【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
業績の全般的概況
当第2四半期連結累計期間における世界情勢は、米欧の中央銀行による金融引き締めや、中国の不動産市場の低迷を背景とした景気の減速懸念もあり、不透明感が継続しております。
エレクトロニクス業界におきましては、自動車市場では各国の電動車(xEV)の普及促進策や、半導体不足の緩和により自動車の生産台数が回復傾向となっていますが、自動車関連部品の在庫調整による影響で伸びが鈍化しました。また、産業機器市場では工場の自動化や生産効率化へのニーズが継続していましたが、世界経済減速の懸念などから設備投資への慎重姿勢が見られ、調整局面となりました。民生機器市場や通信機器市場、コンピュータ&ストレージ市場は需要の落ち込みや在庫調整の影響により低迷しました。
このような経営環境の中、中長期的に成長が期待される自動車市場や産業機器市場などに向けてロームグループが強みを持つパワー・アナログの新製品・新技術の開発を進め、お客様の省エネ・小型化に広く貢献できるトータルソリューションでの提案を推進しました。
生産面においても、継続して全社最適化を進めるとともに、「モノづくり改革」による省人化・自動化ラインの構築を推し進めました。また、一部の汎用品で生産調整を行うものの、SiCをはじめとするパワーデバイスの更なる受注に対応するための生産能力増強や生産性向上を進めるなど、お客様への安定供給体制の向上に努めました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は自動車市場向けで増加したものの、コンピュータ&ストレージ市場向け及び民生機器市場向けを中心に減少し、前年同期比7.9%減の2,393億1千9百万円、営業利益は前年同期比40.8%減の298億3千3百万円となりました。当第2四半期連結累計期間の営業利益率は前第2四半期連結累計期間の19.4%から12.5%に低下しました。
経常利益につきましては、営業利益及び為替差益が減少した一方、受取手数料の増加により、前年同期比29.4%減の500億9千8百万円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比28.4%減の373億5百万円となりました。
またロームグループで重視している経営指標について、当第2四半期連結累計期間のEBITDA(※)は前年同期比18.5%減の612億9千9百万円となりました。
※ EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)
税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて求めたもの。グローバル企業などの収益力を比較する際によく利用される指標。ロームグループでは簡易的に営業利益に減価償却費を加えて算出しております。
業績のセグメント別概況
<LSI>
市場別では、自動車市場向けで、電動車の普及加速に伴いパワートレイン向けに絶縁ゲートドライバICなどの高付加価値商品が順調に伸びたことに加え、高性能半導体パワースイッチIPD、車載向けLEDドライバIC、電源ICなどが好調でした。一方で、民生機器市場向けでは、AV機器や白物家電向けを中心に減少したものの、エネルギー価格高騰などにより省エネ性能エアコン向けモータドライバが好調でした。また、コンピュータ&ストレージ市場向けではPC関連やSSD向けの電源ICやFANモータドライバICなどの売上が落ち込みました。加えて、産業機器市場、通信機器市場向けも厳しい状況となりました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は1,073億5千7百万円(前年同期比8.3%減)、セグメント利益は122億2千9百万円(前年同期比52.6%減)となりました。
<半導体素子>
事業セグメント別では、トランジスタ、ダイオード、パワーデバイスにつきましては、自動車市場のxEV向けを中心に好調に推移しましたが、民生機器市場、コンピュータ&ストレージ市場向けは依然として厳しい状況となりました。また、発光ダイオード、半導体レーザーにつきましては、民生機器市場向けを中心に低迷しました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は1,020億5千万円(前年同期比6.8%減)、セグメント利益は130億8百万円(前年同期比31.3%減)となりました。
<モジュール>
事業セグメント別では、プリントヘッドにつきましては、決済端末向けを中心に売上が減少し、オプティカル・モジュールにつきましては、スマートフォン向けでセンサモジュールの売上が増加しました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は169億2千5百万円(前年同期比7.2%減)、セグメント利益は19億3千5百万円(前年同期比32.0%減)となりました。
<その他>
事業セグメント別では、抵抗器につきましては、自動車市場向けに高電力抵抗・シャント抵抗等の高信頼品は順調に推移しましたが、産業機器市場向けなどの売上が落ち込みました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は129億8千6百万円(前年同期比14.2%減)、セグメント利益は12億4千5百万円(前年同期比59.6%減)となりました。
上記「業績のセグメント別概況」の記載は、外部顧客に対するものであります。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の財政状態といたしましては、総資産は、前連結会計年度末に比べ3,274億2千1百万円増加し、1兆4,507億4百万円となりました。主な要因といたしましては、投資有価証券が2,999億2千4百万円、有形固定資産が410億4千万円、棚卸資産が200億6千4百万円、それぞれ増加した一方、現金及び預金が190億4千9百万円、有価証券が124億3千2百万円、それぞれ減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,875億7千1百万円増加し、4,953億8千8百万円となりました。主な要因といたしましては、短期借入金が3,000億円、繰延税金負債が27億3千7百万円、固定負債のその他が20億5千5百万円(うち長期未払金が17億5百万円)、それぞれ増加した一方、未払金が113億4千3百万円、未払法人税等が65億2千1百万円、それぞれ減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ398億5千1百万円増加し、9,553億1千6百万円となりました。主な要因といたしましては、為替換算調整勘定が317億5千3百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により利益剰余金が274億9千1百万円、それぞれ増加した一方、自己株式の取得により199億7千5百万円減少したことによるものであります。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の81.4%から65.8%に低下しました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間(519億4千5百万円のプラス)に比べ90億4千3百万円収入が減少し、429億1百万円のプラスとなりました。これは主に、プラス要因として売上債権が増加から減少に転じたこと、減価償却費の増加、マイナス要因として税金等調整前四半期純利益の減少、法人税等の支払額の増加、受取手数料の増加によるものであります。
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間(582億4千5百万円のマイナス)に比べ2,926億5千8百万円支出が増加し、3,509億3百万円のマイナスとなりました。これは主に、プラス要因として定期預金が増加から減少に転じたこと、マイナス要因として有価証券及び投資有価証券の取得による支出の増加、有形固定資産の取得による支出の増加によるものであります。
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間(116億2千4百万円のマイナス)に比べ2,870億2千万円収入が増加し、2,753億9千5百万円のプラスとなりました。これは主に、プラス要因として短期借入金の増加、手数料の受取額の増加、マイナス要因として自己株式の取得による支出の増加によるものであります。
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、上記の要因に換算差額による増加が147億2千8百万円加わり、前連結会計年度末に比べ178億7千7百万円減少し、当第2四半期連結会計期間末には2,763億7千6百万円となりました。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、ロームグループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、ロームグループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、207億2千1百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、ロームグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。