【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
業績の全般的概況
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、中国におけるゼロコロナ政策やロシアによるウクライナ侵攻、米国を中心としたインフレーションによる影響もあり、減速感が強まってきております。
エレクトロニクス業界におきましては、自動車関連市場は半導体不足による減速感が有りますが、脱炭素社会に向けた電動化・電装化の拡大が継続し、産業機器関連市場でも各国における工場の自動化・デジタル化投資が拡大し堅調に推移しました。一方、民生機器関連市場や通信機器関連市場、コンピュータ&ストレージ市場では需要の一巡による市況の悪化が見られた結果、全体としてはまだら模様の景気回復となりました。
このような経営環境の中、中長期的に成長が期待される自動車関連市場や産業機器関連市場などに向けてロームグループが強みを持つ「パワー」、「アナログ」及び「汎用デバイス」の新製品・新技術の開発を進め、お客様の省エネ・小型化に広く貢献できるトータルソリューションでの提案を推進しました。
生産面においても、継続して全社最適化を進めるとともに、「モノづくり改革」による省人化・自動化ラインの構築を推し進めました。また、急増する受注に対応した生産能力増強や生産性向上を進めるなど、お客様への安定供給に努めました。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は自動車関連市場及び産業機器関連市場を中心に増加し、前年同期比16.7%増の2,599億1千2百万円、営業利益は前年同期比46.0%増の504億3百万円となりました。当第2四半期連結累計期間の営業利益率は前第2四半期連結累計期間の15.5%から19.4%に上昇しました。
経常利益につきましては、営業利益の増加に加え、為替差益の増加により、前年同期比87.3%増の709億1千3百万円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比69.2%増の521億2千6百万円となりました。
またロームグループで重視している経営指標について、当第2四半期連結累計期間のEBITDA(※)は前年同期比40.8%増の752億5千5百万円となりました。
※ EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)
税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて求めたもの。グローバル企業などの収益力を比較する際によく利用される指標。ロームグループでは簡易的に営業利益に減価償却費を加えて算出しております。
業績のセグメント別概況
<LSI>
市場別では、自動車関連市場向けで、ADASやインフォテインメント向けの電源ICなどでシェアが拡大し、さらに電動車の普及加速に伴い絶縁ゲートドライバICなど高付加価値商品が順調に売上を伸ばしました。また、産業機器関連市場向けでは、活況な設備投資により堅調に推移しました。
これらに加え円安進行もあり、当第2四半期連結累計期間の売上高は1,170億1千8百万円(前年同期比17.1%増)、セグメント利益は257億9千7百万円(前年同期比77.7%増)となりました。
<半導体素子>
事業セグメント別では、ダイオード、パワーデバイスにつきましては、自動車関連市場向けを中心に好調に推移し、トランジスタにつきましては産業機器関連市場やPC向けで堅調に推移しました。また、発光ダイオードにつきましては、民生機器関連市場向けで売上が増加しましたが、半導体レーザーにつきましては、産業機器関連市場向け等で売上が減少しました。
これらに加え円安進行もあり、当第2四半期連結累計期間の売上高は1,095億1千5百万円(前年同期比17.5%増)、セグメント利益は189億4千5百万円(前年同期比22.6%増)となりました。
<モジュール>
事業セグメント別では、プリントヘッドにつきましては、プリンタ向けなどで売上が増加し、オプティカルモジュールにつきましては、自動車関連市場向けにLEDモジュールの売上が増加しました。
これらに加え円安進行もあり、当第2四半期連結累計期間の売上高は182億3千7百万円(前年同期比16.3%増)、セグメント利益は28億4千8百万円(前年同期比44.5%増)となりました。
<その他>
事業セグメント別では、抵抗器につきましては、自動車関連市場向けの高信頼品が好調に推移しました。
これらに加え円安進行もあり、当第2四半期連結累計期間の売上高は151億4千万円(前年同期比9.5%増)、セグメント利益は30億8千万円(前年同期比14.8%増)となりました。
上記「業績のセグメント別概況」の記載は、外部顧客に対するものであります。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の財政状態といたしましては、総資産は、前連結会計年度末に比べ757億5千2百万円増加し、1兆1,048億8千4百万円となりました。主な要因といたしましては、有形固定資産が323億3千万円、現金及び預金が304億6千7百万円、棚卸資産が229億8千6百万円、受取手形及び売掛金が127億1千4百万円、それぞれ増加した一方、有価証券が152億1百万円、投資有価証券が102億5千5百万円、それぞれ減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ44億4千5百万円増加し、1,932億2千3百万円となりました。主な要因といたしましては、未払法人税等が75億8千7百万円、流動負債のその他が32億6千3百万円(うち未払費用が21億9千3百万円)、それぞれ増加した一方、未払金が58億3百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ713億8百万円増加し、9,116億6千1百万円となりました。主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により株主資本が413億7千6百万円、為替換算調整勘定が346億9千1百万円、それぞれ増加した一方、その他有価証券評価差額金が49億9千2百万円減少したことによるものであります。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の81.6%から82.5%に上昇しました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間(464億9千2百万円のプラス)に比べ54億5千3百万円収入が増加し、519億4千5百万円のプラスとなりました。これは主に、プラス要因として税金等調整前四半期純利益の増加、マイナス要因として棚卸資産の増加額の増加、法人税等の支払額の増加、仕入債務が増加から減少に転じたことによるものであります。
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間(262億4千1百万円のマイナス)に比べ320億4百万円支出が増加し、582億4千5百万円のマイナスとなりました。これは主に、プラス要因として有価証券及び投資有価証券の取得による支出の減少、マイナス要因として有形固定資産の取得による支出の増加、定期預金が減少から増加に転じたことによるものであります。
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間(81億9千2百万円のマイナス)に比べ34億3千2百万円支出が増加し、116億2千4百万円のマイナスとなりました。これは主に、マイナス要因として配当金の支払額の増加によるものであります。
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、上記の要因に換算差額による増加が158億8千8百万円加わり、前連結会計年度末に比べ20億3千5百万円減少し、当第2四半期連結会計期間末には2,931億8千7百万円となりました。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、ロームグループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、ロームグループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、198億9千6百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、ロームグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8)主要な設備
前連結会計年度末に計画中であった設備の新設、改修等に係る当連結会計年度の投資予定額は1,000億円でありましたが、当第2四半期連結会計期間末において見直しを行い、半導体素子部門用設備及びLSI部門用設備を中心に増額し、1,200億円に変更しております。なお、その所要資金につきましては、自己資金を充当する予定であります。