【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態
当連結会計年度の資産、負債及び純資産の状況と主な要因は下表のとおりです。
前連結
会計年度
(百万円)
当連結
会計年度
(百万円)
増減額
(百万円)
主な要因
(前連結会計年度との比較)
流動資産
98,766
90,050
△8,715
受取手形及び売掛金4,823百万円、現金及び預金4,435百万円の減少
固定資産
90,507
97,212
6,705
建設仮勘定5,346百万円、建物及び構築物1,924百万円、土地1,021百万円の増加
販売権1,648百万円の減少
資産合計
189,273
187,263
△2,009
負債合計
103,806
94,523
△9,282
短期借入金7,807百万円、支払手形及び買掛金2,742百万円の減少
長期借入金(1年内返済予定含む)1,155百万円の増加
純資産合計
85,466
92,739
7,272
親会社株主に帰属する当期純利益11,405百万円の計上、為替換算調整勘定1,036百万円の増加
剰余金の配当4,165百万円、自己株式の取得1,500百万円による減少
負債純資産合計
189,273
187,263
△2,009
② 経営成績
当連結会計年度の売上高は97,338百万円(前年同期比0.6%減)、営業利益は15,972百万円(前年同期比11.1%減)、経常利益は15,462百万円(前年同期比14.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,405百万円(前年同期比3.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
当社グループは、事業子会社を基礎としたセグメントから構成されており、「エレクトロニクス事業」「医療・医薬品事業」の2つを報告セグメントとしています。
エレクトロニクス事業
当事業については、海外での売上高比率が9割を超えていることから、為替が円安に推移することで増収、増益に寄与します。当期累計期間における期中平均為替レートは1米ドル135.0円であり、前年同期の期中平均為替レートである1米ドル112.9円と比較し22.1円の円安に推移しました。
リジッド基板用部材については、低調に推移し、特にディスプレイ関連部材、民生用関連部材において販売数量が前年同期を下回りました。当部材は中国での売上高比率が高く、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うロックダウンや顧客の従業員出勤率低下による稼働率の急減、PC・タブレットや民生機器等の最終需要の減少により販売数量が減少しました。
PKG基板用部材についても、販売数量が前年同期を下回りました。特に、DF製品においては、第2四半期連結累計期間まで世界的なリモートワークの定着や第5世代移動通信システム(5G)の普及に伴うデータ量の飛躍的な増大を背景に販売数量が過去最高水準となりましたが、スマートフォンやPC・タブレット等の最終需要の減少を背景に顧客の在庫水準が増加し、第3四半期連結会計期間からメモリ向け製品の需要が急速に減少したことにより販売数量が減少しました。なお、当部材の売上高では、為替が円安に推移したことにより前年同期を上回りました。
その結果、売上高は68,419百万円(前年同期比3.8%減)、セグメント利益は15,845百万円(前年同期比6.4%減)となりました。
医療・医薬品事業
太陽ファルマ株式会社が行う医療用医薬品の製造販売事業については、売上高が前年同期を下回りました。前年同期と比較し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う一部製品の需要の増加があったものの、薬価改定の影響や他社同効薬等の限定出荷解除に伴う需要の減少により低調に推移しました。
太陽ファルマテック株式会社が行う医療用医薬品の製造受託事業については、売上高が前年同期を上回りました。製造委託元からの要請による受託数量の増加やプロダクトミックスの変化により、好調に推移しました。
その結果、売上高は25,447百万円(前年同期比8.4%増)、セグメント利益は1,906百万円(前年同期比20.6%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況と主な要因は下表のとおりです。
前連結
会計年度
(百万円)
当連結
会計年度
(百万円)
主な要因
営業活動による
キャッシュ・フロー
18,308
22,736
税金等調整前当期純利益15,462百万円、減価償却費7,441百万円、売上債権の減少額5,597百万円、法人税等の支払額△6,987百万円
投資活動による
キャッシュ・フロー
△11,258
△13,160
有形固定資産の取得による支出△11,667百万円、投資有価証券の取得による支出△950百万円
財務活動による
キャッシュ・フロー
△11,279
△13,942
長期借入れによる収入18,672百万円、長期借入金の返済による支出△17,492百万円、短期借入金の純減額△8,926百万円、配当金の支払額△4,164百万円、自己株式の取得による支出△1,520百万円
現金及び現金同等物の増減額
△3,157
△4,079
現金及び現金同等物の期末残高
51,152
47,088
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(単位:百万円)
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年 4月 1日
至 2023年 3月31日)
前年同期比(%)
エレクトロニクス事業
52,548
91.8
医療・医薬品事業
14,345
110.4
報告セグメント計
66,893
95.2
その他
1,459
99.1
合計
68,353
95.3
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.医療・医薬品事業の金額には、製造委託は含まれていません。
b 受注状況
当社グループは見込生産を主体としているため受注状況の記載を省略しています。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(単位:百万円)
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年 4月 1日
至 2023年 3月31日)
前年同期比(%)
エレクトロニクス事業
68,419
96.2
医療・医薬品事業
25,447
108.4
報告セグメント計
93,866
99.3
その他
3,472
102.0
合計
97,338
99.4
(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。連結財務諸表の作成に当たって採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症との共存(ウィズコロナ)への移行により、入国規制等の行動制限の緩和や社会経済活動の正常化が進むものとして会計上の見積りを行っており、現時点において重要な影響を与えるものではないと判断しています。しかしながら、変異株により新型コロナウイルス感染症の感染再拡大等の不確定要素が多く翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 当社グループの当連結会計年度の経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、「第2 事業の状況、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、② 経営成績」を参照ください。
b 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況、3 事業等のリスク」を参照ください。
c 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、適切な流動性の維持及び健全なバランスシートの維持を財務方針としています。必要資金については、主に営業活動から得られる資金及び銀行借入金などによりまかなっており、現在必要とされる資金水準を十分確保していると考えています。当連結会計年度末の短期借入金及び長期借入金の合計は71,501百万円です。当社グループの借入必要額に、重要な季節的変動はありません。
また、当社グループは、当連結会計年度末の現金及び現金同等物47,088百万円を主に円建てを中心として保有していますが、その他の外貨建でも保有しています。当社グループの現金及び現金同等物は、売上収益の約5.8ヶ月相当の水準となっており、当社グループの事業運営上、十分な流動性を確保していると考えています。しかしながら、景気後退による市場の縮小や金融市場・為替市場の混乱などにより、流動性に一部支障をきたす場合も考えられます。このため、金融機関と限度額24,928百万円の当座借越契約を締結しています。
d 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、2022年3月期を初年度とする2031年3月期までの長期経営構想「Beyond Imagination 2030」を策定しました。2021年3月期の経営指標を参考として加えた各指標の達成状況は次のとおりです。
経営指標
目標
2021年3月期
(参考)
2022年3月期
2023年3月期
ROE(自己資本利益率)
18%以上
13.1%
14.6%
12.8%
DOE(株主資本配当率)
5%以上維持
6.3%
( – )
5.1%(達成)
6.0%
(達成)
ROEにつきましては、長期経営構想「Beyond Imagination 2030」で掲げた2031年3月期での18%以上の達成を目指しています。当連結会計年度末は12.8%と前連結会計年度末の14.6%から低下しています。今後は、エレクトロニクス事業、医療・医薬品事業だけでなく、食糧・エネルギーなどの新たな事業分野での成長をしながら、達成に向けて活動を行ってまいります。
DOEにつきましては、2018年3月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画「NEXT STAGE 2020」に引き続き、長期経営構想「Beyond Imagination 2030」においても5%以上維持を目標としており、当連結会計年度においては6.0%と前連結会計年度より継続して達成しています。今後は長期経営構想に沿い、SRの収益力の強化、SR以外のPCB関連領域の拡充、医療・医薬品事業の事業戦略の遂行、株主への利益還元及び経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行等を行い、企業価値の向上へ尽力いたします。
e セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、② 経営成績」を参照ください。