【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の分析当第2四半期連結累計期間の国際的な経済情勢を見ますと、各国での金融引き締めの継続によりインフレの沈静化が進みつつある中で、ロシア・ウクライナ問題は長期化の様相を呈しており、依然として先行きの不透明な状況が続いています。このような情勢の中で当社グループは、開発面では、ハイパワー・長寿命・高耐久の「40Vmaxリチウムイオンバッテリ」(XGT)シリーズの電動工具・園芸用機器をはじめとした充電製品のラインアップ拡充に注力しました。生産面では、あらゆる製造工程内でムダ取りとコストダウン活動に努めるとともに、各工場での取り組みを他工場に横展開していくことで、グループ全体での効率向上に努めました。 営業面では、地域密着・顧客密着のサービス体制のレベルアップに注力し、世界各地域のお客さまとの信頼関係の更なる強化に努めるとともに、充電製品を軸とした市場の深耕・開拓に取り組みました。
当第2四半期連結累計期間の当社グループの連結業績は、各国での金融引き締めによる住宅需要の低迷及び建設・建築市場への投資の抑制により販売が低調に推移し、売上収益は前年同期比5.5%減の369,667百万円となりました。利益面においては、為替の影響などにより原価率が改善したことから、営業利益は前年同期比44.9%増の31,760百万円(営業利益率8.6%)となりました。税引前四半期利益は前年同期比64.7%増の30,036百万円(税引前四半期利益率8.1%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は87.9%増の20,816百万円(親会社の所有者に帰属する四半期利益率5.6%)となりました。
地域別の売上収益については、次の通りであります。なお、地域別売上収益は、それぞれの市場における売上収益を示しており、セグメント情報の売上収益(出荷元基準)とは異なります。国内では、住宅着工水準が低調に推移するなど需要環境が厳しい中で、注力している40Vmaxシリーズを中心に充電製品の拡販に努めたものの、前年同期比0.6%減の61,451百万円となりました。欧州では、原材料価格及び金利の高止まりにより建築市場が低迷しており、工具需要が低調に推移したことから、前年同期比0.7%減の176,164百万円となりました。北米では、金融引き締めにより低調な需要環境が継続しており、ホームセンター向けを中心に販売が減少したことから、前年同期比19.5%減の50,485百万円となりました。アジアでは、中国経済の減速が各国に波及したことで、総じて工具需要が低調に推移し、前年同期比22.8%減の22,407百万円となりました。中南米では、一部の国で金融引き締め緩和の動きがあったものの、全体として景気の停滞が続き、前年同期比0.3%減の24,317百万円となりました。オセアニアでは、高インフレと金融引き締めが継続し、個人消費の冷え込みにより販売が減少したことから、前年同期比5.7%減の27,474百万円となりました。中近東・アフリカでは、総じて建設・建築需要が堅調に推移したことから、前年同期比7.4%増の7,369百万円となりました。
(カーボンニュートラルへの取り組み)頻発する風水害など気候変動が社会に及ぼす影響が甚大になる中で、気候変動問題の解決に向けて企業が果たすべき役割はより重要なものとなっており、当社グループは「脱炭素社会への貢献」を特に優先して取り組む重要課題(マテリアリティ)として位置付けて取り組みを強化しております。そのため当社グループは現在、電動工具に次ぐ将来の事業の柱として、使用時に排ガスを出さない充電式の園芸用機器に注力し、脱炭素社会の実現に取り組んでいます。また、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向けて、自社の事業活動でのGHG排出量(Scope1、2)を2030年度までに2020年度比で50%削減し、2040年度までに実質ゼロとすること、サプライチェーン全体でのGHG排出量(Scope3)を2050年度までに実質ゼロとすることを目標として設定しています。2022年度において、Scope1、2のGHG排出量は前期比16.9%減の65,533t-CO₂となり、売上原単位では19.6%減の8.6t-CO₂/億円となりました。一方、Scope3のGHG排出量は販売台数及び生産台数の減少に伴い、23.5%減の5,556,933t-CO₂となり、売上原単位では26%減の726.7t-CO₂/億円となりました。GHG排出量の削減目標値の達成に向けて、引き続き再生可能エネルギーの活用及び事業活動における省エネルギー化に取り組んでいきます。
(2)地域別セグメントの業績セグメント情報は当社及び連結子会社の所在地に基づき決定されます。
日本セグメント当第2四半期連結累計期間の日本セグメントの売上収益は、前年同期比38.5%減の155,319百万円となりました。このうち、外部収益は、前年同期比6.4%減の69,676百万円(連結売上収益の18.8%)となりました。当第2四半期連結累計期間の日本セグメントの営業利益は、原価率の改善及び費用の減少により前年同期比219.8%増の15,732百万円となりました。
欧州セグメント当第2四半期連結累計期間の欧州セグメントの売上収益は、前年同期比1.8%減の182,747百万円となりました。このうち、外部収益は、前年同期比0.6%減の177,732百万円(連結売上収益の48.1%)となりました。当第2四半期連結累計期間の欧州セグメントの営業利益は、原価率の悪化及び費用の増加などにより前年同期比43.2%減の5,509百万円となりました。
北米セグメント当第2四半期連結累計期間の北米セグメントの売上収益は、前年同期比18.2%減の54,194百万円となりました。このうち、外部収益は、前年同期比18.8%減の51,991百万円(連結売上収益の14.1%)となりました。当第2四半期連結累計期間の北米セグメントの営業損失は、原価率の悪化などにより3,474百万円(前年同期営業利益411百万円)となりました。
アジアセグメント当第2四半期連結累計期間のアジアセグメントの売上収益は、前年同期比39.3%減の123,063百万円となりました。このうち、外部収益は、前年同期比12.4%減の16,312百万円(連結売上収益の4.4%)となりました。当第2四半期連結累計期間のアジアセグメントの営業利益は、費用の増加などにより前年同期比48.1%減の10,155百万円となりました。
その他の地域セグメント当第2四半期連結累計期間のその他の地域セグメントの売上収益は、前年同期比2.9%減の54,118百万円となりました。このうち、外部収益は、前年同期比2.7%減の53,956百万円(連結売上収益の14.6%)となりました。当第2四半期連結累計期間のその他の地域セグメントの営業利益は、費用の増加などにより前年同期比33.8%減の2,245百万円となりました。
(3)財政状態の分析資産合計は、前連結会計年度末に比べ64,300百万円減少し、1,035,051百万円となりました。主な要因は、棚卸資産の減少によるものです。負債合計は、前連結会計年度末に比べ120,804百万円減少し、202,848百万円となりました。主な要因は、借入金の減少によるものです。資本合計は、前連結会計年度末に比べ56,504百万円増加し、832,203百万円となりました。主な要因は、その他の資本の構成要素に含まれる在外営業活動体の換算差額の変動によるものです。
(4)キャッシュ・フローの状況営業活動の結果得られた資金は、棚卸資産の減少が多かったことなどにより116,192百万円となりました(前年同期は10,252百万円の支出)。投資活動の結果使用した資金は、固定資産の取得が減少したことなどにより前年同期に比べ5,908百万円減少し、14,526百万円となりました。財務活動の結果使用した資金は、短期借入金の返済などにより144,714百万円となりました(前年同期は78,634百万円の収入)。上記活動の結果及び為替レートの変動による影響により、当第2四半期連結会計期間末の当社グループの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の162,720百万円から35,169百万円減少して127,551百万円となりました。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発支出(無形資産に計上された開発費を含む)は前年同期比616百万円減の7,129百万円となりました。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。