【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループ(当社および連結子会社等)が判断したものであります。
(1) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて19,376百万円減少し、199,078百万円となりました。このうち流動資産につきましては、11,350百万円減少し、139,639百万円となりました。これは、主に借入金の返済による「現金及び預金」の減少や、前期末の売上債権の回収等により「受取手形、売掛金及び契約資産」が減少したことなどによるものであります。固定資産につきましては、8,026百万円減少し、59,439百万円となりました。これは、保有上場株式の時価評価により「投資有価証券」が減少したことによるものであります。負債の部につきましては、「1年内返済予定の長期借入金」の返済による減少などにより前連結会計年度末に比べて15,627百万円減少し、81,947百万円となりました。純資産の部につきましては、3,749百万円減少し、117,131百万円となり、自己資本比率は54.5%となりました。
(2) 経営成績の分析当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する感染防止対策が浸透する中、経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染者数の再拡大や、ウクライナ情勢の長期化による資源価格上昇、世界的な金融引締め等を背景とした急激な円安や物価高騰など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。当社グループが展開するサービスを取り巻く環境は、引き続き、業務の効率化やコスト競争力の強化、売上拡大などに繋がるアウトソーシングサービスに対する底堅い需要に加え、コロナ禍において、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やECをはじめとする非接触販売チャネルの拡大、テレワーク・BCP対策などに対応するサービスへのニーズが高まっています。また、不特定多数のユーザーによって投稿された書き込みや、画像・動画などのインターネット上のコンテンツを監視するコンテンツモデレーション業務などのニーズも高まっています。このような状況の中、当社グループは、大規模な業務実行能力を活かし、社会インフラとして、コロナ禍で政府・自治体・民間企業が推進する諸政策に関連する業務支援を展開してきました。社会ニーズの落ち着きとともに、緊急性の高い一部業務においては縮小するなどの影響が出てきましたが、アウトソーシングサービスに対する底堅い需要を捉え、デジタルトランスフォーメーションパートナーとして企業の経営、事業の変革を支援するDECサービス・BPOサービスを積極的に展開し受注拡大につなげております。また、変化する企業ニーズに対応したサービスや、加速するDX需要に対応していくためのサービスの創出・展開、組織体制の強化などに取り組んでおります。具体的には、ユーザーとのコンタクトポイントとなるソーシャルメディアの運用や、コンタクトセンターでのコール、チャット運用で蓄積されるさまざまなVOC(Voice of Customer)をチャネル横断的に一元管理する仕組みを提供し、CXアナリストが戦術化してデジタルマーケティングの課題解決をお客様企業に提案、改善を実現する「VOCマーケティング」の提供を開始しました。コンタクトセンター領域からデジタルマーケティング領域まで横断してサービスを提供できるトランスコスモスならではの強みを活かし、お客様企業のCX改善を支援します。また、地域課題解決に向けたローカル5Gの開発実証実験(総務省「令和4年度 課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」)事業における医療分野の採択事業者に選定されました。新型コロナウイルス感染症などでひっ迫した救命救急医療現場への導入や医師の働き方改革のための法改正にあわせた新しい地域医療提供体制への貢献を目指します。さらに、BPO事業の拡大に伴い、国内70拠点目のBPO拠点として新たに「BPOセンター札幌狸小路イースト」を設立しました。当センターでは、ノンボイスチャネルとDXソリューションを活用したヘルプデスクを中心に、DXが進む環境において最適なITサポートサービスを提供し、お客様の企業活動を支援します。海外では、国内外のオペレーション拠点を連携させた、グローバルなTrust & Safetyサービスの提供を開始し、本サービスを提供するための専門拠点として、新たにインドネシアに「スマラン第二センター」を開設しました。Trust & Safetyサービスとは、ソーシャル、ゲーム、ライブストリーミング、マーケットプレイスのためのユーザー生成コンテンツモデレーションを対象に、有害なコンテンツを特定・削除し、より安全で信頼性の高い体験を実現するもので、当社の専門チームが有人による監視を行い、お客様企業のコンテンツをより健全・良好な状態に保ち、企業とユーザーの双方を保護します。また、マレーシアおよびシンガポール向けの越境ECサービスにおいて、事前調査や顧客獲得を目的としたライブコマースの提供を開始しました。越境のため、現地での取扱登録・免許が必要な化粧品などの商品でも登録なしで販売ができ、大幅な投資が不要のためテストマーケティングにも活用することが可能となります。なお、当社のデジタル技術を活用したサービスモデルへの取り組みが社会のDX推進に貢献していることが評価され、2022年6月に経済産業省と東京証券取引所が選出する「DX銘柄2022」において、「DX注目企業2022」として選定されました。以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高276,037百万円となり前年同期比6.9%の増収となりました。利益につきましては、不透明な経済環境の中、民間企業中心に売上は拡大したものの、収益性が低下したことなどにより、営業利益は17,235百万円となり前年同期比10.0%の減益、経常利益は16,777百万円となり前年同期比11.3%の減益、親会社株主に帰属する四半期純利益は9,979百万円となり前年同期比28.6%の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(単体サービス)当社における新型コロナ関連業務を除く既存事業の受注増加などにより、売上高は183,355百万円と前年同期比4.0%の増収となりました。セグメント利益は、不透明な経済環境の中、民間企業中心に売上は拡大したものの、収益性が低下したことなどにより、12,334百万円と前年同期比9.6%の減益となりました。(国内関係会社)国内関係会社につきましては、一部の上場子会社やBPOサービス事業子会社の受注増加などにより、売上高は32,013百万円と前年同期比8.9%の増収となり、セグメント利益につきましては、一部のBPOサービス事業子会社の利益増加などにより、3,074百万円と前年同期比9.4%の増益となりました。(海外関係会社)海外関係会社につきましては、韓国・東南アジア・中国各子会社における受注増加などにより、売上高は69,785百万円と前年同期比14.9%の増収となりました。一方、損益については、主に中国子会社で為替の影響等により一時的に採算性が悪化したことにより、セグメント利益は1,849百万円と前年同期比30.9%の減益となりました。
なお、セグメント利益につきましては、四半期連結損益計算書における営業利益をベースにしております。
(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は110百万円であります。
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