【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限の緩和に伴い、日常生活や経済活動が徐々に正常化へ向かう中、景気の緩やかな持ち直しがみられました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化、資源価格や原材料価格の高騰、円安による物価の上昇等により、引き続き先行きは不透明な状況となっております。
このような経済環境の下、当社は、2021年5月に策定した「中期経営計画2023」(2021年度~2023年度)の実現に向けた取り組みを推進いたしました。「中期経営計画2023」につきましては、“ウェルビーイング領域におけるNo.1プラットフォーマーへ”を骨子とし、従来の事業ドメインを内包するウェルビーイング関連領域(*)において実効性のある課題解決策をSaaSにて展開し、既存事業の深掘りとドメイン拡大を進めることにより、同領域におけるソリューション提供のリーディングカンパニーを目指すことを基本方針としております。具体的には、(1) DXプラットフォームの展開、(2) BtoBtoE領域への進出、(3) 資本提携・オープンイノベーションの加速、(4) 人材育成強化・健康経営推進、(5) ITケイパビリティの強化を重点テーマとして各種施策を実施し、顧客企業の生産性向上を通じた「企業価値の向上」と「従業員の元気」の実現を経営ビジョンとした事業活動を展開いたします。
当連結会計年度におきましては、「中期経営計画2023」のコア商品である「アドバンテッジ ウェルビーイング DXP」(**)を軸に顧客企業への複数サービス提供の総合提案営業を引き続き推進し、ウェルビーイング関連の事業領域の拡大に取り組みました。
(*)当社事業における心身の健康、従業員の成長、リスクの予防と発生時の支援、両立支援、福利厚生、
余暇支援、会社との一体感醸成等の業務領域
(**)ストレスチェック義務化対応プログラム「アドバンテッジ タフネス」による調査結果や健康診断結果
など心身の健康データや、勤怠・休業等の人事労務情報を集約し、ダッシュボードでの見える化、
データ分析、課題抽出、効果的なソリューションの提案を行うデータマネジメントプラットフォーム
当連結会計年度の売上高につきましては、各事業が堅調に推移し、増収となりました。費用面につきましては、各事業の成長戦略に基づくシステム投資や事業拡大に伴う人員採用などにより、経費負担が増加いたしましたが、売上高が伸長したことにより増益となりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は6,405百万円(前期比10.6%増)、営業利益は553百万円(前期比56.8%増)、経常利益は534百万円(前期比47.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は377百万円(前期比87.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下の通りです。
(メンタリティマネジメント事業)
当事業におきましては、昨年度に刷新した新「アドバンテッジ タフネス」について、既存顧客の旧プログラムからの切替え対応を完了するとともに、新規顧客の獲得に注力いたしました。また、従業員向けダッシュボードにおけるレコメンデーション機能提供、人事労務担当者用及び産業保健スタッフ用ダッシュボードにおけるクロス分析機能拡張等のバージョンアップを行った「アドバンテッジ ウェルビーイング DXP」、ならびに組織改善のPDCAを加速するパルスサーベイシステム「アドバンテッジpdCa(ピディカ)」の導入を推進いたしました。
当連結会計年度の売上高につきましては、「アドバンテッジ タフネス」の売上高が堅調に推移したほか、コロナ禍で低迷していたソリューション商品の販売が企業の人事・経営課題解決ニーズも捉え伸長いたしました。また、企業の産業保健体制を構築支援する「健診管理システム」および「産業医・保健師サービス」におきましても新規契約が堅調に推移いたしました。費用面につきましては、「アドバンテッジ タフネス」など既存サービスの改良や中期経営計画実現に向けた「アドバンテッジ ウェルビーイングDXP」「アドバンテッジpdCa(ピディカ)」の開発に伴う償却費負担の増加、今後の事業展開を見据えた人的投資等により経費負担が増加いたしましたが、売上高が伸長したことにより増収増益となりました。
これらの結果、メンタリティマネジメント事業の売上高は4,689百万円(前期比8.6%増)、セグメント利益は718百万円(前期比8.4%増)となりました。
(就業障がい者支援事業)
当事業におきましては、引き続き、新たな連携先との関係構築及び既存連携先との関係深化によるGLTD(Group Long Term Disability:団体長期障害所得補償保険)の新規顧客開拓に取り組みました。また、会社と傷病休のほか産休・育休・介護休業等により休業中の従業員を繋ぐ休業者管理支援クラウドサービス「ADVANTAGE HARMONY(アドバンテッジハーモニー)」について、2022年4月から段階的に施行された育児・介護休業法改正への対応を図りつつ営業活動を展開しました。
当連結会計年度の売上高につきましては、GLTD販売は新規顧客の獲得が堅調に推移し増収となりました。「ADVANTAGE HARMONY(アドバンテッジハーモニー)」は育児・介護休業法改正への対応ニーズが追い風となり新規契約が増加、また、休業者の職場復帰をサポートする両立支援プログラム「eRework」の新規契約も増加いたしました。費用面につきましては、システム関連費用が増加し前期比で増加となったものの、売上高が伸長し大幅な増益となりました。
これらの結果、就業障がい者支援事業の売上高は1,375百万円(前期比19.8%増)、セグメント利益は274百万円(前期比156.2%増)となりました。
(リスクファイナンシング事業)
主に企業等に勤務する個人を対象として保険商品を販売している当事業におきましては、当連結会計年度の売上高は新規大型団体の契約を獲得したことにより前期比で増収となりました。費用面につきましては、効率的なオペレーション業務体制を維持することによりコスト抑制に努めました。
これらの結果、リスクファイナンシング事業の売上高は341百万円(前期比4.4%増)、セグメント利益は276百万円(前期比8.3%増)となりました。
なお、財政状態については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態の分析」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末より542百万円増加し、1,260百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は931百万円(前期比60.9%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が547百万円、減価償却費が495百万円となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は219百万円(前期比89.8%減)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が624百万円となった一方で、無形固定資産の取得による支出が852百万円になったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は169百万円(前期比63.9%減)となりました。これは配当金の支払が169百万円生じたことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比(%)
メンタリティマネジメント事業(千円)
4,689,091
+8.6
就業障がい者支援事業(千円)
1,375,153
+19.8
リスクファイナンシング事業(千円)
341,461
+4.4
合計(千円)
6,405,706
+10.6
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
東京海上日動火災保険株式会社
595,250
10.3
683,323
10.7
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末より281百万円増加し、5,960百万円となりました。流動資産は431百万円増加し、2,636百万円となりました。これは主に、保険代理店勘定が減少した一方で、現金及び預金が549百万円増加したことによるものです。固定資産は150百万円減少し、3,324百万円となりました。これは主に、無形固定資産が増加した一方で、関係会社株式の売却により投資有価証券が減少したことによるものです。
当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末より67百万円増加し、2,321百万円となりました。流動負債は24百万円増加し、2,126百万円となりました。これは主に、保険料預り金が減少した一方で、未払金及び未払法人税等が増加したことによるものです。固定負債は43百万円増加し、194百万円となりました。これは主に、「株式給付信託(J-ESOP)」による株式給付引当金の増加によるものです。
当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末より214百万円増加し、3,639百万円となりました。これは主に、当連結会計年度の経営成績により利益剰余金が増加したことによるものです。
なお、保険会社に帰属する保険料で当社の口座に残高のあるものについては、保険代理店勘定及び保険料預り金として対照勘定処理を行っております。これらを除いた場合の自己資本比率は62.6%となります。
② 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前期比10.6%増の6,405百万円となりました。メンタリティマネジメント事業の売上高は、「アドバンテッジ タフネス」の売上高が堅調に推移したほか、コロナ禍で低迷していたソリューション商品の販売が企業の人事・経営課題解決ニーズも捉え伸長したことに加え、「産業医・保健師サービス」及び「健診管理システム」の売上高が伸長し、前期比8.6%の増収となりました。就業障がい者支援事業につきましては、GLTD(Group Long Term Disability:団体長期障害所得補償保険)の販売は新規顧客の獲得が堅調に推移したことに加え、「ADVANTAGE HARMONY(アドバンテッジハーモニー)」は育児・介護休業法改正への対応ニーズが追い風となり新規契約が増加したことにより前期比19.8%の増収となりました。また、リスクファイナンシング事業につきましても、前期比4.4%の増収となり、各事業とも増収となりました。
当連結会計年度の営業利益は、前期比56.8%増の553百万円となりました。これは、各事業の成長戦略に基づくシステム投資や事業拡大に伴う人員採用などにより、経費負担が増加したものの、売上高が伸長したことによるものです。
当連結会計年度の経常利益は、「持分法による投資損失」27百万円の計上等により前期比47.4%増の534百万円となりました。
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、「投資有価証券売却益」16百万円の計上等により前期比61.1%増の547百万円となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比87.1%増の377百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(547百万円)及び減価償却費(495百万円)の計上に対して、法人税等の支払(134百万円)等があり、931百万円の資金の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入(624百万円)があった一方で、無形固定資産の取得による支出(852百万円)を主な要因として219百万円の資金の使用となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払(169百万円)があり、169百万円の資金の使用となりました。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末から542百万円増加し、1,260百万円となりました。
当社グループの資金の流れは、数ヶ月間の営業活動を実施の後、サービス提供に応じた売上が計上され、役務提供の開始後約1ヶ月後に現金が振り込まれる、という構造をとる事業が大半であり、資金の収支に関するタイムラグはあまり大きくはありません。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。
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