【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループが事業を展開しているインターネット広告市場は、引き続き拡大を続けております。「2022年日本の広告費」(株式会社電通調べ)によると、2022年のインターネット広告費は前年から14.3%増加して3兆912億円に到達し、2兆円を突破した2019年からわずか3年間で約1兆円の伸長を遂げております。
このような経営環境のもと、当社グループは、「発想力と技術力で社会にダイナミズムをもたらすユニークな事業開発会社になる」という経営理念のもと、2023年3月期の経営方針として、アセット強化による事業拡大の基盤作りに向けた「データ連携の拡大」「アドテクノロジー・マーケティングソリューションの提供価値の拡大」「Cookieレス対応」「構造改革の完了」「デジタルソリューションの事業拡大/DTCの立ち上げ」を経営方針として取り組みました。
当連結会計年度は、売上高においては、アドテクノロジーが堅調に推移するも、マーケティングソリューション、デジタルソリューションの減収により、当連結会計年度は減収となりました。また、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純損失は組織再編によるコスト削減を実施するも、減収等の影響により減益となりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ182,046千円減少し、8,137,267千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ514,331千円減少し、3,409,797千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ332,284千円増加し、4,727,470千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は11,788,842千円(前期比11.8%減)、営業利益は17,257千円(前期比86.4%減)、経常損失は14,351千円、親会社株主に帰属する当期純損失は117,095千円となりました。
当社グループはマーケティングテクノロジー事業の単一セグメントでありますが、取扱いサービス別の売上高の概況は次のとおりであります。
1.アドテクノロジー
広告主の広告配信効果を最適化するための広告買付プラットフォームであるDSP「Logicad」の提供を行っております。当連結会計年度は、堅調に推移し、アドテクノロジーの売上前期比0.8%増の7,083,070千円となりました。
2.マーケティングソリューション
広告主と媒体を限定したクローズド型アフィリエイト「SCAN(スキャン)」の提供を行っております。当連結会計年度は、メディアデータを軸としたソリューション事業の売却等に伴い、マーケティングソリューションの売上は前期比28.7%減の2,822,586千円となりました。
3.デジタルソリューション
ルビー・グループ株式会社では、ラグジュアリーブランド向けEコマースの構築・運営・コンサルティングを提供しております。株式会社ASAではWebサイト、モバイル(Webアプリケーションなど)をはじめとするデジタルコンテンツの制作及び開発を行っています。株式会社ゼータ・ブリッジでは音声、画像認識技術を持ち、全国各地のテレビCMデータの販売などのプロモーション関連領域でサービスを提供しております。当連結会計年度では子会社のルビー・グループ株式会社のEC手数料の減少等の影響により、デジタルソリューションの売上は前期20.6%減の1,843,105千円となりました。
4.その他
テレビ番組表ポータル「テレビ王国」の広告枠の企画及び販売事業を行っております。当連結会計年度は、「テレビ王国」の広告売上の減少等の影響により、その他の売上は前期比26.9%減の40,080千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動及び財務活動による収入が投資活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べ319,843千円増加し2,597,647千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、税金等調整前当期純損失16,131千円、減価償却費589,264千円、のれん償却額166,340千円、顧客関連資産償却額63,700千円を計上した一方で、売上債権が43,158千円、仕入債務が17,798千円減少、法人税等の支払額161,571千円がありました。その結果、営業活動により得られた資金は703,803千円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、ソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出が588,139千円、造作・サーバー等の有形固定資産の取得による支出が39,284千円となりました。その結果、投資活動により使用した資金は597,286千円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、長期借入金の返済による支出が230,632千円、株式の発行による収入が437,037千円となりました。その結果、財務活動により増加した資金は204,170千円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、マーケティングテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載は省略しております。
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
サービスの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
アドテクノロジー
7,083,070
0.8%
マーケティングソリューション
2,822,586
△28.7%
デジタルソリューション
1,843,105
△20.6%
その他
40,080
△26.9%
合計
11,788,842
△11.8%
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(子会社への投資及びのれんの減損判定)
子会社への投資及びのれんについては、事業環境や将来の業績見通しの悪化、事業戦略の変化等、減損の判定が必要となる兆候が発生した場合に減損の判定を行っており、減損判定時には、事業計画の達成状況を検討し、報告単位の事業計画を基礎とした見積将来キャッシュ・フローに基づくインカムアプローチ(現在価値技法)により実質価額を算定しています。子会社への投資及びのれんの減損判定における報告単位の実質価額の算定は、その性質上、判断をともなうものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。これらの見積り・前提条件に変更があった場合、子会社への投資及びのれんの減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における流動資産は、4,696,385千円となり、前連結会計年度末に比べ105,883千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が319,843千円増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が208,675千円減少したことによるものであります。固定資産は3,440,882千円となり、前連結会計年度末に比べ287,930千円減少いたしました。これは主に、のれんが166,340千円、顧客関連資産が63,700千円、長期繰延税金資産が58,878千円減少したことによるものであります。
その結果、総資産は8,137,267千円となり、前連結会計年度末に比べ182,046千円減少いたしました。
(負債合計)
当連結会計年度末における流動負債は1,944,742千円となり、前連結会計年度末に比べ254,701千円減少いたしました。これは主に、買掛金が145,929千円、未払法人税等が35,804千円減少したことによるものであります。固定負債は1,465,055千円となり、前連結会計年度末に比べ259,629千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が226,704千円減少したことによるものであります。
その結果、負債合計は3,409,797千円となり、前連結会計年度末に比べ514,331千円減少いたしました。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は4,727,470千円となり、前連結会計年度末に比べ332,284千円増加いたしました。これは主に、資本金及び資本剰余金が447,036千円増加したことによるものであります。
その結果、自己資本比率は57.7%(前連結会計年度末は52.6%)となりました。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度は、アドテクノロジーが堅調に推移するも、マーケティングソリューション、デジタルソリューションの減収により減収となりました。以上の結果、売上高は11,788,842千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は9,182,225千円となりました。これは主に売上の減少にともなう仕入費用の減少によるものです。この結果、売上総利益は2,605,553千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
販売費及び一般管理費は2,588,295千円となりました。これは主に事業再編の実施にともなう給与等の発生が減少によるものであります。この結果、営業利益は17,257千円となりました。
営業外収益は28,966千円、営業外費用は60,575千円発生しており、経常損失は14,351千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等を85,791千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は117,095千円となりました。
当社グループはマーケティングテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の区分による分析は省略しております。
3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、広告枠の仕入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としては、主にソフトウエア開発にかかる無形固定資産投資、サーバー等の有形固定資産の取得によるものであります。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備資金については主に、内部資金により調達しております。また、金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結することで、手許流動性を確保しております。
c.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
当連結会計年度は、売上高において、第4四半期は回復基調にあったものの、期初計画を下回って着地いたしました。また、営業利益において、売上高の減少の影響で、期初計画を下回って着地いたしました。期初計画に比べ、売上は2,211百万円(△15.8%)減少し11,788百万円、営業利益は442百万円(△96.2%)減少し17百万円となりました。
指標
2023年3月期
(実績)
2023年3月期
(期初計画)
2023年3月期
(期初計画比)
売上高
11,788百万円
14,000百万円
△2,211百万円
( △15.8%)
営業利益
17百万円
460百万円
△442百万円
( 96.2%)
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、システム等、事業運営体制、その他、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向を留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズにあったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、「発想力と技術力で社会にダイナミズムをもたらすユニークな事業開発会社になる」という経営理念を掲げており、ビッグデータ処理、人工知能、金融工学の3つのコアテクノロジーを源泉とした、アドテクノロジーのDSP「Logicad」を中心とする「マーケティングテクノロジー事業」の単一セグメントを提供しております。
2024年3月期は経営方針として、既存事業改善によるキャッシュ創出力強化に向けた「新アルゴリズム導入による効果改善」「ASP市場におけるポジションチェンジの推進」「ASA海外拠点展開による売上拡大」、新たに柱となる事業の育成による再成長のための「独自DSP立ち上げ支援サービス強化」「AIを活用したDTC支援ソリューションの立ち上げ」を掲げております。「新アルゴリズム導入による効果改善」では、新アルゴリズムの導入により、広告効果の改善を行い、顧客課題解決力の強化を進めます。「ASP市場におけるポジションチェンジの推進」では、ASP市場の競争環境の変化に対応するため、新たな方法でのユーザーとの接点構築を模索してまいります。「ASA海外拠点展開による売上拡大」では、2023年3月期に設立した米国拠点を中核として、既存米国顧客の深耕活動および新規顧客獲得の取り組みを推進いたします。「独自DSP立ち上げ支援サービス強化」では、2023年3月期より引き続き特徴あるデータを持つ事業者が当社の広告配信プラットフォームを活用して独自DSPを立ち上げることができるサービスを強化、提供範囲の拡大を進めます。「AIを活用したDTC支援ソリューションの立ち上げ」では、新たに柱となる事業の第一弾として、DTC支援ソリューション事業を設定し、2024年3月期中に当社の強みである技術力を活用した新規事業の立ち上げを目指します。
これらの活動により企業価値の更なる向上に努めてまいります。現時点において、対処すべき課題として当社グループで認識している事項につきましては、以下のとおりであります。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報にもとづき最善の経営方針を立案し、社会貢献を前提として企業価値を最大限に高めるべく努めております。経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
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