【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
① 概要当連結会計年度における世界経済は、中国では新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンやゼロコロナ政策の影響等により厳しい状況となったものの、日本、米国、欧州、及びアジア各国では緩やかに持ち直しました。以上のような事業環境のもと、当社グループの業績は、中国における感染拡大、前期から続く自動車生産計画の急激な変動による固定費負担の増加、及び樹脂材料や部材調達費用の高騰による影響を受けたものの、自動車生産台数及び二輪車生産台数の増加、並びに為替によるプラス影響を受け、増収増益となりました。その結果、当連結会計年度における、売上高は4,377億9千万円(前期比14.4%増)、営業利益は349億2千6百万円(前期比25.9%増)、経常利益は448億7千2百万円(前期比22.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は264億9千6百万円(前期比23.6%増)となりました。
経営上の目標の達成状況を判断するための指標は、次のとおりであります。
2022年度までの目標
前連結会計年度(2022年3月期)
当連結会計年度(2023年3月期)
ROE(自己資本当期純利益率)(%)
15.0
5.1
5.8
連結配当性向 (%)
20.0
37.4
30.8
連結総還元性向 (%)
35.0
46.7
68.5
(注) 2023年1月30日開催の当社取締役会決議に基づき、2023年2月8日から2023年5月15日までに実施した合計99億9千9百万円の自己株式取得は、2023年3月期の連結総還元性向に含めて算定しております。 当社グループのROEは、2008年3月期15.3%以後、米国に端を発した世界経済の急激な減速の影響を受け、2009年3月期は6.5%となり、継続的に企業価値を向上する取り組みを行ったものの、中国における感染拡大、前期から続く自動車生産計画の急激な変動による固定費負担の増加、及び樹脂材料や部材調達費用の高騰による影響を受け、2023年3月期は5.8%となりました。引き続きROEを意識し、スタンレーグループのあらゆるビジネス・プロセスの機能が、「ものづくり」に対して価値を提供し、目標達成に向けグループ全体の総合力を最大限に発揮してまいります。 また、当社は、安定した配当の維持及び適正な利益還元を基本としており、連結配当性向20%以上、自己株式の取得を含めた総還元性向は、連結で35%以上を目標としています。利益還元策として、毎年、自己株式の取得及び消却を実施しており、その結果、2023年3月期の連結配当性向は30.8%、連結総還元性向は68.5%となりました。今後も継続的な安定した配当の維持、適正な利益還元を実施していきます。
② 売上高及び営業利益についてセグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。自動車機器事業における主な製品は、自動車用ランプ、二輪車用ランプ等です。関連する市場の動向について、自動車生産台数は、中国で微増、その他の地域で増加となり、世界全体では増加となりました。二輪車生産台数は、欧州で微減となったものの、その他の地域で増加となり、世界全体では増加となりました。このような市場環境のもと、当社グループの自動車機器事業は、中国における感染拡大、前期から続く自動車生産計画の急激な変動による固定費負担の増加、及び樹脂材料や部材調達費用の高騰による影響を受けたものの、自動車生産台数及び二輪車生産台数の増加に伴い、自動車用ランプ・二輪車用ランプともに増加し、増収増益となりました。その結果、当連結会計年度における自動車機器事業の売上高は3,478億9千5百万円(前期比15.8%増)、営業利益は196億7千5百万円(前期比97.6%増)となりました。コンポーネンツ事業における主な製品は、LED、液晶等です。関連する市場の動向については、車載市場及びLED照明市場は増加、AV家電市場は横ばいとなりました。 このような市場環境のもと、当社グループのコンポーネンツ事業は、液晶が増加し、また非可視光(赤外・紫外)LEDも増加しつつあるものの、部材調達費用が高騰した影響を強く受け、増収減益となりました。その結果、当連結会計年度におけるコンポーネンツ事業の売上高は470億2千6百万円(前期比1.0%増)、営業利益は50億6千9百万円(前期比14.9%減)となりました。電子応用製品事業における主な製品は、液晶用バックライト、操作パネル、LED照明、電子基板等です。関連する市場の動向については、PC・タブレット市場は減少、車載インテリア市場、OA市場及びLED照明市場は増加となりました。このような市場環境のもと、当社グループの電子応用製品事業は、操作パネルが増加したものの、液晶用バックライトが減少し、加えて半導体不足等により部材調達費用が高騰したことによる影響を強く受け、増収減益となりました。その結果、当連結会計年度における電子応用製品事業の売上高は1,105億1千5百万円(前期比12.6%増)、営業利益は106億5千4百万円(前期比10.9%減)となりました。
③ 営業外収益(費用)営業外収益(費用)は、前連結会計年度の89億7千1百万円の収益(純額)から、99億4千6百万円の収益(純額)となりました。主に、持分法投資利益の増加等によるものです。
④ 特別利益(損失)特別利益(損失)は、前連結会計年度の9億4千万円の損失(純額)から、1千6百万円の利益(純額)となりました。主に、投資有価証券売却益の増加等によるものです。
⑤ 税金等調整前当期純利益税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の357億7千4百万円から25.5%増加し、448億8千9百万円となりました。
⑥ 法人税等税金等調整前当期純利益に対する法人税等の負担率は、前連結会計年度の24.6%から1.0ポイント減少し、23.6%となりました。
⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益非支配株主に帰属する当期純利益は、主としてVietnam Stanley Electric Co., Ltd.、広州斯坦雷電気有限公司、PT. Indonesia Stanley Electric、及びAsian Stanley International Co., Ltd.の非支配株主に帰属する利益からなり、前連結会計年度の55億3千3百万円に対し、当連結会計年度は77億8千万円となりました。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の214億4千5百万円に対し、264億9千6百万円となりました。なお、1株当たり当期純利益金額は、前連結会計年度の133.75円に対し、162.32円となりました。
⑨ 生産、受注及び販売の実績生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
イ 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
自動車機器事業
342,034
12.7
コンポーネンツ事業
24,473
△7.1
電子応用製品事業
60,295
0.1
その他
282
△2.3
合計
427,085
9.4
(注) 金額は販売価格により、セグメント間の取引については相殺消去しております。
ロ 受注実績当社グループは、主に自動車・エレクトロニクスメーカーに対し部品を中心に納入するメーカーであります。当業界の受注方法は、メーカーの生産計画について3か月程度前に生産見込数量の連絡を受けた後、納品までの間に確定情報を得る形態が一般的となっております。これらの期間等は得意先ごとに異なり、かつ、納品にいたるまで納入数量・時期・品目が変更されることがあります。当社グループは、数多くの得意先に対し、極めて多種類の製品を納入しており、それぞれの受注形態に対応して、過去の実績・予測・生産能力等を勘案のうえ生産を行っているので、受注高・受注残高の記載を省略しております。
ハ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
自動車機器事業
346,919
16.0
コンポーネンツ事業
28,681
0.9
電子応用製品事業
62,082
13.9
その他
107
△76.8
合計
437,790
14.4
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 財政状態当連結会計年度末における総資産は6,296億1千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ442億2千8百万円増加しております。要因は、流動資産が221億3千9百万円増加したこと及び固定資産が220億8千8百万円増加したことによるものです。流動資産の増加は、棚卸資産が減少したものの、現金及び預金が増加したこと等によるものです。固定資産の増加は、投資その他の資産が増加したこと等によるものです。 負債は934億8千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億3千7百万円減少しております。主な要因は、リース債務が増加したものの、製品保証引当金が減少したこと等によるものです。 純資産は5,361億2千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ471億6千5百万円増加しております。主な要因は、株主資本が322億5千7百万円増加したこと及びその他の包括利益累計額が94億9千8百万円増加したこと等によるものです。株主資本の増加は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び自己株式の処分等によるものです。また、その他の包括利益累計額の増加は、為替換算調整勘定が増加したこと等によるものです。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
自動車機器事業
コンポーネンツ事業
電子応用製品事業
その他
調整額
連結財務諸表計上額
当連結会計年度(2023年3月期)
214,329
51,202
73,119
1,384
289,575
629,611
前連結会計年度(2022年3月期)
223,853
51,147
73,609
1,106
235,665
585,382
増減率(%)
△4.3
0.1
△0.7
25.1
22.9
7.6
当社グループでは、事業、機能、地域の3つの軸のグループマトリクス経営を、ものづくりの進化、人づくり、キャッシュの創出により、さらに確固たるものにしていきます。 当連結会計年度末におけるセグメント資産は、自動車機器事業は2,143億2千9百万円(前期比4.3%減)、コンポーネンツ事業は512億2百万円(前期比0.1%増)、電子応用製品事業は731億1千9百万円(前期比0.7%減)となりました。 当連結会計年度は、主に自動車用ランプを製造する広島製作所において、「ランプの生産拠点」から「ランプシステムの生産拠点」への改革、及び生産能力の増強を意図した拡張を進めております。なお、調整額のうち全社資産は、余資運用資金(現金及び預金等)、長期投資資金(投資有価証券等)により増加しております。 当社グループでは、「生産革新活動」で培ってきたノウハウを建物の設計段階から取り入れ、投資効率を最大限に追求した工場として展開し、生産効率を最大限に高めております。
(3) キャッシュ・フロー
前連結会計年度(2022年3月期)(百万円)
当連結会計年度(2023年3月期)(百万円)
増 減(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー
36,881
76,275
39,393
投資活動によるキャッシュ・フロー
△20,257
△56,426
△36,168
財務活動によるキャッシュ・フロー
△13,485
△3,821
9,663
現金及び現金同等物に係る換算差額
7,466
2,849
△4,616
現金及び現金同等物の増減額
10,604
18,877
8,272
現金及び現金同等物の期首残高
101,399
112,004
10,604
現金及び現金同等物の期末残高
112,004
130,881
18,877
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ188億7千7百万円増加し、1,308億8千1百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、製品保証引当金の増減額の減少60億7千6百万円等による資金減があったものの、棚卸資産の増減額の増加163億3千5百万円、税金等調整前当期純利益の増加91億1千4百万円等による資金増により、前連結会計年度に比べ393億9千3百万円増加し、762億7千5百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入の増加44億2千9百万円等による資金増があったものの、投資有価証券の取得による支出の増加197億7千5百万円、定期預金の預入による支出の増加144億4千5百万円等による資金減により、前連結会計年度に比べ361億6千8百万円減少し、△564億2千6百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式取得目的の金銭の信託による支出の増加47億4千1百万円、自己株式の取得による支出の増加32億6千6百万円等による資金減があったものの、自己株式の売却による収入の増加189億3千1百万円等による資金増により、前連結会計年度に比べ96億6千3百万円増加し、△38億2千1百万円となりました。主な契約債務は、下記のとおりであります。
主な契約債務
合計(百万円)
1年内(百万円)
1年超(百万円)
社債
10,000
―
10,000
社債は2019年4月19日に発行した期間5年の第5回無担保社債であり、2019年4月23日償還の社債償還資金に充当いたしました。また、当社は資金調達の効率化及び安定性の確保を目的とし、2023年3月31日現在、金融機関5社とシンジケーション方式による総額300億円のコミットメントライン契約を締結しており、資金の流動性を確保しております。
当連結会計年度末の自己資本比率は75.6%となりました。また、営業活動によるキャッシュ・フロー762億7千5百万円に対して、投資活動によるキャッシュ・フローは△564億2千6百万円であり、フリーキャッシュ・フローはプラスとなっております。
翌連結会計年度の設備投資は、主に自動車用ランプを製造する広島製作所において、「ランプの生産拠点」から「ランプシステムの生産拠点」への改革、及び生産能力の増強を意図した拡張を進めており、2024年末に完成を予定しております。財源については、自己資金及び助成金で支払う計画としております。さらに当社グループ最大の研究開発拠点である神奈川県の技術研究所の再構築を計画しています。現時点では、自己資金及び助成金を財源として支払う計画としております。当社グループの資金は、中長期的な展望に立った新製品・新事業の開発及び経営体制の効率化等企業価値を高めるための投資に活用し、企業体質と企業競争力のさらなる強化に取り組んでおります。また、当社は安定した配当の維持及び適正な利益還元を基本としており、連結配当性向20%以上、自己株式の取得を含めた総還元性向は、連結で35%以上を目標としております。翌連結会計年度以降に関しましては、株主還元のさらなる充実を図るため、連結配当性向は30%以上を目標としています。当社グループは、グローバルにおけるグループ経営の実現に向けて、機動的かつ効率的な資金循環ができる体制の充実を図っております。日本、米州、欧州、中国、アジア・大洋州の5極において、主として統括会社を活用し、為替リスクの低減及び域内の資金循環を実施しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、会計上の見積りを行う上での感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(追加情報)に記載しております。
① 製品保証引当金の算定製品保証引当金は、販売した製品に欠陥が生じた場合、現在入手可能な情報はもとより、過去の修理又は交換実績、並びに、予測発生台数及び台あたり費用等を含む将来の見込みに基づいて、発生する修理又は交換費用を見積り、発生原因の責任割合に応じて個別に計上しております。当社グループは、製品保証引当金が適切かどうかを常に確認しております。従って、発生が見込まれる製品保証に関連する費用について、必要な金額を引当計上していると考えております。実際の発生は、それらの見積りと異なることがあり、引当金の計上金額が大きく修正される可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックスプランニングに基づく一時差異等加減前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済状況の変動等により見直しが必要になった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
③ 退職給付債務の算定当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の確定給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、年金資産の期待収益率などの計算基礎が含まれております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済状況の変動等により見直しが必要になった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
