【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第1四半期連結会計期間において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度との比較にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。
(1)経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが変更になるなど経済活動の正常化が進むなか、物価上昇や世界的な金融引き締めによる下振れが懸念されながらも、持ち直しの動きがみられました。
しかしながら、自動車や産業機械など関連産業においては、電子部品などの調達遅延の影響が続くなか、ウクライナ情勢の長期化や為替変動などによる原材料・エネルギー価格の高騰・高止まりもあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと当社グループにおきましては、「つながる&見える化で、新たなモビリティ ファクトリー インフラを攻略する」を基本方針に掲げ、工具事業を核とした成長戦略を展開し、収益・利益の拡大に努めてまいりました。とくに、収益性の改善に向け製品仕様の見直しや加工工法の改善、デジタル推進による業務の効率化など、全社一丸となってコストダウンに取り組んでまいりました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は20億5百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益は1億91百万円(前年同期比7.4%増)、経常利益は2億14百万円(前年同期比10.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては1億42百万円(前年同期比4.8%増)となりました。
事業セグメントごとの経営成績の概要につきましては、以下のとおりであります。
[工具事業]
主力の当事業部門では、「安全、快適、能率・効率、環境」をキーワードに、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓並びにブランド価値向上などの事業戦略を展開しております。
開発面では、「安全、快適、能率・効率、環境」を追求するR&Dコンセプト「新・工具大進化」の具現化に向けた製品・サービスを市場投入しております。その一翼を担うTRASAS(トレサス:TRAceable Sensing and Analysis System)シリーズは、IoT技術を搭載した工具や測定具、作業支援デバイス、これらのシステムソフトウェアで構成されており、作業データを無線でデバイスへ転送することで作業履歴の自動的な記録・管理・分析を可能にいたしました。引き続きTRASASシリーズのラインナップ拡充に努めるとともに、関連工具との組み合わせ技術で生まれる新たな価値を追求し市場投入してまいります。
また、時代が要求する課題を解決するため、お客様へのトータルサポートの実現に注力しております。主力の自動車整備業界においては、メカニックの高齢化や人手不足が問題視され、さらに物流の小口多頻度化などの環境変化による大型車の整備機会増加などに対応するため、作業負荷軽減や省力化に取り組んでおります。女性や高齢のメカニックでも、重労働かつ危険を伴う作業を安全に行うことができる専用工具や機器類を発売するなど、ラインナップの拡充に努めてまいります。
さらに、研究分野として、材料や構造・機構に関する新たな開発にも積極的に取り組み、「安全で、使う人や環境にやさしいツール」の製品化を通じ、多様性を認め合う持続可能な社会の実現を目指しております。
販売面では、工具メーカーとしてのノウハウと先進のテクノロジーを融合し、作業者の経験や勘に頼っていた作業の標準化と効率化を提案しております。具体的には、作業現場で確認できた課題やその対策案について、最適な作業工具や作業手順の改善ポイント、作業トレーサビリティの運用方針などを検討後、導入計画を策定し提案しております。TRASAS 戦略の更なる進化を図るため機構改革を実施したほか、様々な展示会への出展や作業現場に積極的に出向き課題解決策を提案するなど、特にTRASASシリーズの販売促進に取り組んでおります。
さらに、KTCものづくり技術館に開設したkDNA Studio(きずなスタジオ)やピットガレージにて収録した課題解決や新製品情報に関するウェビナーコンテンツをウェブメディア「KTC times」で配信することでお客様との対話を図り、TOR1KOツアーを再開し工場見学などのリアルな体験機会との融合による当社グループ特有のDXを推進し、よりスマートにより多くのお客様へソリューションを提供しております。
生産面では、「新・工具大進化」を支えるためのものづくり革新を進めており、人とロボットそれぞれの長所を活かした協働環境の運用を目指しております。具体的には、脱着作業などの単純な繰り返し作業は複数の加工設備に共用で使用可能な協働型ロボットが行い、人はより付加価値の高い作業へシフトすることが可能になりました。さらに、協働型自走式ロボットを活用し、人と協働できる独自の少人化ラインの展開を目指すなど、「ものづくりの最適化」を図り生産性の向上を推進してまいります。
また、当社グループは、ESGの取り組みとして「地球に、社会に、私たちができること」、「E(環境):地球環境に徹底的に貢献する」、「S(社会):あらゆるステークホルダーと共生する」、「G:持続可能な信頼される企業であり続ける」を基本方針とし、安全・安心で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを展開しております。加工工法の改善による生産現場の省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用推進、「技育(技術の教育)」を通じた産学連携による未来の技術者育成への貢献などの活動を通じて、環境、社会への貢献と企業発展を目指して積極的に取り組んでおります。
これらの結果、市販部門における一般産業市場向けの販売が堅調に推移した一方、調達コストの増加やエネルギー価格の高騰による影響があったものの全社挙げての経費削減活動の効果もあり、当第1四半期連結累計期間の売上高は19億44百万円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益は1億48百万円(前年同期比9.8%増)となりました。
[ファシリティマネジメント事業]
当事業部門では、所有不動産の有効活用を目指し、物件の整備、運営管理を推進しております。不動産の賃貸については、全ての物件で高い入居率を確保しております。引き続き入居者満足度の向上を図り、収益の安定化に取り組んでまいります。
当第1四半期連結累計期間におきましては、所有不動産や、石川県羽咋市の太陽光発電所の安定稼働により、売上高は61百万円(前年同期比0.2%減)、セグメント利益は43百万円(前年同期比0.1%減)となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、147億4百万円となり、前連結会計年度末に対し18百万円減少となりました。その主な内容は、投資有価証券が2億42百万円、商品及び製品が2億25百万円、電子記録債権が2億15百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が6億99百万円減少したことなどによるものであります。
負債合計は、33億12百万円となり、前連結会計年度末に対し2億29百万円減少となりました。その主な内容は、その他固定負債が81百万円増加した一方、未払金及び未払費用が1億77百万円、支払手形及び買掛金が90百万円、未払法人税等が65百万円減少したことなどによるものであります。
純資産合計は、113億92百万円となり、前連結会計年度末に対し2億10百万円増加となりました。その主な内容は、その他有価証券評価差額金が1億68百万円、利益剰余金が44百万円増加したことなどによるものであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、50百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。