【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日まで)におきましては、海外向け空調機および電子デバイスの売上が増加し、連結売上高は2,567億6千5百万円(前年同期比29.6%増)となりました。
損益につきましては、空調機における売価改善や海外向けの販売物量拡大の効果はあったものの、素材・部品価格や海上運賃の高騰に加え、事業強化に向けた先行投資費用の増加、円安によるコスト増などの影響が大きく、営業利益は36億8千3百万円(同28.8%減)、経常利益は45億4千4百万円(同20.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は22億1千4百万円(同27.2%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<空調機部門>
空調機部門では、国内向けは上海市の都市封鎖の影響を挽回しきれず減収となったものの、海外向けは調達・生産・出荷オペレーションの正常化が着実に進展し、高水準となっていた受注残の出荷が順調に進むとともに、円安に伴う円換算増もあり、売上高は2,348億6千1百万円(同32.3%増)となりました。営業利益は、売価改善や海外向けの販売物量拡大の効果はあったものの、素材・部品価格や海上運賃の高騰に加え、事業強化に向けた先行投資費用の増加、円安によるコスト増などの影響が大きく、22億3百万円(同37.8%減)となりました。
〔海外向け〕
売上高は、2,036億1千6百万円(同46.7%増)となりました。
米州では、北米において、高水準となっていた受注残の商品出荷を進めたことから、省エネ性能に優れたルームエアコン、VRF(ビル用マルチエアコン)ともに販売が伸長し、売上が増加しました。なお、コマーシャル市場の販路拡大に向け、省エネ性能や施工・サービス性に優れたVRFの大型機種を本年度下期に新たに投入し、商品ラインアップの強化を図っています。
欧州では、環境負荷の低減を目的とした補助金政策やエネルギー価格高騰を背景にATW(ヒートポンプ式温水暖房システム)の販売が好調に推移しました。また、高水準となっていた受注残の商品出荷を進めたことなどから、ルームエアコン、VRFともに売上が増加しました。なお、昨年12月にATWの現地生産を行う合弁会社をフランスに設立したほか、ギリシャの販売代理店の子会社化など、さらなる事業拡大に向けた取り組みを進めております。
中東・アフリカでは、市況が回復しつつあることに加え、高水準となっていた受注残の商品出荷を進め、売上が増加しました。
オセアニアでは、商品供給の改善により、ルームエアコンの売上が前年同期を上回るとともに、サービスメンテナンス業務の受注が堅調に推移したことから、売上が増加しました。
アジアでは、主力市場のインドにおいて、猛暑の影響などで需要が好調に推移しているなか、ルームエアコンの販売が大幅に増加するとともに、ソリューション案件も堅調に推移し、売上が増加しました。なお、地産地消に向けた第一段階として、昨年12月よりインドでの現地生産を開始しました。
中華圏では、中国において、上海市の都市封鎖や不動産市況低迷等の影響により販売が減少しましたが、台湾向けの販売増により、売上が増加しました。
〔国内向け〕
売上高は、312億4千5百万円(同19.3%減)となりました。
第2四半期以降の販売は省エネ性の高い機種を中心に前年同期を上回ったものの、第1四半期において上海工場からの出荷が都市封鎖に伴い大幅に減少した影響が大きく、売上が減少しました。なお、昨年12月、暖房機能やエアコン内部のカビ対策を強化した新型「ノクリア」Xシリーズ、Zシリーズを発売しました。
<情報通信・電子デバイス部門>
情報通信・電子デバイス部門では、電子デバイスの販売増により、売上高は199億3千万円(同6.3%増)となりましたが、情報通信システムの減収影響が大きく、営業利益は4億3千3百万円(同41.9%減)となりました。
〔情報通信システム〕
売上高は、79億1千7百万円(同17.3%減)となりました。
公共システムにおいて、デジタル化商談の一巡に伴う防災システムの納入案件減少が続くとともに、民需システムにおいても、外食産業向け店舗システムが依然低迷していることから、売上が減少しました。
〔電子デバイス〕
売上高は、120億1千2百万円(同31.1%増)となりました。
産業用ロボット向け電子部品・ユニット製造において、投資需要の増加を背景に販売が増加するとともに、車載カメラの販売増もあり、売上が増加しました。なお、昨年7月よりパワーモジュールの外販を開始しており、好調な立ち上がりを見せております。
<その他部門>
売上高は19億7千3百万円(同6.3%増)、営業利益は10億4千6百万円(同18.9%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
① 資産、負債及び純資産の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産につきましては、受取手形、売掛金及び契約資産の減少などはありましたが、主に棚卸資産が増加したことにより、前連結会計年度末比165億9千1百万円増加し、2,852億2千4百万円となりました。
負債につきましては、支払手形及び買掛金の減少などはありましたが、主に短期借入金の増加により、前連結会計年度末比160億2千9百万円増加し、1,532億8百万円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上があったものの配当金の支払に伴い利益剰余金は減少しましたが、為替換算調整勘定などの増加により、前連結会計年度末比5億6千1百万円増加し、1,320億1千6百万円となりました。なお、昨年7月に譲渡制限付株式報酬としての新株式を発行したことにより、資本金および資本剰余金がそれぞれ47百万円増加しております。
この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は2.8%減少し、44.2%(前連結会計年度末は47.0%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前四半期純利益の計上、売上債権の回収および減価償却費を源泉とした収入はあったものの棚卸資産の増加および仕入債務の減少による運転資本の増加により、135億1千2百万円の支出(前年同期は27億1百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、開発・生産設備、ITシステムへの投資などにより61億9千万円の支出(同62億2千4百万円の支出)となりました。この結果、当第3四半期連結累計期間のフリー・キャッシュ・フローは197億3百万円の支出(同89億2千5百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払などがありましたが、金融機関から資金調達を行ったことにより、219億4千2百万円の収入(同34億5千8百万円の支出)となりました。
この結果、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末比23億8千7百万円増加し、165億9千万円となりました。
(3)会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
なお、当第3四半期連結累計期間における新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループ(当社および連結子会社)が定めている経営方針・経営戦略等について、重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループ(当社および連結子会社)が優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について、重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社および連結子会社)の研究開発活動の金額は、120億8千5百万円であります。なお、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。