【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(以下、当期)における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻を発端とした高水準のインフレの継続や、各国中央銀行や政府による金融政策などの影響により、欧米諸国及びアジア・オセアニアにおいて、日本やインドなど一部の国を除き、景気減速が顕著となりました。わが国においては、政府の経済対策などが追い風となり、脱コロナ禍に伴い個人消費や設備投資が戻ったことに加え、長らく影響を受けていたインバウンド需要も回復し、経済の持続的な回復が期待されております。
このような環境のなか、当社グループでは2020年12月に制定した中長期成長戦略「Mimaki V10」で定めた重点施策に基づき、新製品の市場投入と販売拡大、市場環境や顧客ニーズの急激な変化を見据えた事業展開、収益性向上に向けた基盤構築を継続してまいりました。当期においては、需要の回復や今後の事業拡大に対応するため、国内最大規模のショールームであるJPデモセンターの移転や、イタリア・ミラノで4年に1回開催される世界最大のテキスタイル・アパレル市場向け機器展示会ITMAでの同市場向け新製品・新技術の発表、経済成長が著しいベトナムへの販売子会社の設立など、販売拡大を見据えた戦略を引き続き推進してまいりました。
当期の売上高は、製品市場別では、FA事業が大幅に販売を伸ばした一方で、SG(サイングラフィックス)市場向け、IP(インダストリアルプロダクツ)市場向け、TA(テキスタイル・アパレル)市場向けは、全般に景気減速に伴うインク需要の減少や本体販売の伸びが鈍化した結果、販売が減少しました。エリア別では、日本及びインドでは経済活動の活発化に伴い販売が好調に推移し、また中国ではコロナ禍により需要が大幅に低迷した前年同期との比較において販売が伸長した一方で、北米及び欧州、アジア・オセアニアでは、景気後退等の影響を大きく受け、販売が減少しました。このような厳しい環境ではあったものの、為替の円安によるプラス効果があったことから、前年同期比で増収となりました。利益面では、前期に調達した半導体等の高コスト部材を使用した製品の販売が継続しましたが、世界的なロジスティクス混乱の終息に伴う輸送コストの減少に加え、インフレ進行による全般的なコスト上昇に対応するための販売価格見直しを進め、売上原価率は前年同期並となりました。一方で、販管費は、今後の新技術・新製品開発に向けた研究開発費の増加や、人件費及びグローバルでの展示会への積極的な出展等の営業活動の活発化に伴う費用が増加しました。これらの結果、為替のプラス効果はあったものの、前年同期比で減益となりました。
以上の結果、当期における当社グループの売上高は165億2百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は5億39百万円(同37.0%減)、経常利益は4億85百万円(同46.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億54百万円(同62.2%減)となりました。
また、当期における主要な為替レート(2023年4月~2023年6月の平均レート)は、1米ドル=137.37円(前年同期 129.57円)、1ユーロ=149.46円(前年同期 138.10円)で推移いたしました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、セグメントの利益につきましては、セグメント間取引消去の影響により四半期連結損益計算書の営業利益から乖離してしまうため、記載を省略しております。
(日本・アジア・オセアニア)
売上高は72億80百万円(前年同期比7.0%増)となりました。日本では、脱コロナ禍に伴う経済活動の持ち直しの動きを受け、SG市場向けは本体が堅調で前年同期並を確保、IP市場向けでは本体が小型フラットベッド(以下、FB)、大型FBともに好調で、インクも含めて大幅な販売増となりました。また、TA市場向けでは新製品であるTxF150-75が好調に立ち上がり大幅な販売増、FA事業では半導体製造装置やFA装置を中心に好調で大幅な販売増となりました。これらの結果、大幅な増収となりました。アジア・オセアニアでは、オーストラリアやインドネシア等では景気減速の影響を受けたものの、中国の需要回復とインドやフィリピン等の経済成長による好調な販売及び為替のプラス影響により、前年同期並となりました。
(北・中南米)
売上高は44億62百万円(同0.8%減)となりました。北米では、SG市場向け販売チャネルの活性化施策が途上にあるなか、景気後退の影響が顕在化し、設備投資の抑制等による需要減少に伴いSG市場向けの販売が大幅に減少しました。加えて、TA市場向けは堅調だったもののIP市場向けが前年同期並にとどまったことから、為替によるプラス影響を受けながらも、減収となりました。中南米では、ブラジルやメキシコでは販売が減少したものの、ほかの国での販売が堅調に推移し、増収を確保しました。
(欧州・中東・アフリカ)
売上高は47億59百万円(同1.8%増)となりました。欧州では、TA市場向け本体で新製品が順調に立ちあがり販売は堅調だったものの、景気低迷の影響によりSG市場向けは前年同期並、IP市場向けは販売が減少しました。国別では、ポルトガルやフランス、トルコ等で好調な販売が継続した一方で、ドイツや英国、イタリアを中心に販売が減少しました。これらに為替のプラス影響が加わった結果、全体では前年同期並となりました。
当第1四半期連結累計期間における市場別の売上高は以下のとおりであります。
売上高(千円)
構成比率(%)
対前期増減率(%)
S G 市 場 向 け
6,769,797
41.0
1.9
I P 市 場 向 け
4,677,893
28.3
2.7
T A 市 場 向 け
1,596,100
9.7
1.9
F
A
事
業
1,050,213
6.4
26.7
そ
の
他
2,408,974
14.6
1.1
合
計
16,502,979
100.0
3.3
(SG市場向け)
売上高は67億69百万円(前年同期比1.9%増)となりました。インクの販売は堅調だったものの、本体は、フラグシップモデルやエントリーモデルの販売は増加した一方で主力モデルを中心に販売が減少しましたが、為替のプラス影響を受けた結果、若干の増収となりました。
(IP市場向け)
売上高は46億77百万円(同2.7%増)となりました。前年同期は販売が好調に推移していた小型・大型FBモデル本体やインクの販売が、当期は減少したものの、為替のプラス影響を受け、増収を確保しました。
(TA市場向け)
売上高は15億96百万円(同1.9%増)となりました。本体では、4月から投入した新製品が順調に立ち上がった一方で、既存モデル及びインクの販売は減少しましたが、為替のプラス影響を受け、若干の増収となりました。
(FA事業)
売上高は10億50百万円(同26.7%増)となりました。半導体製造装置が特定顧客向けで販売が大幅に増加するとともに、FA装置、基板実装装置、基板検査装置が好調に販売を伸ばし、大幅な増収となりました。
当第1四半期連結累計期間における品目別の売上高は以下のとおりであります。
売上高(千円)
構成比率(%)
対前期増減率(%)
製 品 本 体
6,572,891
39.8
4.5
イ ン
ク
6,345,160
38.4
5.0
保 守 部 品
1,364,308
8.3
1.1
そ の 他
2,220,619
13.5
△3.1
合
計
16,502,979
100.0
3.3
当第1四半期連結会計期間末における財政状態は以下のとおりであります。
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比べ19億77百万円増加し、717億67百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べ14億78百万円増加し、551億70百万円となりました。これは、現金及び預金の増加のほか、計画に対して販売が伸長しなかったことに伴う商品及び製品、原材料及び貯蔵品が増加したこと等によるものです。また、固定資産は前連結会計年度末と比べ4億99百万円増加し、165億96百万円となりました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末と比べ8億31百万円増加し、485億65百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末と比べ14億74百万円増加し、416億19百万円となりました。これは、主に短期借入金の借入等によるものです。固定負債は、前連結会計年度末と比べ6億42百万円減少し、69億46百万円となりました。これは、長期借入金の減少等によるものです。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比べ11億45百万円増加し、232億1百万円となりました。これは、主に為替換算調整勘定の増加等によるものです。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動に係る費用の総額は11億27百万円であります。なお、当該金額には既存製品の改良、応用等に関する費用が含まれており、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会)に規定する「研究開発費」は8億55百万円であります。
また、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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