【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で全連結会計年度との比較・分析を行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況」 「注記事項 (会計方針の変更)、及び(セグメント情報等)」をご参照ください。
(1) 経営成績当連結会計年度における当社を取り巻く事業環境は、新型コロナ感染症に係る行動規制の緩和や各国の政策に加え、ニューノーマルな環境の中で成長する業界や生産地移転等の新規投資により経済が堅調に推移する一方で、中国の上海を中心とするロックダウンの発動やゼロコロナ政策により経済活動に制約を受けました。また、半導体をはじめとする世界的な部品不足や物流混乱による製品供給への影響が続きました。当連結会計年度においては、市場回復期の需要取り込みや成長分野におけるシェア拡大など全社的に営業活動を展開するとともに、サプライチェーンの再構築に努めてまいりましたが、中国各地のゼロコロナ政策による設備投資需要の低迷や、第4四半期におけるアジア等新興国の外貨事情の悪化による購買の先送りなどにより、売上高は1,174億5千4百万円(対前年比16.0%増)となりました。利益面につきましては、売上に対する円安効果はありましたが、同時に海外の材料費や経費等の負担増となりました。また経済活動の回復に伴う成長分野や新興国市場の需要取り込みのための戦略的投資を継続する一方で、上期の中国工場のロックダウンなどによる工場稼働率の低下、原材料価格や物流費の高騰継続などコスト負担増に対応する値上げの遅れ、付加価値の高い事業ポートフォリオへの改善途上などにより、営業利益は28億5千8百万円(対前年比26.1%減)、経常利益は11億6千3百万円(対前年比66.2%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は7千8百万円(前年同期は21億5千4百万円の利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
縫製機器&システム事業
工業用ミシンでは、アパレル市場の需要回復取り込みや、サプライチェーンの整備に努めることで、主にアジア市場において売上は増加しましたが、中国各地でのゼロコロナ政策の影響、第4四半期のアジア等新興国の外貨事情の悪化による購買の先送りなどにより、縫製機器&システム事業全体の売上高は799億3千7百万円(対前年比26.5%増)に留まりました。利益面においては、全体の売上は伸びたものの、上期の中国工場のロックダウンなどによる工場稼働率の低下、諸コスト負担増に対応する値上げの遅れ、付加価値の高い事業ポートフォリオへの改善途上などにより、セグメント利益(経常利益)は1億1千9百万円(対前年比92.1%減)となりました。
産業機器&システム事業産業装置では、中国におけるゼロコロナ政策の影響による設備投資需要の低迷により売上は減少しました。一方、国内を中心とした受託加工等のグループ事業の売上は、お客様のサプライチェーン分断への対応など設備投資需要の高まりもあり堅調に推移しました。この結果、産業機器&システム事業全体の売上高は372億5千3百万円(対前年比1.5%減)となりました。利益面においては、産業装置の売上の下期における大幅な減少や戦略的投資の継続により、セグメント利益(経常利益)は19億4千2百万円(対前年比32.2%減)となりました。
その他その他の連結売上高は2億6千3百万円(対前連結会計年度比7.6%増)、セグメント利益(経常利益)は4千5百万円(対前連結会計年度比39.6%減)となりました。
(2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、資金効率向上の観点より預金を借入金返済に充当した一方で売上増加に伴い売掛金や棚卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ160億5千5百万円増加して1,451億6千9百万円となりました。負債は、借入金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ142億4千5百万円増加して1,076億8千7百万円となりました。純資産は、円安により為替換算調整勘定が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ18億9百万円増加して374億8千2百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における連結ベースでの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より16億5千5百万円減少して、49億1千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、146億4千1百万円の支出(前年同期は65億8千9百万円の支出)となりました。売上債権や棚卸資産の増加などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、49億3千万円の支出(前年同期は8億5千6百万円の支出)となりました。有形固定資産や新規の投資有価証券(関係会社株式)の取得による支出があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、174億8千5百万円の収入(前年同期は3億6千9百万円の支出)となりました。借入金の増加などによるものです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性当社グループの主な資金需要は、運転資金として原材料等の購入や製造費用、開発投資を含む販売費及び一般管理費の営業費用などであり、また、長期的資金として事業計画に基づく設備投資資金などがあります。これらの資金は自己資金及び金融機関等からの借入により調達することを方針としております。今後も盤石な事業基盤を構築すべく、積極的な開発投資、設備投資をしていくとともに、物流や生産効率の改善などにより、棚卸資産を圧縮することなどで、資金の効率化を図ってまいります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(6) 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
縫製機器&システム事業
59,564
+7.19
産業機器&システム事業
33,197
△6.41
合計
92,762
+1.89
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b. 受注実績当社グループ(当社及び連結子会社)は、主に見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
縫製機器&システム事業
79,937
+26.45
産業機器&システム事業
37,253
△1.53
その他
263
+7.59
合計
117,454
+15.96
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。