【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態および経営成績の状況当第3四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く事業環境につきましては、新型コロナウイルス(COVID-19)に伴なう行動制限が緩和され、経済活動の正常化で個人消費や設備投資、生産なども持ち直しの動きが見られたものの、電子部品や樹脂部品の調達難や原材料価格の高騰、物流混乱の常態化に加え、ウクライナ情勢の長期化や急激な物価上昇による需要減少など景気の先行きが不透明できわめて厳しい状況で推移しました。このような状況のなか、当社グループは当連結会計年度が最終年度となる中期事業計画「R1」に掲げた目標の達成に向けて、現行ビジネスの安定化と利益ある成長に向けた取り組みを推し進めております。部品調達難・物流混乱下においてもお客様への確実な製品供給に努めるとともに技術VEによるコスト削減、徹底的な経費削減など原材料価格高騰に対するレジリエンスの強化と販売価格の見直し、新規深耕開拓に取り組みました。また、ニッケル水素電池は大型蓄電池向けニッケル水素電池用極板の出荷、アルカリ乾電池はウルトラマンおよびウルトラセブンをデザインした乾電池の発売や連続放電性能を高めた新製品の開発、ミニ四駆ジャパンカップへの継続協賛など商品開発・販売促進に努めました。当第3四半期連結累計期間の経営成績につきましては、電池事業の売上高はリチウム電池が円安効果も加わって増加したものの、ニッケル水素電池の海外向け売上減やアルカリ乾電池の2021年3月期に実施した海外製造子会社株式譲渡に伴なう海外向け売上減、設備関連ビジネスが減少したことにより、事業全体として減収となりました。電子事業の売上高は各種モジュールやスイッチング電源などが増加したことにより、事業全体として増収となりました。この結果、売上高は前第3四半期連結累計期間に比べ11億93百万円(2.6%)増の468億14百万円となりました。損益面につきましては、電池事業は経費削減に加えて為替による利益増があったものの、原材料価格高騰の影響や売上減により、減益となりました。電子事業は為替による利益減がありましたが、各種モジュールの売上増による利益増により、増益となりました。この結果、営業利益は前第3四半期連結累計期間に比べ11億46百万円減少の8億20百万円、経常利益は1億40百万円の為替差益を営業外収益として計上したものの、前第3四半期連結累計期間に比べ9億36百万円減少の8億96百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は鳥取県からの補助金収入2億円を特別利益として計上しましたが、前第3四半期連結累計期間に4億59百万円の関係会社清算益を特別利益として計上したことや法人税等調整額の増加により前第3四半期連結累計期間に比べ14億3百万円減少の5億3百万円となりました。(注)ウルトラマンおよびウルトラセブンは株式会社円谷プロダクションの登録商標です。 ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
電池事業電池事業はリチウム電池が増加したものの、ニッケル水素電池とアルカリ乾電池、設備関連ビジネスが減少したことにより、前第3四半期連結累計期間を下回りました。製品別につきましては、ニッケル水素電池は、販売価格の見直しや円安効果もあったものの、海外の市販・工業用途向けが在庫調整やお客様側での部品調達難による所要減により、前第3四半期連結累計期間を下回りました。アルカリ乾電池は、2021年3月期に実施した海外製造子会社株式譲渡による海外向けや国内同業他社向けが減少したことにより、前第3四半期連結累計期間を下回りました。設備関連ビジネスは、販売機種の変化などにより、前第3四半期連結累計期間を下回りました。リチウム電池は、国内外で部品調達難による所要減がありましたが、国内外のセキュリティ・スマートメータ用途向けが堅調に推移し、さらに販売価格の見直しや円安効果も加わったことにより、前第3四半期連結累計期間を上回りました。この結果、当事業全体の売上高は、前第3四半期連結累計期間に比べ13億59百万円減少の310億4百万円、セグメント利益は13億46百万円減少の40百万円となりました。
電子事業電子事業は各種モジュールやスイッチング電源などが増加したことにより、前第3四半期連結累計期間を上回りました。製品別につきましては、各種モジュールは、モビリティ・タブレット用途向けが増加したことにより、前第3四半期連結累計期間を上回りました。スイッチング電源は、半導体装置用途向けが堅調に推移し、前年同期を上回りました。この結果、当事業全体の売上高は、前第3四半期連結累計期間に比べ25億52百万円増加の158億10百万円、セグメント利益は2億円増加の7億79百万円となりました。
当第3四半期連結会計期間の総資産は、前連結会計年度に比べ7億26百万円(1.5%)増の476億30百万円となりました。流動資産は前連結会計年度に比べ4億85百万円(1.5%)増の324億81百万円、固定資産は前連結会計年度に比べ2億40百万円(1.6%)増の151億48百万円となりました。流動資産増加の主な要因は、材料入手難による生産遅延や原材料価格の高騰、電子部品や樹脂部品の調達難に伴なう戦略的な先行手配などにより、原材料及び貯蔵品や仕掛品などの棚卸資産が9億80百万円増加したことによるものです。固定資産増加の主な要因は、有形固定資産が3億99百万円増加したことによるものです。当第3四半期連結会計期間の負債合計は、前連結会計年度に比べ66百万円(△0.2%)減の343億77百万円となりました。流動負債は前連結会計年度に比べ83百万円(△0.3%)減の313億66百万円、固定負債は前連結会計年度に比べ17百万円(0.6%)増の30億10百万円となりました。流動負債減少の主な要因は、支払手形及び買掛金等の仕入債務が増加した一方で、未払賞与などのその他流動負債が減少したことや、短期借入金の返済を進めたことによるものです。固定負債増加の主な要因は、退職給付に係る負債が減少した一方で、長期前受収益などのその他固定負債が3億9百万円増加したことによるものです。なお、有利子負債残高は、主に借入金の返済により前連結会計年度に比べ3億79百万円減の119億60百万円となりました。当第3四半期連結会計期間の純資産合計は、前連結会計年度に比べ7億93百万円(6.4%)増の132億53百万円となりました。純資産増加の主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が5億3百万円、為替換算調整勘定が87百万円、退職給付に係る調整累計額が2億9百万円、それぞれ増加したことによるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加や未払費用の減少などによる現金及び現金同等物(以下「資金」という)の減少はありましたが、税金等調整前四半期純利益や減価償却費の計上、売上債権の減少などにより24億23百万円の資金増加(前第3四半期連結累計期間は20億26百万円の資金増加)となりました。当第3四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、リチウム電池の増産対応をはじめとする有形固定資産の取得による支出などにより18億37百万円の資金減少(前第3四半期連結累計期間は33億36百万円の資金減少)となりました。当第3四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少などにより3億80百万円の資金減少(前第3四半期連結累計期間は27億63百万円の資金減少)となりました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間末の資金残高は期首残高より2億77百万円増加し、30億40百万円となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は5億26百万円であります。