【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に移行し、社会経済活動の正常化が進む中、緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方で、世界的に物価上昇、インフレが進行し、金融引き締めに伴う景気の下振れが懸念されるなど、先行きは不透明な状況にあります。
外食業界におきましては、コロナ禍で落ち込んだ消費者の外食意欲の高まりやインバウンド需要が戻ってきたことにより、顕著な回復傾向が見られました。しかしながら、人手不足に加えて、人件費や食材原価、エネルギー価格の大幅な上昇がコストを押し上げており、価格への転嫁を含め、その対策が急務になっております。
このような環境下において当社グループは、「快適な食空間」「心温まる接客」「美味しい料理」をお客様に提供するという社会的使命を実現するため、QSCレベルのさらなる向上に注力し、積極的な販売促進策を継続して実施しました。昨年5月と11月に実施した価格改定後も客足は伸び続け、特に店内のご飲食が伸びるとともに、テイクアウト&デリバリーも引き続き多くのお客様にご利用いただきました。2022年2月以降、同月比過去最高売上を毎月更新しており、本年5月には単月として創業以来過去最高売上高を記録することができました。
以下、当第1四半期連結累計期間における主な取り組みと成果について、3年目を迎える中期経営計画の3つの主要戦略である「営業戦略」、「店舗開発戦略」、「FC推進戦略」、及び「サステナビリティの取り組み」の4項目に沿ってご説明をいたします。
①営業戦略
2022年より継続して掲げている「おいしい力が、未来を変える。」というスローガンのもと、引き続きQSCのさらなる向上に向けて従業員一人一人が情熱をもって取り組んでまいりました。
調理技術のさらなる向上に関しては、王将調理道場での実地調理研修の定員人数・実施回数を増やし、受講機会を拡充いたしました。並行してオンラインを活用した調理研修も引き続き実施したほか、調理技能検定試験の刷新など、調理スタッフの調理技術の習得に取り組みました。また、『美味しさの science』と銘打った「調理知識研修」や、お客様に快適な食空間の提供を行うための「接客対応研修」にも注力いたしました。
販売促進では、生ビールキャンペーンを継続的に実施したほか、「2023年版ぎょうざ倶楽部お客様感謝キャンペーン」では、109.4万名のぎょうざ倶楽部会員数を獲得することができ、過去最高の会員数となりました。また、6月23日からは、「2024年版ぎょうざ倶楽部お客様感謝キャンペーン」を開始いたしました。毎回好評いただいているキャンペーン賞品には、新たなオリジナル限定グッズとして、新商品の「忘れられない中華そば」で使用しているラーメン鉢にイラストを入れた「2023年干支入ラーメン鉢」や「光る!ワイヤレス充電器」などを取り揃えました。
なお、「忘れられない中華そば」は、京都府の一部地域にて先行販売をしていましたが、好評につき4月1日から全国展開を行い、6月末時点で販売累計123.5万杯を突破するなど、新たな人気商品となっております。
②店舗開発戦略
当第1四半期連結累計期間において、2023年5月に「海老名上郷店」、6月に「国道4号幸手店」の直営2店舗の新規出店を行いました。
「海老名上郷店」は大型商業施設や集合住宅等の建設が進み、人口増加が顕著な海老名市への出店で、駐車場付き単独ロードサイド店舗となります。周辺地域に加えて広域から多くのお客様にご利用いただいており、将来的には道路計画や調整地域の開発が実行に移されることで、さらなる商圏の拡大が見込まれます。
「国道4号幸手店」は関東と東北地域を結ぶ大動脈である「国道4号線」沿いへの出店で、昭和時代の懐かしいデザインを進化させた「ネオ昭和」の路面デザイン店舗の二号店となります。こうした話題性と幹線道路に面したロードサイド店舗であることの相乗効果により、広域からの集客を見込んでおります。
出店にあたっては、出店候補エリアの商圏分析や立地調査の強化に加え、商圏・立地条件に応じた店舗タイプの検討や売上予測の精緻化など、投資に対して資本効率を高める努力を行っております。
③FC推進戦略
前連結会計年度に引き続き、FC加盟店における「王将スタンダード」を徹底することで、FC加盟店のQSCのさらなる向上を進めてまいりました。
調理に関しては、直営店と同一のレシピ・調理方法になっているかを細部にわたって確認し、料理の品質の安定化と向上に努めました。特に「忘れられない中華そば」は、当社のショップアドバイザーがFC加盟店を巡回して調理指導し、そのスタンダード調理方法の徹底を図りました。
衛生管理では、直営店と同じマニュアルによる衛生管理・店舗清掃をFC加盟店に定着させ、当社の衛生管理専門部署がFC店長を対象とした講習を実施するなど、衛生管理の一層の強化を図りました。
また、販売促進では、全店イベント実施時にFC加盟店の店頭告知を強化するなど、直営店舗と一体となった取り組みを行いました。
こうした施策の遂行により、FC加盟店の売上は過去最高となるなど好調に推移し、当第1四半期連結累計期間における当社工場からFC加盟店に対する出荷売上は、過去最高売上を記録いたしました。
④サステナビリティの取り組み
当社が「サステナビリティ基本方針」とともに定めた「サステナビリティビジョン」では、
「食に困らない豊かな社会の実現」「全てのステークホルダーとの共栄」「地球環境の保全」を掲げています。 「食に困らない豊かな社会の実現」では、2021年より継続実施している全国の子ども食堂等への「お子様弁当」の無償提供を本年3月から4月の春休み期間中にも実施いたしました。コロナ禍の長期化や物価高による影響で、回を重ねるごとにお子様弁当を希望される施設が増加し、実施後には全国の子ども食堂や子ども達から多くの喜びの声が寄せられました。これまで6回実施しており、お子様弁当の提供数の累計は39万9千食に上ります。
「全てのステークホルダーとの共栄」では、これを実現する上で起点となる従業員に対して、前述の各種研修に加え、2023年度の月例給改定においては、一人当たり平均約22,000円(賃上げ率7.0%)と過去最高の引き上げを実施いたしました。物価高騰の中、従業員の生活向上を図ることが当社にとって最も重要であり、必要な人的投資であると考えたためです。
「地球環境の保全」では、気候変動に関する情報開示を目的にした国際組織であるTCFDの提言に沿った取り組みを行い、GHG排出量削減につながる計画策定と実行、さらには2021年度の事業活動におけるCO₂排出量(Scope1,2)及びサプライチェーンにおけるCO₂排出量(Scope3)などの開示を行いました(第49期有価証券報告書(2023年6月28日提出)にて詳細を開示:https://ir.ohsho.co.jp/ir/library/securities.html)。
今後もサステナビリティを重視した経営を遂行し、当社の経営理念「お客様から褒められる店創り」を追求することで、企業価値の向上はもとより、持続可能な社会形成の実現を目指してまいります。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は、2022年2月から2023年6月まで17か月連続で過去最高売上を達成し、前年同期に比べて20億5百万円(8.9%)の増収で、過去最高となる246億23百万円となりました。
営業利益は、原材料の高騰や光熱費の単価上昇等があったものの、増収効果に加え、高付加価値商品の販売等による原価率の低減や水道光熱費増加の抑制等により、前年同期に比べて2億29百万円(10.5%)の増益で、過去最高となる24億15百万円となりました。
経常利益は、前年同期に比べて5億27百万円(17.3%)の減益で25億17百万円となりましたが、営業時間短縮に伴う協力金収入の減少という特殊要因を除けば2億19百万円の増益となります。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、前述の理由に加え、固定資産売却益の計上等により前年同期に比べて2億62百万円(14.0%)の増益で21億35百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間の店舗展開の状況につきましては、直営店2店・FC加盟店1店の新規出店、直営店1店のFC加盟店への移行、直営店2店・FC加盟店5店の閉店を行っております。これにより当第1四半期連結期間末店舗数は、直営店541店、FC加盟店187店となり、合計店舗数は728店となりました。
(2)財政状態の状況
(資産の部)
当第1四半期連結会計期間末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ12億26百万円(1.5%)増加し、853億30百万円となりました。主な増減要因は次のとおりであります。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ10億47百万円(2.9%)増加し、369億16百万円となりました。主な要因は現金及び預金の増加等であります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ1億79百万円(0.4%)増加し、484億13百万円となりました。主な要因は時価の上昇に伴う投資有価証券の増加等であります。
(負債の部)
当第1四半期連結会計期間末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ3億22百万円(1.5%)増加し、216億55百万円となりました。主な増減要因は次のとおりであります。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ8億19百万円(6.5%)増加し、134億44百万円となりました。主な要因は未払法人税等の増加等であります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ4億97百万円(5.7%)減少し、82億11百万円となりました。主な要因は長期借入金の減少等であります。なお、借入金の残高は85億円となりました。
(純資産の部)
当第1四半期連結会計期間末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ9億4百万円(1.4%)増加し、636億74百万円となりました。主な要因は親会社株主に帰属する四半期純利益21億35百万円の増加に対し、配当金14億10百万円の支払いによる減少等であります。以上の結果、自己資本比率は、74.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9億54百万円増加し、329億83百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前年同期に比べて19億20百万円(141.9%)増加し、32億73百万円となりました。主な要因は法人税等の支払額の減少であります。
営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、税金等調整前四半期純利益28億48百万円に減価償却費6億59百万円を加えた額から法人税等の支払額2億22百万円等を減じた額であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前年同期に比べて2億45百万円(37.6%)減少し、4億8百万円となりました。主な要因は有形固定資産の売却による収入の増加であります。
投資活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、有形固定資産の取得による支出7億96百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前年同期に比べて27億63百万円(59.1%)減少し、19億10百万円となりました。主な要因は長期借入金の返済による支出の減少であります。
財務活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、長期借入金の返済による支出5億円及び配当金の支払額14億10百万円によるものであります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
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