【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当社グループでは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性を向上させることを目的として、IFRSを適用しております。同基準に基づいた当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、売上収益52,989百万円(前年同期比9.9%増)、営業利益4,603百万円(前年同期比4.5%減)、税引前四半期利益4,613百万円(前年同期比4.2%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益3,518百万円(前年同期比4.2%減)となりました。なお、当社は、IFRSの適用に当たり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を導入し、経営成績を判断する際の参考指標と位置づけることとしております。「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益を除外しています。同基準に基づいた当第1四半期連結累計期間の「コア営業利益」は、5,977百万円(前年同期比2.8%減)となりました。
(単位:百万円)
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減額
増減率(%)
売上収益
48,231
52,989
+4,758
+9.9
営業利益
4,820
4,603
△217
△4.5
税引前四半期利益
4,815
4,613
△202
△4.2
親会社の所有者に帰属する四半期利益
3,672
3,518
△154
△4.2
コア営業利益
6,146
5,977
△169
△2.8
当社グループは、持株会社体制の下、2021年5月に発表した長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」と2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「START 2024(以下「中計」という。)」において、2030年度に目標とする企業イメージを(創りたい世界像)「より多くの人々が身近にヘルスケアサービスを受けられ、社会の中で安心して活き活きと暮らせる世界」、(ありたい姿)「個々のニーズに応じた、科学的根拠に基づく製品・サービスを複合的に提供することで、人々の健康に貢献し続ける存在感のある会社」と掲げると共に、「国内ジェネリック医薬品市場におけるシェア拡大」「米国事業における将来の成長に向けた事業投資」「新たな成長分野の開拓」を3つの柱としております。また、中計においては、ジェネリック医薬品事業では新製品の売上増加、安定供給力の強化、新規事業への進出に向けては、デジタル・医療機器事業、オーファン医薬品事業(ALS等)、健康食品事業の3領域に重点的にリソースを投入することとしております。セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(日本セグメント)日本セグメントにおいては、2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)において、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保を柱とし、官民一体で、製造管理体制強化や製造所への監督の厳格化、市場流通品の品質確認検査などの取組を進めるとともに、後発医薬品の数量シェアを、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」とされたのをはじめ、2022年4月の診療報酬改定では、ジェネリック医薬品のさらなる使用促進を図る観点から、ジェネリック医薬品の調剤割合が高い薬局や使用割合が高い医療機関に重点を置いた評価の見直し等が行われました。その結果、2022年9月の政府の薬価調査による最新のジェネリック医薬品の数量シェアは79.0%(確定値)となっています。その一方で、2018年4月に通常の薬価改定、2019年10月には消費税率の引上げに伴う臨時の薬価改定、2020年4月に通常の薬価改定、2021年4月には初めてとなる中間年の薬価改定、2022年4月に通常の薬価改定、そして、2023年4月には中間年の薬価改定が実施され、昨今は毎年薬価改定が行われる状況となっており、当社グループを取り巻く収益環境は一層厳しいものとなっております。このような中で、2020年末の準大手ジェネリック医薬品企業の製造する医薬品での健康被害の発生や、その後の大手ジェネリック医薬品企業をはじめとした複数のジェネリック医薬品企業の薬機法違反を起因として、医薬品全体で供給不安が生じています。このため、2021年9月に厚生労働省から発表された「医薬品産業ビジョン2021」では「製造所の実態を把握し、適切なGQPで製品が製造されているかを管理監督できるもののみが製造販売業者となるべきである」「医療現場に継続して安定的に供給することの重要性を再認識すべきである」と明記される等、品質や供給体制がジェネリック医薬品産業・企業の優先課題であるとされています。また、このような状況の下、厚生労働省は、2022年8月より、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を立ち上げて、医薬品の流通、薬価制度、ジェネリック医薬品産業の構造上の問題などについて幅広い議論が行われました。2023年6月にその報告書が取りまとめられ、今後各分野についてそれぞれの会議体で対応策が議論される予定となっております。このような環境におきまして、中計の下、ジェネリック医薬品業界のリーディング・カンパニーとして、業界全体への信頼回復に努めつつ、当社グループとして「国内ジェネリック医薬品市場におけるシェア拡大」に向け「品質管理の一層の強化」を図るとともに、「新製品の売上増加」と「安定供給力の強化」に取り組んでおります。品質管理面においては、ジェネリック医薬品業界において重大な不祥事が発生していることから、中核会社の沢井製薬株式会社(以下「沢井製薬」という。)を中心に、製造管理・品質管理基準(GMP)を遵守した原薬の品質の確保、製造工場でのGMP遵守の恒常的確認による品質管理体制、国際基準であるPIC/S-GMPに基づく製造管理・品質管理を行う等の取組により、品質に係るリスクを最小限に抑えております。また、2022年3月期には医療関係者の皆様が安心してご使用いただけるよう、沢井製薬では製品の製剤製造企業に関する情報と原薬製造所の監査に関する情報を公開し、「沢井製薬の品質に対する取組紹介動画」を公開する等の取組を行ってまいりました。生産・供給体制面においては、ジェネリック医薬品の需要拡大や供給不安、エネルギー価格や原材料価格が高騰する中、さらなる高効率・低コストを追求しており、既存の沢井製薬の全国6工場それぞれの特徴を活かした生産効率のアップに取り組んでおります。それに加えて、2022年9月に、九州工場注射剤棟の竣工、並びに第二九州工場の敷地内に最終的に30億錠の生産能力となる新たな固形剤棟の建設に着手しました。また、小林化工株式会社から生産活動に係る資産を譲受し、関連部門人員を受け入れたトラストファーマテック株式会社においては、沢井製薬の製品の受託製造を開始しており、今後、自社生産能力年間200億錠以上の早期確立へ向け、引き続き体制の構築に取り組んでまいります。それらと合わせ、2022年3月期に開設・稼働した東日本第2物流センター、西日本第2物流センターを活用し、物流面での供給体制も強化しております。販売面においては、原価高騰への対応策として、生産効率のさらなる改善と並行し、低薬価品を中心に原価高騰に伴う影響分を価格に反映しております。また、沢井製薬にて2023年6月に『アジルサルタン錠』を含む2成分8品目が薬価収載されました。製品開発においては、沢井製薬にて、「お薬を服用する時により飲み心地がいいと感じられるような技術、お薬をより効率的に製造できる技術など、お薬に付加価値をプラスし、製剤上のハーモニーを生み出す技術」の中から6つを選択し、3つの技術カテゴリに分け、それらのオリジナル製剤化技術を総称して「SAWAI HARMOTECH®」と名付け、公開しております。さらに新たな取組として、PHR(パーソナルヘルスレコード)事業に関しまして、沢井製薬ブランドのPHR管理アプリ「SaluDi(サルディ)」及びインテグリティ・ヘルスケアのPHR管理システム「Smart One Health」と東京大学COI個別化保健医療講座(岸暁子特任助教)開発の行動変容促進システム「MIRAMED®」を活用した特定保健指導を連携させ、「健康~未病~特定保健指導~受診勧奨のワンストップサービス」の実現可能性や効果の検証を行っております。また、2022年9月には、参加者同士の双方向のコミュニケーションを通して、健康寿命やヘルスケアへの意識向上や、PHRについての理解促進を図ることを目的とし、クオン株式会社と共同で「健康サポートコミュニティsupported by SaluDi」をオープンしました。さらに、2023年1月には兵庫県養父市の「養父市デジタルヘルシーエイジング事業」、2023年5月には長崎県の地域医療連携ネットワーク「あじさいネット」の「オフィシャルパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)アプリ」として、SaluDiが採用される等、デジタル技術を活用して、ビジネスモデルやビジネスプロセスを抜本的に変革し、人々の生活・健康をより良い方向に変化させて参ります。また、NASH(非アルコール性脂肪肝炎:Non-Alcoholic Steatohepatitis)領域においては、2022年8月にNASH領域におけるDTxの開発及び販売ライセンス契約を株式会社CureAppとの間で締結し、アプリを通じて、デジタルヘルスケア領域での技術や知見の強化とともに、IT技術を活用したソリューションを直接、患者さん・医療従事者の皆様にお届けすることを目指してまいります。医療機器事業においては、2022年12月に片頭痛の急性期治療に用いる医療機器として、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に製造販売承認申請を行った非侵襲型ニューロモデュレーション機器「SWD001」を中心として取り組んでまいります。この結果、日本セグメントにおける売上収益は43,153百万円(前年同期比11.5%増)、セグメント利益は4,629百万円(前年同期比1.3%増)、コア営業利益(参考値)は5,318百万円(前年同期比1.9%増)となりました。
(米国セグメント)米国セグメントにおいては、2017年5月にUpsher-Smith Laboratories, LLC(以下「USL」という。)を買収し米国市場進出を果たしており、中計では、「既存のブランド薬及びジェネリック医薬品の販売推進による売上への寄与」「ニッチなジェネリック医薬品を中心にさらなる製品ラインナップの充実」「沢井製薬との協働による難易度の高いパイプラインと製品ラインナップの強化」を成長ドライバーとして「米国事業における将来の成長に向けた事業投資」を行うこととし、USL の持分20%を所持している住友商事株式会社の米国子会社Sumitomo Corporation of Americasとともに取り組んでおります。しかしながら、米国におけるジェネリック医薬品業界は、卸・薬局等の統合により3大購買グループのシェアが約90%を占めていること、米国食品医薬品局(FDA)による医薬品簡略承認申請(ANDA)承認件数が高い水準にあること等により、下落基調となっています。USLにおきましては、ジェネリック主力品への競合他社の参入が続いたことに加え、主力ブランド品であるQudexy®へのジェネリック医薬品の競合参入があり、依然として経営環境は厳しいものとなっております。そうした中で、既存品の売上収益安定に向けた施策や、研究開発部門を含めたコスト削減の徹底等を通じて安定した黒字化に向けた様々な施策の実行に取り組んでおります。2023年4月に精神病性障害の発現の抑制に使用する『フルフェナジン塩酸塩錠』、眼圧コントロールが不十分で補助的療法や補充療法を必要とする緑内障患者又は高眼圧症患者の上昇した眼圧の下降に使用する『ブリモニジン酒石酸塩・チモロールマレイン酸塩配合点眼液』、5月に機能性腸症候群又は過敏性腸症候群に処方される『ジサイクロミン塩酸塩カプセル』といった新製品を上市し、その一方で、製品ポートフォリオ最適化のため、6月に片頭痛急性期治療薬であるTosymra®点鼻液10mg(一般名:スマトリプタンコハク酸塩)及びZembrace® SymTouch®注射液3mg(一般名:スマトリプタンコハク酸塩)の製造販売承認権及び関連する資産について、Tonix Pharmaceuticals Holding Corp.の100%子会社であるTonix Medicines, Inc.へ譲渡を行う契約を締結しました。また生産体制面では、2022年12月に稼働を終了したコロラド州のデンバー工場に代わって、2023年1月に商業生産を開始したUSL本社敷地内の新工場にて今後順次生産する品目を増やし、引き続き品質と効率のさらなる向上と安定供給に努めてまいります。この結果、米国セグメントにおける売上収益は9,836百万円(前年同期比3.2%増)、セグメント損失は25百万円(前年同期は250百万円のセグメント利益)、コア営業利益(参考値)は658百万円(前年同期比28.8%減)となりました。
当第1四半期連結会計期間末における財政状態は、以下のとおりであります。(資産)当第1四半期連結会計期間末における流動資産は217,980百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,633百万円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が借入の実行等により7,932百万円増加、売上債権及びその他の債権が販売増等により3,422百万円増加、また棚卸資産が日本セグメントでの安定供給力の強化に向けた生産の影響等により2,987百万円増加したためです。非流動資産は171,424百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,607百万円増加しました。これは主に、沢井製薬第二九州工場における新固形剤棟建設に係る建設仮勘定の増加等により有形固定資産が10,647百万円増加したためです。この結果、資産合計は389,404百万円となり、前連結会計年度末に比べ25,240百万円増加しました。
(負債)当第1四半期連結会計期間末における流動負債は104,245百万円となり、前連結会計年度末に比べ19,091百万円増加しました。これは主に、仕入債務及びその他の債務が支払等により5,186百万円減少した一方、(短期)借入金が日本セグメントにおける資金繰り計画に基づき21,730百万円増加したためです。非流動負債は65,716百万円となり、前連結会計年度末に比べ555百万円減少しました。これは主に、返済を通じて(長期)借入金が779百万円減少したためです。この結果、負債合計は169,961百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,535百万円増加しました。
(資本)当第1四半期連結会計期間末における資本合計は219,443百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,705百万円増加しました。これは主に、四半期利益の計上、剰余金の配当及び為替レートの変動によるものであります。この結果、親会社所有者帰属持分比率は53.3%(前連結会計年度末は55.4%)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は41,008百万円となり、前連結会計年度末に比べて7,932百万円増加しました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益4,613百万円、減価償却費及び償却費4,541百万円、棚卸資産の増加2,163百万円、仕入債務及びその他の債務の減少3,800百万円を主因として2,563百万円の収入(前年同期比1,420百万円の収入増)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出13,241百万円を主因として13,183百万円の支出(前年同期比8,977百万円の支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増21,730百万円、配当金の支払額2,846百万円を主因として17,670百万円の収入(前年同期比12,291百万円の収入増)となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の当社グループにおける研究開発費の総額は2,795百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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