【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第1四半期累計期間における世界経済は、景気は持ち直し基調にあるものの、欧米の金融引き締めや物価上昇による景気への影響が懸念されます。わが国経済においては、引き続き食糧・原油高や円安などにより消費者物価が上昇するなかで、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴うリバウンド需要などにより景気は回復基調にあります。
食品関連業界では、行楽需要や外国人観光客の増加により、中食・外食を中心に需要は堅調に推移しました。一方、コスト上昇により業界全体で価格改定が継続するなかで、消費者の多様化するニーズへの対応が求められます。また、鳥インフルエンザにより卵の供給不足が発生するなど、サプライチェーンマネジメントの重要性が改めて認識されました。
このような状況のなか、当社グループは、中期経営計画「Compass Rose 2024」(2022年度~2024年度)の達成に向けて、収益力の強化や資本効率の向上を図るとともに、環境対応やサプライチェーンの整備に注力するなど、サステナビリティ経営を推進し、社会的価値と経済的価値の向上に努めました。
この結果、グループ全体の売上高は、主力の加工食品事業や低温物流事業が好調に推移し、1,639億65百万円(前期比5.1%の増収)となりました。利益面では、原材料・仕入価格やエネルギーコストが上昇する中、価格改定の効果や業務改善を進めたことなどにより、営業利益は79億24百万円(前期比18.7%の増益)、経常利益は83億25百万円(前期比19.3%の増益)となりました。
特別利益は20百万円となる一方、特別損失は、固定資産除却損など総額は3億99百万円となりました。
以上により、親会社株主に帰属する四半期純利益は49億64百万円(前期比16.8%の増益)となりました。
《連結経営成績》
(単位:百万円)
当第1四半期
累計期間
前期比
増減率(%)
売上高
163,965
7,907
5.1
営業利益
7,924
1,247
18.7
経常利益
8,325
1,345
19.3
親会社株主に帰属する四半期純利益
4,964
712
16.8
(2) セグメント別の概況
(単位:百万円)
売上高
営業利益
(セグメント)
当第1四半期累計期間
前期比
増減率(%)
当第1四半期累計期間
前期比
増減率(%)
加工食品
71,522
5,706
8.7
3,795
818
27.5
水産
13,820
△2,153
△13.5
22
△82
△78.4
畜産
21,015
299
1.4
229
△8
△3.5
低温物流
61,304
4,012
7.0
3,969
578
17.0
不動産
1,120
7
0.7
420
△24
△5.5
その他
1,007
9
1.0
△89
△61
-
調整額
△5,825
24
-
△424
27
-
合 計
163,965
7,907
5.1
7,924
1,247
18.7
①
加工食品事業
売上高は、価格改定の浸透に加え、主力商品や新たな付加価値商品を拡販したことや、海外での売上げも寄与し増収となりました。営業利益は、原材料・仕入れコストなどの高騰によるコストアップが続くなか、価格改定効果などにより増益となりました。
(単位:百万円)
当第1四半期
累計期間
前期比
増減率(%)
売上高
計
71,522
5,706
8.7
家庭用調理品
20,811
1,482
7.7
業務用調理品
25,354
344
1.4
農産加工品
5,787
1,160
25.1
海外
15,677
2,561
19.5
その他
3,890
156
4.2
営業利益
3,795
818
27.5
(注)海外は2023年1月から2023年3月までの累計期間
家庭用調理品
米飯類は卵原料の供給不足により一時的に影響を受けたものの、「極上ハンバーグ」や「超メンチカツ」など食肉加工品が伸長したことに加え、主力のチキン加工品やお弁当向け商品の販売が好調に推移し、全体では増収となりました。
業務用調理品
人流の増加に伴い中食・外食需要が堅調に推移するなか、価格改定により一部商品の販売数量に影響があったものの、大手ユーザー向けのチキン加工品やコロッケ類が好調に推移したことなどにより、売上げは前期を上回りました。
農産加工品
家庭用は調達不足の解消により、主力の「そのまま使える 高原育ち®のブロッコリー」の取扱いが大きく回復しました。業務用は、外食向けを中心にポテト、コーン、枝豆等が伸長し、農産加工品全体では価格改定効果もあり増収となりました。
海外
米国子会社のInnovAsian Cuisine Enterprises社では、インフレによる消費減退の影響を受けるなか、家庭用主力商品において、昨年度に実施した価格改定や新商品投入効果があったほか、海外全体では円安による為替換算影響もあり増収となりました。
②
水産事業
低収益商材の削減を進めたことにより減収となりました。利益面では高収益商材や認証品の販売に注力するとともに、調達コストの増加に対応した販売価格の改定を進め収益性の改善に努めましたが、「魚卵」の取扱い減少により減益となりました。
③
畜産事業
販売価格の改定を進めたことや外食向けに加工品が伸長したことにより増収となりましたが、輸入冷凍品の調達コストが増加したことなどにより減益となりました。
④
低温物流事業
国内・海外ともに保管・運送需要を着実に取り込むとともに、継続するコスト高をサーチャージ収受や業務改善により吸収し増収・増益となりました。
(単位:百万円)
売上高
営業利益
当第1四半期
累計期間
前期比
増減率
(%)
当第1四半期
累計期間
前期比
増減率
(%)
国内小計
45,215
1,492
3.4
3,801
433
12.9
物流ネットワーク
29,305
981
3.5
1,793
257
16.8
地域保管
15,910
510
3.3
2,007
175
9.6
海外
15,574
2,736
21.3
569
215
61.1
その他・共通
514
△215
△29.6
△400
△70
–
合 計
61,304
4,012
7.0
3,969
578
17.0
(注)1 物流ネットワーク事業に地域保管事業の業務を一部移管したため、前期の数値を移管後の数値に組み替えて比較
2 海外は2023年1月から2023年3月までの累計期間
国内
新設拠点の稼働などによりTC(通過型センター)事業が堅調に推移したことや、大都市圏を中心に保管貨物の在庫量が高水準で推移したことなどにより増収となりました。利益面ではエネルギーコスト高騰の影響を電力及び燃料サーチャージの収受により吸収するとともに、業務効率化を推進し増益となりました。
海外
欧州地域において、コスト高騰に対応しサーチャージ収受や料金の適正化を進めたほか、港湾地区を中心に在庫量が高水準で推移したことや、クロスボーダー輸送などの運送業務が拡大したことにより増収・増益となりました。
(3) 財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結会計年度末
当第1四半期
連結会計期間末
比較増減
〔資産の部〕
流動資産
196,695
208,417
11,721
固定資産
260,637
266,693
6,055
資産合計
457,333
475,111
17,777
〔負債・純資産の部〕
流動負債
130,086
140,014
9,928
固定負債
93,733
93,955
222
負債合計
223,819
233,969
10,150
うち、有利子負債
(リース債務を除く)
114,580
(100,064)
120,045
(105,843)
5,465
(5,778)
純資産合計
233,513
241,141
7,627
(うち自己資本)
(224,443)
(231,708)
(7,265)
D/Eレシオ(倍)
(リース債務を除く)
0.5
(0.4)
0.5
(0.4)
0.0
(0.0)
(注)D/Eレシオの算出方法:有利子負債÷純資産
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末より177億円増加し、4,751億円となりました。このうち流動資産は、季節的要因による棚卸資産の増加などにより117億円増加し、2,084億円となりました。また、固定資産は、投資有価証券の時価評価額の増加などにより60億円増加し、2,666億円となりました。
負債合計は、前連結会計年度末より101億円増加し、2,339億円となりました。このうち流動負債は、短期借入金やコマーシャル・ペーパーの増加により99億円増加し、1,400億円となりました。また、固定負債は、繰延税金負債が増加したことなどにより2億円増加し、939億円となりました。なお、有利子負債は未払費用や配当金、法人税等の支払いによる資金需要から54億円増加し、1,200億円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末より76億円増加し、2,411億円となりました。このうち自己資本は、親会社株主に帰属する四半期純利益49億円の計上や配当金33億円の支払い、その他の包括利益累計額56億円の増加により72億円増加し、2,317億円となりました。
設備投資等の概要は次のとおりであります。
(単位:百万円)
前第1四半期
累計期間
当第1四半期
累計期間
比較増減
設備投資等
(うちリース資産除く)
4,486
(2,565)
6,893
(6,318)
2,406
(3,753)
減価償却費
(うちリース資産除く)
5,360
(4,467)
5,830
(4,943)
469
(476)
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、455百万円であります。
なお、2023年4月1日付けで、当社の基盤研究機能を株式会社ニチレイフーズに移管いたしました。