【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年9月30日まで。以下、「当第2四半期」という。)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス禍からの経済社会活動の正常化が進展し、個人消費を中心に緩やかな回復基調となりました。しかしながら、資源・原材料高による世界的なインフレに対処するために各国中央銀行が金融引き締めを続けており、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。
このような中、当社グループはインフレ下での収益確保には生産性の向上が重要な課題であると認識し、ストック型ビジネスに一層注力するとともに、ソフトウェア開発ビジネス等においてもDX推進を支援するコンサル業務やPMO案件といった付加価値の高いビジネスの拡大を推進しております。
また、引き続き積極的な人材投資を行い、継続的な待遇改善を実施して、優秀な人材の安定確保に取り組んでおります。
ソリューションデザイン事業は、大きな成長が見込まれる、車載、ネットビジネス、プロダクト、DXの分野の拡大に引き続き注力し、受注拡大と収益性の向上に取り組みました。
フレームワークデザイン事業は、金融分野でのシステム開発ノウハウを、公共、流通/サービス分野のお客様に展開し、業務アプリケーション開発とインフラ(クラウド)構築の業務で受注拡大に取り組みました。
ITサービス事業は、新たなビジネスモデルを創造する企業や、働き方改革に取り組む企業からのITアウトソーシング需要に対して、各種ツール導入やビジネスプロセス改善に関するPMOサービスの提供に注力しました。
ビジネスソリューション事業は、モノありきのビジネスではなくサービスビジネスに注力し、サブスクリプションビジネスとシステム開発+サポート業務を中心としたストック型ビジネスの更なる強化を図りました。
サブスクリプションビジネスモデルの推進を担うクラウド事業は、自社商材『Canbus.\キャンバスドット(*)』(以下、『Canbus.』)、『Cloudstep(*)』の機能拡張を実施、DX推進をプロジェクトから支援する『DXデザインラボ』の提供を積極的に展開しました。
以上の結果、当第2四半期の連結業績は、売上高37,521百万円(前年同期比4.8%増)となりましたが、ソリューションデザイン事業において発生した不採算プロジェクトの影響を他事業で吸収することができず、営業利益4,368百万円(同1.5%減)、経常利益4,334百万円(同3.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益2,976百万円(同3.5%減)となりました。
(*)『Canbus. \キャンバスドット』、『Cloudstep』は、システナの自社オリジナルサービスです。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高または振替高を含めております。
①ソリューションデザイン事業
ソリューションデザイン事業は、「車載」、「社会インフラ」、「ネットビジネス」、「プロダクト」および「DXサービス」の5つのカテゴリーに区分しております。当事業では、開発意欲の旺盛なクライアントの受注活動に取り組んでおりましたが、一部のクライアントで開発プロジェクトが収束しており、新規プロジェクトの立ち上げに注力しております。
このような中、第1四半期から続いた不採算プロジェクトは当第2四半期で収束したものの、その影響における機会損失およびリソースが対応に割かれたための営業機会の逸失に加え、要員配属の遅れにより、当事業の売上高は10,453百万円(前年同期比3.8%減)、営業利益は944百万円(同44.6%減)となりました。
当事業におきましては、不採算プロジェクトの収束により、下期以降、積極的な営業等による立て直しを図ってまいります。
(車載)
車載分野では、自動車産業においてモビリティソフトウェアの重要性が高まっており、車載インフォティメント、統合コックピットシステム、電気自動車向けの開発需要が旺盛になっております。弊社がこれまでモバイル領域で培ったソフトウェア開発の技術力を活かし、国内完成車メーカーやTier1サプライヤーからの需要に応える開発体制を強化しております。新プロジェクトの立ち上げも進んでおり、今後も次世代向けモビリティ開発の受注拡大に注力してまいります。
(社会インフラ)
通信インフラ、決済インフラ、交通インフラ、電力など、社会のしくみを支え生活を豊かにする社会インフラ分野では、車載分野やプロダクト分野で培った組込みやWebの経験を活かして、電力や宇宙航空関連の受注が増えております。今後も電力や宇宙航空関連に注力しつつ、自治体・公共系への展開も推進してまいります。
(ネットビジネス)
インターネットサービス、eコマースなど、インターネットビジネスに関わるネットビジネス分野では、インターネットサービスでの5Gを活かした大規模開発プロジェクトが収束し、需要も落ち着いてきております。
一方で、一層のサービス強化を図る企業からの引き合いをいただいており、企画から開発・検証、ITコンサルやITサービスまで提供できるトータルソリューションを強みに注力しております。
なお、不採算プロジェクトは当カテゴリーで発生しましたが、当第2四半期で収束しました。
(プロダクト)
スマートフォン、家電、ロボットなどの開発に関わるプロダクト分野では、強みである「AI」、「IoT」をキーワードに多くの引き合いをいただいております。プロダクトの開発・品質検証だけでなく、環境構築やサポートなどプロダクトのライフサイクルをワンストップで支援できることも高く評価いただいているため、今後も、競合他社との差別化を図りながら受注を拡大してまいります。
(DXサービス)
DXサービスの分野は、デジタルトランスフォーメーション(DX:ITの浸透により生活やビジネスなどあらゆる面が向上するという概念)の実現に向け需要が増加する中、業務プロセスやデータ活用の最適化、AIや自動化による業務効率化など、柔軟性と拡張性に優れたシステム開発の受注が増えております。さらに、様々な分野で培った業務経験やトータルソリューションの強みを活かした『Remo-oTe』、クラウド勤怠管理の『TimeTapps』、関係の質を高めるグループウェア『Palette.Link』など自社サービスの引き合いも増加しているため、今後も自社サービスの開発を積極的に推進してまいります。
②フレームワークデザイン事業
当事業は金融分野でのアプリケーション開発実績を基に、公共、流通/サービス、社会インフラなどのお客様に提案範囲を広げ、システム開発案件の受注拡大につなげております。
金融分野では生損保、銀行業の顧客に向けた基幹システム開発業務を行っております。契約管理システム、勘定系システムなどの長期の開発業務に加え、基幹システムのクラウド移行、ホストマイグレーションなど、DX関連の引き合いが増加し、堅調に推移しております。
公共分野では中央省庁関連の案件を中心に新規プロジェクトの受注が進んでおり、システム開発、インフラ構築、運用保守それぞれの業務領域が堅調に推移しております。当期は地方自治体向けの案件受注も進んでおり、当事業の柱の一つとして更なる拡大を図ってまいります。
また、法人分野に向けては、ローコード開発ツールを活用した技術支援サービスと、DX化に向けたシステム刷新を目的としたシステム開発提案を推進しております。システム企画段階におけるPoC支援からシステム開発後の運用保守まで、システムのトータルサポートをラボ体制で実現することによって、受注の増加につなげております。
これらの結果、当事業の売上高は3,314百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益は806百万円(同39.3%増)となりました。
③ITサービス事業
システムの運用・保守、ヘルプデスク・ユーザーサポート、PMOなど、ITに関する様々なアウトソーシングサービスを主な業務とする当事業は、新たなビジネスモデルを創造する企業や、働き方改革に取り組む企業からのITアウトソーシング需要に対して、クラウドソリューション等の各種ツール導入やビジネスプロセス改善に関するPMOサービスの提供に注力しました。
ソフトウェアテストサービス事業においては、消費者向けにWebアプリ/モバイルゲームを提供する顧客や、法人向けに業務システムを提供する顧客に対し、ソフトウェアテストのコンサルティングからデバッグ業務までの各工程で提供したサービス実績を基に受注拡大と収益性の向上に取り組みました。
障がい者活躍の推進については、成長を実感できる制度構築や環境整備に注力することで、得意を活かせる適材適所化が進みました。
これらの結果、当事業の売上高は8,949百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は1,367百万円(同11.0%増)となりました。
④ビジネスソリューション事業
IT関連商品の法人向け販売および外資・中堅企業向けを中心としたシステムインテグレーションを主な業務とする当事業は、円安や資源高、物価高など先行き不透明感はあるものの、DXによる生産性の向上やコスト削減、競争力強化に向けた案件が徐々に活性化しております。
具体的には、クラウドマイグレーションの手法の一つであるリフト&シフト案件をはじめサーバーの移設など、システムインテグレーション事業は数多くの案件を受注することができました。
また、半導体不足から納品が遅れていたサーバーやネットワーク製品も徐々に納品することができ、併せてサービス案件の売上計上も進めることができました。
さらにはRPAやデータ連携ツールを活用した企業のデジタル化に向けたシステム開発、保守運用案件、昨期リリースしたセキュリティサービスやサポートサービスについても多くの引き合いをいただき、受注を増やすことができました。
これらの結果、当事業の売上高は13,637百万円(前年同期比11.4%増)、営業利益は1,026百万円(同41.8%増)となりました。
⑤クラウド事業
企業等に自社サービスやクラウドサービスを提供し、サブスクリプションモデルの推進を担う当事業は、DXを推進する企業から、ノーコードDXプラットフォーム『Canbus.』の引き合いを多く受けました。さらに『Canbus.』によるシステムの刷新だけではなくDXを推進するうえでPMOやBPOなどプロジェクトのコンサルティングから運用をスポットで利用できる『DXデザインラボ』の提供を開始し、『Canbus.』でのシステム化だけではなくDXに向けたトータルソリューションを可能とし多くの引き合いをいただきました。特に生成系AIの引き合いが旺盛で今後も積極的に投資と営業強化を推進してまいります。
また、「Google Workspace」や「Microsoft365」と連携するグループウェア『Cloudstep』においても、アフターコロナでのオフィス環境に合わせてグループウェアの再構築の引き合いが増えております。こうした中、当社の強みの一つであるシステムインテグレーションが、競合他社との差別化要因となり受注に至っております。
これらの結果、当事業の売上高は1,192百万円(前年同期比10.5%増)、営業利益は222百万円(同2.1%減)となりました。
⑥海外事業
米国では上昇を続ける金利と、ピークからは下がりつつも依然として高いレベルを維持しているインフレを背景に、大型レイオフが落ち着いてきたテック系大手以外の企業では、企業を取り巻く環境は引き続き厳しくなっております。そのような中、当社の米国子会社は、一部の製造業でのシステムテスト業務が一旦減少するも、在シリコンバレー日系企業からのスタートアップ企業が持つ要素技術の有効性を確認するPoC開発検証業務の受注が好調であることに加え、別の製造業からのシステム開発・検証業務の新規受注もあり、堅調に推移しております。
また、米国子会社の出資先である米国ONE Tech社は、独自開発した『MicroAI™』を主に製造業への販売に注力しております。
もう一つの出資先である米国StrongKey社は、FIDO認証によるセキュリティ対策サービスが米国の大手通信事業者へ新規採用・納品まで進んだほか、スマートホームの新通信規格「Matter」に対応させたPKIサービス(Public Key Infrastructure、公開鍵暗号基盤)に関して、スマートホームIoTデバイスなどの関連企業からの引き合いが継続しております。
これらの結果、当事業の売上高は68百万円(前年同期比2.4%減)、営業損失は10百万円(前年同期は営業損失12百万円)となりました。
⑦投資育成事業
株式会社GaYaは、PC・スマホ向けゲーム『競馬伝説』シリーズの運営やスマホ・タブレット向けアプリの設計・開発を行っております。当第2四半期はスマホゲーム『競馬伝説PRIDE』において広告宣伝を含む各KPIの精査と最適化を行い、ゲーム内サイクルの奥行を拡大する機能をリリースしました。受託ゲーム開発では参画中のプロジェクトで担当範囲をPMO支援まで拡大し、全体の工数管理および他チームとの折衝にも注力しました。また、非ゲーム分野における既存顧客からの受託開発は順調に推移しました。
これらの結果、当事業の売上高は94百万円(前年同期比47.0%減)、営業利益は12百万円(前年同期は営業損失19百万円)となりました。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における総資産は50,360百万円(前期末は48,879百万円)となり、前期末と比較して1,481百万円の増加となりました。流動資産は43,857百万円(前期末は42,275百万円)となり、前期末と比較して1,582百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金2,292百万円の増加、受取手形、売掛金及び契約資産1,037百万円の減少によるものであります。固定資産は6,502百万円(前期末は6,603百万円)となり、前期末と比較して101百万円の減少となりました。有形固定資産は1,499百万円(前期末は1,622百万円)となり、前期末と比較して122百万円の減少となりました。無形固定資産は284百万円(前期末は317百万円)となり、前期末と比較して32百万円の減少となりました。投資その他の資産は4,718百万円(前期末は4,663百万円)となり、前期末と比較して54百万円の増加となりました。
(負債)
負債の合計は14,121百万円(前期末は14,228百万円)となり、前期末と比較して107百万円の減少となりました。これは主に買掛金314百万円の減少、未払金及び未払費用197百万円の増加によるものであります。
(純資産)
純資産は36,239百万円(前期末は34,650百万円)となり、前期末と比較して1,588百万円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益2,976百万円、剰余金の配当1,556百万円によるものであります。自己資本比率につきましては、前期末と比較して1.1ポイント上昇し71.0%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前期末に比べ2,145百万円増加し、26,938百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は3,976百万円(前年同期は3,811百万円の獲得)となりました。
この主な増加要因は、税金等調整前四半期純利益4,334百万円、売上債権の減少額1,041百万円によるものであり、主な減少要因は、仕入債務の減少額314百万円、法人税等の支払額1,350百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は286百万円(前年同期は1,092百万円の使用)となりました。
この主な減少要因は、投資有価証券の取得による支出8,705百万円によるものであり、主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入8,584百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1,562百万円(前年同期は1,311百万円の使用)となりました。
この主な減少要因は、配当金の支払額1,562百万円によるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、6百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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