【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものです。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間における国内景気については、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、緩やかな回復基調となったものの、資源価格の高騰や、円安の進行、世界的な金融引締めにともなう景気の下振れリスク等の影響が懸念され、先行きは依然不透明な状況です。
当社グループが属する情報サービス業界では、新たなビジネスモデルの創出や変革に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)関連のIT投資ニーズが底堅く、引き続き堅調に推移するものと見込まれます。
このような環境のなか、当社グループの業績は、システムマネジメント(注)、サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育およびITインフラが堅調に推移したため、売上高は78億19百万円(前年同期比7.2%増)となりました。
収益面においては、増収にともなう増益や、利益率の高いDX関連ビジネスの拡大などがあり、営業利益は8億23百万円(同30.7%増)、経常利益は8億84百万円(同32.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は5億14百万円(同37.8%増)となりました。EBITDAは、9億73百万円(同24.8%増)となりました。
(注):当第1四半期連結会計期間より、従来のサービス名「システム運営管理」を「システムマネジメント」に変更しています。なお、サービス名の変更は事業内容の変更をともなうものではありません。
なお、当社の事業セグメントは単一セグメントであり、サービスごとの業績を以下のとおり記載しています。
(単位:百万円)
前第1四半期
連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期
連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
前年同期比
増減額
増減率(%)
システムマネジメント
売上高
3,297
3,568
271
8.2
売上総利益
758
805
47
6.2
売上総利益率
23.0%
22.6%
△0.4P
―
ソフトウェア開発
売上高
2,746
2,784
38
1.4
売上総利益
611
583
△28
△4.6
売上総利益率
22.3%
20.9%
△1.4P
―
ITインフラ
売上高
593
694
100
16.9
売上総利益
151
241
90
59.5
売上総利益率
25.5%
34.8%
9.3P
―
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
売上高
542
712
170
31.4
売上総利益
150
235
85
57.2
売上総利益率
27.7%
33.1%
5.4P
―
その他
売上高
114
58
△56
△49.5
売上総利益
17
2
△14
△84.4
売上総利益率
15.0%
4.6%
△10.4P
―
合計
売上高
7,295
7,819
523
7.2
売上総利益
1,688
1,869
180
10.7
売上総利益率
23.1%
23.9%
0.8P
―
① システムマネジメント
大手ITベンダーへの営業強化による新規案件の受注や既存取引の拡大などにより、売上高は35億68百万円(同8.2%増)となりました。
② ソフトウェア開発
公共関連顧客における一部案件の終了があったものの、大手ITベンダーへの営業強化による取引の拡大や、運輸および金融関連顧客における受注拡大などにより、売上高は27億84百万円(同1.4%増)となりました。
③ ITインフラ
金融関連顧客における大型案件の受注や、製造関連顧客における取引の拡大などにより、売上高は6億94百万円(同16.9%増)となりました。
④ サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
コンサルティングおよびサイバーセキュリティにおける受注拡大などにより、売上高は7億12百万円(同31.4%増)となりました。
⑤ その他
製品販売における受注拡大があったものの、一部案件のサービス区分変更の影響などにより、売上高は58百万円(同49.5%減)となりました。
《経営施策の取組み状況》
当社グループは、前中期経営計画において、デジタル技術に精通した技術者育成と各領域におけるサービスの高度化に取り組み、今後に向けた成長基盤を構築しました。そして2023年3月期からは、
①「顧客のDX推進支援の強化」と「自社のソリューション開発」という当社DXポートフォリオに沿ったビジネスモデルの展開
②高付加価値創出に向けたパートナーシップの強化
③管理部門の高度化と事業部門への人材シフト
の3つの基本テーマをもとにさらなる収益性向上を図るべく、中期経営計画「Next 50 Episode Ⅱ『Ride on Time』」(2023年3月期~2025年3月期)を策定しました。
この中期経営計画では上記3つの基本テーマの実現に向けて、「ITサービス戦略」「人材戦略」「ニューノーマル戦略」「SDGs戦略」の4つの基本戦略を掲げています。
※BP(ビジネスパートナー):プロジェクトをともに遂行していただくITパートナー
① ITサービス戦略
ニーズの高い技術領域を定め、パートナー企業との連携による顧客のDX推進支援や成長分野を対象とした自社ソリューション開発に努めます。3月に鳥取大学と締結した共同研究契約をもとに、整形外科におけるX線画像診断AIシステムに関する研究を進めています。また、「ChatGPT」のAPIを利用した自社専用の対話型AIチャットボットサービス「IDコンシェルジュ」を開発、社内利用を進めることで業務効率化とグループ全社員のAIリテラシー強化を図るとともに、AIを活用した新規ビジネスの創出を目指します。
② 人材戦略
DXサービスの拡大や高付加価値化の実現に向けて、研修制度のさらなる充実を図り、中上級技術者および企画提案型人材の育成を加速させます。具体的な取組みとして、経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が策定した「デジタルスキル標準」をベースに、DXを推進する人材の役割(ロール)ごとの育成ロードマップを整理し社内に展開しています。また、ますます需要の高まるサイバーセキュリティ人材の育成を加速させるべく、技術者および営業職の社員約200名について、サイバー空間における実践的なセキュリティ演習が可能な外部講座の受講を開始します。
③ ニューノーマル戦略
社内基幹システムの刷新などによる業務の効率化・高度化に努めるとともに、スマートな管理部門の構築を図ります。グループ全体の生産性を向上させるための施策として、管理部門業務のデジタル化および部署間・業務間の連携自動化、情報の一元化などを継続的に進めています。各種取組みを通じて業務フローの最適化を実現し、管理部門の抜本的な改革に繋げていきます。
④ SDGs戦略
事業活動を通じてサステナビリティへの取組みを進め、「社会課題の解決」と「企業価値の向上」の好循環を目指します。人的資本経営にかかる取組みの可視化を目的として、グループ全体の人的資本情報や取組みをコーポレートサイトのサステナビリティ「人的資本経営に向けて」のページに公開しました。また、当社はサステナビリティにおけるマテリアリティのひとつに「人権尊重」を掲げており、さまざまな人が利用可能な「誰でもトイレ」を本社ビルに設置しました。さらに、社会貢献活動や文化芸術活動支援として、昨年度に引き続き「IDグループ献血DAY」、クラシックコンサートを開催しました。
(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当第1四半期連結会計期間末の資産の部は、契約資産の増加4億93百万円および未収入金の増加2億82百万円がありましたが、売掛金の減少17億5百万円などにより、前連結会計年度末に比べ9億29百万円減少し165億90百万円となりました。
(負債の部)
当第1四半期連結会計期間末の負債の部は、流動負債のその他が5億73百万円増加しましたが、短期借入金の減少7億円、賞与引当金の減少6億41百万円および未払法人税等の減少4億23百万円などにより、前連結会計年度末に比べ12億79百万円減少し58億7百万円となりました。
(純資産の部)
当第1四半期連結会計期間末の純資産の部は、期末配当金支払いにより4億26百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加5億14百万円、その他有価証券評価差額金の増加1億69百万円および為替換算調整勘定の増加78百万円などにより、前連結会計年度末に比べ3億50百万円増加し107億83百万円となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は26百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループのおもな資本の財源は、内部資金および金融機関からの借入です。当第1四半期連結会計期間末現在、短期借入金の残高は7億円、1年内返済予定の長期借入金の残高は3億16百万円、長期借入金の残高は3億円です。
なお、当社グループは、資金調達の機動性と効率性を高めるため、取引銀行5行と総額20億30百万円の当座貸越契約を締結しています。
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