【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況及び分析
当社グループは、創業以来の原点である「現場主義」「顧客第一主義」を徹底し、製造業として「もっとも高品質で環境に配慮した製品を」「どこよりも競争力のある価格で」「必要なときに確実にお届けする」を実践しております。2023年は、これまでに実施した様々な取り組みを「定着」させることをテーマとし、さらなる成長を目指しております。
(売上高の状況)
当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)の売上高は、前期に比べ155億85百万円の増収となる2,112億85百万円(前期比108.0%)となり、過去最高を更新いたしました。当社グループにおいて生産する製品の売上高は1,660億60百万円(前期比109.4%)、当社グループが仕入販売する商品の売上高は452億25百万円(前期比102.9%)となりました。
当連結会計年度の製品売上数量は、前期比97.8%となりました。主な要因は、前期のコロナ下での行動制限に伴う内食需要増加の反動等により、生鮮食品向けを中心に出荷量の減少が見られたこと、原料価格の急騰を受けた第二次製品価格改定の交渉を行う中でシェア拡大に向けた活動を一時中断していたことによるものです。なお、コロナ前である2020年3月期比の製品売上数量は108.2%、2020年3月期からの年平均成長率(CAGR)は2.7%となりました。
(利益の状況)
当連結会計年度の営業利益は、前期に比べ8億18百万円の増益となる167億3百万円(前期比105.2%)、経常利益は前期に比べ6億25百万円の増益(※1)となる173億28百万円(前期比103.7%)、償却前経常利益は315億9百万円(前期比103.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は115億29百万円(前期比102.9%)となりました。
当連結会計年度の下半期については、営業利益は前年同期に比べ32億93百万円の増益となる106億30百万円(前年同期比144.9%)、経常利益は前年同期に比べ31億22百万円の増益となる109億19百万円(前年同期比140.0%)、償却前経常利益は180億72百万円(前年同期比122.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は73億98百万円(前年同期比136.9%)となり、下半期はいずれも過去最高を達成いたしました。
利益の増加要因については、二度にわたる価格改定や各部門における改善効果、惣菜向けやエコ製品(エコトレー、エコAPET、エコOPET)など付加価値の高い製品の販売が堅調であった一方、減少要因として原料・電力価格の上昇、人件費及び労務費の増加がありました。なお、第2四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年9月30日まで)の経常利益は、価格改定効果の早期実現により期初計画に対して10億9百万円上回っておりましたが、当連結会計年度では3億28百万円の上振れとなりました。これは、下半期において原料価格が期初計画より若干下がったものの、製品売上数量の期初計画に対する未達や電力価格の期初計画に対する大幅な上昇によるものです。
(※1)経常利益 利益増減要因
(経営上の目標の達成状況)
当社グループの連結経営目標は、売上高3,000億円、経常利益300億円、売上高経常利益率10%以上、1株当たり当期純利益250円としており、当連結会計年度における売上高は2,112億85百万円、経常利益は173億28百万円、売上高経常利益率は8.2%、1株当たり当期純利益は140.87円となりました。また、当社グループは、中長期的に資本コストを上回るROE(自己資本利益率)を継続的に高めることが企業価値を向上させ、株主重視の経営につながると考えており、当連結会計年度におけるROEは8.5%となりました。引き続き、当社グループの成長戦略を推進し、収益拡大に取り組んでまいります。
(営業活動の状況)
当社グループは、お客様の生産性を向上させる容器の「機能」と、鮮度感やボリューム感を演出する「働き」を意識した提案等により、お客様の収益拡大に貢献することを目指しております。具体的には、マーケティングを通じた既存のお客様の需要の深掘りに加え、冷凍食品・病院介護食などの新市場の発掘、テイクアウト・デリバリー市場に当社グループ製品を浸透させるための取り組みを進めております。
原料・電力をはじめ、あらゆるモノの価格が上昇している状況下、第2四半期連結会計期間までは、第二次製品価格改定の交渉に注力しました。その一方で、従来の非発泡素材製品と比較して原料使用量を削減した発泡素材製品や新たな成形技術で薄肉化した透明蓋など、お客様の仕入れ価格上昇を抑制するご提案も行いました。
販売拡大に向けた取り組みとして、2022年9月から11月にかけて全国8ヶ所でミニ展示会を順次開催し、2023年3月には「激変市場に新たな価値を 食の明日 容器の力」をテーマにエフピコフェア2023を開催いたしました。エフピコフェア2023では、今後の拡大が見込まれる冷凍食品市場に対応する包装資材(※2)や商品づくりのご提案に加え、スーパーマーケットで販売される食品の生産や配送を一括して行うPC(プロセスセンター)に適した容器のご提案などを行いました。
包装資材のECサイト「パックマーケット」については、登録アイテムの充実や販促活動の実施により、会員登録数が拡大し、販売額の伸長が続いております。
製品の供給については、需要動向が不透明な中、サプライチェーンマネジメントシステムによりほぼ欠品なく安定供給できております。引き続き更なる精度向上に努め、安全安心な食生活を支えてまいります。
(※2)容器とセットで使用できる軟包材(三方袋)
(生産部門の状況)
当社グループは、設備稼働率の上昇、自動化の推進等により生産性の向上に努めるとともに、FSSC22000認証の取得による製品安全性のさらなる向上や、危険体感講習等を通じた安全教育の取り組みを推進しております。
当連結会計年度においては、中部第一工場及び関西工場が新たに稼働を開始いたしました。これらの工場においては、原料の受入れから成形、製品入庫作業までの一連の工程を自動化した最新の設備の導入により省人化及び職場環境の改善を図っております。
さらに、2022年7月に茨城県の坂東インター工業団地において新たな土地(敷地面積:51,819.61㎡)を取得し、首都圏エリアへ向けて中長期的に安定供給できる生産能力と保管能力を確保するため生産工場及び配送センターの建設を予定しております。
(物流部門の状況)
当社グループは、物流コスト抑制のため、トラック1台当たりの積載効率の向上に努めております。物流倉庫内作業における省人化及び効率化に向けては、無人搬送車(Automated Guided Vehicle)及び無人搬送フォークリフト(Automated Guided Forklift)の導入、音声ピッキングシステム、パレット輸送の活用など、様々な取り組みを進めております。
当連結会計年度においては、関西ハブセンターが新たに稼働を開始いたしました。これにより日本全国の当社拠点配送センター(北海道、東北、関東、八王子、東海、中部、関西、福山、九州)から半径100㎞圏内で、主要都市を含む全人口の85%をカバーできる物流ネットワークが完成いたしました。関西エリア向けには、従来福山ハブセンターから配送しておりましたが、関西ハブセンターから出荷を行うことで配送時間を短縮し、「働き方改革関連法」に伴うドライバーの時間外労働の上限規制へ対応するなど、さらなる安定供給の実現を図っております。
[新工場・新ハブセンターの概要]
中部第一工場
関西工場・関西ハブセンター
所在地
岐阜県安八郡輪之内町
兵庫県小野市
延床面積
20,810.61㎡
79,883.65㎡
完成時期
2022年5月
2023年1月
投資総額
8,530百万円
(圧縮記帳後 6,301百万円)
26,670百万円
(循環型のサステナブルな社会の実現に向けた取り組み)
当社グループは、気候変動問題及び海洋プラスチックごみ問題を対処すべき重要な課題と考えており、課題解決に向けて以下の取り組みを推進しております。
(a) リサイクルの推進
当社グループは、1990年に6ヶ所のスーパーマーケットにおける使用済み容器の回収をきっかけに、エフピコ方式のリサイクル「トレーtoトレー」を開始いたしました。1997年に施行された容器包装リサイクル法に基づく分別・収集の仕組みと合わせて消費者の皆様のご理解・ご協力を頂き、2023年3月末時点で回収拠点が10,500拠点を超えるなど、拡大を続けております。2012年からは使用済みPETボトルを透明容器に再生する「ボトルto透明容器」にも取り組んでおります。
また、昨今の環境意識の高まりを背景に、小売店の売り場における環境配慮及びSDGsへの貢献を訴求するパネル等による表示(※3)が急速に拡大しております。当社製品においてもエコ製品(エコトレー、エコAPET、エコOPET)へのエコマーク表示や「ペットボトルリサイクル品」の刻印追加を通じて、使用済み容器が再び新たな容器にリサイクルされていることを消費者の皆様へお伝えしております。2022年11月には、株式会社中国シジシーと協働し、その加盟15社が展開するスーパー249店舗を対象に、「トレーtoトレー」「ボトルto透明容器」の水平リサイクルを推進する取り組みを開始いたしました。お店から出たトレーやPETボトルはそのお店で回収し、当社グループがリサイクルしたエコ製品をそのお店で使用する、お店を発着点としたリサイクル「ストアtoストア」の拡大に努めております。
(※3)売り場での環境配慮及びSDGs訴求
(b) 気候変動問題への取り組み
当社グループは、2050年のカーボンニュートラル達成を目指す中長期目標を定めており、目標達成に向けたガバナンス、戦略などについてTCFD提言に基づき公表しております。
当社事業拠点におけるCO2排出削減の施策として、再生可能エネルギーや省エネ設備の導入などに取り組むとともに、サプライチェーン全体におけるCO2排出削減に関しては、再生原料を使用しない石油由来製品と比較して30%のCO2削減効果を持つエコ製品の販売を推進しております。
再生可能エネルギーの導入については、関東地区及び中部地区の自社工場に設置した太陽光発電設備が稼働しており、2024年3月には関西地区にも太陽光発電の導入を予定しております。これにより使用済みトレーリサイクル工場における再生原料製造工程をすべて再生可能エネルギーでまかなうことが可能となり、エコトレーのCO2削減効果が30%から37%に上昇する見込みです。
(c) エフピコ環境基金を通じた取り組み
当社は2020年3月にエフピコ環境基金を創設し、“環境保全”、“環境教育・研究”、“「食」課題解決・「食」支援に関わる活動”の3分野において活動する団体への助成を実施しております。14団体への助成を行った2023年3月期に続いて、2024年3月期は22団体への助成を決定いたしました。加えて助成先団体の活動へ当社グループ社員が参加するなど、地域の皆様とともに持続可能な社会の構築を目指しております。
(d) 各種リサイクル手法及び代替素材の研究開発
当社グループは、リサイクルの拡大推進が気候変動問題及び海洋プラスチックごみ問題の有効な対策の一つと考え、単一素材におけるリサイクルの技術と仕組みが確立しているエフピコ方式のリサイクル「トレーtoトレー」「ボトルto透明容器」を着実に実行してまいります。
さらに、発泡ポリスチレン容器の完全循環型リサイクルを目指し、DIC株式会社と協業しケミカルリサイクル及び溶解分離リサイクル技術の研究を進めております。従来、日用品雑貨等にリサイクルされていた色柄付き発泡ポリスチレン容器についても当社製品へリサイクルすることで、地上資源のさらなる循環を目指しております。
素材の多様化については、植物由来原料を25%配合したバイオマスプラスチック製品に加え、紙トレー、寿司用の紙容器などを上市しております。なお、当社及びエフピコチューパ㈱、エフピコ商事㈱はFSC®認証(FSC®C163782)を全営業所及び紙製品製造工場で取得しております。これら代替素材の特徴や環境に与える影響等について、ステークホルダーの皆様への正確な情報発信に努めてまいります。
引き続き、技術は進歩するという前提のもと、各種リサイクル手法の調査研究や紙・バイオマス等新素材の情報収集を進めるとともに、環境負荷の低い容器の開発を通して、循環型のサステナブルな社会の実現を目指してまいります。
(ESG・SDGsへの取り組み)
当社グループは、資源循環や多様な人材の活躍推進など、SDGsの実現に向けた取り組みを進めるとともに、ESG情報開示の充実を図っております。
障がいのある人材の活用については、食品容器の製造や回収した使用済み食品容器の選別など基幹業務に従事しており、エフピコグループの障がい者雇用率は、2023年3月時点で12.5%となりました。
女性の活躍推進については、職域拡大、継続就業支援、管理職の増加を目指し「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」を厚生労働省の女性の活躍推進企業データベースに掲載し、2022年以降に採用する総合職の女性比率を30%以上、2026年までに女性管理職を50名、男性の育児休業の取得率を50%以上とする目標を定め、様々な取り組みを実践しております。なお、2023年4月入社の総合職における女性比率は24%、2023年3月末時点の女性管理職は46名、2023年3月期の男性育児休業取得率は9%となりました。
社員の健康推進については、健康のためのあらゆる取り組みや情報発信を行う「職場で健康プロジェクト」を実施するとともに、職場環境の整備に努めることで、社員の活力及び生産性の向上につなげております。
これらの取り組みの結果、当社は、FTSE Russellの「FTSE4Good Index Series」、「FTSE Blossom Japan Index」、「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」、MSCI社の「MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)」の構成銘柄へ選定、経済産業省の「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されております。
また、お取引先様と協同し子ども食堂への容器提供を実施しており、2020年5月以降、弁当容器・汁物容器等を10回にわたり計789,460セット提供いたしました。
引き続き、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けた取り組みを実施してまいります。
(今後の見通し)
2024年3月期の連結業績予想については、売上高2,213億円(前期比104.7%)、営業利益173億50百万円(前期比103.9%)、経常利益180億円(前期比103.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益118億8百万円(前期比102.4%)としております。(※4)
上記の見通しにつきましては、当社グループが現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、今後、様々な要因によって業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、開示すべき事項が生じた場合には、速やかにお知らせいたします。
販売面については、環境意識の高まりを背景にエコ製品及びプラスチック使用量を削減した製品の一層の需要増加を見込んでおります。また、コロナ下で定着したテイクアウト・デリバリー市場や、今後の拡大を目指す冷凍食品市場及び病院介護食市場などに向け、積極的な販売拡大への取り組みを進めております。商品の販売増加に向けては、2022年7月1日にエフピコ商事㈱とエフピコみやこひも㈱を合併し、エフピコ商事㈱が有する商品のマーチャンダイジング力及び商品調達力と、エフピコみやこひも㈱の持つ営業力を組み合わせることで、当社グループのインフラを活用した新しい形の取り組みをお取引先様と進めております。
原料価格については、当社製品の粗原料であるナフサが下がりつつある一方、ベンゼンは高値で推移しており、ポリスチレン価格は引き続き高止まると見込んでおります。なお、電力価格についても高止まりを想定しております。
当社グループを支える人材の確保については、グループ製造・物流会社における現場社員の給与水準を2023年4月より平均10.7%引き上げるとともに新卒社員の初任給引き上げを決定いたしました。併せて製造会社社員の年間休日日数増加など待遇改善を図ることで、優秀な人材の確保・定着を実現し、お客様に提供する製品・サービスの品質向上に努めてまいります。
海外市場への展開として、東南アジアを中心に簡易食品容器の製造・販売を行うLee Soon Seng Plastic Industries Sdn. Bhd.(本社:マレーシア、以下「LSSPI社」)の株式の40%を取得し、2022年8月31日にLSSPI社を持分法適用関連会社といたしました。人口増加や所得水準の向上により、東南アジアにおける食品容器需要の拡大が見込まれる中、製造面における省人化や成形サイクル短縮などにより生産性を向上させることで、LSSPI社の東南アジアにおける競争力向上と利益の最大化を実現させてまいります。
これらの価値創造提案や新マーケット創出に加え、リサイクル技術の研究開発、M&Aなどを通じて、持続的な成長を目指してまいります。
(※4)経常利益 利益増減計画
(用語説明)
エコトレー
:スーパーマーケットの店頭などから回収されたポリスチレン容器と工場内端材を原料とするリサイクル発泡ポリスチレン容器(1992年販売開始)
エコAPET容器
:スーパーマーケットの店頭などから回収されたPET(ポリエチレンテレフタレート)透明容器、PETボトル及び工場内端材を原料とするリサイクルPET透明容器
耐熱温度+60℃(2012年販売開始)
エコOPET容器
:エコAPET容器と同じ原料を使用する二軸延伸PETシートから成形したリサイクルOPET透明容器
耐油性に優れ、透明度も高くOPS容器(従来からの二軸延伸ポリスチレンシートから成形した透明容器)と同等の耐熱性を実現
耐熱温度+80℃(2016年販売開始)
FSSC22000
:消費者に安全な食品を提供することを目的とした、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格
溶解分離リサイクル
:マテリアルリサイクルにより生産された黒色PSペレットを溶解、脱色したうえで、食品容器向けの再生PS原料を生産する手法
DIC㈱が開発した世界初の技術
FSC®
:Forest Stewardship Council®(FSC®)は、責任ある森林管理を世界に普及させることを
目的とする国際的な非営利団体。FSCは、環境、社会、経済分野の利害関係者の合意に
よって支持された、責任ある森林管理の原則に基づく規格を定める。
(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(3) 財政状態の状況及び分析
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて359億27百万円増加し、2,986億23百万円となりました。主な増減は、原材料価格の上昇を主因とする商品及び製品の増加41億34百万円、同じく原材料及び貯蔵品の増加14億29百万円、中部第一工場の建替え及び関西工場・関西ハブセンターの新設工事などによる有形固定資産の増加154億60百万円であります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて282億12百万円増加し、1,584億52百万円となりました。主な増減は、原材料価格の上昇を主因とする買掛金の増加26億48百万円、設備投資資金の調達を主因とする借入金(短期借入金及び長期借入金)の増加219億94百万円であります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて77億15百万円増加し、1,401億71百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益115億29百万円及び剰余金の配当38億46百万円によるものであります。
(4) キャッシュ・フローの状況及び分析
① キャッシュ・フローの状況及び分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より25億10百万円増加し、222億55百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、200億71百万円(前期に比べ30億76百万円の減少)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益169億30百万円、減価償却費141億80百万円、仕入債務の増加26億48百万円などによる資金の増加、他方、売上債権の増加30億36百万円、棚卸資産の増加55億74百万円、法人税等の支払額44億3百万円などによる資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、343億6百万円(前期に比べ114億39百万円の支出増加)となりました。
これは主に、中部第一工場の建替え及び関西工場・関西ハブセンターの建設に関する有形固定資産の取得による支出277億74百万円、関連会社株式の取得による支出69億64百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、167億45百万円(前期に比べ151億66百万円の増加)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入380億円、長期借入金の返済による支出160億5百万円、配当金の支払額38億45百万円などによるものであります。
② 資本の財源及び資金の流動性
1)経営資源の配分に関する考え方
当社グループは財務健全性と資本効率のバランスを考慮し経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。
営業活動により獲得した資金の配分のうち設備投資に関しては、中長期的な成長に向けた高付加価値製品の供給体制を維持、構築するために毎期180~250億円の設備投資を継続してまいります。
株主還元については、継続的かつ安定的な配当を実施していくことが経営の最重要課題の一つと考えており、連結ベースでの配当性向は30%を目途にしております。
2)資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では製品原材料の購入費用及び電力料、修繕費、消耗品費など製造経費のほか、仕入販売する商品の購入費用、運搬及び保管費、人件費などの販売費及び一般管理費であります。
また、投資活動に係る資金支出は、環境に配慮した高付加価値製品の供給体制構築に必要な成長投資のほか、既存の生産設備や物流施設の維持更新及び自動化による効率改善を目的としたものであります。
3)資金調達
当社グループの主たる財源は、営業キャッシュ・フロー、金融機関からの借入れ及びコマーシャル・ペーパーの発行によるものであります。
子会社の資金調達については、原則として親会社からのグループファイナンスに一元化する運用を行っております。その結果、連結ベースでの資金コストを低減するとともに、効率的な資金運用を実現しております。
また、資金の流動性については、現金及び預金に加え、機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため総額100億円のコミットメントライン契約を有しております。
(5) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
製品別生産実績
品目
生産高(百万円)
前年同期比(%)
製品
トレー容器
26,831
106.6%
弁当・惣菜容器
67,724
110.3%
その他製品
2,172
103.3%
合計
96,728
109.1%
(注)1 生産高は、主として生産数量に見積り製造原価(単価)を乗じて算定しておりますが、その他製品の一部については、販売価格によっております。
2 当社グループは、簡易食品容器関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
製品・商品仕入実績
品目
仕入高(百万円)
前年同期比(%)
製品
トレー容器
2,106
117.5%
弁当・惣菜容器
18,290
114.6%
その他製品
1,548
110.6%
小計
21,946
114.6%
商品
包装資材
33,515
103.2%
その他商品
1,380
117.3%
小計
34,895
103.7%
合計
56,841
107.6%
(注) 当社グループは、簡易食品容器関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
② 受注実績
当社グループは、主として需要見込による生産方式のため、受注状況については特記すべき事項はありません。
③ 販売実績
品目
販売高(百万円)
前年同期比(%)
製品
トレー容器
41,199
105.0%
弁当・惣菜容器
121,191
111.0%
その他製品
3,669
108.2%
小計
166,060
109.4%
商品
包装資材
43,114
102.8%
その他商品
2,111
105.8%
小計
45,225
102.9%
合計
211,285
108.0%
(注)1 総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。
2 当社グループは、簡易食品容器関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。