【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。なお、本文中の記載金額は、億円単位の表示は億円未満四捨五入とし、百万円単位の表示は百万円未満切捨てとしております。
(1) 経営成績当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、個人消費をはじめ持ち直しております。 当社グループを取り巻く環境としては、宇宙事業の分野では船舶・航空機向けの移動体衛星通信や多岐にわたる分野での衛星データ利活用の需要が拡大しております。また、世界レベルで新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、大規模な低軌道衛星通信システムプロジェクトを推進するなど、ビジネスの環境が大きく変化しております。メディア事業の分野では、動画配信サービス市場が拡大する一方で、有料放送市場でのマイナス成長や動画配信サービス市場での事業者の合従連衡の動きもみられる等、激しく市場環境が変化しております。
このような経済状況の下、当第1四半期連結累計期間における当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
区分
前第1四半期連結累計期間(百万円)
当第1四半期連結累計期間(百万円)
前年同四半期比(百万円)
増減率(%)
営業収益
28,806
30,009
1,203
4.2
%
営業利益
5,551
6,919
1,367
24.6
%
経常利益
5,924
7,279
1,354
22.9
%
税金等調整前四半期純利益
5,924
7,279
1,354
22.9
%
親会社株主に帰属する四半期純利益
4,033
4,982
948
23.5
%
なお、EBITDAは前年同四半期比11億円増加し、126億円となっております。(注)EBITDAは、親会社株主に帰属する四半期純利益、法人税等合計、支払利息、減価償却費、のれん償却額の合計として算定しております。
当社グループのセグメント別の概況は次のとおりであります。(経営成績については、セグメント間の内部営業収益等を含めて記載しております。)
<宇宙事業>・既存事業の強化 国内衛星ビジネスにおいては、2023年3月に国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との間で協定を締結した近地球追跡ネットワークサービスに関して、海外地上局を共同でサービス提供することについて、2023年5月にKongsberg Satellite Services ASと合意いたしました。通信衛星及び回線の運用を通じて得たノウハウを活かした新たなサービスを展開し、宇宙利用の拡大や宇宙産業の発展に貢献してまいります。 グローバル・モバイルビジネスにおいては、ハイスループット衛星JCSAT-1Cの利用が拡大しており、同じくハイスループット衛星であるHorizons 3eとともに、今後の収益拡大を見込んでおります。また、2027年上期にはフルデジタル衛星Superbird-9の運用を開始予定であり、市場や顧客の多様なニーズへの対応を通して、日本をはじめとする東アジア地域における一層の事業拡大と競争力強化に努めてまいります。
・新たな技術の活用や事業領域拡大への取り組み 通信分野では、新たな宇宙インフラの構築を目指し、日本電信電話㈱との合弁会社㈱Space Compassにおいて、光データリレーサービスの提供に向けた衛星の開発と調達を進めるとともに、地球観測衛星事業者との間で協業に向けた検討を進めております。 また、2023年6月には、カタール環境省(Ministry of Environment and Climate Change)向けに、SAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダー)衛星画像を活用した海上オイル漏れ検知サービスの提供を開始いたしました。持続可能な社会と環境の実現に貢献するとともに、ビジネスインテリジェンス分野におけるサービス開発や販売活動を一層強化してまいります。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の宇宙事業の経営成績は次のとおりとなりました。
前第1四半期連結累計期間(百万円)
当第1四半期連結累計期間(百万円)
前年同四半期比(百万円)
増減率(%)
営業収益
外部顧客への営業収益
12,114
13,796
1,681
13.9
%
セグメント間の内部営業収益等
1,726
1,649
△77
△4.5
%
計
13,841
15,445
1,603
11.6
%
営業利益
4,128
5,670
1,542
37.4
%
セグメント利益(親会社株主に帰属する四半期純利益)
2,938
4,008
1,069
36.4
%
放送トラポン収入が減少した一方で、国内衛星ビジネス分野における機器販売及び回線利用の拡大や、グローバル・モバイル分野におけるJCSAT-1C及びHorizons 3eの利用拡大の影響及び減価償却費の減少等により、営業収益、営業利益及びセグメント利益は増加いたしました。
<メディア事業>・放送事業・配信事業 2023年シーズンプロ野球では、「プロ野球セット」でセ・パ12球団の公式戦全試合を生放送・配信し、海外サッカー「ドイツ ブンデスリーガ」では、全試合を放送・配信しております。 2023年5月より、スカパー!ポイントプログラムを開始しました。当社の幅広いサービスに触れていただくことでお客様の体験が深化し、コンテンツライフがこれまで以上に充実したものとなることを目指してまいります。 また、放送・配信にとどまらずリアルサービスとしては、「スカパー!ブンデスリーガジャパンツアー2023」を開催し、FC バイエルン・ミュンヘンを招聘することを決定いたしました。当社は、2023年7月29日の川崎フロンターレとの試合を主催いたします。・FTTH事業 光ファイバーによる地上デジタル・BSデジタル等の再送信サービスでは着実に提供エリア拡大を進めており、2023年6月末時点における提供エリアは37都道府県にわたり、提供可能世帯数は約4,280万世帯、契約世帯数は266万世帯に達しております。また、ケーブルテレビ業界の課題解決に向けた新たな方式での多チャンネルサービスとして、業界初の取り組みとなるBS/CS放送のパススルー伝送及び視聴制御を組み合わせたサービスを2022年11月から開始しており、2023年6月末月時点で9局での導入が決定しております。・新規事業 アリーナ基点での地域活性化への貢献と社会課題解決を図る「神戸アリーナプロジェクト」へ参画するため、2025年開業予定の神戸アリーナ(仮称)の運営会社㈱One Bright KOBEと協創パートナーシップ契約を締結し、「コンテンツ・BCP・サステナビリティパートナー」として連携するため、同社に出資いたしました。
当第1四半期連結累計期間における加入件数は次のとおりとなりました。
新規
解約
純増減
累計
当期
133千件
145千件
△12千件
2,863千件
前年同四半期比
△4千件
△12千件
8千件
△125千件
以上の結果、当第1四半期連結累計期間のメディア事業の経営成績は次のとおりとなりました。
前第1四半期連結累計期間(百万円)
当第1四半期連結累計期間(百万円)
前年同四半期比(百万円)
増減率(%)
営業収益
外部顧客への営業収益
16,691
16,213
△477
△2.9
%
セグメント間の内部営業収益等
772
751
△20
△2.7
%
計
17,463
16,965
△498
△2.9
%
営業利益
1,598
1,453
△145
△9.1
%
セグメント利益(親会社株主に帰属する四半期純利益)
1,159
1,081
△77
△6.7
%
契約世帯数の増加等によりFTTH事業収入が1億円増加した一方で、累計加入件数減少等の影響で視聴料・業務手数料・基本料収入が7億円減少したこと等により営業収益は前期比5億円減少いたしましたが、広告宣伝・販促費の減少等により営業利益は前期比1億円の減少となりました。
(2) 財政状態当第1四半期連結会計期間末における資産合計は3,913億円となり、前連結会計年度末比(以下「前期比」)77億円減少いたしました。 流動資産は、衛星画像の仕入等に係る前渡金が48億円増加いたしましたが、現金及び現金同等物の減少77億円、Xバンド事業に関する債権回収等による売掛金の減少47億円等により前期比58億円減少いたしました。有形固定資産及び無形固定資産は、設備投資により40億円増加いたしましたが、減価償却費50億円等により前期比10億円減少いたしました。
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は1,336億円となり、前期比86億円減少いたしました。主な増加は前受収益50億円であり、主な減少はXバンド事業及びHorizons 3e事業に関する借入金の返済等による有利子負債の減少30億円、未払金の減少57億円、未払法人税等の減少42億円であります。
当第1四半期連結会計期間末における非支配株主持分を含めた純資産は2,577億円となり、前期比9億円増加いたしました。主な増加は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金の増加18億円であります。また、自己資本比率は65.5%となり、前期比1.5ポイント増加いたしました。
(3) キャッシュ・フロー当第1四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益と減価償却費の合計122億円に加え、売上債権の減少47億円及び前受収益の増加50億円がありましたが、前渡金の増加48億円、未払金の減少57億円、法人税等の支払55億円等により、30億円の収入(前年同四半期は231億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出34億円等により34億円の支出(前年同四半期は18億円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出42億円、配当金支払による支出31億円等により74億円の支出(前年同四半期は114億円の支出)となりました。以上の結果、当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前期比77億円減少し、1,002億円となりました。
(4) 経営方針・経営戦略等当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は13百万円であります。
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