【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
業績の全般的概況
当第1四半期連結累計期間における世界情勢は、欧米を中心としたインフレーションの進展に加え、中国における経済活動の回復力が想定より弱いことを受け、景気後退の懸念が継続しております。
エレクトロニクス業界におきましては、自動車市場では各国の電動車(xEV)の普及促進策や、半導体不足の緩和により自動車の生産台数が回復傾向であることから全体としては順調に推移しました。また、産業機器市場では工場の自動化や生産効率化へのニーズが継続していましたが、世界経済減速の懸念などから設備投資への慎重姿勢が見られ、調整局面となりました。一方、民生機器市場や通信機器市場、コンピュータ&ストレージ市場は需要減速の継続と在庫調整により低迷しました。
このような経営環境の中、中長期的に成長が期待される自動車市場や産業機器市場などに向けてロームグループが強みを持つパワー・アナログの新製品・新技術の開発を進め、お客様の省エネ・小型化に広く貢献できるトータルソリューションでの提案を推進しました。
生産面においても、継続して全社最適化を進めるとともに、「モノづくり改革」による省人化・自動化ラインの構築を推し進めました。また、一部の汎用品で生産調整を行うものの、更なる受注に対応するための生産能力増強や生産性向上を進めるなど、お客様への安定供給体制の向上に努めました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は自動車市場向けが増加したものの、民生機器市場向け、通信機器市場向け及びコンピュータ&ストレージ市場向けを中心に減少し、前年同期比4.0%減の1,201億6千3百万円となりました。営業利益は前年同期比21.5%減の176億9千2百万円となり、当第1四半期連結累計期間の営業利益率は前第1四半期連結累計期間の18.0%から14.7%に低下しました。
経常利益につきましては、営業利益の減少に加え、為替差益の減少により、前年同期比20.5%減の280億3千3百万円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比22.9%減の201億3千万円となりました。
またロームグループで重視している経営指標について、当第1四半期連結累計期間のEBITDA(※)は前年同期比4.4%減の326億5千9百万円となりました。
※ EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)
税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて求めたもの。グローバル企業などの収益力を比較する際によく利用される指標。ロームグループでは簡易的に営業利益に減価償却費を加えて算出しております。
業績のセグメント別概況
<LSI>
市場別では、自動車市場向けで、電動車の普及加速に伴いパワートレイン向けに絶縁ゲートドライバICなどの高付加価値商品が順調に伸びたことに加え、車載向けLEDドライバIC、ADASやxEV向けの電源ICなどが好調でした。一方で、民生機器市場向けでは、AV機器や白物家電向けを中心に減少し、コンピュータ&ストレージ市場ではPC関連やSSD向けの電源ICなどの売上が落ち込みました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は541億3千2百万円(前年同期比1.1%減)、セグメント利益は77億6千8百万円(前年同期比26.8%減)となりました。
<半導体素子>
事業セグメント別では、トランジスタ、ダイオード、パワーデバイスにつきましては、自動車市場のxEV向けを中心に好調に推移したことに加え、産業機器市場での太陽光発電向けなどが堅調に推移しましたが、民生機器市場やコンピュータ&ストレージ市場向けは厳しい状況となりました。また、発光ダイオード、半導体レーザーにつきましては、民生機器向けを中心に減少しました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は515億8千7百万円(前年同期比3.9%減)、セグメント利益は77億8千1百万円(前年同期比12.9%減)となりました。
<モジュール>
事業セグメント別では、プリントヘッドにつきましては、決済端末向けを中心に売上が減少し、オプティカル・モジュールにつきましては、スマートフォン向けでセンサモジュールの売上が増加しました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は80億8千6百万円(前年同期比10.0%減)、セグメント利益は4億5千9百万円(前年同期比67.5%減)となりました。
<その他>
事業セグメント別では、抵抗器につきましては、自動車市場向けに高電力抵抗・シャント抵抗等の高信頼品は順調に推移しましたが、産業機器市場向けなどの売上が落ち込みました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は63億5千7百万円(前年同期比17.8%減)、セグメント利益は5億5千8百万円(前年同期比59.3%減)となりました。
上記「業績のセグメント別概況」の記載は、外部顧客に対するものであります。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の財政状態といたしましては、総資産は、前連結会計年度末に比べ282億8千7百万円増加し、1兆1,515億7千万円となりました。主な要因といたしましては、有形固定資産が201億6千6百万円、棚卸資産が116億6千万円、投資有価証券が99億4千1百万円、有価証券が96億8千2百万円、受取手形及び売掛金が38億9千7百万円、それぞれ増加した一方、現金及び預金が311億9千6百万円減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ126億3千2百万円減少し、1,951億8千5百万円となりました。主な要因といたしましては、未払法人税等が113億4千4百万円、未払金が94億2千9百万円、それぞれ減少した一方、繰延税金負債が44億2千1百万円、固定負債のその他が23億3千9百万円(うち長期未払金が21億8千2百万円)、流動負債のその他が21億8千8百万円(うち設備関係電子記録債務が19億4千1百万円)、それぞれ増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ409億2千万円増加し、9,563億8千5百万円となりました。主な要因といたしましては、為替換算調整勘定が231億2千3百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により株主資本が103億1千5百万円、その他有価証券評価差額金が74億5千6百万円、それぞれ増加したことによるものであります。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の81.4%から83.0%に上昇しました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、ロームグループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、ロームグループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、101億5千万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、ロームグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。