【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社グループは第1四半期連結会計期間から、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前第3四半期連結累計期間及び前連結会計年度の数値もIFRSベースに組み替えて比較分析を行っております。
(1) 経営成績の分析当第3四半期連結累計期間のわが国経済は、緩やかに持ち直しておりますが、世界的な金融引き締めなどによる海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクがあり、先行き不透明な状況が続いております。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における新型コロナウイルスの感染動向に十分注意する必要があります。企業収益は一部に弱さが見られるものの総じてみれば改善しており、顧客企業におけるシステム投資については、緩やかな増加となりました。
当社グループは、2021-2025年度中期事業方針(2021年4月公表)に基づき、「デジタル製造業」「プラットフォーマー支援」「デジタルワークプレースソリューション」「ITアウトソーシング」の4領域について事業成長を牽引する「注力領域」として定め、お客様のDX推進に伴うニーズを最大限に獲得し、事業拡大に取り組んでおります。デジタル製造業領域につきましては、日本製鉄㈱向けに、各製鉄所製造拠点データを一元管理する無線IoTセンサ活用プラットフォーム「NS-IoT」を構築し、設備の早期異常検知を目的とした実運用を4月より開始したほか、経営情報やKPIをリアルタイムに把握し的確なアクションを可能とする統合データプラットフォーム「NS-Lib」を構築するなど、同社のDX推進に向けた取り組みを進めてまいりました。また、この中で活用した当社の統合データマネジメントプラットフォーム「DATAOPTERYX(データオプテリクス)」についてDXを推進する企業様向けに提供を開始し、製薬企業と共同で統合データ利活用基盤を構築いたしました。加えて、製造業のお客様向けには、工場内の天井クレーンの遠隔運転の実現に向けたローカル5Gソリューション「nsraven(エヌエスレイヴン)」の提供を開始するなど、製造現場のDX推進支援を進めてまいりました。この他、成長に向けた取り組みとして、DXニーズへの対応強化を図るべく、AI領域での対応力・業務プロセスのデジタル化支援及びデータ利活用領域等に強みを持つ企業との資本業務提携や戦略的パートナーシップの契約締結を行いました。加えて、電力取引・リスク管理サービス「Enepharos(エネファロス)」、金融機関向けクラウド活用最適化サービス「FINARCH(フィナーチ)」、食品業界の需給計画業務DXを支援するクラウドサービス「PPPlan(ピーピープラン)」、従業員エンゲージメントの向上を狙うキャリアリフレクションツール「なやさぽ」等の新規ソリューション開発にも取り組みました。
サステナビリティ経営の推進にあたっては、当社が目指す社会的存在意義のパーパスを起点に価値創造プロセスを整理し、5つのマテリアリティを定め、取り組んでおります。マテリアリティの一つである「環境負荷低減」については、TCFD提言へ賛同を表明しGHG排出量削減目標を定め、その実現に資する取り組みを進めております。また、当社グループの人権方針を策定し、「多様な人材が活躍できる場の創出」への取り組みも進めており、LGBTQ+などの性的マイノリティに関する取り組みの評価指標である「PRIDE指標2022」で最高位の「ゴールド」を受賞しました。この他、小学校高学年向けに製鉄の生産管理をテーマとしたプログラミング学習コンテンツを日本製鉄㈱と共同開発し、出張授業を行うなどのプログラミング教育活動の実施や、中高生をはじめとした若年層の金融リテラシー向上を支援する取り組みを開始するなど、豊かな社会づくりに向けてESGの観点から様々な事業活動に取り組んでおります。これらの取り組みの結果、ESG投資のための株価指数である「FTSE4Good Index Series」及び「FTSE Blossom Japan Index」に加え、新たに「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄に選定されました。
当第3四半期連結累計期間の売上収益は、金融分野での規制対応案件などの反動減があったものの、プラットフォーマー向けが堅調に推移したことに加え、官公庁向け基盤構築案件や日本製鉄及び日本製鉄グループ向けの増があったことから、206,780百万円と前年同期(195,618百万円)と比べ11,162百万円の増収となりました。税引前四半期利益は、DX加速投資、事業基盤強化投資により販売費及び一般管理費が増加したことから、22,588百万円と前年同期(22,631百万円)と同水準となりました。
当第3四半期連結累計期間をサービス分野別(業務ソリューション、サービスソリューション)に概観しますと、以下のとおりであります。
(業務ソリューション)業務ソリューションにつきましては、金融分野での規制対応案件の反動減があったものの、産業、流通・サービス分野においてプラットフォーマー向けが堅調に推移したことに加え、公共・公益分野での官公庁向け基盤構築案件での増があったことにより、当第3四半期連結累計期間の売上収益は133,251百万円と前年同期(127,014百万円)と比べ6,237百万円の増収となりました。
(サービスソリューション)サービスソリューションにつきましては、ITインフラ分野での増に加え、鉄鋼分野における日本製鉄㈱及び日本製鉄グループ向けの増により、当第3四半期連結累計期間の売上収益は73,528百万円と前年同期(68,603百万円)と比べ4,925百万円の増収となりました。
(2) 財政状態の分析①財政状態計算書1) 資産当第3四半期連結会計期間末の資産については、前連結会計年度末325,764百万円から17,686百万円減少し、308,077百万円となりました。主な内訳は、その他の金融資産の減少△13,515百万円等であります。
2) 負債当第3四半期連結会計期間末の負債については、前連結会計年度末121,194百万円から17,955百万円減少し、103,238百万円となりました。主な内訳は、リース負債の減少△5,593百万円、繰延税金負債の減少△5,017百万円、その他の流動負債に含まれる未払賞与の減少△4,908百万円等であります。
3) 資本当第3四半期連結会計期間末の資本については、前連結会計年度末204,569百万円から269百万円増加し、204,839百万円となりました。主な内訳は、四半期利益15,612百万円、その他の包括利益△8,613百万円、配当金の支払△6,703百万円等であります。その結果、親会社所有者帰属持分比率は64.2%となりました。
②資本の財源、資金の流動性に係る情報(基本方針)当社グループは将来にわたり競争力を維持強化し、企業価値を高めていくことが重要と考えております。そのため、進展するDXニーズの着実な取り込み、高付加価値事業と総合的な企業価値の持続的向上、優秀な人材の獲得・育成の一層の強化、内部統制・リスクマネジメント徹底の継続等による事業成長に伴う資金需要及び広域災害等の事業リスクに備えて内部留保を確保するとともに、利益配分につきましては株主の皆様に対する適正かつ安定的な配当等を行うことを基本としております。配当につきましては、連結業績に応じた利益還元を重視し連結配当性向30%を目安といたします。
(資金需要及び資金調達の主な内容)当社グループの主要な資金需要は、材料費、外注費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等であります。これらの資金需要につきましては自己資金により充当しております。手許の運転資金につきましては、当社及び一部の国内子会社において当社のキャッシュマネージメントシステム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理をしております。また、当社は、日本製鉄㈱のCMSを利用しており、当第3四半期連結会計期間末における預入額82,070百万円を現金及び現金同等物に含めて表示しております。突発的な資金需要に対しては、大手各行及び親会社である日本製鉄㈱に対し当座借越枠を確保することにより、流動性リスクに備えております。
(3) キャッシュ・フローの分析(キャッシュ・フロー計算書)当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、89,864百万円となりました。前第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の増減額が6,810百万円であったのに対し、当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の増減額は△5,842百万円になりました。各活動区分別には以下のとおりであります。
1)営業活動によるキャッシュ・フロー前第3四半期連結累計期間は、税引前四半期利益22,631百万円、減価償却費及び償却費8,563百万円、営業債権及びその他の債権の増減額13,803百万円、契約資産の増減額△4,961百万円、棚卸資産の増減額△4,664百万円、営業債務及びその他の債務の増減額2,679百万円、未払賞与の増減額△4,608百万円、法人所得税等の支払額△7,306百万円等により24,481百万円となりました。一方、当第3四半期連結累計期間は、税引前四半期利益22,588百万円、減価償却費及び償却費9,396百万円、営業債権及びその他の債権の増減額10,573百万円、契約資産の増減額△10,925百万円、棚卸資産の増減額△6,633百万円、営業債務及びその他の債務の増減額2,795百万円、未払賞与の増減額△4,921百万円、法人所得税等の支払額△10,915百万円等により9,371百万円となりました。
2)投資活動によるキャッシュ・フロー前第3四半期連結累計期間は、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△3,612百万円、その他の金融資産の取得による支出△3,054百万円等により△6,851百万円となりました。一方、当第3四半期連結累計期間は、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△3,270百万円、その他の金融資産の取得による支出△4,745百万円、その他の金融資産の売却及び償還による収入5,504百万円等により△2,612百万円となりました。
3)財務活動によるキャッシュ・フロー前第3四半期連結累計期間は、リース負債の返済による支払額△5,444百万円、配当金の支払額△5,261百万円等により△10,924百万円となりました。一方、当第3四半期連結累計期間は、リース負債の返済による支払額△6,114百万円、配当金の支払額△6,496百万円等により△12,868百万円となりました。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は1,654百万円であります。
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