【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 財政状態
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は416,840百万円で、前連結会計年度末に比べて20,027百万円の増加となりました。流動資産は、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて10,940百万円の増加となりました。固定資産は、有形固定資産、無形固定資産及び投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べて9,086百万円の増加となりました。
負債合計は127,920百万円で、前連結会計年度末に比べて3,353百万円の増加となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて2,705百万円の増加となりました。固定負債は、前連結会計年度末に比べて647百万円の増加となりました。
純資産合計は288,920百万円で、前連結会計年度末に比べて16,673百万円の増加となりました。株主資本は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べて5,240百万円の増加となりました。その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べて7,534百万円の増加となりました。また、非支配株主持分は、前連結会計年度末に比べて3,899百万円の増加となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末と同様の63.5%となりました。
② 経営成績
当第2四半期連結累計期間の連結業績は、以下のとおりとなりました。
[ 連結業績 ]
(単位:百万円)
2022年
第2四半期
2023年
第2四半期
対前年同期増減額
(増減率)
売上高
70,107
75,302
+5,195
(+7.4%)
国内事業
62,922
66,131
+3,208
(+5.1%)
中国事業
7,184
9,171
+1,986
(+27.7%)
売上原価
35,297
40,877
+5,580
(+15.8%)
販売費及び一般管理費
23,132
24,213
+1,081
(+4.7%)
営業利益
11,677
10,211
△1,465
(△12.6%)
国内事業
11,765
10,426
△1,339
(△11.4%)
中国事業
△87
△214
△126
(-)
経常利益
15,965
12,675
△3,290
(△20.6%)
親会社株主に帰属する
四半期純利益
11,889
9,005
△2,884
(△24.3%)
売上高は、前年同期と比べ7.4%増加し、75,302百万円となりました。
国内事業の売上高は、前年同期と比べ5.1%増加し、66,131百万円となりました。医療用漢方製剤129処方の売上高は、循環器領域や不安・不眠・めまい等に関連する処方が継続して伸長した結果、前年同期と比べ5.9%増加しました。育薬処方※1の合計は、前年同期と比べ0.9%増加し、Growing処方※2の合計は、前年同期と比べ6.4%増加しました。
[ 育薬・Growing処方の売上高 ]
(単位:百万円)
売上
順位
製品No. / 処方名
2022年
第2四半期
2023年
第2四半期
前年同期比
育薬処方
1
100
大建中湯
4,927
4,937
+9
+0.2%
3
54
抑肝散
3,775
3,819
+43
+1.2%
4
43
六君子湯
3,698
3,685
△12
△0.3%
9
107
牛車腎気丸
1,755
1,836
+80
+4.6%
24
14
半夏瀉心湯
708
716
+8
+1.2%
育薬処方合計
14,865
14,996
+130
+0.9%
Growing処方
2
41
補中益気湯
4,060
4,109
+48
+1.2%
5
17
五苓散
3,198
3,674
+476
+14.9%
6
24
加味逍遙散
2,583
2,578
△5
△0.2%
16
137
加味帰脾湯
1,013
1,161
+148
+14.6%
17
108
人参養栄湯
1,034
1,127
+92
+9.0%
Growing処方合計
11,890
12,650
+760
+6.4%
育薬・Growing処方以外の119処方合計
33,435
36,074
+2,638
+7.9%
医療用漢方製剤129処方合計
60,191
63,720
+3,528
+5.9%
また、国内事業の一般用漢方製剤等の売上高は、風邪症状に関連する処方等の品薄の状況が継続している影響により、前年同期と比べ12.6%減少し、1,751百万円となりました。
中国事業の売上高は、原料生薬と飲片(刻み生薬)の販売を中心とする生薬プラットフォーム(平安津村薬業有限公司、深セン津村薬業有限公司等)の売上高が大きく伸長した結果、前年同期と比べ27.7%増加の9,171百万円となりました。
売上原価は、売上高の伸長と原料生薬調達コストの上昇、エネルギー・原資材価格の高止まりの継続、円安の影響等により前年同期と比べ15.8%増加し、40,877百万円となりました。売上原価率は、前年同期と比べ4.0ポイント上昇し、54.3%となりました。
販売費及び一般管理費は、前年同期と比べ4.7%増加し、24,213百万円となりました。主に研究開発費及び漢方バリューチェーンのDX化に向けたシステム関連費用の増加によるものです。販管費率は、前年同期と比べ0.8ポイント低下し、32.2%となりました。
以上の結果、営業利益は前年同期と比べ12.6%減少し、10,211百万円となりました。営業利益率は、前年同期と比べ3.1ポイント低下し、13.6%となりました。経常利益は、為替差益の減少もあり、前年同期と比べ20.6%減少し、12,675百万円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期と比べ24.3%減少し、9,005百万円となりました。
※1 育薬処方:
近年の疾病構造を見据え、医療ニーズの高い領域において新薬治療で難渋している疾患で、医療用漢方製剤が特異的に効果を発揮する疾患に的を絞り、エビデンス(科学的根拠)を確立する処方
※2 Growing処方:
育薬処方に続く戦略処方として、治療満足度や薬剤貢献度の低い領域でのエビデンス構築(安全性・有効性データ等)により診療ガイドライン収載を目指す処方
[ 限定出荷の状況について ]
医療用漢方製剤129処方では、2023年7月31日にすべての品目の限定出荷を解除いたしましたが、その後、コロナウイルス感染症やインフルエンザの流行及び鎮咳薬の供給不安により漢方製剤へ想定以上の需要が発生したことから、一部処方を出荷停止・限定出荷にしております。本件による連結業績に与える影響は軽微であります。増産体制の確保、生産計画の調整により限定出荷の解除を順次行っていきます。
③ キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末の現金及び現金同等物は、81,285百万円となり、前連結会計年度末と比べて13,444百万円減少しました。当第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの状況と、前年同期に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、601百万円の収入となりました。主な内訳は、収入項目では税金等調整前四半期純利益12,655百万円、支出項目では棚卸資産の増加額7,641百万円、法人税等の支払額3,101百万円であります。前年同期との比較では、9,087百万円収入が減少しております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、14,080百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出7,572百万円であります。前年同期との比較では、6,012百万円支出が増加しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,694百万円の支出となりました。主な内訳は、非支配株主からの払込みによる収入2,158百万円、自己株式の取得による支出1,316百万円、配当金の支払額による支出2,449百万円であります。前年同期との比較では、28,687百万円支出が増加しております。
当社グループは医薬品事業の単一事業であるため、セグメントごとの記載は省略しております。
(2)経営方針・経営戦略等
(資本政策の基本方針と株主還元方針の改定)
当社は、株主の皆様に対する利益還元を会社の重要な政策と考え、これまで安定的な配当を継続することを基本としてまいりました。
今般、「TSUMURA VISION“Cho-WA”2031」の実現に向けた中長期的な企業価値向上の取り組みの一環として、バランスシートマネジメントもふまえた経営のもと、財務健全性の維持と成長投資のバランスを勘案しつつ株主還元のさらなる充実を図ることを目的に、下記のとおり資本政策の基本方針と株主還元方針を改定することといたしました。
なお、内部留保の充実度合と中長期の事業見通しを勘案した結果、早期の増配が実現可能であると判断し、当第2四半期末より配当性向を引き上げることといたしました。
①資本政策の基本方針
当社は、”漢方”が持続的に発展・成長するための事業投資を通じて、企業価値の向上を図ることが、最終的に株主・投資家の皆様への最大の還元になるものと考えております。そして、ROEを持続的な株主価値向上に関わる重要な経営指標として捉え、収益力や資産効率を高めることで、資本コストを上回るROEを目指してまいります。また、財務基盤の健全性を確保しながら経営効率を高め、営業活動によるキャッシュ・フローや負債の活用、最適資本構成から許容される資金を、成長投資と株主還元へ適切に分配してまいります。
なお、株主還元においてはDOE(株主資本配当率)を指標として設定し、堅牢なバランスシートに依拠して、長期的な配当拡充を目指してまいります。
項目
指標
2031年度に目指す水準
経営効率
ROE
10%
財務基盤の健全性
自己資本比率
50%以上
配当
DOE(株主資本配当率)
5%
(上記の業績見通し等の将来に関する記述は、2031年度に目指すべき方向性のビジョンであり、今後様々な要因により上記数値と異なる可能性があります。)
②株主還元方針
当社は、株主様に対する利益還元を会社の重要な政策と考え、国内事業の持続的な拡大と中国事業の成長投資および基盤構築を通して、企業価値の向上を図るとともに、中長期の利益水準やキャッシュ・フローの状況等を勘案し、株主還元を決定しております。配当金につきましては、重要指標であるROE、DOE、自己資本比率の状況を総合的に判断して、連結配当性向40%を目安とし、2031年度に向けて段階的に50%以上を目指すことを方針といたします。
上記の株主還元方針の改定に伴い、2023年5月9日に公表いたしました「2023年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載の2024年3月期の中間配当および期末配当予想を下表のとおり修正いたします。修正後の1株当たり年間配当金は、前回予想の64円から70円となり、6円の増配となります。
年間配当金
第2四半期末
期末
合計
連結配当性向
前回予想
円 銭
円 銭
円 銭
%
(2023年5月9日発表)
32.00
32.00
64.00
37.4
今回修正予想
–
35.00
70.00
40.9
当期実績
35.00
–
–
–
前期実績(2023年3月期)
32.00
32.00
64.00
29.7
※上記予想の内容は、当社が本資料作成日現在において入手している情報および合理的であると判断する一定
の前提に基づいており、今後様々な要因により予想数値と異なる可能性があります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、4,215百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因
当第2四半期連結累計期間において、新たに発生した経営成績に重要な影響を与えるリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
当社は、リスク管理主管部門による業務担当部門、グループ会社のトップへのリスクヒアリングを通じ、「リスクマネジメント委員会」を開催し、経営リスクに対する取組み状況の確認及び今後発生し得るリスクについて、必要な対処方法を確認しております。また、企業活動に重大な影響を及ぼす恐れがある緊急事態が発生した場合には、「リスク管理規程」に則って対応しております。さらに、気候変動に関するリスクにつきましては、取締役Co-COOを委員長とする「サステナビリティ委員会」において確認・検討を行い、「リスクマネジメント委員会」と情報を共有しながら、適切に評価・管理しています。
(7)資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金及び設備投資資金については、自己資金、社債、金融機関からの借入金により資金調達を行っております。運転資金は自己資金及び短期借入金を基本としており、設備投資資金は社債及び長期借入金を基本としております。
なお、当第2四半期連結会計期間末における社債、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は80,092百万円となっております。また、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は81,285百万円となっております。
(8)今後の見通し
2023年5月9日に公表しました2024年3月期の連結業績予想に変更はありません。
なお、2023年7月31日に公表しました『平安津村有限公司による陝西紫光辰済薬業有限公司の持分譲渡に関する契約締結のお知らせ』に記載のとおり、2023年7月31日付で陜西紫光辰済薬業有限公司の持分譲渡を行っております。
中国事業においては、今後も、原料生薬・飲片、中成薬、大健康(薬食同源の健康食品・機能性食品等)事業を通じて「中国国民の健康に貢献する」ことを目指し、引き続き企業価値の向上に努めてまいります。