【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、コロナと共存する生活スタイルへの移行により経済社会活動の正常化が進み、個人消費も緩やかな持ち直しの動きも見られました。しかし長期化するウクライナ情勢等の影響による原材料やエネルギー価格の上昇や、世界的な金融引締め等に起因する為替相場の変動等により先行き不透明な状態が続きました。
食品業界においては、原材料やエネルギー価格の上昇による製品の価格改定が続き、お客様の節約志向が強まり消費が伸び悩む中で引き続き厳しい経営環境が続きました。
このような中、当社グループは、中期経営計画の優先課題である信頼感・安心感のある「はごろも」ブランドの確立に取り組み、消費者ニーズに応える健康志向や簡便性、利便性といった機能性を追求した製品の販売に注力しました。あわせて、販売促進活動の一つである「シーチキン食堂」のテレビコマーシャルと連携した「朝たん(=朝にたんぱく質を摂る)」等のメニュー提案により、さらなる製品の需要喚起とブランド価値の訴求に努めました。一方で原材料価格の上昇にともない、ツナおよびパスタ製品等の価格改定を実施しました。
この結果、家庭用製品の販売は、健康志向や機能性を追求した製品がお客様に支持されたこと等により増加しました。業務用製品の販売は、引き続き各種給食やコンビニエンスストア向けの需要が回復したこと等により増加したため、当連結累計期間の売上高は545億7百万円(前年同期比3.6%増)となりました。
利益面では、原材料価格の高騰等により売上原価率が上昇し、さらに販売奨励金や物流費が増加したこと等から、営業損失は3億74百万円(前年同期は25億80百万円の営業利益)、海外関連会社の持分法による投資利益が減少したこと等により、経常損失は1億9百万円(前年同期は28億52百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は1億21百万円(前年同期は22億44百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
また、当社グループは、食品事業およびこの付帯事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の開示は行っていませんが、製品群別の販売動向は以下のとおりです。
表:製品群別売上高(連結) (単位:千円、%)
製品群
前年同期
当第3四半期
増減
金額
構成比
金額
構成比
金額
率
製
品
家庭用食品
ツナ
23,985,660
45.6
24,975,936
45.8
990,276
4.1
デザート
4,343,257
8.3
4,577,472
8.4
234,215
5.4
パスタ&ソース
4,311,788
8.2
4,581,345
8.4
269,556
6.3
総菜
5,140,198
9.8
5,009,793
9.2
△130,404
△2.5
削りぶし・のり・ふりかけ類
2,546,777
4.8
2,494,960
4.6
△51,816
△2.0
ギフト・その他食品
2,174,403
4.1
2,177,173
4.0
2,770
0.1
計
42,502,085
80.8
43,816,683
80.4
1,314,597
3.1
業務用食品
8,490,628
16.1
8,987,113
16.5
496,485
5.8
ペットフード・バイオ他
1,302,421
2.5
1,422,830
2.6
120,409
9.2
計
52,295,136
99.4
54,226,627
99.5
1,931,491
3.7
その他
294,770
0.6
280,561
0.5
△14,208
△4.8
合
計
52,589,906
100.0
54,507,189
100.0
1,917,283
3.6
「ツナ」では、主力の油漬缶詰がコロナ禍での需要拡大の一服と、価格改定による買い控え等の影響を受けましたが、高たんぱく・低脂質・低糖質という健康面を訴求した「オイル不使用シーチキン」シリーズや、開けやすく後片付けが簡単なパウチタイプの「シーチキンSmile」シリーズが好調で、売上高は前年同期比4.1%増加しました。
「デザート」では、コロナ禍でフルーツ製品の利便性があらためて支持され、中身が見えて扱いやすいフルーツパウチが好調で、売上高は同5.4%増加しました。
「パスタ&ソース」では、パスタはデュラム小麦粉の高騰等による価格改定を実施した中で、コロナ禍でパスタの利便性が認知されていること等により結束タイプのスパゲッティ「ポポロスパ」や、8月に新発売した強力粉とデュラムセモリナを配合しもっちり食感を実現した「ポポロスパやんわか8分」が好調でした。ソースは8月に発売した「和える七香」シリーズが好調で、売上高は同6.3%増加しました。
「総菜」では、さば・さんま・いわし等の青魚パウチ製品が好調でしたが、価格改定を実施した「シャキッとコーン」シリーズや料理素材が低調で、売上高は同2.5%減少しました。
「削りぶし・のり・ふりかけ類」では、ふりかけや味付けのり等は好調でしたが、削りぶしやきざみのりの販売が低調で、売上高は同2.0%減少しました。
「ギフト・その他食品」では、贈答品市場の回復が想定よりも進まずギフトが苦戦しましたが、電子レンジで簡単に調理可能な包装米飯「パパッとライス」が引き続き好調で、売上高は同0.1%増加しました。
「業務用食品」では、各種給食やコンビニエンスストア向けの需要が順調に回復したこと等により、売上高は同5.8%増加しました。
「ペットフード・バイオ他」では、引き続きペット市場の拡大により、新製品を投入した添加物不使用のペットフード「無一物」シリーズが好調で、売上高は同9.2%増加しました。
②財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末より15億32百万円増加して、627億64百万円となりました。これは主に、現金及び預金が25億99百万円減少したものの、商品及び製品が20億69百万円、投資有価証券が10億1百万円、建物及び構築物(純額)が5億41百万円、流動資産のその他が2億81百万円ならびに原材料及び貯蔵品が2億53百万円それぞれ増加したことによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末より16億円増加して、279億1百万円となりました。これは主に、未払金が27億22百万円、未払法人税等が4億55百万円、長期借入金が3億15百万円ならびに賞与引当金が2億14百万円それぞれ減少したものの、支払手形及び買掛金が29億84百万円、流動負債のその他が23億70百万円増加したことによるものです。
純資産合計は、前連結会計年度末より67百万円減少して、348億62百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定が4億17百万円、その他有価証券評価差額金が4億1百万円増加したものの、利益剰余金が5億91百万円、繰延ヘッジ損益が3億15百万円減少したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の57.0%から55.5%となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、195,179千円です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載についての重要な変更はありません。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りにつきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」をご参照ください。
(5) 主要な設備の状況
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間に完了したものは、次のとおりです。
事業所名
(所在地)
セグメントの
名称
設備の内容
取得価額
(千円)
資金調達
方法
完了
新木曽岬プラント
(三重県桑名郡木曽岬町)
食品事業
鰹等削り節・海苔製品生産設備
2,332,170
自己資金
2022年9月