【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社は金融ソリューション事業及びメディア関連事業から構成されておりますが、金融ソリューション事業の連結売上高、連結営業利益及び全セグメントの資産の金額の合計に占める割合がいずれも90%以上を占めるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)経営成績等の状況
当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)における世界経済の状況は、コロナ禍の金融緩和に起因する好景気を牽引した欧米先進諸国経済が、高水準のインフレ率を抑えようとする各国中央銀行の政策金利引き上げ等の影響を受け、景気減速が顕著になってまいりました。とりわけ、欧州においてはロシア産天然ガスの供給不安の影響を受けたエネルギー価格高騰が深刻な状況となり、生産・消費両面から景気下押し圧力の要因となっております。一方で、気候変動対策やデジタル化等の成長分野への投資は活発化しており、2022年12月7日に実施された中国におけるゼロコロナ政策の大幅緩和によって、停滞するグローバルサプライチェーンの正常化が期待されております。
日本経済の状況は、為替レートの変動に翻弄される状況が続きました。2022年初頭に1ドル=115円前後で推移していたドル円レートは、日米の金融政策をめぐる思惑等から、2022年11月には1ドル=150円台となり、1990年以来の円安水準となりました。その後年末にかけて、1ドル=130円台に急反騰する等、経済の不確実性を引き起こす大きな要因の一つとなっております。一方、年末にかけて、コロナ禍の水際対策の緩和が行われたことにより、インバウンド需要が回復傾向となり、宿泊・飲食サービス等の消費関連の景況感に改善の兆しが見えてまいりました。
このような経済情勢の中で、当社グループは、「金融を通じて社会に貢献する企業でありつづける」を経営理念として、主力3事業(オペレーティング・リース事業、環境エネルギー事業及びパーツアウト・コンバージョン事業)を中心に企業価値向上に努めてまいりました。
①経営成績の状況
当連結会計年度と前連結会計年度との増減額、増減率は下表のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減額
増減率(%)
売上高
14,105
18,045
3,940
27.9
営業利益
3,773
1,298
△2,474
△65.6
経常利益
4,704
5,897
1,193
25.4
親会社株主に帰属する
当期純利益
2,921
4,412
1,491
51.0
(売上高)
当連結会計年度における売上高は18,045百万円となり、前連結会計年度に比べて3,940百万円、27.9%増収となりました。
オペレーティング・リース事業の売上高は、8,976百万円(前期比19.9%減)となりました。航空機のサプライチェーンの停滞に伴う機体の納品遅延等による商品不足が影響し、商品出資金販売額は、50,188百万円(前期比1.4%増)に留まりました。しかしながら、年後半にかけて組成環境が好転し、商品組成額は1,920億90百万円(前期比83.3%増)と大幅に増加しました。これにより、2022年12月末の商品出資金は、465億87百万円と高水準の残高となりました。これは、コロナ禍が顕在化した2020年第1四半期末以来の最も大きな金額となり、2023年下期より販売が本格化すると見込んでおります。
環境エネルギー事業の売上高は、7,214百万円(前期比374.1%増)となりました。自社で保有していた太陽光発電所のうち、14件を一つの利回り商品として金融機関等の機関投資家に販売したことが寄与いたしました。
パーツアウト・コンバージョン事業の売上高は、1,042百万円(前期比43.1%増)となりました。退役航空機を解体した各部品を管理し、整備会社、リース会社及び航空会社等へ販売するパーツアウト事業、並びに旅客機を貨物機に改造するコンバージョン事業での案件獲得に努めました。
金融ソリューション事業におけるその他事業の当連結会計年度の売上高は558百万円となり、前連結会計年度に比べて134百万円、31.7%増収となりました。
その結果、金融ソリューション事業の当連結会計年度の売上高は17,792百万円となり、前連結会計年度に比べて3,918百万円、28.2%増収となりました。
一方、メディア関連事業の当連結会計年度の売上高は253百万円となり、前連結会計年度に比べて21百万円、9.2%増収となりました。
(売上総利益)
売上原価は、商品出資金等の評価を含めて11,018百万円となり、前連結会計年度に比べて5,572百万円、102.3%増となりました。
この結果、当連結会計年度における売上総利益は7,027百万円となり、前連結会計年度に比べて1,632百万円、18.9%減となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は1,298百万円となり、前連結会計年度に比べて2,474百万円、65.6%減となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費2,835百万円(前連結会計年度比13.4%増)、その他の費用2,892百万円(前連結会計年度比21.3%増)等を計上したことにより5,728百万円となり、前連結会計年度に比べて841百万円、17.2%増となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は5,897百万円となり、前連結会計年度に比べて1,193百万円、25.4%増となりました。
営業外収益は、商品出資金売却益161百万円(前連結会計年度比13.5%減)、為替差益5,484百万円(前連結会計年度比196.6%増)、受取利息323百万円(前連結会計年度比21.5%減)、持分法による投資利益300百万円(前連結会計年度は持分法による投資損失)等を計上したことにより6,543百万円となり、前連結会計年度に比べて3,702百万円、130.3%増となりました。
営業外費用は、支払利息828百万円(前連結会計年度比61.2%増)、支払手数料1,046百万円(前連結会計年度比13.7%増)等を計上したことにより1,944百万円となり、前連結会計年度に比べて35百万円、1.9%増となりました。
(特別利益)
当連結会計年度において、関係会社株式売却益519百万円を計上した結果、特別利益519百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は4,412百万円となり、前連結会計年度に比べて1,491百万円、51.0%増となりました。
法人税、住民税及び事業税は3,429百万円、法人税等調整額が△1,568百万円となりました。
②財政状態の分析
当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末と比較して総資産が74,112百万円増加し、負債が68,995百万円増加しました。また、純資産は5,116百万円増加いたしました。その結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、26.0%となりました。
当連結会計年度末における財政状態の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(総資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して74,112百万円増加の175,876百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比較して60,275百万円増加の136,963百万円となりました。これは主に、信託受益権28,680百万円、商品出資金27,715百万円及び現金及び預金8,591百万円がそれぞれ増加し、売掛金2,826百万円及び前渡金2,607百万円がそれぞれ減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末と比較して13,842百万円増加の38,812百万円となりました。これは主に、長期貸付金6,016百万円及び投資有価証券5,977百万円がそれぞれ増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して68,995百万円増加の129,080百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末と比較して58,580百万円増加の106,890百万円となりました。これは主に、短期借入金47,866百万円及び契約負債5,510百万円(前年度末において前受収益に計上することとしていた出資金に係る手数料は当連結会計年度末においては契約負債に計上。契約負債について前年度末の前受収益残高と比較した場合、前年度比4,345百万円の増加)がそれぞれ増加し、1年内返済長期借入金632百万円が減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末と比較して10,415百万円増加の22,190百万円となりました。これは主に、長期ノンリコースローン12,662百万円が増加し、社債が2,537百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末と比較して5,116百万円増加の46,795百万円となりました。これは主に、利益剰余金3,445百万円及び為替換算調整勘定1,092百万円がそれぞれ増加したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は前連結会計年度末に比べて8,591百万円増加し、20,836百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は48,944百万円(前連結会計年度は24,147百万円の獲得)となりました。主な使用要因は、棚卸資産の増加34,960百万円及び商品出資金の増加27,966百万円です。一方、主な獲得要因は、税金等調整前当期純利益の計上6,268百万円、契約負債の増加4,294百万円及び売上債権の減少2,724百万円によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は9,270百万円(前連結会計年度は18,207百万円の使用)となりました。主な使用要因は、貸付けによる支出14,688百万円及び投資有価証券の取得による支出14,490百万円です。一方、主な獲得要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入9,446百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は66,589百万円(前連結会計年度は15,358百万円の使用)となりました。主な獲得要因は、短期借入による収入140,320百万円です。一方、主な使用要因は、短期借入金の返済による支出91,880百万円です。
④組成及び販売の実績
(ⅰ)組成実績
当社グループにおけるオペレーティング・リース事業及び環境エネルギー事業の当連結会計年度の組成金額は次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(増減率)%
オペレーティング・リース組成金額(百万円)
192,090
83.3
オペレーティング・リース組成件数(件)
29
38.1
環境エネルギー組成金額(百万円)
-
-
環境エネルギー組成件数(件)
-
-
(注)1.金額は、事業開始日時点におけるSPCの金融機関からの借入額と匿名組合出資金の合計額であり、物件価額、専門家費用及び支払手数料の合計額であります。
2.外貨建のオペレーティング・リース事業の組成金額の本邦通貨への換算は、組成時の為替レートを採用しております。
(ⅱ)販売実績
当連結会計年度の販売(売上)実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(増減率)%
金融ソリューション事業(百万円)
17,792
28.2
オペレーティング・リース事業(百万円)
8,976
△19.9
環境エネルギー事業(百万円)
7,214
374.1
パーツアウト・コンバージョン事業(百万円)
1,042
43.1
その他事業(百万円)
558
31.7
メディア関連事業(百万円)
253
9.2
合計(百万円)
18,045
27.9
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営成績等の状況 ①経営成績等の状況、②財政状態の分析」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営成績等の状況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金調達及び流動性)
当社グループは、オペレーティング・リース事業を展開する上で、当該事業に係る出資(匿名組合契約に基づく権利)を、投資家に地位譲渡することを前提に一時的に当該出資金(匿名組合契約に基づく権利)を引き受けます。当社グループは、その引き受けた出資金を「商品出資金」として貸借対照表に計上し、投資家の需要を勘案しながら販売(地位譲渡)しております。
環境エネルギー事業においては、発電施設の設備や権利を取得するため、事業開始以前に立替金として資金拠出が必要となります。
また、航空機を対象としたパーツアウト・コンバージョン事業においては、機体や部品の購入資金及び機体の改造費用が必要となります。
当該出資金(匿名組合契約に基づく権利)を引き受けるための資金及び発電施設の設備・権利を立替取得するための資金並びにパーツアウト・コンバージョン事業における機体や部品の購入及び機体の改造費用に要する資金は、自己資金のほか、金融機関からの借入により資金調達を行っております。
当社グループの資金調達につきましては、金融機関より短期借入金86,797百万円、長期借入金7,449百万円、長期ノンリコースローン13,379百万円及び総額8,538百万円の私募債の発行により構成されております。その結果、当連結会計年度末の当社グループの借入金及び社債の残高は、116,165百万円となりました。
当社グループは、投資家のニーズに対応して幅広い金融サービスを提供するため、資金調達については安定性の確保とコストの抑制を図るよう努めております。
また、運転資金の流動性の確保及び効率的な調達を行うため、取引銀行40行と極度額105,911百万円の当座貸越契約及びコミットメントライン契約(シンジケート方式含む)を締結しており、当連結会計年度末における未使用借入枠は21,922百万円であり、資金の流動性は十分に確保されております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断して行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症による影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
④経営指標の推移
「(2)経営成績等の状況」に記載のとおり、当連結会計年度は、「事業ポートフォリオの拡充」に取組み、オペレーティング・リース事業の売上高に占める比率は、49.74%(前連結会計年度79.4%)となりました。環境エネルギー事業、パーツアウト・コンバージョン事業及び金融ソリューション事業のその他の売上高が伸長したことによるものであります。
「連結配当性向を中期的に20%以上」という目標につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、当連結会計年度の連結配当性向は21.9%となりました。
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