【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものです。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間における国内景気については、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展により行動制限が緩和され、経済活動の持直しが期待されたものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化にともなう資源価格の高騰や円安によるインフレの加速等が懸念され、先行きは依然不透明な状況です。
当社グループが属する情報サービス業界では、新たなビジネスモデルの創出や変革に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)関連のIT投資ニーズが底堅く、引き続き堅調に推移するものと見込まれます。また、新型コロナウイルスの影響は引き続き残るものの、顧客企業において抑制傾向にあったIT投資の回復基調が続いています。
このような環境のなか、当社グループの業績は、ソフトウェア開発、システム運営管理およびサイバーセキュリティ・コンサルティング・教育が堅調に推移したため、売上高は148億61百万円(前年同期比11.4%増)となりました。
収益面においては、グループ組織変更にともなう売上原価の増加があったものの、利益率の高いDX関連ビジネスの拡大、増収にともなう増益などがあり、営業利益は11億55百万円(同63.9%増)、経常利益は12億9百万円(同63.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億80百万円(同81.5%増)となりました。EBITDAは、14億54百万円(同44.1%増)となりました。
なお、当社の事業セグメントは単一セグメントであり、サービスごとの業績を以下のとおり記載しています。
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
当第2四半期
連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
前年同期比
増減額
増減率(%)
システム運営管理
売上高
6,053
6,641
588
9.7
売上総利益
1,449
1,476
26
1.8
売上総利益率
24.0%
22.2%
△1.7P
―
ソフトウェア開発
売上高
4,988
5,647
659
13.2
売上総利益
1,096
1,210
114
10.4
売上総利益率
22.0%
21.4%
△0.5P
―
ITインフラ
売上高
1,221
1,228
7
0.6
売上総利益
292
310
17
6.1
売上総利益率
24.0%
25.3%
1.3P
―
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
売上高
960
1,130
169
17.7
売上総利益
315
315
0
0.2
売上総利益率
32.8%
27.9%
△4.9P
―
その他
売上高
116
212
96
82.4
売上総利益
2
10
7
265.8
売上総利益率
2.6%
5.1%
2.6P
―
合計
売上高
13,340
14,861
1,520
11.4
売上総利益
3,157
3,324
167
5.3
売上総利益率
23.7%
22.4%
△1.3P
―
① システム運営管理
大手ITベンダーへの営業強化による取引の拡大や、金融関連既存顧客における受注拡大などにより、売上高は66億41百万円(同9.7%増)となりました。
② ソフトウェア開発
金融関連既存顧客における案件の収束があったものの、大手ITベンダーへの営業強化による取引の拡大や、運輸関連既存顧客において延期となっていた大型案件の再開、公共関連既存顧客における受注拡大などにより、売上高は56億47百万円(同13.2%増)となりました。
③ ITインフラ
情報通信および公共関連既存顧客における案件の収束があったものの、金融関連をはじめとした複数の既存顧客における取引の拡大などにより、売上高は12億28百万円(同0.6%増)となりました。
④ サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
サイバーセキュリティにおける製品販売の増加や受注拡大にくわえ、コンサルティングにおける売上の増加などにより、売上高は11億30百万円(同17.7%増)となりました。
⑤ その他
データエントリーおよび製品販売における受注拡大などにより、売上高は2億12百万円(同82.4%増)となりました。
《経営施策の取組み状況》
当社グループは、前中期経営計画において、デジタル技術に精通した技術者育成と各領域におけるサービスの高度化に取り組み、今後に向けた成長基盤を構築しました。そして2023年3月期からは、
①「顧客のDX推進支援の強化」と「自社のソリューション開発」という当社DXポートフォリオに沿ったビジネスモデルの展開
②高付加価値創出に向けたパートナーシップの強化
③管理部門の高度化と事業部門への人財シフト
の3つの基本テーマをもとにさらなる収益性向上を図るべく、中期経営計画「Next 50 Episode Ⅱ 『Ride on Time』」(2023年3月期~2025年3月期)を策定しました。
この中期経営計画では上記3つの基本テーマの実現に向けて、「ITサービス戦略」「人財戦略」「ニューノーマル戦略」「SDGs戦略」の4つの基本戦略を掲げています。
※BP(ビジネスパートナー):プロジェクトをともに遂行していただくITパートナー
① ITサービス戦略
ニーズの高い技術領域を定め、パートナー企業との連携による顧客のDX推進支援や成長分野を対象とした自社ソリューション開発に努めます。顧客のBCP(事業継続計画)強化・効率化のニーズに対応するため、SaaS型システム運用サービス「Smart運用」の提供を開始しました。さらに、時間と場所にとらわれない運用業務の実現に向けて、メタバースを活用したバーチャルオペレーションセンターのPoC(概念実証)を開始しています。また、サイバーセキュリティにフォーカスしたサービスブランド「ID-Ashura(IDアシュラ)」を立ち上げました。
② 人財戦略
DXサービスの拡大や高付加価値化の実現に向けて、研修制度のさらなる充実を図り、中上級技術者および企画提案型人財の育成を加速させます。日本型ジョブディスクリプション制度の構築・運用のほか、社内システムを通じた技術ナレッジの社員間での共有を目指しています。具体的な取組みとして、開発部門がクラウド、ローコード、AIの育成プログラムを作成し、社員の資格取得を支援しています。また、DX関連研修環境を社員に提供し、その受講者数は当第2四半期連結累計期間においてのべ182名となりました。
③ ニューノーマル戦略
社内基幹システムの刷新などによる業務の効率化・高度化に努めるとともに、スマートな管理部門の構築を図ります。グループ全体の生産性を向上させるため、情報共有基盤によるデータ一元管理や、ワークフローシステムの刷新検討など社内システムの適正化を進めています。また、管理部門要員の事業部門への再配置を進めるとともに、重複業務の削減や業務シェアの推進を行っています。
④ SDGs戦略
事業活動を通じてサステナビリティへの取組みを進め、「社会課題の解決」と「企業価値の向上」の好循環を目指します。鳥取県江府町と協定を締結し、行政におけるDX推進および地方共生へ取り組んでいるほか、本社ビルでの使用電力を再生可能エネルギーに変更し、当社グループの温室効果ガス排出量を大幅に削減しました。さらに、子ども食堂への食品・絵本の寄附等の社会貢献活動やクラシックコンサート開催等の文化芸術活動支援を行っています。
(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当第2四半期連結会計期間末の資産の部は、契約資産の増加4億48百万円および投資有価証券の増加1億47百万円などがありましたが、現金及び預金の減少8億37百万円などにより、前連結会計年度末に比べ70百万円減少し161億68百万円となりました。
(負債の部)
当第2四半期連結会計期間末の負債の部は、契約負債の増加1億18百万円および賞与引当金の増加1億40百万円などがありましたが、有利子負債の減少7億78百万円などにより、前連結会計年度末に比べ6億16百万円減少し61億76百万円となりました。
(純資産の部)
当第2四半期連結会計期間末の純資産の部は、期末配当金支払いにより3億39百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加6億80百万円および為替換算調整勘定の増加1億32百万円などにより、前連結会計年度末に比べ5億45百万円増加し99億92百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前年同四半期連結会計期間末に比べ4億29百万円減少し、38億21百万円(前年同期比10.1%減)となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3億64百万円(前年同期は9億67百万円の資金増)となりました。これはおもに、税金等調整前四半期純利益12億5百万円、仕入債務の減少3億42百万円およびその他流動資産の増加4億80百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2億65百万円(前年同期は58百万円の資金減)となりました。これはおもに、定期預金の預入による支出1億31百万円および投資有価証券の取得による支出50百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は11億19百万円(前年同期は13億33百万円の資金減)となりました。これはおもに、短期借入金の純減少額5億60百万円、長期借入金の返済による支出2億16百万円および配当金の支払額3億41百万円(非支配株主への配当金の支払額を含む)などによるものです。
(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は29百万円です。おもな取組みは、スマートグラス活用・メタバース・NFT(Non-Fungible Tokens)の調査、高速セキュアコンテンツアクセスシステムに関する研究および開発などです。
また、先端IT技術の情報収集および研究のため、米国ベンチャーキャピタルや、ブロックチェーン技術に関連する高度技術を持つ株式会社Scalarへの出資を行っています。
なお、当社グループの報告セグメントは「情報サービス事業」の単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しています。
(6) 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループのおもな資本の財源は、内部資金および金融機関からの借入です。当第2四半期連結会計期間末現在、短期借入金の残高は10億円、1年内返済予定の長期借入金の残高は4億32百万円、長期借入金の残高は5億8百万円です。
なお、当社グループは、資金調達の機動性と効率性を高めるため、取引銀行5行と総額20億30百万円の当座貸越契約を締結しています。
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