【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に対する制限の緩和により、経済社会活動の正常化が進んだものの、ウクライナ情勢の長期化や円安等の影響による原材料価格の高騰、中国のゼロコロナ政策による各都市ロックダウンと緩和後の感染急拡大などサプライチェーンの混乱が続き、先行き不透明な状況で推移しました。また、エネルギー分野におきましては、2050年のカーボンニュートラルをはじめ、サステナブルな社会の実現に向けたGXの動きが活発化しており、これをさらに推進するためのDXも加速しております。 このような状況の中、当社グループは新中期経営計画(SEIKO IC2026)の基本方針である「企業活動・事業活動を通じた社会課題解決により、サステナブルな社会の実現に貢献する」のもと、「デジタル技術を活用した社会課題解決」「カーボンニュートラルへの取り組み」「One 正興によるグループ総合力の発揮」の3つの重点施策に取り組んでまいりました。 その結果、当連結会計年度の業績は、電力部門、情報部門、その他部門の電子制御機器分野が堅調に推移したことにより、受注高は29,174百万円(前期比 8.1%増)、売上高は25,007百万円(同 1.7%増)、営業利益は1,440百万円(同 2.5%増)、経常利益は1,612百万円(同 4.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,082百万円(同 2.5%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(電力部門) IT(情報技術)を活用した情報制御システム、発電・変電所向け受配電・制御装置や配電機器製品などが堅調に推移したものの、OT(制御・運用技術)関連が減少し、売上高は6,910百万円(前期比 6.5%減)となりましたが、生産効率向上や原価低減の取り組みなどにより、セグメント利益は672百万円(同 10.8%増)となりました。
(環境エネルギー部門) 国内公共分野において、サプライチェーンの混乱により電子部品など外部調達材料の入荷遅れが生じ、生産計画や現地工事が停滞したことに加え、材料価格の高騰、中国でのコロナ政策による活動制限などが影響し、売上高は10,916百万円(前期比 1.3%減)、セグメント利益は349百万円(同 18.0%減)となりました。
(情報部門) 港湾、ヘルスケア向けなどのサービス事業や、国内およびフィリピンでのシステム開発が堅調に推移したことにより、売上高は1,185百万円(前期比 0.3%増)となりましたが、セグメント利益は149百万円(同 4.5%減)となりました。
(サービス部門) 太陽光発電設備関連製品の大口案件により、売上高は3,975百万円(前期比 31.5%増)となりましたが、デジタル関連の売上が減少し利益率が低下したことにより、セグメント利益は25百万円(同 75.0%減)となりました。
(その他) 発電・変電所向け工事案件が堅調に推移したことや、制御機器関連製品の受注増加と販売価格の見直しにより、売上高は2,018百万円(前期比 4.2%増)、セグメント利益は244百万円(同 109.6%増)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,262百万円増加の28,055百万円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べ1,637百万円増加の16,490百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べ625百万円増加の11,565百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ473百万円増加の2,319百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により支出した資金は、79百万円(前連結会計年度は1,638百万円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益1,612百万円を計上したものの、電力部門及び環境部門において大型プロジェクトが進んだこと等で売上債権が1,788百万円増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により支出した資金は、498百万円(前連結会計年度は1,785百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得により476百万円支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により得られた資金は、1,040百万円(前連結会計年度は154百万円の獲得)となりました。これは、短期借入れによる収入1,754百万円があった一方で、長期借入金228百万円の返済や、配当金424百万円の支払い等により、支出が発生したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前期比(%)
電力部門
6,727
△7.3
環境エネルギー部門
10,979
+5.5
情報部門
1,172
△0.1
サービス部門
3,964
+29.2
その他
2,126
+19.2
合計
24,969
+5.4
(注)
1
セグメント間の取引については、相殺消去しております。2
金額は、販売価格によっております。3 金額には、仕入実績を含んでおります。
b. 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
電力部門
7,535
△1.2
5,752
+12.2
環境エネルギー部門
12,861
+3.1
12,977
+17.7
情報部門
1,224
+2.2
622
+7.1
サービス部門
5,011
+33.4
4,884
+27.0
その他
2,541
+31.1
1,023
+105.7
合計
29,174
+8.1
25,261
+19.8
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前期比(%)
電力部門
6,910
△6.5
環境エネルギー部門
10,916
△1.3
情報部門
1,185
+0.3
サービス部門
3,975
+31.5
その他
2,018
+4.2
合計
25,007
+1.7
(注)
1
セグメント間の取引については、相殺消去しております。2
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
九州電力㈱
6,992
28.4
5,851
23.4
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 重要な会計上の見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成において見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき会計上の見積りを行っております。特に、一定の期間にわたり進捗率に応じて充足される履行義務に係る収益の計上については、会計上の見積りが経営成績等に重要な影響を与えると判断しております。なお、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表作成において採用している重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析(流動資産) 当連結会計年度における流動資産の残高は19,365百万円(前連結会計年度は16,945百万円)となり、2,420百万円増加いたしました。 これは、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度は受取手形及び売掛金)の増加(12,155百万円から13,965百万円に増加)や、仕掛品が増加(1,621百万円から1,727百万円に増加)、その他に含まれる前渡金が増加(75百万円から242百万円に増加)したためであります。(固定資産) 当連結会計年度における固定資産の残高は8,689百万円(前連結会計年度は8,848百万円)となり、158百万円減少いたしました。 これは、主に有形固定資産が減少(5,399百万円から5,276百万円に減少)したためであります。
(流動負債) 当連結会計年度における流動負債の残高は13,167百万円(前連結会計年度は11,252百万円)となり、1,914百万円増加いたしました。 これは、主に短期借入金が増加(2,475百万円から4,253百万円に増加)、契約負債(前連結会計年度は前受金)が増加(431百万円から683百万円に増加)したためであります。
(固定負債) 当連結会計年度における固定負債の残高は3,322百万円(前連結会計年度は3,600百万円)となり、277百万円減少いたしました。
これは、主に長期借入金が減少(1,237百万円から1,009百万円に減少)したためであります。
(純資産) 当連結会計年度における純資産の残高は11,565百万円(前連結会計年度は10,940百万円)となり、625百万円増加いたしました。 これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が増加(5,570百万円から6,229百万円に増加)したためであります。
b. 経営成績の分析(売上高)当連結会計年度の売上高は25,007百万円(前期比 1.7%増)となり、前連結会計年度と比較して410百万円増加いたしました。セグメント別の売上高につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。(売上総利益)当連結会計年度における売上総利益は4,470百万円(前期比 1.3%増)となり、前連結会計年度と比較して55百万円増加し、売上総利益率は0.1ポイント減少し、17.9%となりました。これは主に環境エネルギー部門において材料価格が高騰したためであります。(営業利益)当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して21百万円増加し、3,030百万円(前期比 0.7%増)となりました。以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度と比較して34百万円増加し、1,440百万円(前期比 2.5%増)、営業利益率は5.8%となりました。(経常利益)当連結会計年度における営業外収益は、投資有価証券売却による収入が発生したこと等により、前連結会計年度と比較して51百万円増加し、234百万円(前期比 27.9%増)となりました。営業外費用は、利息の支払いが増加したこと等により、前連結会計年度と比較して13百万円増加し、63百万円(前期比 27.5%増)となりました。以上の結果、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度と比較して72百万円増加し、1,612百万円(前期比 4.7%増)となりました。(親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度における法人税等合計は、前連結会計年度と比較して45百万円増加し、529百万円(前期比 9.3%増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が増加したことや、税効果会計の評価見直しによる税負担の軽減効果がなくなったためであります。以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して26百万円増加し、1,082百万円(前期比 2.5%増)、ROEは0.4ポイント減少し、9.6%となりました。
c. 経営成績に重要な影響を与える要因について「2 事業等のリスク」に記載しております。
d. 資本の財源及び資金の流動性についての分析(キャッシュ・フローの分析)当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して473百万円増加し、2,319百万円となりました。なお、各キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。(資金需要)当社グループの資金需要は営業・生産活動に必要な運転資金の他に、設備投資及び研究開発費並びに配当支払いなどがあります。なお、重要な設備の新設等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画」に記載しております。(資金調達)当社グループは資金需要に対して、営業活動により獲得した資金を充当し、不足分については取引先金融機関から調達しております。