【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループ(当社および連結子会社等)が判断したものであります。
(1) 財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて5,143百万円増加し、198,986百万円となりました。このうち流動資産につきましては、5,579百万円増加し、141,002百万円となりました。この主な要因は、前期末の売上債権の回収や借入金の増加で、「現金及び預金」が増加したことによるものであります。固定資産につきましては、435百万円減少し、57,983百万円となりました。これは、主に「繰延税金資産」が減少したことによるものであります。負債の部につきましては、当社における「長期借入金」の増加などにより、前連結会計年度末に比べて2,942百万円増加し、84,403百万円となりました。純資産の部につきましては、2,200百万円増加し、114,582百万円となり、自己資本比率は53.0%となりました。
(2) 経営成績の分析当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復しています。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格上昇、欧米諸国での金融引締めに伴う為替市場への影響、中国経済の先行き懸念など、依然として先行きは不透明な状況が続いています。当社グループが展開するサービスを取り巻く環境は、生成AIやメタバースなど、進展するデジタル技術や長引く人手不足などを背景に、引き続き、アウトソーシングサービスに対する底堅い需要が続いています。特に、コロナ禍で再認識されたデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上に向けた課題解決につながるサービスへの需要が高まっています。このような状況の中、当社グループは、社会インフラとして積極的に展開してきた政府・自治体・民間企業が推進する新型コロナウイルス感染症対策に関連する業務支援が縮小したことによる業績への影響はあったものの、引き続き、拡大するサービス需要に向けて、お客様企業の経営、事業の変革を支援するCXサービス・BPOサービスを積極的に展開しました。また、本年度より始動した「新中期経営計画2023-2025」の各施策を推進しました。事業モデルのプラットフォーム化の施策では、これまでさまざまな顧客接点チャネルのデータを収集・分析・活用するサービスを提供してきた独自のCXプラットフォーム「TCI-DX for Support」において、コンタクトセンター・SNS・チャットに蓄積されるVOC(Voice of Customer:顧客の声)を起点に、顧客体験上で経験するさまざまな顧客接点のデータを統合的に分析する技術を開発し、データ活用技術の特許を取得しました(特許番号:特許7319478号)。このデータ活用技術を用いることで、従来よりも分析にかかる時間を大幅に短縮、さらにはコミュニケーションチャネルを横断してユーザーが自己解決しやすい環境を提供し、総課題解決時間30%削減の実現を目指します。ユーザーの自己解決促進により企業のサポートコスト削減に寄与するとともに、抽出された課題をマーケティング活動に活かすことで売上拡大にも貢献します。また、上場企業における2023年3月期以降の有価証券報告書上での人的資本情報開示義務化に伴い、人的資本情報を可視化する「HCMアナリティクスプラットフォーム」サービスの提供を開始しました。現状の可視化と継続的な情報収集・分析により、人的資本情報開示に伴うお客様企業の企業価値向上を支援します。新規事業開発・R&D推進の施策では、主に生成AIとメタバースを活用したサービスの開発と推進に取り組みました。具体的には、顧客接点のデジタルフロントをすべてカバーする「TCI-DXサービス」の強化へ向けて、膨大なデータを高い精度で要約することや、自然な会話で応答することが可能なOpenAI社のChatGPTを活用したサービスの開発を推進しました。ChatGPTに代表される生成AIを効率よく、安心・安全に活用できるよう、独自のチューニング、学習手法、運用技術の開発を行い、デジタルコンタクトセンターサービスおよびデジタルマーケティングサービスの高度化を実現します。また、自社で提供しているサポートデスク支援ツール「Quick Support Cloud」に、生成AIを活用した「Quick Support Cloud with GAI」のサービス提供を開始しました。これにより、サポートデスク利用者が求めている回答を均一な品質で素早く提供することが可能となり、また、教師データ生成による人的工数削減、記載内容の安定化、処理時間の短縮も実現し、お客様企業の業務最適化を実現します。その他、企業の新たなコミュニケーションを創出する取り組みとしてメタバースを活用したサービスの実証実験に取り組んでおり、導入支援実績も増加しつつあります。グローバルの市場成長に応える体制強化に向けた施策では、中国において最先端の技術を用いたソフトウェア開発を行う天津霆客計算機信息技術有限公司(英語社名:TianJin Tinkers Computer Information Technology Co.,Ltd.、以下、TINKERS)と資本業務提携を締結しました。トランスコスモスグループの大規模な開発力と運用力、TINKERSの最先端の技術力を融合し、お客様企業に最先端の技術を用いたソフトウェア開発を提供します。また、米国市場向けのニアショアサイトとして、英語・スペイン語サービスへの対応を強化するため、メキシコに新たなオペレーションセンター「メキシコシティセンター」を開設しました。トランスコスモスグループがアジア市場で展開してきた事業基盤・オフショア体制も活用し、米州において事業拡大とともにグローバル市場での事業モデルの構築に取り組んでいきます。以上の結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、コロナ関連業務の反動減の影響などで、売上高180,047百万円となり前年同期比1.8%の減収となりました。利益につきましては、単体サービスでのサービス進化、デジタル技術活用、グローバル拡大など中期成長に向けた先行的な投資を実施した影響などで一時的に収益性が低下し、営業利益は5,841百万円となり前年同期比54.0%の減益、経常利益は7,290百万円となり前年同期比43.7%の減益、親会社株主に帰属する四半期純利益は4,388百万円となり前年同期比44.7%の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(単体サービス)当社におけるアウトソーシングサービス事業等につきましては、コロナ関連業務以外のサービスは、堅調な売上成長を継続するも、コロナ関連業務の反動減や、中期成長に向けた先行的な投資を実施した影響などで一時的に収益性が低下し、売上高は117,604百万円と前年同期比4.4%の減収となり、セグメント利益は、3,726百万円と前年同期比59.6%の減益となりました。(国内関係会社)国内関係会社につきましては、システム開発子会社、一部の上場子会社の売上増加などにより、売上高は21,062百万円と前年同期比1.1%の増収となりました。一方、損益については、上場子会社およびそのグループ会社の収益性が低下した影響などにより、1,191百万円と前年同期比44.7%の減益となりました。(海外関係会社)海外関係会社につきましては、ASEAN子会社における売上増加などにより、売上高は47,346百万円と前年同期比4.1%の増収となりました。一方、損益については、ASEAN子会社は収益性が向上したものの、韓国子会社において一部案件の業務量減少や、人件費上昇などにより、セグメント利益は932百万円と前年同期比29.6%の減益となりました。
なお、セグメント利益につきましては、四半期連結損益計算書における営業利益をベースにしております。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ1,141百万円収入が減少し、11,342百万円の収入となりました。この主な要因は、「税金等調整前四半期純利益」が減少したことであります。投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ1,293百万円支出が減少し、2,356百万円の支出となりました。この主な要因は、「差入保証金の差入による支出」や「有形固定資産の取得による支出」が減少したことであります。財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ17,324百万円支出が減少し、1,007百万円の支出となりました。この主な要因は、「長期借入金の返済による支出」が減少したことや「長期借入れによる収入」が増加したことであります。以上の結果、現金及び現金同等物の当第2四半期連結累計期間末残高は、前連結会計年度末に比べて8,932百万円増加し、58,299百万円となりました。
(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は63百万円であります。
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