【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績当第1四半期連結累計期間における国内経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に分類移行されたことなどにより、行動制限の緩和が進み、経済活動の正常化による個人消費の持ち直しの動きが見られました。一方、エネルギーコストや原材料価格の高騰に伴う物価上昇や為替変動による影響に加え、世界的な金融引締めによる景気への影響が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような状況の中、堅調な外食需要、国内旅行需要及び、インバウンドによる海外旅行客の訪日需要を背景に、2022年5月13日に公表した中期経営計画で掲げた2024年3月期の営業利益黒字化達成に向け、「付加価値の向上による単価アップ」、「人員充足」、「コスト削減」を重点施策として推進いたしました。「付加価値の向上による単価アップ」につきましては、売上の最大化を目指し、各事業にて提供する商品の価値と価格のバランスを改めて見直し、適正価格への改定を行ったほか、新たな価値を提供する企画や新商品の開発・販売を積極的に推進いたしました。「人員充足」につきましては、新たに88名の新入社員を迎え入れると共に、初期退職の防止に向けた取り組みとして、人材育成プログラムの拡充等により受入体制の強化を行いました。また、来年度に向けた新卒採用活動も併せて進めております。「コスト削減」につきましては、供給業者の見直し及びLED化や機器の入れ替え等による光熱費削減や外部委託の内製化等を推進しております。これらの施策が奏功し、すべての事業が計画を上回り順調に推移いたしました。これらの結果、当第1四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高3,296百万円(前年同期比14.4%増)、営業損失13百万円(前年同期は営業損失249百万円、236百万円の損失減)、経常損失34百万円(前年同期は経常損失254百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失42百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失262百万円)と前年同期を上回る結果となりました。なお、「中期経営計画」に対する進捗は、売上高が計画比6.1%増となりその結果、営業損失、経常損失、四半期純損失はそれぞれ、計画比75.2%損失減、53.2%損失減、49.5%損失減と計画を上回っており、順調に推移しております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(レストラン事業)当第1四半期連結累計期間におけるレストラン事業の売上高は2,231百万円(前年同期比15.2%増)、営業利益は258百万円(前年同期比114.8%増)となりました。マーケットニーズを捉えた高単価の料理コースやワインリストの提案をはじめ、当社独自の企画によるイベント開催など、各種施策の積極的な推進により、ランチ売上、ディナー売上共に計画を上回り、当期の売上は順調に推移いたしました。中でも、新型コロナウイルス感染拡大により中止していた、海外提携シェフ来日イベント開催を当連結会計年度より再開することができました。5月には「ドメーヌ レ・クレイエール」(仏ランス)総料理長フィリップ・ミル氏、6月には100年以上の歴史と伝統を持つ「オーベルジュ・ド・リル」(仏アルザス)総料理長マルク・エーベルラン氏が来日し、盛大なガラパーティを開催いたしました。3年ぶりとなるこの時を待ちわびた多くのお客様をお迎えし、売上に大きく寄与した他、当社が展開するレストランブランドを超えた料理人やサービス人の人材育成の機会を設けることにも繋がりました。また、繁忙期となる今秋から年末年始シーズンに向け、大規模パーティ等の問い合わせも増加していることから、法人向け営業の体制を強化してまいります。婚礼営業につきましては、婚礼への列席者数が徐々に戻りつつあることに加え、多様化する婚礼ニーズに応えるための新たな施策や、参列する親族・ゲストのニーズを捉えた周辺サービスの提供施策が奏功し、組単価が計画を上回った結果、婚礼売上は計画を上回りました。また、2023年6月より休業し9月にリニューアル改装する「リストランテASO」(代官山)は、レストラン、ブライダル、カフェが一体となる旗艦店であり、休業中は新たな体験価値を創出するため、店舗のコンセプトを再定義するプロジェクトを立ち上げ、料理・サービスの更なるレベルアップ、オペレーションの改善、人材育成にも取り組み、リニューアルオープンに向けた準備を進めております。改装後の年内の土日祝日は既に婚礼受注により完売となっており、秋の婚礼繁忙期に向けては、平日の婚礼獲得を強化してまいります。
(ホテル事業)当第1四半期連結累計期間におけるホテル事業の売上高は1,018百万円(前年同期比12.8%増)、営業損失は20百万円(前年同期は営業損失59百万円)となりました。なお、GOP(販売費及び一般管理費より地代家賃・減価償却費を控除した営業粗利益)につきましては、234百万円(前年同期比27.3%増)となっております。新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い国内旅行需要及びインバウンドの訪日需要が堅調となったことに加え、店舗毎に地域性や特徴を活かした料理やサービス、アクティビティの開発による提供価値の向上を推進した結果、売上、ADRとも前年同期を上回り堅調に推移いたしました。個人需要の伸長は直接予約の増加のみならず旅行社のツアー販売においても好調に推移していることから、ツアー催行率が高く、旅行社からの予約も前年同期を大幅に上回っております。当期においては、インバウンドの予約比率がホテル全店平均で19.0%となり、特に京都が44.1%、仙石原が23.4%と増加傾向が続いております。6月にはシンガポールで開催されたILTM AP(International Luxury Travel Market Asia-Pacific:世界の富裕層旅行者を取り扱う商談会)に参加するなど、インバウンドの獲得に向けた営業活動も強化しております。また、定期メンテナンスや補修工事等も実施し、夏の繁忙期に向けた戦略的な投資も推進しており、中期経営計画の着実な達成に向け、当社ならではの新たな食の体験価値の提供による売上拡大と更なる価値向上を図ってまいります。
(その他)当第1四半期連結累計期間におけるその他の売上高は68百万円(前年同期比64.3%増)、営業利益は11百万円(前年同期比57.5%増)となりました。なお、連結子会社との内部取引にかかる調整額を除いた実績は、売上高47百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益14百万円(前年同期比13.1%増)と増収増益となっております。オンライン販売においてはコロナ禍における利用登録者数の増加が引き続き売上に寄与し、プレミアムシャンパーニュセットやブルゴーニュ銘醸地ワインセットなど、高価格帯の商品を中心に販売が堅調に推移しました。また、新規事業の展開といたしまして、タイを代表する高級ホテルチェーン「センタラ ホテルズ&リゾーツ」の日本第1号店となる「センタラグランドホテル大阪」に「カフェ・ミケランジェロ」のライセンスブランドとするカフェ1号店のオープンを予定し、運営主体となる株式会社HESTA大倉(以下 HESTA大倉)と共に開業に向けた準備を進めております。当社は、「カフェ・ミケランジェロ」のロゴの共有や内装へのアドバイスをはじめ、料理レシピやサービス運営マニュアル、これまで培ってきたブランドコンセプトを提供してまいります。当社にとっては、自社で出店するこれまでの事業モデルに加えて、積み上げてきた知見とブランドを活かした新たな事業モデルの可能性を追求することで、収益多様化への取り組みも推進してまいります。
(2) 財政状態当第1四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末に比べ425百万円減少し、21,336百万円となりました。これは主に、現金及び預金が138百万円減少、有形固定資産が150百万円減少したことによるものであります。負債合計は前連結会計年度末に比べ361百万円減少し、16,878百万円となりました。これは主に、未払金が135百万円減少、未払消費税等が120百万円減少したことによるものであります。純資産は前連結会計年度末に比べ63百万円減少し、4,458百万円となりました。これは主に、利益剰余金が42百万円減少したことによるものであります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。