【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍による行動制限が緩和され、感染拡大防止と経済活動の両立が図られる中、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、半導体不足による自動車の減産影響やウクライナ情勢の長期化に伴う原材料・エネルギー価格の高騰、中国の経済成長率鈍化や欧米諸国での金融引締めによる景気の減速懸念など、先行き不透明な状況が継続しております。
このような環境のもと、当社は第4次中期経営計画「サステナブル経営の推進」の基本戦略に基づき、持続可能な社会の実現への貢献と当社企業価値向上の両立を目指して、各種施策を進めてまいりました。戦略ドメインである「環境」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」の各事業分野を中心に伸長する需要を取り込み、収益確保に努めたほか、拡大する市場のニーズに応え、次の成長を実現するための生産能力増強投資も着実に推進しました。また、新規事業創出やカーボンニュートラルへの対応にも取り組みました。一方で、大規模定期修繕の期間延長や生産設備の不具合等により、販売機会損失を招くこととなりました。
その結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は1,148億80百万円(前連結会計年度は1,171億10百万円)、営業利益は124億56百万円(前連結会計年度比36.7%減)、経常利益は127億9百万円(同35.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は80億73百万円(同41.0%減)となりました。
なお、当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績のうち、売上高については前連結会計年度との比較ができないことから、前年同期比(%)を記載しておりません。営業利益以下の各利益については、当該会計基準等を適用したことによる数値への影響はございません。
事業分野別には、次のとおりであります。
(事業分野別の売上高の概況)
区分
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
金額
構成比
金額
構成比
金額
増減率
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
機能性材料
44,248
37.8
46,158
40.2
1,910
–
電子材料
14,390
12.3
13,684
11.9
△706
–
基礎化学品
57,801
49.4
54,265
47.2
△3,535
–
その他
669
0.6
771
0.7
101
–
合計
117,110
100.0
114,880
100.0
△2,229
–
(事業分野別の営業利益の概況)
区分
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
金額
構成比
金額
構成比
金額
増減率
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
機能性材料
9,976
43.6
7,730
49.3
△2,246
△22.5
電子材料
3,418
15.0
3,047
19.4
△371
△10.9
基礎化学品
9,355
40.9
4,850
30.9
△4,505
△48.2
その他
108
0.5
57
0.4
△50
△47.1
本社費
△3,173
–
△3,229
–
△55
1.7
合計
19,685
100.0
12,456
100.0
△7,229
△36.7
機能性材料は、世界エアコン販売台数が、インド等新興国向けの需要増を主因に好調を維持したことにより当社冷凍機油原料の売上高も前年を上回ったこと、および化粧品原料の国内需要が下期にかけて回復傾向に転じたことから、売上高は461億58百万円(前連結会計年度は442億48百万円)となりました。一方で原燃料価格・物流費の高騰や設備不具合による生産効率の低下等により、営業利益は77億30百万円(前連結会計年度比22.5%減)となりました。
電子材料は、半導体向けを中心に好調な需要が続きましたが、ディスプレイ向けが巣ごもり需要の一巡で弱含んだことに加え、年度後半にはパソコンやテレビ、データセンター向けなど一部の半導体用途にも陰りがみられたことから、売上高136億84百万円(前連結会計年度は143億90百万円)、営業利益30億47百万円(前連結会計年度比10.9%減)となりました。
基礎化学品は、国内向け需要は、住宅用途は堅調でしたが自動車用途は本格回復に至らず、また海外市況の軟化により輸出が振るわず、売上高は542億65百万円(前連結会計年度は578億1百万円)となりました。また、ナフサ価格上昇に応じた製品価格見直しは進みましたが、LNGなどエネルギー価格が想定を上回って高騰したことから、営業利益は48億50百万円(前連結会計年度比48.2%減)となりました。
その他の分野の売上高は7億71百万円(前連結会計年度は6億69百万円)、営業利益は57百万円(前連結会計年度比47.1%減)となりました。
(注)上記の事業分野別の「営業利益」には、全社に共通する管理費用等を配分しておりません。
②財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は742億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ39億48百万円増加いたしました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が41億15百万円、棚卸資産が40億92百万円増加しましたが、現金及び預金が60億8百万円減少したことによるものであります。
固定資産は570億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ52億29百万円増加いたしました。これは主に、投資有価証券が17億80百万円減少しましたが、有形固定資産が65億23百万円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は1,312億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ91億77百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は567億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億82百万円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が32億50百万円、未払法人税等が50億4百万円、修繕引当金が16億64百万円それぞれ減少しましたが、支払手形及び買掛金が47億19百万円、未払金が32億65百万円、コマーシャル・ペーパーが59億99百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は124億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億33百万円増加いたしました。これは主に、繰延税金負債が6億14百万円、修繕引当金が6億60百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は691億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ46億15百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は620億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ45億61百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益80億73百万円及び剰余金の配当32億50百万円によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ60億8百万円減少し、109億26百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は51億31百万円(前連結会計年度は174億2百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の増加額40億57百万円、棚卸資産の増加額39億43百万円及び法人税等の支払額74億67百万円により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益116億34百万円、減価償却費41億59百万円、仕入債務の増加額45億42百万円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は100億82百万円(前連結会計年度は43億95百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出104億2百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は10億76百万円(前連結会計年度は51億68百万円の使用)となりました。これは主に、コマーシャル・ペーパーの純増加額59億99百万円により資金が増加しましたが、長期借入金の返済による支出32億50百万円及び配当金の支払額32億50百万円により資金が減少したことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループは化学品事業の単一セグメントであるため、事業分野別に記載しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を事業分野ごとに示すと、次のとおりであります。
事業分野の名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
機能性材料 (百万円)
42,615
103.5
電子材料 (百万円)
13,578
94.7
基礎化学品 (百万円)
51,798
96.7
合計(百万円)
107,992
99.0
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当社グループでは一部受注生産を行っておりますが、売上高のうち受注生産の占める割合が低いため、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業分野ごとに示すと、次のとおりであります。
事業分野の名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
機能性材料 (百万円)
46,158
-
電子材料 (百万円)
13,684
-
基礎化学品 (百万円)
54,265
-
その他 (百万円)
771
-
合計(百万円)
114,880
-
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
出光興産㈱
13,417
11.5
13,772
12.0
ミヤコ化学㈱
10,929
9.3
12,460
10.8
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社グループの売上高は1,148億80百万円(前連結会計年度は1,171億10百万円)、営業利益は124億56百万円(前連結会計年度比36.7%減)、経常利益は127億9百万円(同35.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は80億73百万円(同41.0%減)となり、前連結会計年度に比べ減収減益となりました。
当連結会計年度末における有利子負債(リース債務を除く。)残高は前連結会計年度末に比べ24億9百万円増加の208億69百万円、純有利子負債(リース債務を除く。)残高は前連結会計年度末に比べ84億18百万円増加の99億43百万円となりました。これは主に、設備資金の支払のための借入が増加したことと法人税等の支払等のために現金及び預金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における自己資本比率は45.22%となり、引き続き安定的な水準にあるものと認識しております。
なお、経営成績等の概要につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況及び②財政状態」に記載のとおりであります。
②経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、経済・市場環境、原燃料の価格変動、為替変動が挙げられます。詳細につきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の概要は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社は、運転資金及び設備投資に使用するための資金を内部資金または借入金及び社債により調達しております。このうち、有利子負債による資金調達につきましては、運転資金を主に短期借入金及びコマーシャル・ペーパーにより、設備投資などのための長期資金を主に長期借入金及び社債により、それぞれ調達しております。
当連結会計年度末における現金及び預金は109億26百万円となりました。前連結会計年度末の169億34百万円から60億8百万円減少しておりますが、十分な手元流動性を確保しているものと認識しております。
当社グループは、現在の手元流動性と営業活動によるキャッシュ・フローの創出により、財務健全性を維持しながら、今後の資金需要に対応可能であると考えております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。