【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。なお、本文中の記載金額は、億円単位の表示は億円未満四捨五入とし、百万円単位の表示は百万円未満切捨てとしております。
(1) 経営成績当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかに回復しております。当社グループを取り巻く環境としては、宇宙事業の分野では船舶・航空機向けの移動体衛星通信や多岐にわたる分野での衛星データ利活用の需要が拡大しております。また、世界レベルで新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、大規模な低軌道衛星通信システムプロジェクトを推進するなど、ビジネスの環境が大きく変化しております。メディア事業の分野では、動画配信サービス市場が拡大する一方で、有料放送市場でのマイナス成長や動画配信サービス市場での事業者の合従連衡の動きもみられる等、激しく市場環境が変化しております。
このような経済状況の下、当第2四半期連結累計期間における当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
区分
前第2四半期連結累計期間(百万円)
当第2四半期連結累計期間(百万円)
前年同四半期比(百万円)
増減率(%)
営業収益
57,996
60,498
2,501
4.3
%
営業利益
11,147
13,401
2,254
20.2
%
経常利益
11,635
13,839
2,203
18.9
%
税金等調整前四半期純利益
11,461
12,997
1,535
13.4
%
親会社株主に帰属する四半期純利益
7,703
8,555
852
11.1
%
なお、EBITDAは前年同四半期比11億円増加し、237億円となっております。(注)EBITDAは、親会社株主に帰属する四半期純利益、法人税等合計、支払利息、減価償却費、のれん償却額の合計として算定しております。
当社グループのセグメント別の概況は次のとおりです。(経営成績については、セグメント間の内部営業収益等を含めて記載しております。)
<宇宙事業>・既存事業の強化国内衛星ビジネスにおいては、2023年3月に国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との間で協定を締結した近地球追跡ネットワークサービスに関して、海外地上局を共同でサービス提供することについて、2023年5月にKongsberg Satellite Services ASと合意いたしました。通信衛星及び回線の運用を通じて得たノウハウを活かした新たなサービスを展開し、宇宙利用の拡大や宇宙産業の発展に貢献してまいります。グローバル・モバイルビジネスにおいては、ハイスループット衛星JCSAT-1Cの利用が拡大しており、同じくハイスループット衛星であるHorizons 3eとともに、今後の収益拡大を見込んでおります。また、2023年8月には、Intelsat S.A.との共同衛星Horizons-4の打ち上げに成功いたしました。本衛星の投入により、アラスカ、ハワイを含む米国50州、メキシコ、カリブ海全域、及び太平洋地域の移動体通信需要に対応してまいります。加えて、2027年上期にはフルデジタル衛星Superbird-9の運用を開始予定であり、市場や顧客の多様なニーズへの対応を通して、一層の事業拡大と競争力強化に努めてまいります。
・新たな技術の活用や事業領域拡大への取り組み通信分野では、新たな宇宙インフラの構築を目指し、日本電信電話㈱との合弁会社㈱Space Compassにおいて、光データリレーサービスの提供に向けた衛星の調達を進めるとともに、地球観測衛星事業者との間で協業に向けた検討を進めております。 ビジネスインテリジェンス分野においては、2023年6月に、カタール環境省(Ministry of Environment and Climate Change)向けに、SAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダー)衛星画像を活用した海上オイル漏れ検知サービスの提供を開始いたしました。本サービスの提供を通して、持続可能な社会と環境の実現に貢献してまいります。また、2023年7月には、㈱QPS研究所との間で、同社が開発する小型SAR衛星の運用業務に係る契約を締結いたしました。パートナー企業との連携を強化しながら、新たなサービスの開発や販売活動を推進し、事業領域を拡大してまいります。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の宇宙事業の経営成績は次のとおりとなりました。
前第2四半期連結累計期間(百万円)
当第2四半期連結累計期間(百万円)
前年同四半期比(百万円)
増減率(%)
営業収益
外部顧客への営業収益
24,727
27,756
3,029
12.3
%
セグメント間の内部営業収益等
3,434
3,282
△152
△4.4
%
計
28,161
31,038
2,877
10.2
%
営業利益
8,336
11,103
2,767
33.2
%
セグメント利益(親会社株主に帰属する四半期純利益)
5,576
7,689
2,112
37.9
%
放送トラポン収入が減少した一方で、国内衛星ビジネス分野における機器販売及び回線利用の拡大、グローバル・モバイル分野におけるJCSAT-1CやHorizons 3eの利用拡大及び円安の影響、減価償却費の減少等により、営業収益、営業利益及びセグメント利益は増加いたしました。
<メディア事業>・放送事業・配信事業2023年シーズンプロ野球では、「プロ野球セット」でセ・パ12球団の公式戦全試合を生放送・配信し、海外サッカー「ドイツ ブンデスリーガ」では、全試合を放送・配信しております。2023年5月より、スカパー!ポイントプログラムを開始しております。当社の幅広いサービスに触れていただくことでお客様の体験が深化し、コンテンツライフがこれまで以上に充実したものとなることを目指してまいります。また、放送・配信にとどまらずリアルサービスとしては、「スカパー!ブンデスリーガジャパンツアー2023」を開催し、FC バイエルン・ミュンヘンを招聘並びに2023年7月29日の川崎フロンターレとの試合を主催いたしました。2023年8月28日より、一般社団法人OTGコンソーシアムが運営するサービス「Net-VISION」において、「スカパー!番組配信」及び「SPOOX」の配信を開始いたしました。今回の配信開始により、お客様は簡単な設定、リモコン操作で「スカパー!番組配信」及び「SPOOX」をテレビ上でご視聴いただけるなどの利便性の向上が見込まれます。また、当社としても、新たに「Net-VISION」利用者に対して当社が提供するコンテンツの魅力に触れていただく機会を得ることで、「スカパー!」サービス加入者を増やすことも目指しております。
・FTTH事業光ファイバーによる地上デジタル・BSデジタル等の再送信サービスでは着実に提供エリア拡大を進めており、2023年9月末時点における提供エリアは37都道府県にわたり、提供可能世帯数は約4,280万世帯、契約世帯数は268万世帯に達しております。また、ケーブルテレビ業界の課題解決に向けた新たな方式での多チャンネルサービスとして、業界初の取り組みとなるBS/CS放送のパススルー伝送及び視聴制御を組み合わせたサービスを2022年11月から開始しており、2023年9月末月時点で9局での導入が決定しております。
当第2四半期連結累計期間における加入件数は次のとおりとなりました。
新規
解約
純増減
累計
当期
252千件
301千件
△49千件
2,826千件
前年同四半期比
10千件
△28千件
38千件
△95千件
以上の結果、当第2四半期連結累計期間のメディア事業の経営成績は次のとおりとなりました。
前第2四半期連結累計期間(百万円)
当第2四半期連結累計期間(百万円)
前年同四半期比(百万円)
増減率(%)
営業収益
外部顧客への営業収益
33,269
32,741
△527
△1.6
%
セグメント間の内部営業収益等
1,535
1,489
△45
△3.0
%
計
34,804
34,230
△573
△1.6
%
営業利益
3,145
2,684
△461
△14.7
%
セグメント利益(親会社株主に帰属する四半期純利益)
2,272
1,079
△1,192
△52.5
%
契約世帯数の増加等によるFTTH事業収入の増加1億円や営業費用における衛星回線料の減少5億円等がありましたが、累計加入件数減少等の影響による視聴料・業務手数料・基本料収入の減少13億円や特別損失における投資有価証券評価損8億円等により、営業収益、営業利益及びセグメント利益は減少いたしました。
(2) 財政状態当第2四半期連結会計期間末における資産合計は3,983億円となり、前連結会計年度末比(以下「前期比」)7億円減少いたしました。 流動資産は、Xバンド事業に関する債権回収等により売掛金が46億円減少いたしましたが、現金及び現金同等物の増加35億円、衛星画像の仕入等に係る前渡金の増加50億円等により、前期比28億円増加いたしました。有形固定資産及び無形固定資産は、設備投資により77億円増加いたしましたが、減価償却費99億円等により、前期比22億円減少いたしました。
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は1,354億円となり、前期比68億円減少いたしました。 主な増加は前受収益26億円であり、主な減少はXバンド事業及びHorizons 3e事業に関する借入金の返済等による有利子負債の減少28億円、未払金の減少44億円、未払法人税等の減少21億円であります。
当第2四半期連結会計期間末における非支配株主持分を含めた純資産は2,629億円となり、前期比61億円増加いたしました。主な増加は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金の増加54億円であり、主な減少は自己株式の取得14億円であります。また、自己資本比率は65.6%となり、前期比1.6ポイント増加いたしました。
(3) キャッシュ・フロー当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益と減価償却費の合計229億円に加え、売上債権の減少48億円及び前受収益の増加26億円がありましたが、前渡金の増加50億円、未払金の減少44億円、法人税等の支払42億円等により、162億円の収入(前年同四半期は323億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出56億円、Horizons 3e事業に関する貸付金の回収による収入18億円等により、38億円の支出(前年同四半期は80億円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出48億円、自己株式の取得による支出14億円、配当金支払による支出32億円等により、95億円の支出(前年同四半期は119億円の支出)となりました。以上の結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前期比35億円増加し、1,114億円となりました。
(4) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は30百万円であります。
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