【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(経営成績等の状況の概要)当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染者数の増加が見られたものの、行動制限緩和などの政策の効果もあり、景気は一部緩やかに持ち直しの動きが見られました。一方で、物価高騰や供給面での制約などにより、景気の先行きは予断を許さない状況が続いております。物流業界においては、企業活動の持ち直しやネット通販市場の引続きの拡大傾向が見られるなど、物流需要は堅調に推移しているものの、ウクライナ情勢の長期化、不安定な為替動向や欧米経済の減速、エネルギー価格・商品価格の高騰など、今後の経営環境への影響は不透明な状況にあります。このような中、当社グループは、物流という社会インフラの責任ある担い手として、全従業員が一丸となって業務に取り組んでまいりました。当期は「中期経営計画2023」の最終年度となり、主に2021年10月より開始したインフラ会社向け資材調達3PL事業の通年化等による売上の増加、当期首より新たに連結開始した山神運輸工業株式会社の付加価値の高いエンジニアリング事業の増加、オフィスサービス事業の進展、2022年10月より新たに株式会社旅人の損益計算書を連結開始したこと等により、大幅増収増益となりました。当連結会計年度の業績は、売上高348億7百万円(前年同期比24.5%増)、営業利益19億8百万円(同29.3%増)、経常利益20億26百万円(同21.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億68百万円(同13.2%増)となっております。セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①運送事業当事業につきましては、売上高は210億21百万円(前年同期比22.0%増)となり、セグメント利益は23億37百万円(同30.0%増)となりました。これは主に、山神運輸工業株式会社を新規連結、事務所移転作業が増加したことによるものです。
②倉庫事業当事業につきましては、売上高は79億86百万円(前年同期比7.9%増)となり、セグメント利益は9億55百万円(同14.6%減)となりました。これは主に、三郷ロジスティクスセンターを2022年4月より開設したことにより売上が増加したものの、来期に向けた新規倉庫の開設や移設による費用の増加により、減益となりました。
③商品販売事業当事業につきましては、売上高は40億9百万円(前年同期比84.8%増)となり、セグメント利益は1億90百万円(同198.8%増)となりました。これは主に、2021年10月より資材販売業務を開始したことによるものです。
④ウエルフェア事業当事業につきましては、売上高は9億77百万円(前年同期比4.1%増)となり、セグメント利益は1億41百万円(同2.0%増)となりました。これは主に、福祉用具の貸出しにより売上が増加したことによるものです。
⑤その他当事業につきましては、主なものは労働者派遣事業や駐車場事業となりますが、売上高は8億13百万円(前年同期比294.0%増)となり、セグメント利益は1億11百万円(同1,028.0%増)となりました。これは主に、2022年10月より株式会社旅人を新規連結、インフラ会社向けの物流コンサルティング業務を受託したことによるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、34億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ44百万円増加いたしました。その内訳は、営業活動により得られた資金が6億65百万円(前年同期比55.2%減)、投資活動により使用した資金が13億35百万円(同33.3%増)、財務活動により得られた資金が7億14百万円(前年同期は1億7百万円の支出)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られた資金は、6億65百万円(前年同期は14億84百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益20億12百万円、減価償却費5億83百万円、法人税等の支払額7億42百万円、売上債権の増加による減少額8億60百万円と、棚卸資産の増加による減少額2億6百万円、仕入債務の増加による増加額1億49百万円によるものです。なお、前連結会計年度末に比べ、8億19百万円減少しましたが、これは業容拡大に伴う売上債権の増加、大型3PLセンター開設に伴う立替金の発生等によるもので、売上債権及び立替金は、短期的に回収が予定されており、営業活動によるキャッシュ・フローは健全な状況にあります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により使用した資金は、13億35百万円(前年同期は10億1百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出3億36百万円、差入保証金の差入による支出5億86百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出3億21百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により得られた資金は、7億14百万円(前年同期は1億7百万円の支出)となりました。これは長期借入による収入10億円、長期借入金の返済による支出4億64百万円、短期借入金の増加額6億円、配当金の支払による支出3億38百万円によるものです。
(3) 生産、受注及び販売の実績当社グループの主たる事業内容である物流事業(運送事業、倉庫事業)については、受注生産形態はとっておりません。当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
運送事業
21,021,030
22.0
倉庫事業
7,986,736
7.9
商品販売事業
4,009,160
84.8
ウエルフェア事業
977,137
4.1
その他
813,641
294.0
合計
34,807,706
24.5
なお、主な相手先の販売実績につきましては次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年4月1日至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
日本生命保険相互会社
3,185,934
11.4
3,618,657
10.4
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたりまして、判断及び仮定を使用することが必要となる金額については、過去の実績や状況に応じ判断、仮定、情報の適切性及び金額の妥当性に留意した上で会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。なお、連結財務諸表作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ①財政状態の分析(資産)当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ30億86百万円増加し、212億26百万円となりました。資産の主要科目の増減は、営業未収入金及び契約資産が8億85百万円増加、商品が2億1百万円増加、のれんが株式会社旅人を子会社化したことにより3億49百万円増加、投資有価証券が1億60百万円増加、差入保証金が7億57百万円増加となりました。
(負債)当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ20億78百万円増加し、103億55百万円となりました。負債の主要科目の増減は、営業未払金が1億57百万円増加、短期借入金が6億円増加、未払金が3億99百万円増加、長期借入金が6億29百万円増加となりました。
(純資産)当連結会計年度末の純資産につきましては、利益剰余金の増加等により前連結会計年度末に比べ10億7百万円増加し、108億70百万円となり、自己資本比率は51.2%となりました。
②経営成績の分析
前連結会計年度
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
売上高
(千円)
27,953,344
34,807,706
経常利益
(千円)
1,670,913
2,026,916
親会社株主に帰属する当期純利益
(千円)
1,120,671
1,268,522
(売上高)当連結会計年度は、2021年10月より開始した資材3PL事業の通年化や、当期首より山神運輸工業株式会社の連結を開始したこと、オフィスサービス事業の進展、2022年10月より株式会社旅人を連結開始したこと等により、売上高は348億7百万円(前年同期比24.5%増)となりました。
(経常利益)当連結会計年度の経常利益は、大型3PLセンターを開設に伴う設備投資や、成長事業への人材投資等が発生しているものの、業容拡大、経費削減への取組や業務効率化を推進したこと等により、20億26百万円(同21.3%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産除却損の計上による影響等により、12億68百万円(同13.2%増)となりました。
③キャッシュ・フローの分析キャッシュ・フローの分析は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績業及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性について当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、運送事業における人件費や燃油費、設備投資においては車輛運搬具や情報設備等の購入、倉庫施設の改修及び設備面における作業効率改善、既存設備等のメンテナンスと入替のための費用があります。これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応する方針であり、主に短期的な運転資金は銀行等金融機関からの短期借入により調達し、設備投資等に要する資金は銀行等金融機関からの長期借入により調達する方針です。また、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行と当座貸越契約を締結しております。2023年3月31日現在の短期借入金の残高は16億30百万円、長期借入金(1年以内に返済予定のものを含む。)の残高は21億15百万円であります。株主還元につきましては、安定配当かつ利益還元を重視しつつ、長期的かつ安定的な事業展開に必要な内部留保の充実を図りながら、これを総合的に勘案して決定することとしており、連結配当性向は30%を目標水準としております。上記の基本に基づき、当期の配当金につきましては、1株につき30円としております。
(3) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等物流業界においては、ウクライナ情勢の長期化、不安定な為替動向や欧米経済の減速、エネルギー価格・商品価格の高騰など、今後も不透明な経営環境が続くものと予想されます。このような認識のもと、当社グループは、新たに中期経営計画2026(2023年5月12日公表)を掲げ、新中期経営計画では、前中期経営計画で獲得した「成長の礎」を糧に飛躍する3年と位置付けております。初年度となる2024年3月期につきましては、大手e-コマース社向け新規3PL業務を受託したことに伴い、2023年4月に千葉県流山市に14,870坪の「流山ロジスティクスセンター」、兵庫県西宮市に5,519坪の「鳴尾浜ロジスティクスセンター」に加え、大阪府茨木市に5,392坪の「北大阪ロジスティクスセンター」を開設しました。また、前期の下半期期首より連結を開始した株式会社旅人の連結期間が通年化する結果、売上高に関しましては、360億円(前年同期比3.4%増)を見込んでおります。利益に関しましては、上記大型3PLセンター開設に伴う初期投資費用や、成長事業への人材投資などが予定されていますが、業容拡大による収益源の増加や、既存事業において利益率の改善が進み、グループ全体の収益性が向上したことなどにより、営業利益は20億円(前年同期比4.8%増)、経常利益は21億円(同3.6%増)、当期純利益は13億20百万円(同4.1%増)を見込んでおります。
(4) 経営戦略の現状と見通し「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 会社の対処すべき課題」に記載しております。
(5) 経営者の問題意識と今後の方針について物流業界は、規制緩和が進み業者間の競争が厳しさを増しており、また働き方改革関連法に伴う2024年問題、特にドライバーなど労働力人口の減少への対応が急務であります。さらには、制度や法改正による企業倫理や安全・環境問題への対応など、企業として果たすべき責任が大きくなっております。当社グループは、「安全」と「安心」を大切にして物流事業を通じ社会に奉仕するすることをスローガンに、①商品・サービスの使命、②社会的使命、③経済的使命の3つの使命を経営理念として株主価値の向上を図り、社会に貢献できる会社を目指しております。 なお、コンプライアンス全体を統括する組織として社長を委員長とする「コンプライアンス・リスク管理委員会」を設置するとともに、「法令遵守マニュアル」を制定し、コンプライアンス体制の整備及び問題点の把握に努め、内部管理体制の一層の充実を図ることで法令遵守及び交通安全対策などに積極的に対応する方針であります。また、サステナビリティ全体を統括する組織として社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し気候変動問題や人権の尊重などの取組みを着実に推進してまいります。さらに、財務報告の信頼性を確保するため、「財務報告に係る内部統制の整備・運用及び評価の取扱い」を定めており、関係規程、役員及び従業員の意識向上、内部監査制度の充実等を図り、財務報告に係る内部統制の有効かつ適 切な運用・管理に努めております。
#C9029JP #ヒガシトゥエンティワン #陸運業セクター