【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、まん延防止等重点措置が3月に解除され、社会経済活動の緩やかな持ち直しの動きが見られたものの、7月以降の第7波による感染者急増により、再び景気の下振れが懸念される状況となりました。ウクライナ情勢が長期化する中で、原材料価格とエネルギー価格が上昇し、世界的な金融引き締めと急激な円安が進行したことで、景気の先行きに対する不透明感が強まりました。
外食業界におきましては、まん延防止等重点措置が解除されてから回復基調にありましたが、第7波の感染拡大により再び平日と夜間の客足は鈍り、売上は低迷いたしました。多くの企業が食材や水光熱費の上昇が進む中で商品価格への転嫁を余儀なくされるとともに、もともとの人手不足に加えて従業員の感染者や濃厚接触者の増加で営業に支障が出るなど、引き続き厳しい状況が続いております。
このような環境下において当社グループは、「安心・安全」で「美味しい食」をお客様に提供するという使命のもと、QSCレベルの向上に最優先で取り組み、各種販促施策を継続的に実施してまいりました。その成果により、第7波の厳しい環境に拘わらず、店内飲食の大幅な回復と、テイクアウト・デリバリーの堅調な売上を維持することができ、売上高は営業時間の短縮等のあった前年同期は勿論、コロナ前(2020年3月期第2四半期連結累計期間)をも上回って過去最高を達成することができました。
以下、当第2四半期連結累計期間における主な取り組みと成果について、2年目を迎える中期経営計画の3つの主要戦略である「営業戦略」、「店舗開発戦略」、「FC推進戦略」、及び「サステナビリティの取り組み」の4項目に沿ってご説明をいたします。
① 営業戦略
「おいしい力が未来を変える」という2022年の当社スローガンのもと、引き続きQSCの一層の向上に向けて全社一丸となって取り組んでまいりました。
具体的には、調理技術をさらに引き上げるため、コロナ感染状況を踏まえて王将調理道場から各店舗に調理研修のオンライン配信および動画配信を実施するとともに、各店舗では主要メニューを中心とした調理講習を行い、お客様に常に高品質な商品を提供できるように努めました。特に看板商品である餃子については、全店舗でお客様に最も美味しい餃子を提供できるように、王将スタンダードである餃子レンジの鉄板に統一し、調理方法も再確認を行いました。
販売促進では、6月24日より「2023年版ぎょうざ倶楽部お客様感謝キャンペーン」を開始し、9月16日から9月30日の期間で「スタンプ2倍押しキャンペーン」を実施いたしました。スタンプ35個でラーメン鉢またはクッションブランケット、50個でワイヤレスイヤホンまたはオリジナル将棋セットと交換でき、昨年とはまた違う、オリジナリティ溢れる賞品をお楽しみいただけるキャンペーンといたしました。
また、昨年は緊急事態宣言下で実施できなかった「生ビールキャンペーン」を季節に応じて実施する一方、ご家庭で焼いた熱々の餃子の美味しさを知っていただくため「生餃子スタンプキャンペーン」を実施してテイクアウトの強化を図りました。当社店舗で使用しているオリジナル小皿・餃子皿と交換できるため、「餃子の王将」気分を味わえると大変好評をいただいております。
毎月のフェア商品では、「カラダにウマイ」をコンセプトに販売した当社独自の薬膳ラーメン「辣菜麺(ラーサイメン)」をグランドメニュー化するとともに、フェア商品に関する新たな取り組みとして、ポスターのQRコードや店舗のデジタルサイネージ等から調理の「美味しいこだわり」を知ることのできる動画を公開いたしました。
当社は原材料価格やエネルギーコストの高騰、さらに人件費・物流費の上昇等を受け、2022年5月14日より当社グランドメニュー全体の約2割の商品について、税抜き20円から30円の価格改定を実施させていただきました。前述の通り、当社はかねてより王将調理道場による研修等で調理技術のブラッシュアップに努めてまいりましたが、価格改定にあたっては、対象品目のレシピと調理方法の見直しを行うことで、一層の品質向上を図り、これまで以上の美味しさを実感していただけるように努めました。また、価格改定前は駆け込み需要の喚起を図り、価格改定後はお客様感謝キャンペーンのスタンプ2倍押しを実施するなど、お客様の来店頻度を高める努力を行いました。こうした取り組みを行ったことが、価格改定後も客数・客単価が継続して前年を上回るという成果に結びついたと考えております。
② 店舗開発戦略
当第2四半期連結累計期間において、直営1店舗の新規出店及びFC加盟店2店舗の直営への移行を行いました。
2022年4月には「コトエ流山おおたかの森店」を新規出店いたしました。複合商業施設「コトエ流山おおたかの森」の開業に合わせた出店で、子育て世代を中心に人口が増加し続けている千葉県流山市への初出店となります。子育てファミリー層を中心とした全世代が日々の生活において利用される施設内への出店で、売上は好調に推移しております。
FC加盟店2店舗の直営への移行に関しては、5月に大阪府枚方市の楠葉店を、6月に愛知県名古屋市の神の倉店をそれぞれ直営化いたしました。ともにFCオーナーの高齢化により事業継続が困難となったものの、長年地域に密着して営業を行ってきた人気の高い店舗であり、今後も新規顧客の獲得を十分に見込めると判断いたしました。
なお、2022年7月に「店舗開発部」と「FC推進部」の管理機能を統合して、「店舗開発・FC契約管理部」を新設いたしました。FCも含めた新規物件情報や賃貸借契約等の情報を一元管理することで、店舗展開を効率的に推進できる体制といたしております。
また、今後の店舗展開等に備えて採用活動を強化しており、これまで実施してきた活動に加えて、採用ポスターの刷新や、店舗で社員がやり甲斐を持って活き活きと働いている様子を感じ取っていただける動画を店舗のデジタルサイネージで配信するなどの新たな試みを始めました。
③ FC推進戦略
前述の組織改編により、「FC推進部」からFC管理機能を分離した後の営業機能を「FC営業部」として独立させ、FC営業部が直営営業部と一体となってFC加盟店のQSC向上に取り組む体制といたしました。
具体例として、価格改定を行った主要メニューを中心に、FC加盟店における調理方法の確認・指導を徹底するとともに、FC全店舗で衛生管理調査を実施し、直営店と同じ衛生管理マニュアル・清掃マニュアルを使用した店舗衛生管理を定着させました。
販促においても、全店イベント実施時には、FC加盟店へキャンペーンの企図するところを周知し、店頭告知の強化を図るなど、直営店舗と一体となった取り組みを徹底いたしました。
こうした施策の遂行により、前期に引き続き個々のFC加盟店の売上は好調を持続し、当社工場からFC加盟店に対する出荷売上は過去最高売上を記録いたしました。
④ サステナビリティの取り組み
当社は、2021年12月13日開催の取締役会において、「サステナビリティ基本方針」と「サステナビリティビジョン」を決議し、「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。
「サステナビリティビジョン」では、「食に困らない豊かな社会の実現」「全てのステークホルダーとの共栄」「地球環境の保全」を掲げています。
「食に困らない豊かな社会の実現」では、昨年より継続実施しております全国の子ども食堂等への「お子様弁当」の無償提供を、本年3月から4月の春休み期間中および8月の夏休み期間中に実施いたしました。コロナ禍の長期化や物価高による影響で、本年8月の夏休み期間は当社の361店舗が1,153団体に9万6千食を提供するという大掛かりなものになり、全国の子ども食堂や子ども達から多くの喜びの声が寄せられました。これまで4回実施してまいりましたが、お子様弁当の提供数は累計で24万1千食に上ります。
「全てのステークホルダーとの共栄」では、当社は以前より株主還元や顧客満足度の向上等に注力してまいりましたが、それを実現する上で起点となる従業員満足度の向上を重視し、人的資本への投資を積極的に進めております。前述の王将調理道場による調理研修はその一例です。また、2022年上期賞与では、コロナ禍の厳しい環境が続く中で好成績を収めた全従業員に十分な還元をしたいとの考えから、労働組合からの要求に対して、満額回答の支給(賞与テーブル100%)に加え、「特別加算金」(賞与テーブル8.5%)を上乗せ支給いたしました。この結果、一人当たりの平均賞与支給額は過去最高額となりました。
「地球環境の保全」では、気候変動に係るリスク及び機会が当社の事業活動や収益等に与える影響について必要なデータの収集と分析を行うTCFD提言に沿った取り組みを行い、これまでの成果を開示いたしました(第48期有価証券報告書(2022年6月28日提出)にて詳細を開示:https://ir.ohsho.co.jp/ir/library/securities.html)。
こうした取り組みの一環として、2022年7月に三井住友信託銀行株式会社をアレンジャー兼エージェントとするシンジケートローン形式の「サステナビリティ・リンク・ローン」契約を締結し、総額100億円の資金調達を行いました。本契約の KPI (Key Performance Indicator)及び SPTs (Sustainability Performance Targets)は、当社店舗が使用する2025年度におけるプラスチック量を2021 年度比で 15%削減するというもので、株式会社格付投資情報センター(代表取締役社長:山﨑宏)より、その合理性についてセカンドオピニオンを取得しております。本契約の KPI 及び SPTs 達成に向け、全社を挙げて着実に取り組んでまいります。なお、SPTs 達成によって得られる金利の優遇(引下げ)相当額については、世界各地で子どもたちの貧困問題をはじめ子どもを取り巻く課題解決のために活動を行う民間・非営利の国際組織「セーブ・ザ・チルドレン」への寄付の一部とさせていただく予定です。
今後もサステナビリティを重視した経営を遂行し、当社の経営理念「お客様から褒められる店創り」を追求することで、企業価値の向上はもとより、持続可能な社会形成の実現を目指してまいります。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は、2022年2月から9月まで8か月連続で同月比過去最高売上を達成し、前年同期に比べて46億73百万円(11.5%)の増収で、過去最高となる451億36百万円となりました。
営業利益は、原材料の高騰や光熱費の単価上昇等があったものの、価格改定に伴う客単価上昇や客数増加による増収効果に加え、効率的なシフト編成による人件費コントロール等により、前年同期に比べて6億28百万円(19.7%)の増益で38億20百万円となりました。
経常利益は、営業時間短縮に伴う協力金収入が減少したこと等があり、前年同期に比べて11億25百万円(18.8%)の減益で48億56百万円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、上記理由に加え、収用補償金の減少等により、前年同期に比べて12億1百万円(28.1%)の減益で30億72百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間の店舗展開の状況につきましては、直営店1店、FC加盟店1店の新規出店、FC加盟店2店の直営店への移行、FC加盟店3店の閉店を行っております。これにより当第2四半期連結会計期間末店舗数は、直営店539店、FC加盟店194店となりました。
(2)財政状態の状況
(資産の部)
当第2四半期連結会計期間末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ63億7百万円(7.1%)減少し、830億98百万円となりました。主な増減要因は次のとおりであります。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ53億65百万円(13.1%)減少し、355億15百万円となりました。主な要因は現金及び預金の減少等であります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ9億41百万円(1.9%)減少し、475億83百万円となりました。主な要因は土地の減少等であります。
(負債の部)
当第2四半期連結会計期間末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ80億18百万円(26.5%)減少し、222億88百万円となりました。主な増減要因は次のとおりであります。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ128億65百万円(50.6%)減少し、125億81百万円となりました。主な要因は1年内返済予定の長期借入金の減少等であります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ48億46百万円(99.7%)増加し、97億6百万円となりました。主な要因はサステナビリティ・リンク・ローン契約に伴う長期借入金の増加等であります。なお、流動負債と固定負債を合わせた借入金の残高は、前連結会計年度に比べ60億16百万円減少し、100億47百万円となりました。
(純資産の部)
当第2四半期連結会計期間末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ17億10百万円(2.9%)増加し、608億9百万円となりました。主な要因は親会社株主に帰属する四半期純利益30億72百万円による増加に対し、配当金13億15百万円の支払いによる減少等であります。以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の66.1%から73.2%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ55億円減少し、319億39百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前年同期に比べて23億20百万円(42.8%)減少し、30億96百万円となりました。主な要因は法人税等の支払額の増加であります。
営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、税金等調整前四半期純利益46億8百万円に減価償却費12億83百万円を加えた額から法人税等の支払額30億80百万円等を減じた額であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前年同期に比べて2億4百万円(13.9%)減少し、12億67百万円となりました。主な要因は有形固定資産の売却による収入の増加であります。
投資活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、有形固定資産の取得による支出13億93百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前年同期に比べて23億22百万円(46.4%)増加し、73億32百万円となりました。主な要因は長期借入金の返済による支出の増加であります。
財務活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、借入金の純減少額60億16百万円による支出及び配当金の支払額13億15百万円による支出であります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
#C9936JP #王将フードサービス #小売業セクター