【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における国内景気については、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展により行動制限が緩和され、経済活動の持直しが期待されたものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化にともなう資源価格の高騰や円安によるインフレの加速等が懸念され、先行きは依然不透明な状況です。
当社グループが属する情報サービス業界では、新たなビジネスモデルの創出や変革に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)関連のIT投資ニーズが底堅く、引き続き堅調に推移するものと見込まれます。また、新型コロナウイルスの影響は引き続き残るものの、顧客企業において抑制傾向にあったIT投資の回復基調が続いています。
このような環境のなか、当社グループの業績は、システム運営管理、ソフトウェア開発およびサイバーセキュリティ・コンサルティング・教育が堅調に推移したため、売上高は311億1百万円(前年同期比11.9%増)となりました。
収益面においては、従業員への還元やグループ組織変更により、売上原価の増加がありました。一方で、増収にともなう増益や、利益率の高いDX関連ビジネスの拡大、管理部門における業務効率化などがあり、営業利益は24億24百万円(同29.7%増)、経常利益は25億4百万円(同30.3%増)となりました。その結果、一部子会社における退職給付制度終了損1億12百万円などがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は14億2百万円(同34.1%増)となりました。EBITDAは、30億33百万円(同21.8%増)となりました。
これにより、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は2期連続で増収増益となり、いずれも過去最高を更新しました。
当社の事業セグメントは単一セグメントであり、サービスごとの業績を以下のとおり記載しています。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比
増減額
増減率(%)
システム運営管理
売上高
12,201
13,637
1,436
11.8
売上総利益
2,941
2,964
22
0.8
売上総利益率
24.1%
21.7%
△2.4P
―
ソフトウェア開発
売上高
10,542
11,458
916
8.7
売上総利益
2,325
2,535
209
9.0
売上総利益率
22.1%
22.1%
0.1P
―
ITインフラ
売上高
2,624
2,602
△21
△0.8
売上総利益
715
644
△71
△10.0
売上総利益率
27.3%
24.8%
△2.5P
―
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
売上高
2,081
2,934
852
41.0
売上総利益
563
621
57
10.2
売上総利益率
27.1%
21.2%
△5.9P
―
その他
売上高
355
467
111
31.3
売上総利益
121
36
△84
△69.7
売上総利益率
34.2%
7.9%
△26.3P
―
合計
売上高
27,805
31,101
3,295
11.9
売上総利益
6,668
6,802
134
2.0
売上総利益率
24.0%
21.9%
△2.1P
―
① システム運営管理
大手ITベンダーへの営業強化による取引の拡大や、金融関連既存顧客における受注拡大などにより、売上高は136億37百万円(同11.8%増)となりました。
② ソフトウェア開発
大手ITベンダーへの営業強化による取引の拡大や、運輸関連既存顧客において延期となっていた大型案件の再開、金融および公共関連既存顧客における受注拡大などにより、売上高は114億58百万円(同8.7%増)となりました。
③ ITインフラ
金融関連既存顧客における取引の拡大があったものの、公共関連既存顧客および情報通信における案件の収束などにより、売上高は26億2百万円(同0.8%減)となりました。
④ サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
サイバーセキュリティにおける受注拡大や製品の販売増にくわえ、コンサルティングにおける売上の増加などにより、売上高は29億34百万円(同41.0%増)となりました。
⑤ その他
製品販売における前期大口受注の反動減があったものの、データエントリーおよび製品販売における受注拡大などにより、売上高は4億67百万円(同31.3%増)となりました。
《経営施策の取組み状況》
当社グループは、前中期経営計画において、デジタル技術に精通した技術者育成と各領域におけるサービスの高度化に取り組み、今後に向けた成長基盤を構築しました。そして2023年3月期からは、
①「顧客のDX推進支援の強化」と「自社のソリューション開発」という当社DXポートフォリオに沿ったビジネスモデルの展開
②高付加価値創出に向けたパートナーシップの強化
③管理部門の高度化と事業部門への人材シフト
の3つの基本テーマをもとにさらなる収益性向上を図るべく、中期経営計画「Next 50 Episode Ⅱ 『Ride on Time』」(2023年3月期~2025年3月期)を策定しました。
この中期経営計画では上記3つの基本テーマの実現に向けて、「ITサービス戦略」「人材戦略」「ニューノーマル戦略」「SDGs戦略」の4つの基本戦略を掲げています。
なお、上記の中期経営計画につきましては、初年度の売上高、営業利益がいずれも当初の数値目標を大幅に超過し過去最高を更新、2年目の数値目標をも上回り、引き続き業績の堅調な推移が見込まれることから、数値目標の修正を実施しました。
※BP(ビジネスパートナー):プロジェクトをともに遂行していただくITパートナー
① ITサービス戦略
ニーズの高い技術領域を定め、パートナー企業との連携による顧客のDX推進支援や成長分野を対象とした自社ソリューション開発に努めます。顧客のBCP(事業継続計画)強化・効率化のニーズに対応するため、SaaS型システム運用サービス「Smart運用」を提供しています。さらに、時間と場所にとらわれない運用業務の実現に向けて、メタバースを活用したバーチャルオペレーションセンターの開発を進めています。また、サイバーセキュリティにフォーカスしたサービスブランド「ID-Ashura(IDアシュラ)」を立ち上げ、顧客のニーズに対応するために10月より、サイバー保険商品付帯の適用を開始しました。くわえて、米国サイバーセキュリティのリーディングカンパニーと戦略的提携を開始し、サイバーセキュリティ強化を目指す顧客の技術者養成を支援しています。
② 人材戦略
DXサービスの拡大や高付加価値化の実現に向けて、研修制度のさらなる充実を図り、中上級技術者および企画提案型人材の育成を加速させます。日本型ジョブディスクリプション制度の構築・運用のほか、社内システムを通じた技術ナレッジの社員間での共有を目指しています。具体的な取組みとして、開発部門がクラウド、ローコード、AIの育成プログラムを作成し、社員の資格取得を支援しています。また、DX関連研修環境を社員に提供し、その受講者数は当連結会計年度においてのべ437名となりました。
③ ニューノーマル戦略
社内基幹システムの刷新などによる業務の効率化・高度化に努めるとともに、スマートな管理部門の構築を図ります。グループ全体の生産性を向上させるため、情報共有基盤によるデータ一元管理や、ワークフローシステムの刷新検討など社内システムの適正化を進めています。また、管理部門要員の事業部門への再配置を進めるとともに、重複業務の削減や業務シェアの推進を行っています。
④ SDGs戦略
事業活動を通じてサステナビリティへの取組みを進め、「社会課題の解決」と「企業価値の向上」の好循環を目指します。鳥取県江府町と協定を締結し、行政におけるDX推進および地方共生へ取り組んでいるほか、本社ビルでの使用電力を再生可能エネルギーに変更し、当社グループの温室効果ガス排出量を大幅に削減しました。くわえて、子ども食堂への食品・絵本の寄附等の社会貢献活動やビーチクリーンボランティア等の環境保全活動、クラシックコンサート開催等の文化芸術活動支援を行っています。
また、ダイバーシティや人的資本開示への取組みが評価され、日経「スマートワーク経営」調査、「SDGs経営」調査において、それぞれ星3つ半、星3つに2年連続で認定されました。さらに、「健康経営」の観点では、とくに経営理念・方針や組織体制の側面が評価され、「健康経営優良法人 ~ホワイト500~」に4年連続で認定されました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ88百万円増加し、48億1百万円(前年同期比1.9%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は16億54百万円(前期は18億42百万円の資金増)となりました。
これはおもに、税金等調整前当期純利益23億31百万円、売上債権の増加額13億98百万円およびのれん償却額4億44百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3億60百万円(前期は9百万円の資金減)となりました。
これはおもに、定期預金の預入による支出1億45百万円、無形固定資産の取得による支出93百万円および投資有価証券の取得による支出77百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は12億75百万円(前期は18億89百万円の資金減)となりました。
これはおもに、長期借入金の返済による支出4億32百万円、配当金の支払額6億77百万円などによるものです。
生産、受注および販売の実績
当社グループは情報サービス事業の単一セグメントですが、当連結会計年度における生産実績、受注実績、販売実績をサービス別に示すと、次のとおりです。
(1)生産実績
サービスの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
システム運営管理
13,637,584
111.8
ソフトウェア開発
11,439,775
108.8
ITインフラ
2,602,777
101.7
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
2,931,793
136.6
その他
435,631
133.6
合計
31,047,562
111.9
(注)金額は、販売価格によっています。
(2)受注実績
サービスの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
システム運営管理
14,055,813
105.8
3,743,229
112.6
ソフトウェア開発
11,419,040
101.3
2,015,434
98.1
ITインフラ
2,539,709
96.0
560,436
89.9
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
3,026,556
145.4
440,170
126.5
その他
394,679
88.8
112,735
60.8
合計
31,435,798
105.7
6,872,006
105.1
(3)販売実績
サービスの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
システム運営管理
13,637,944
111.8
ソフトウェア開発
11,458,919
108.7
ITインフラ
2,602,815
99.2
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
2,934,271
141.0
その他
467,401
131.3
合計
31,101,353
111.9
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先が無いため、記載を省略しています。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先が無いため、記載を省略しています。
財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としています。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、とくに以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。
① 繰延税金資産
繰延税金資産は、今後の課税所得の予測等を踏まえその回収可能性を判断したうえで計上しています。
② 退職給付費用
従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。従業員退職給付費用および債務は、その前提として使用している割引率、報酬水準の増加率や従業員の平均残存勤務期間に影響されます。一部の連結子会社の確定給付企業年金制度においては、割引率を安全性の高い長期の債券の利回りにより決定しているほか、報酬水準の増加率および従業員の平均残存勤務期間については、これまでの実績値に基づき決定しています。
③ 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。
④ その他有価証券の減損処理
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客および金融機関に対するその他有価証券を所有しています。これらの株式および投資信託には価格変動性が高い上場会社の株式および時価のある投資信託と、株価の決定が困難である非上場会社の株式が含まれます。当社グループは投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、これら有価証券の減損処理を実施しています。上場会社の株式および時価のある投資信託は、期末日の時価が取得原価に比べ50%以上下落した有価証券については、期末後1年以内に時価が取得原価にほぼ近い水準に回復することを合理的な根拠で予測できる場合を除きすべて減損処理を行い、30~50%程度下落した有価証券については、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。また非上場会社の株式は原則として、評価損の計上を検討すべき一定の事項が発生し、且つ、当該会社の純資産額に対する当社グループ持分額が取得価額より50%以上下落し、回復可能性が明確でない場合には、減損処理を行うこととしています。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度の278億5百万円に対し32億95百万円増収の311億1百万円となりました。
サービス別の状況は第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「業績等の概要」(1) 業績をご参照ください。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度の211億37百万円に対し31億61百万円増加の242億98百万円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の47億99百万円に対し4億21百万円減少の43億77百万円となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度の18億69百万円に対し5億55百万円増加の24億24百万円となりました。
④ 営業外損益(純額)
当連結会計年度の営業外損益(純額)は、コミットメントライン手数料の減少などにより、前連結会計年度の53百万円の利益(純額)に対し25百万円増加の79百万円の利益(純額)となりました。
⑤ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度の19億22百万円に対し5億81百万円増加の25億4百万円となりました。
⑥ 特別損益(純額)
当連結会計年度の特別損益(純額)は、事業所閉鎖損失および退職給付制度終了損の計上などにより、前連結会計年度の14百万円の利益(純額)から1億72百万円の損失(純額)となりました。
⑦ 税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の19億36百万円に対し3億95百万円増加の23億31百万円の利益となりました。
⑧ 法人税等
当連結会計年度の法人税等は、前連結会計年度の8億81百万円に対し40百万円増加の9億22百万円となりました。
⑨ 非支配株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の8百万円に対し2百万円減少の6百万円の利益となりました。
⑩ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の10億46百万円に対し3億56百万円増加の14億2百万円の利益となりました。
(3)当連結会計年度末の財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末の資産の部は、のれんの償却による減少4億44百万円などがありましたが、売掛金の増加13億99百万円および現金及び預金の増加1億61百万円などにより、前連結会計年度末に比べ12億80百万円増加し175億19百万円となりました。
② 負債の部
当連結会計年度末の負債の部は、短期借入金の減少1億60百万円などがありましたが、買掛金の増加2億2百万円および賞与引当金の増加3億6百万円などにより、前連結会計年度末に比べ2億94百万円増加し70億87百万円となりました。
③ 純資産の部
当連結会計年度末の純資産の部は、期末および中間配当金支払による減少6億80百万円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の増加14億2百万円およびその他有価証券評価差額金の増加1億88百万円などにより、前連結会計年度末に比べ9億85百万円増加し104億32百万円となりました。
(4)資本の財源および資金の流動性についての分析
① 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度の18億42百万円より1億88百万円少ない16億54百万円の資金を獲得しました。これはおもに、売上債権の増減額が15億14百万円増加、税金等調整前当期純利益が3億95百万円増加、賞与引当金の増減額が2億74百万円増加およびその他流動資産の増減額が3億89百万円減少したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度の9百万円より3億50百万円多い、3億60百万円の資金を使用しました。これはおもに、定期預金の預入による支出が1億18百万円増加および定期預金の払戻による収入が1億80百万円減少したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度の18億89百万円より6億13百万円少ない12億75百万円の資金を使用しました。これはおもに、長期借入金の返済による支出が1億10百万円減少および自己株式の取得による支出が4億43百万円減少したことによるものです。
② 当社グループは現在、運転資金および設備投資資金につきましては、自己資金または借入により資金調達することとしています。当連結会計年度末現在、短期借入金の残高は14億円、1年内返済予定の長期借入金の残高は3億75百万円、長期借入金の残高は3億50百万円です。
なお、当社グループは、資金調達の機動性と効率性を高めるため、取引銀行5行と総額20億30百万円の当座貸越契約を締結しています。
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