【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が解除されたことから回復が期待されておりましたが、変異株により再び感染者が増加に転じました。海外においては新規感染者の減少に伴い経済活動に持ち直しが見られておりましたが、ロシア・ウクライナ問題の長期化による資源高、急激な円安による調達コストの上昇等、経済活動の先行きは依然不透明な状況が続いております。
当社ユーザーにおきましては、国内および海外経済の動向が極めて不透明なことから、企業の設備投資への慎重姿勢が強くなってきております。
このような事業環境のなか、当社は新中期経営計画の初年度として、モノづくり力の基盤強化により、開発スピードの向上を図るとともに、高品質な製品やサービスをタイムリーに提供するためのしくみ作りに取り組んでまいりました。また、営業面におきましてもWebおよび対面を併用したデモの実施や商談促進等、ユーザーニーズに合わせた積極的な営業活動を展開してまいりました。
当連結会計年度における受注高は、前年同期において受注した高速道路向け設置型車両重量計の減少により、14,701百万円と前年同期に比べ4.0%の減少となりました。また、売上高は電子部品等の部品入手困難に伴う生産遅延等により、13,823百万円と前年同期に比べ4.7%の減収となりましたが、受注残高は汎用品を中心に前年同期に比べ19.1%増加いたしました。
利益につきましては、原価率は前年同期に比べ改善いたしましたが、展示会をはじめとした積極的な営業活動等により販売費及び一般管理費が増加し、営業利益は646百万円と前年同期に比べ25.1%の減益となりました。また、経常利益は753百万円と前年同期に比べ22.7%、親会社株主に帰属する当期純利益は576百万円と前年同期に比べ17.0%とそれぞれ減益となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(計測機器セグメント)
汎用品については、需要回復の兆しが見られたものの、電子部品をはじめとした各種部品等の供給遅れから生産停滞が発生し、売上高は測定器関連機器が1,526百万円と前年同期に比べ13.5%、センサ関連機器が4,110百万円と前年同期に比べ2.9%、それぞれ減収となりました。特注品関連機器(特定顧客向け製品)は、リピートセンサの端境期等により、売上高は2,256百万円と前年同期に比べ0.8%の減収となりました。システム製品関連機器は、高速鉄道向け台車温度検知装置およびダム関連機器が堅調に推移し、売上高は2,326百万円と前年同期に比べ1.2%の増収となりました。
保守・修理部門は機器修理が減少し、売上高は1,008百万円と前年同期に比べ3.0%の減収となりました。
以上その他を含め、計測機器セグメントは、売上高が12,646百万円と前年同期に比べ5.3%の減収となりました。また、セグメント利益(売上総利益)は4,577百万円と前年同期に比べ0.2%の増益となりました。(コンサルティングセグメント)コンサルティングセグメントは、各種計測業務の販売が堅調に推移し、売上高は1,176百万円と前年同期に比べ2.3%の増収となりました。また、セグメント利益(売上総利益)は446百万円と前年同期に比べ1.7%の減益となりました。
(資産の部)当連結会計年度末の資産合計は24,207百万円となり、前連結会計年度末に比べ165百万円の増加となりました。
流動資産は16,774百万円となり、前連結会計年度末に比べ527百万円の増加となりました。その主な要因は、棚卸資産が871百万円増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が367百万円減少したことによるものであります。
固定資産は7,432百万円となり、前連結会計年度末に比べ361百万円の減少となりました。その主な要因は、有形固定資産が279百万円、投資その他の資産が162百万円それぞれ減少したことによるものであります。(負債の部)当連結会計年度末の負債合計は7,153百万円となり、前連結会計年度末に比べ204百万円の増加となりました。
流動負債は5,124百万円となり、前連結会計年度末に比べ192百万円の増加となりました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が54百万円、流動負債その他に含まれている前受金が180百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は2,028百万円となり、前連結会計年度末に比べ11百万円の増加となりました。(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は17,053百万円と、前連結会計年度末に比べ38百万円の減少となりました。その主な要因は、利益剰余金が配当により303百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益による増加576百万円により、差し引きで272百万円増加した一方で、退職給付に係る調整累計額が220百万円、自己株式の取得で99百万円それぞれ減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の現金及び現金同等物は、7,354百万円と前連結会計年度末に比べ24百万円の増加となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益804百万円に加え減価償却費560百万円、売上債権の減少385百万円等の資金流入となりました。一方、退職給付に係る資産の増加182百万円、棚卸資産の増加863百万円、法人税等の支払279百万円等の資金流出がありました。その結果、全体では582百万円の資金流入となり、前連結会計年度に比べ1,368百万円の減少(△70.1%)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入82百万円等の資金流入となりました。一方、有形固定資産の取得154百万円、無形固定資産の取得139百万円等の資金流出がありました。その結果、全体では188百万円の資金流出となり、前連結会計年度に比べ8百万円の支出の増加(4.5%)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払302百万円、自己株式の取得100万円等の資金流出がありました。その結果、全体では448百万円の資金流出となり、前連結会計年度末に比べ152百万円の支出の減少(△25.4%)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
計測機器
13,000,658
100.6
(注) 金額は標準販売価格によっております。
b.受注状況当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
計測機器
13,501,245
95.2
5,132,281
120.0
コンサルティング
1,200,420
106.2
342,054
107.4
合計
14,701,666
96.0
5,474,335
119.1
c.販売実績当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
計測機器
12,646,437
94.7
コンサルティング
1,176,856
102.3
合計
13,823,294
95.3
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度において判断したものであります。① 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りの仮定のうち、重要なものについては、「第5
経理の状況
1
連結財務諸表等(1)連結財務諸表
注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度において当社グループは売上高15,000百万円、営業利益1,000百万円、経常利益1,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益700百万円を目標に掲げ、業績予想達成に注力してまいりました。外部環境につきましては、国内において新型コロナウイルス感染症による行動制限が解除されたことから回復が期待されておりましたが、変異株により再び感染者が増加に転じました。海外においては新規感染者の減少に伴い経済活動に持ち直しが見られておりましたが、ロシア・ウクライナ問題の長期化による資源高、急激な円安による調達コストの上昇等経済活動の先行きが不透明な状況が続きました。このような事業環境の中、電子部品等の入手困難に伴う生産遅延による売上高減少、展示会への出展再開をはじめ活動促進に伴う販売費及び一般管理費の増加等により営業利益が減少し、期中において売上高13,823百万円、営業利益646百万円、経常利益753百万円、親会社株主に帰属する当期純利益576百万円へと業績予想を修正いたしました。当連結会計年度の経営成績は売上高13,823百万円、営業利益646百万円、経常利益753百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は576百万円となり、当初の業績予想は全ての項目で未達となりました。今後につきましては、変異株による新型コロナウイルス感染者の増加やロシア・ウクライナ問題の長期化による資源高、急激な円安による調達コストの上昇等先行き不透明な状況が続くことが予想されますが、2022年度よりスタートした新中期経営計画の施策を着実に実行し、持続的な成長と企業価値向上につなげてまいります。③ 経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2
事業等のリスク」に記載のとおりであります。④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造に関する材料等の購入費や営業費用であります。設備投資資金需要の主なものは生産機器、開発用機器、試験機および情報機器等に関する設備投資であります。運転資金需要および設備投資資金需要の財源につきましては、自己資金および金融機関からの借入等を基本としております。また、借入枠1,750百万円のコミットメントライン契約により資金調達の効率化および安定化をはかっております。なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は1,770百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,354百万円となっております。