【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況企業や行政において、デジタル技術を活用した新規ビジネスやサービスの創出、ワークスタイルの変革などの戦略的経営改革が求められている中で、デジタル・トランスフォーメーション(DX)領域への投資はますます加速していくと見込まれております。
当社グループはこの潮流を長期的な成長の機会と捉え、お客様のDXを支援していくことに加え当社自身も変革していく「コムチュア・トランスフォーメーション(CX)」を掲げ、これからの10年先を見据えた戦略であるグローバルベンダー各社との連携強化を主軸に、独自のテンプレートやソリューションを付加価値として組み合わせて提供することで、お客様のビジネスモデル変革の担い手として事業活動を拡大してまいりました。具体的には、以前よりLotus NotesやSAPなどのソフトウェアをベースにした付加価値の高いシステム構築にいち早く取り組み、時代の変化とともに取り扱うベンダー商材を増やしてまいりましたが、現在ではAmazon Web ServiceやMicrosoft、Salesforce、ServiceNow、Google Cloud Platformなどのクラウドサービスをベースにしたシステム構築、SASなどのデータ分析ツールを活用したデータサイエンス、さらにはRPAによる業務の効率化・自動化など、DX関連のソリューションの提供に取り組んでおります。これらグローバルベンダーによるDX商材をベースにしたシステム構築の需要の高まりが、付加価値・収益性の高い提案機会の増加に寄与しております。更には従来の単体ベンダーのソリューションに加え複合的にベンダーを組み合わせたソリューションの提供など、最適なものを組み合わせて提供することで複雑化するお客様のニーズにも対応しております。そのために、より高度なベンダー資格取得の促進と提案力の向上に積極的に取り組み、コンサルティングなどの付加価値の高いサービスの提供にも注力しております。提案・営業活動においては、オンラインと対面を組み合わせた効率的な営業活動の強化、日々の営業報告はSFAシステムの活用によって経営層を含めタイムリーな情報共有を行うことで、チームでの知恵出しによる提案内容のレベルの向上と営業活動の強化、さらには成長領域における新規事業の立上げを加速させるための社内横断プロジェクトで、顧客ニーズを踏まえたテンプレート化の推進など、次の成長に向け取り組んでおります。
受注環境が好調な一方で、業績確保のためにはエンジニアの人材確保が最優先課題であります。中でも社員の待遇の向上は最も重要な課題であり、前期は平均10.8%の昇給を実施し、今期も8%の昇給に取り組んでおります。また、テレワークと出社を組み合わせたハイブリッドな働き方の促進、小集団活動など自由な研究開発、経営と社員を結びつける場づくり、さらには部門を超えた議論ができるコミュニケーションスペースの増床など、社員のエンゲージメントの強化にも一層取り組んでおります。リソース確保においては新卒社員の早期戦力化を進めることに加え、中途採用での外部コンサルタント活用や採用エージェントなどの専門家との密なる連携を取ることで即戦力のあるエンジニアの採用方法の改善を進めております。採用以外にも当期4月に120名のエンジニアを有するソフトウエアクリエイション株式会社の株式取得に加え、当期12月に同じく100名のエンジニアを有するタクトシステムズ株式会社およびタクトビジネスソフト株式会社の株式取得を決定するなど、グループの成長を加速させるためのエンジニアリソースの拡大にも取り組んでおります。また、社員リソースで不足する分については協力会社のコアパートナー化などの戦略的な連携を進め、即戦力エンジニアの優先的な提供を依頼するとともに、当社グループのIT研修会社や教育コンテンツを活用した成長領域での人材育成支援を行うなど、エンジニアの確保を積極的に進めております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。(百万円)
前年同期
当第3四半期
増減
増減率
売上高
18,239
21,365
3,125
17.1%
売上総利益
4,572
4,787
215
4.7%
営業利益
3,053
2,883
△ 170
△5.6%
経常利益
3,052
2,871
△ 181
△5.9%
親会社株主に帰属する四半期純利益
1,925
1,945
19
1.0%
売上高は、DX関連ビジネスへの更なるシフト、プラットフォーマーやツールベンダー各社との連携の強化による営業活動の推進などの取り組みに加え、ソフトウエアクリエイションの寄与により前年同期比で17.1%増の13期連続増収となりました。売上総利益は、社員満足度向上のために労務費が大幅に増加しましたが、提案力の強化やサービス品質・生産性の向上、コンサルティング業務の拡大、成長領域へのシフトなどで一人当たり売上高の伸長などにより、前年同期比で4.7%の増益となりました。営業利益は、新卒・中途採用人数増に伴う採用費の増加などの更なる成長に向けた先行投資に加え、ソフトウエアクリエイションの連結子会社化に伴うのれんを第1四半期連結会計期間に即時償却したことなどにより、前年同期比で5.6%の減益となりました。これに対し、親会社株主に帰属する四半期純利益は、特別利益として受取保険金が発生したことなどにより、前年同期比で1.0%増の11期連続増益となりました。企業経営の健全性の指標である自己資本比率は76.4%となり、健全性の高い経営を実践しております。なお、第3四半期連結会計期間の業績におきましては、DX事業の推進により、売上高は継続的な2桁成長を達成しつつ、一人当たり売上高の伸長、新卒社員の戦力化、低採算プロジェクトの収束などに取り組んだ結果、労務費の大幅な増加や事業拡大に伴う投資の増加も吸収して、前年同四半期比で売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益ともに増加いたしました。
事業別の売上高と売上総利益の状況は、以下の通りです。
クラウドソリューション事業は、日本マイクロソフト社やセールスフォース・ジャパン社などとの連携による顧客情報システム構築、また大手企業を中心とした社内の情報系システムのクラウド化、業務プロセスのデジタル化に向けたコンサルティングなどの需要の増加により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。デジタルソリューション事業は、SASやDatabricksなどのソフトウェアを使った金融業向けのアンチマネーロンダリングなどのデータ分析ビジネスの拡大に加え、Google Cloud Platform上での大量なデータを蓄積する環境の構築や整備などのデータマネジメントビジネスの拡大により、売上高が増加いたしました。ビジネスソリューション事業は、リソース確保の改善によりS/4 HANA化などSAP関連ビジネスが2桁成長に回復したことに加え、当期より連結した子会社の寄与により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。プラットフォーム・運用サービス事業は、Amazon Web Serviceなどのクラウド環境の構築/移行ビジネスおよびクラウド環境運用などのビジネスの拡大に加え、システム運用業務のアウトソーシングやセキュリティサポートなどの需要の増加により、売上高が増加いたしました。デジタルラーニング事業は、Microsoft、Salesforce、ServiceNowなどの資格取得のための教育ビジネスの拡大に加え、新人研修などの企業向けの企画型研修の需要の増加により、売上高、売上総利益ともに増加いたしました。(百万円)
前年同期
当第3四半期
増減
増減率
クラウドソリューション事業
売上高
6,838
8,083
1,244
18.2%
売上総利益
1,744
1,956
212
12.2%
デジタルソリューション事業
売上高
2,095
2,273
178
8.5%
売上総利益
590
579
△10
△1.8%
ビジネスソリューション事業
売上高
4,392
5,629
1,237
28.2%
売上総利益
1,001
1,009
7
0.7%
プラットフォーム・運用サービス事業
売上高
3,704
4,061
357
9.6%
売上総利益
910
833
△77
△8.5%
デジタルラーニング事業
売上高
1,208
1,317
108
9.0%
売上総利益
325
409
83
25.8%
それぞれの事業の範囲は以下のとおりとなります。
事業区分
事業内容
クラウドソリューション事業
グローバルなクラウドベンダー(Microsoft,Salesforce,ServiceNowなど)との連携による生産性向上のためのコラボレーションやCRMなどのクラウドサービスの提供など
デジタルソリューション事業
グローバルなビッグデータ/AIツールベンダー(SAS,Informatica, Databricksなど)との連携によるデータ分析ソリューションの提供、RPAツール(UiPath,Automation Anywhereなど)を使った業務プロセスの自動化など
ビジネスソリューション事業
グローバルなERPパッケージベンダー(SAPなど)との連携による会計、人事、フィンテックなど基幹システムの構築・運用、モダナイゼーションなど
プラットフォーム・運用サービス事業
グローバルなクラウドプラットフォーマー(Amazon Web Service, Google Cloud Platformなど)やハードウェアベンダー(HPE,Dell,Ciscoなど)との連携による設計・構築・運用、グローバルなツールを活用した自社センターでのシステムの遠隔監視サービス、ヘルプデスクなど
デジタルラーニング事業
グローバルなベンダー(Microsoft, Salesforce, ServiceNowなど)との連携によるベンダー資格取得のための教育、DX人材育成のためのITスキルの習得など
当社は当期5月に新たな3カ年の中期経営計画を公表いたしました。これまでの高付加価値経営を継続するとともに、ステークホルダーの期待に応えるよう、経営理念からつながるサステナビリティ方針、10年後のビジョンを明確にし、それを実現するための経営計画として位置付けております。お客様のDX推進と課題解決を通じて高付加価値サービスを提供するとともに、社員が働きやすい環境の整備など「超一流企業」としての基盤づくりを進めることで当社自身がイノベーションを起こし、成長スピードを加速し、10年後の「売上高 1,000億円企業」に挑戦いたします。計画達成に向け、「ベンダー連携」「提案力強化」「人材リソース拡大」の3つの事業戦略を柱とし、それを支える経営基盤の強化と積極的な投資に取り組んでまいります。「人材リソース」においては、前述の採用活動やM&Aによるリソース確保に加え、成長領域と定めておりますMicrosoft、Salesforce、SAP、データ分析の4つの事業領域へのグループ横断でのリソースシフトのためのリスキリングプログラムに新たに取り組み始めております。これは一過性の取組みではなく、今後は年間を通して継続的に実施してまいります。このような取組みを進めていくことで、高付加価値経営と持続的な成長に取り組んでまいります。
2022年3月期実績
2025年3月期計画
年平均成長率(2022年3月期~ 2025年3月期)
売上高
24,985百万円
38,000百万円以上
15%以上
営業利益
3,996百万円
6,100百万円以上
15%以上
営業利益率
16.0%
16%以上
―
ROE
19.2%
20%以上
―
配当性向
49.1%
45%以上
―
(2) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間の総資産は、前連結会計年度末に比べて316百万円増加し、19,251百万円となりました。これは主に、ソフトウエアクリエイションの連結子会社化に伴い受取手形及び売掛金が567百万円、案件の増加等により仕掛品が114百万円、それぞれ増加した一方で、配当、税金及び賞与の支払等により現金及び預金が346百万円減少したことによるものであります。当第3四半期連結会計期間の負債は、前連結会計年度末に比べて569百万円減少し、4,544百万円となりました。これは主に、ソフトウエアクリエイションの連結子会社化に伴い負債が474百万円増加した一方で、納税により未払法人税等が831百万円及び支給により賞与引当金が370百万円、それぞれ減少したことによるものであります。当第3四半期連結会計期間の純資産は、前連結会計年度末に比べて886百万円増加し、14,706百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益を1,945百万円計上する一方で、1,063百万円の配当を実施したことによるものであります。
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