【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(以下、当期)における世界経済は、部品・原材料の調達難による製品供給不足やコストの大幅な上昇等の影響が続くなか、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発するエネルギーや食糧等の価格高騰による歴史的なインフレが継続し、欧米各国での金融政策による急速な利上げにより経済成長が鈍化するなど、厳しい状況が続いております。わが国においては、徐々に経済の持ち直しが見られる一方、インフレの拡大や急速な円安の進行による先行き不透明感の増大から、引き続き予断を許さない状況が続いております。
このような環境のなか、当社グループでは中長期成長戦略「Mimaki V10」で定めた重点施策に基づき、販売拡大と新製品の立ち上げ、市場環境や顧客ニーズの急激な変化を見据えた事業展開、収益性向上に向けた基盤構築を継続してまいりました。当期においては、需要の回復や今後の事業拡大に対応するため、生産能力増強と開発機能強化を目的として、長野県上田市に丸子工場を新設しました。販売面では、コロナ禍で開催が見送られてきた世界各地の産業印刷関係の展示会が復活する機を捉え、前期に投入した新製品を中心とした当社の充実したラインナップ展開と、業界をリードする高画質・高生産性等をアピールすることにより、販売の拡大に努めてまいりました。
当期の売上高は、引き続き半導体を中心とした部品不足や、輸送リードタイム長期化の継続に加え、欧州でのロシア・ウクライナ問題に伴う販売減少の影響を受けたものの、全般に当社製品への堅調な需要が継続する中、依然供給制約があるプリンタ本体は、新製品が好調なIP(インダストリアルプロダクツ)市場向けに加え、コロナ禍からの回復が遅れていたTA(テキスタイル・アパレル)市場向けが新興国中心に販売が増加、SG(サイングラフィックス)市場向けも主力製品を中心に堅調に推移しました。また、インクや保守部品の販売も、顧客におけるプリンタ本体の稼働増加に伴い好調に推移しました。以上に加え、為替の円安によるプラス効果もあり、大幅な増収となりました。利益面では、全般的なコスト上昇に対応するための販売価格見直しを進めましたが、売上原価率が、販売機会損失回避を優先した部材調達によるコスト増加やエネルギーコストの高騰等により、前年同期比で上昇するとともに、販管費が、事業・営業活動の活発化に伴い人件費、販売促進費、研究開発費等を中心に増加したものの、為替の円安効果があり、営業利益は大幅な増益となりました。なお、当期においてトルコの子会社の財務諸表について、「超インフレ経済下における財務報告」(IAS第29号)に基づき会計上の調整を加え、その影響をインフレ会計調整額として営業外費用に計上しました。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 追加情報(超インフレの会計処理)」をご参照ください。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前期が連結会社間の内部利益消去に対する繰延税金資産計上額の増加により低水準だった税負担率が、当期は通常の水準に戻ったことから、減益となりました。
以上の結果、当期における当社グループの売上高は339億80百万円(前年同期比18.0%増)、営業利益は18億85百万円(同11.5%増)、経常利益は17億9百万円(同0.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は12億96百万円(同17.1%減)となりました。
また、当期における主要な為替レート(2022年4月~2022年9月の平均レート)は、1米ドル=133.98円(前年同期 109.80円)、1ユーロ=138.72円(前年同期130.89円)で推移いたしました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、セグメントの利益につきましては、セグメント間取引消去の影響により四半期連結損益計算書の営業利益から乖離してしまうため、記載を省略しております。
(日本・アジア・オセアニア)
売上高は151億82百万円(前年同期比19.5%増)となりました。日本では、IP市場向けが新製品を中心に好調な販売が継続するとともに、FA(ファクトリーオートメーション)事業は部材調達遅れの影響があるものの受注は好調で大幅な販売増となり、全体で大幅な増収となりました。アジア・オセアニアでは、中国がロックダウンの影響を受けた一方で、タイ、インド、インドネシア等で、好調に推移するSG/IP市場向けに加えTA市場向けが大幅に伸長、インク、保守部品も好調に推移し、エリア全体で大幅増収となりました。
(北・中南米)
売上高は93億99百万円(同34.8%増)となりました。北米では、IP市場向け製品が新製品・既存製品ともに好調に販売が拡大、SG/TA市場向け製品は堅調に推移しました。また、インクの販売も好調で、為替のプラス影響もあり、大幅増収となりました。コロナ影響からの売上回復にやや遅れのあった中南米では、SG/IP/TA全ての市場向けで本体の販売が大幅に増加、インクや保守部品も大幅に伸長し、エリア全体で大幅増収となりました。
(欧州・中東・アフリカ)
売上高は93億97百万円(同3.0%増)となりました。引き続きロシア・ウクライナ問題を発端とする販売へのマイナス影響を受けましたが、他の主要国については濃淡があるものの、ドイツ、イギリス、ポルトガル、フランス等が好調に推移。TA市場向けでは販売減となったもののSG/IP市場向けは堅調に推移し、インクの需要も底堅く、為替のプラス影響もあり、全体では増収となりました。
当第2四半期連結累計期間における市場別の売上高は以下のとおりであります。
売上高(千円)
構成比率(%)
対前期増減率(%)
S G 市 場 向 け
13,707,269
40.3
11.9
I P 市 場 向 け
9,407,739
27.7
22.0
T A 市 場 向 け
3,345,411
9.8
20.9
F
A
事
業
2,243,074
6.6
18.2
そ
の
他
5,276,674
15.5
26.3
合
計
33,980,169
100.0
18.0
(SG市場向け)
売上高は137億7百万円(前年同期比11.9%増)となりました。本体では、部品調達難の影響を受けたものの、エントリーモデルのJV/UJV100や、新製品のCG-ARを投入したカッティングプロッタの販売が好調に推移。主力のミドルレンジモデルも堅調に推移しました。また、インクの販売も好調に推移しました。
(IP市場向け)
売上高は94億7百万円(同22.0%増)となりました。本体では、ラインナップを更新した主力の小型フラットベッド機UJF-7151PlusII及びUJF-6042MkIIeが大幅伸長、大型フラットベッド機も伸長し、全体で大幅な販売増となりました。また、インクについても大幅な販売増となりました。
(TA市場向け)
売上高は33億45百万円(同20.9%増)となりました。本体では、エントリーモデルのTS100が中南米やアジアを中心に大幅に販売を伸ばすとともに、主力のミドルレンジモデルが堅調に推移し、全体で大幅な販売数の増加となりました。また、インクの販売も大幅な増加となりました。
(FA事業)
売上高は22億43百万円(同18.2%増)となりました。部材調達遅れの影響があるものの受注は好調で、FA装置、金属加工、基板検査装置、基板実装装置の各事業の販売が大幅に伸長しました。
また、当第2四半期連結累計期間における品目別の売上高は以下のとおりであります。
売上高(千円)
構成比率(%)
対前期増減率(%)
製 品 本 体
13,855,152
40.8
13.2
イ ン
ク
12,413,623
36.5
21.1
保 守 部 品
2,842,661
8.4
22.5
そ の 他
4,868,731
14.3
22.1
合
計
33,980,169
100.0
18.0
当第2四半期連結会計期間末における財政状態は以下のとおりであります。
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比べ60億9百万円増加し、668億66百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べ46億25百万円増加し、521億20百万円となりました。これは、現金及び預金の増加のほか、輸送リードタイム長期化の継続による影響や、販売機会損失を回避するために部品・原材料不足に対応した在庫確保のオペレーションを進めたことにより、商品及び製品、原材料及び貯蔵品が増加したこと等によるものです。また、固定資産は前連結会計年度末と比べ13億84百万円増加し、147億46百万円となりました。これは、主に丸子工場の取得に係る建物及び構築物が増加したこと等によるものです。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末と比べ35億6百万円増加し、456億46百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末と比べ46億92百万円増加し、370億22百万円となりました。これは、主に短期借入金の増加等によるものです。固定負債は、前連結会計年度末と比べ11億86百万円減少し、86億24百万円となりました。これは、長期借入金の減少等によるものです。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比べ25億3百万円増加し、212億20百万円となりました。これは、主に為替換算調整勘定、利益剰余金の増加等によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物残高(以下「資金」という。)は、短期借入金の増加や長期借入れによる収入等があったものの、棚卸資産の増加、長期借入金の返済等により、前連結会計年度末に比べ10億75百万円増加し、85億76百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は7億67百万円(前年同期比13億15百万円減)となりました。これは、税金等調整前四半期純利益17億68百万円があったものの、棚卸資産の増加12億66百万円、法人税等の支払10億25百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は17億25百万円(同12億22百万円増)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出14億39百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は31億29百万円(同22億72百万円増)となりました。これは、長期借入金の返済による支出23億74百万円があったものの、短期借入金の増加58億12百万円等があったことによるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動に係る費用の総額は23億1百万円であります。なお、当該金額には既存製品の改良、応用等に関する費用が含まれており、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会)に規定する「研究開発費」は13億90百万円であります。
また、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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