【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。経営成績における前年同四半期連結累計期間との比較及び財政状態における前連結会計年度末との比較については、当該会計基準等を適用する前の前連結会計年度の数値を用いて比較しております。(1)経営成績当第3四半期連結累計期間における当社を取り巻く事業環境は、新型コロナ感染症に係る行動規制の緩和や各国の政策に加え、ニューノーマルな環境の中で成長する業界や生産地移転等の新規投資により経済が堅調に推移する一方で、中国の上海を中心とするロックダウンの発動により経済活動に制約を受けました。また、半導体をはじめとする世界的な部品不足や原材料価格高騰、物流の混乱や運賃の高騰等により、製品供給や調達・物流コストへの影響が出るなど、先行き不透明な状況が続いております。一方で、AI/IoT/5G等技術革新の加速やAfterコロナ、サプライチェーン分断などを展望した市場/顧客の変化によるビジネス展開が進展しており、このようなニューノーマルな環境に対応した新しいビジネスモデル/経営基盤の構築が求められており、競合他社との競争も激化しております。また“持続可能な開発目標(SDGs)”を受け、長期的な展望で持続可能な社会の実現に向けた取り組みは社会全体で更に加速しております。このような事業環境の変化を踏まえ、当社は2020年から2022年までを計画期間とする中期計画の最終年度として、また3年先の2025年も見据え、各事業について投資とリターンを明確化し、中長期視点を踏まえ重点分野への投資を積極的に行うROIC経営を導入し、コスト構造改革による固定費の抑制、付加価値構造改革による事業領域拡大や新規顧客獲得など高付加価値分野の強化による収益の最大化に取り組んでおります。併せて、6つの変革(6X)で事業戦略と体制戦略の変革を強力に推し進めることで、成長軌道を加速しつつ、質的変換を図っております。※6つの変革=①成長性の期待できる市場とお客様の開拓、②収益力をアップする事業領域の拡大、③“持続可能な開発目標(SDGs)に向けた”経営の実現、④先端技術の活用によるイノベーティブな技術領域の拡大、⑤経営の5S(Simple、Slim、Speedy、Seamless、Smart)を軸とした生産体制及び管理(間接)業務体制の構築、⑥財務体質強化による自己資本強化と資産効率向上当第3四半期連結累計期間は、市場回復期の需要取り込みや成長分野におけるシェア拡大など全社的に営業活動を展開すると共に、サプライチェーンの再構築に努めてまいりましたが、特に第3四半期において中国におけるゼロコロナ政策の影響と投資需要の急激な落ち込みや、ノンアパレルの一部の分野での消費需要の落ち込みがあり、売上高は当初目論みには達せず、870億8千7百万円(対前年比19.1%増)となりました。利益面につきましては、売上に対する円安の効果はありましたが海外の材料費や経費等の負担増もあり、また経済活動の回復に伴う成長分野や新興国市場の需要の取り込みのための戦略経費の継続的な投下や、上期の中国のロックダウンの影響や部品調達難による工場稼働率の低下、部品価格や物流費の高騰継続によるコストの大幅な上昇などにより、営業利益は24億8千7百万円(対前年比17.2%減)、経常利益は20億3千5百万円(対前年比25.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は10億1千1百万円(対前年比39.0%減)となりました。
(主なセグメント別の概況)① 縫製機器&システム事業工業用ミシンでは、アパレル市場の需要回復を取り込むとともに、サプライチェーンの整備に努めることで、主にアジア市場において増加しましたが、ノンアパレルの一部の分野での消費需要の落ち込みがあり、また中国各地でのロックダウンの影響などにより、売上高は当初目論みには達せず、縫製機器&システム事業全体の売上高は599億3千8百万円(対前年比33.1%増)となりました。利益面においては、円安の効果はありましたが、上期の中国でのロックダウンの影響や部品調達難による工場稼働率の低下、部品価格や物流費の高騰継続によるコストの大幅な上昇などにより、セグメント利益(経常利益)は6億2千5百万円(対前年比62.7%減)となりました。
② 産業機器&システム事業産業装置では、特に第3四半期において中国におけるゼロコロナ政策の影響と投資需要の急激な落ち込みにより売上は減少しました。一方、国内を中心とした受託加工等のグループ事業の売上は、お客様のサプライチェーン分断への対応など設備投資需要の高まりもあり堅調に推移しました。この結果、産業機器&システム事業全体の売上高は269億5千7百万円(対前年比3.4%減)となりました。利益面においては、円安の効果はありましたが売上の第3四半期における大幅な減少や戦略経費の継続的な投下により、セグメント利益(経常利益)は14億9千8百万円(対前年比25.7%減)となりました。
(2) 財政状態当第3四半期連結会計期間末の総資産は、売上増加に伴い売掛金や棚卸資産が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ266億5千万円増加して1,557億6千5百万円となりました。負債は、借入金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ215億1千2百万円増加して1,149億5千5百万円となりました。純資産は、円安により為替換算調整勘定が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ51億3千7百万円増加して408億9百万円となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の総額は、36億3千万円であります。