えた営業活動を展開してまいります。
当社は、「1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)(2)目標とする経営指標」に記載のとおり、連結自己資本配当率(DOE)1.0%を目安として、株主への利益還元の重要な手段であるとの認識に基づく安定的な配当を継続することを基本方針としております。当連結会計年度のDOEは1.1%(前連結会計年度0.9%)となりました。また、安定配当継続の基本方針に合わせまして、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得等を実施してまいります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状態に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(水産物卸売事業)
当連結会計年度末における資産の残高は、8,706百万円(前連結会計年度末は8,721百万円)となり、14百万円減少いたしました。賃貸管理物件の取得等による現金及び預金の減少610百万円、受取手形及び売掛金の増加249百万円、加工場の新設をはじめとする有形固定資産の増加158百万円によるものであります。
水産物卸売事業は、魚の生息域の変化に伴う主力商材の不漁や各資源価格の高騰に加え、燃料費、電気代等の値上げが仕入れ価格の高騰に拍車をかけ、輸入商材については記録的な円安が影響し、集荷力という点で市場の魅力が発揮しづらい環境のまま推移いたしました。しかし、代替商材の積極的な導入や行動制限の緩和による外食産業の回復により、増収・増益となりました。
(水産物販売事業)
当連結会計年度末における資産の残高は、1,808百万円(前連結会計年度末は1,694百万円)となり、113百万円増加いたしました。銀行借入による現金及び預金の増加101百万円が大きな要因であります。
水産物販売事業は、当社グループの中期経営計画「第5次MMプラン」の顧客密着型営業の取組みにより、グループネットワークを最大限に活用し、水産物販売事業に邁進してまいりましたが、Withコロナからアフターコロナへと変化していく消費動向を捉えきれず、回復の遅れが長期化いたしました。このような事業環境の下、インバウンド需要を中心に外食産業が持ち直しており、アフターコロナとしての方向性を捉え始めた第2四半期以降については、横浜丸魚グループとしての集荷力を活かし、事業活動に邁進した結果、増収・増益となりました。
(不動産等賃貸事業)
当連結会計年度末における資産の残高は、3,563百万円(前連結会計年度末は3,172百万円)となり、391百万円増加いたしました。前述のとおり、中長期的な成長による持続的かつ安定的な企業価値の向上を目的に、新たに賃貸管理物件を取得したこと等によるものであります。
不動産等賃貸事業は、新たな賃貸管理物件の取得による費用が増加いたしましたが、安定的な収益体制が整い、順調に稼働したため、増収・増益となりました。
既存賃貸物件の安定的な運用と賃貸管理を通して、安定収益を確保しつつ、今後新たな安定収益確保に繋がる可能性のある賃貸物件につきましては、入念に分析を行ったうえで投資を行ってまいります。
(運送事業)
当連結会計年度末における資産の残高は、448百万円(前連結会計年度末は352百万円)となり、95百万円増加いたしました。業務量の増加に伴い、トラックの購入及びリース契約を締結したことによる車両運搬具及びリース資産の増加83百万円が主な要因であります。
運送事業は、燃料費をはじめ、経費の増加はあったものの、従来業務の組み直しと合理的な改善によって、組織が活性化し、増収・増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。営業活動の結果獲得した資金は186百万円(前連結会計年度使用資金448百万円)となりました。今後も売上債権及び仕入債務の管理、並びに在庫の適正化を図りつつ、運転資金の効率的な調達の実現を目指してまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては以下のとおりであります。
当社グループの資金の調達方法及び状況につきましては、(財務政策)にて記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、商品仕入費用や人件費等の販売費及び一般管理費、及び設備投資資金であります。現時点において、重要な資本的支出の予定はございません。
(契約債務)
2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別支払額(千円)
契約債務
合計
1年以内
1年超
3年以内
3年超
5年以内
5年超
短期借入金
300,000
300,000
-
-
-
長期借入金
480,940
364,746
116,194
-
-
リース債務
254,066
71,042
109,405
62,430
11,188
上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は銀行からの借入により資金調達することとしております。当連結会計年度末現在、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、および長期借入金の残高はそれぞれ300,000千円、364,746千円、および116,194千円となっております。今後も必要に応じて借入れを行い、品質管理の強化や安定的な収益体制の確保など、中長期的な成長に繋がる基盤強化に向けた設備投資を実施してまいります。また、資金の流動性確保のため、金融機関と当座貸越契約を締結しております。当座貸越契約とその借入実行残高の状況は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりであります。
当社グループは、その健全な財務状態により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能であると考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計方針の選択、適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。見積りにつきましては、過去の実績や状況を踏まえた合理的な判断を基礎として行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。