【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①当第2四半期連結累計期間の状況
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年9月30日まで)におけるわが国の経済は緩やかに持ち直しているものの、世界的な金融引き締め等を背景とした世界経済の下振れが、我が国の経済を下押しするリスクとなっています。また同時に物価上昇や供給面の制約等についても懸念があります。
このような事業環境の中、当社グループは「新共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」を実現していくための最初の3年間の経営課題である、中期経営課題(WILL2030 STAGE1)に基づき、「日本住設事業」「海外住設事業」で構成される「グローバル住設事業」と「セラミック事業」で構成される「新領域事業」の2つの事業軸で活動を推進しました。
当社は、「きれいと快適」「環境」を両立するTOTOらしい商品を「サスティナブルプロダクツ」と位置付け、これらの商品をグローバルで普及させることにより、地球環境に配慮した、豊かで快適な社会の実現に貢献しています。
その結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が3,276億8千8百万円(前年同四半期比5.9%増)、営業利益が206億4千9百万円(前年同四半期比22.4%減)、経常利益が289億4千5百万円(前年同四半期比2.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が188億5千2百万円(前年同四半期比5.1%減)となりました。
総資産は、前連結会計年度末に比べ、827億5千3百万円増加しました。主な内容は、現金及び預金が213億8千6百万円の増加、受取手形、売掛金及び契約資産が58億8千7百万円の増加、商品及び製品が193億4千8百万円の増加となっています。
また、負債は、前連結会計年度末に比べ、469億7千6百万円増加しました。主な内容は、支払手形及び買掛金が55億5千7百万円の増加、その他流動負債がコマーシャル・ペーパーの増加等により363億4千7百万円の増加となっています。
②セグメントの業績
セグメントごとの売上高については、外部顧客への売上高を記載しています。
a.グローバル住設事業
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が3,035億1千6百万円(前年同四半期比2.6%増)、営業利益が112億1千8百万円(前年同四半期比55.2%減)となりました。
<日本住設事業>
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が2,165億4千9百万円(前年同四半期比1.3%増)、営業利益が58億9千1百万円(前年同四半期比53.5%減)となりました。
当社グループにおいては、住宅向け需要を中心にリモデル、新築ともに堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などで、一部商品の供給が滞ったことにより売上高は前年並み、減益となりました。
TOTO、DAIKEN、YKK APは、2002年2月のアライアンス開始より20周年を迎え、新たにアライアンスメッセージ「暮らしの中に笑顔を。」を発信しました。人と社会へ貢献するわたしたちの約束として「グリーンリモデル」を中心に据え、お客様の暮らしの想いを叶えるライフスタイル提案「十人十家」の推進と共に新たなリモデル価値提案活動を推進しています。
当社グループが創り出した清潔なトイレ文化を世界へ発信していくことに加え、新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえ、衛生的な空間と新しい生活様式に対応した商品の提案・開発を強化しています。
<海外住設事業>
(中国大陸事業)
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が369億3千6百万円(前年同四半期比13.4%減)、営業利益が22億1百万円(前年同四半期比72.1%減)となりました。
当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症による上海でのロックダウンの影響を受けましたが、徐々にその影響から脱しつつあります。引き続き不動産市況や消費者の購買行動の変化、及び新型コロナウイルス感染症の拡大状況に注視しつつ事業活動を推進しています。
また、中国大陸の長期的な市場成長による需要の増加に対応するため、効率的な生産と最適な供給体制の構築を進めています。
加えて、高級ブランドとしての強みを活かし、「ウォシュレット」のプロモーション強化を通じて普及拡大に努めています。
(アジア・オセアニア事業)※中国大陸事業を除く
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が200億4百万円(前年同四半期比28.6%増)、営業利益が27億5千6百万円(前年同四半期比0.2%減)となりました。
当社グループにおいては、各国・各地域のウィズコロナ政策への転換が進んできたことにより、事業活動の制約も解消されつつあります。引き続き、世界の供給基地としてベトナム、タイでの生産体制を充実させると共に、新興国市場での販売力を強化しています。また、日本発の高級ブランドとしての認知を活かした事業活動を推進しています。
各地域の市場成長に合わせて、5スターホテルや高級コンドミニアムなどの著名物件及び個別散在物件の受注強化のため、販売網の強化や積極的なプロモーション展開による「ウォシュレット」の普及、アフターサービス体制の整備に取り組んでいます。
(米州事業)
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が269億9千1百万円(前年同四半期比26.5%増)、営業利益が8億9千万円(前年同四半期比56.6%減)となりました。
米国における急速なインフレ進行等に伴う物流費の高騰により営業利益を押し下げる要因となったものの、温水洗浄便座認知層の拡大及び「ネオレスト」「ウォシュレット」の拡販が進んだことにより、売上高は引き続き堅調な実績を維持しました。金利上昇・物価高騰等による市場環境や消費者の購買行動の変化を踏まえ、事業を推進していきます。
当社グループにおいては、中高級市場において清潔機能を中心に価値伝達を強化し、商品優位性によってブランド価値を高め、競合他社との差別化を図っており、「ウォシュレット」をはじめ、高い節水性能(洗浄水量3.8L)を有する節水便器、快適性、デザイン性がお客様に評価されている「ネオレスト」などの採用が増加しています。
ショールーム展示の拡充やホームページの充実、eコマースの整備など、お客様接点の強化や効率的な供給体制づくりを推進しています。
(欧州事業)
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が30億3千4百万円(前年同四半期比14.9%増)、営業損失が5億2千1百万円(前年同四半期は営業損失3億2千8百万円)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大による事業活動への影響は徐々に改善に向かっています。エネルギー価格の高騰や政策変化の動向を注視し、欧州のお客様の嗜好に沿うデザイン性の高い商品の販売、ショールーム展示を通じてお客様への価値訴求を強化しています。
ドイツ、フランス、イギリスを中心に、販売チャネルの構築及び著名物件の獲得を進めており、販売代理店におけるショールーム展示の質の向上や、施工店の開拓・拡大に注力しています。「ウォシュレット」や「ネオレスト」など差別化商品の認知が向上し、ホテルなどの高級現場における商品の採用が進んでいます。
b.新領域事業
<セラミック事業>
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が240億3千4百万円(前年同四半期比78.7%増)、営業利益が105億3千3百万円(前年同四半期比259.1%増)となりました。
半導体需要が増加したことで、それらの製造装置に採用されている当社セラミック製品の売上も増加しました。また、主要商品の新規・交換需要の取り込みが進み、増益に寄与しています。
世界的な半導体需要の高まりに対して、強固なサプライチェーンと次世代もの創りを確立し、アフターコロナにおけるニューノーマル及びDX(デジタルトランスフォーメーション)による社会変革を支えていきます。
③その他
・ウォシュレット累計出荷台数6,000万台突破
2022年8月、温水洗浄便座「ウォシュレット」の累計出荷台数が6,000万台を突破しました(シートタイプ・ウォシュレット一体形便器、国内・海外合計)。1980年6月に販売開始以来、着実に出荷台数を伸ばしてまいりました。
今後も各国・各地域のニーズにあわせて「ウォシュレット」を進化させ、清潔で快適なトイレ文化を国内外に広めていきます。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、1,107億7千2百万円となり、前連結会計年度末の896億1百万円に比べ、211億7千1百万円の資金増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により102億7千2百万円の収入となりました。これは、税金等調整前四半期純利益274億5千6百万円、減価償却費147億7千2百万円等の収入と、棚卸資産の増加額190億9千5百万円、法人税等の支払額72億2千万円等の支出によるものです。前第2四半期連結累計期間と比較すると、119億4千9百万円の収入減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により189億5千2百万円の支出となりました。これは、有形固定資産の取得による支出142億9千8百万円、無形固定資産の取得による支出46億3千2百万円等の支出によるものです。前第2四半期連結累計期間と比較すると、39億2千4百万円の支出増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により202億7千7百万円の収入となりました。これは、コマーシャル・ペーパーの発行による収入432億円と、コマーシャル・ペーパーの償還による支出132億円、配当金の支払額84億7千7百万円等の支出によるものです。前第2四半期連結累計期間と比較すると、878億7千1百万円の収入増加となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
[株式会社の支配に関する基本方針について]
①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの事業特性、並びに当社の企業価値の源泉を十分理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させることができる者であることが必要と考えています。
当社は、1917年の創立以来、一貫して「社会の発展への寄与」を理念とする経営を行ってまいりました。水まわりを中心とした豊かで快適な生活文化創造にあたっては、たゆまぬ研究開発と市場開拓を行い、必要な設備や人財育成に長期的投資を行うことによって、日本市場の中で、「環境配慮」を実現する節電・節水技術の開発、「清潔・快適」「ユニバーサルデザイン」を実現する素材開発、「安心・信頼」を実現するビフォア・アフターサービス体制など、総合的な事業活動による価値の創造と提供を図ってまいりました。現在では、日本市場で築いた事業モデルを活かし、米州・アジアをはじめとする世界の水まわり市場の積極開拓により、一層の価値向上を図る一方、日本の水まわり市場において確固たる地位を築いたことによる供給責任にも応えています。創立以来、長きにわたり、広く社会の発展に寄与し続けたことが、現在の当社の企業価値ひいては株主共同の利益につながっています。
当社は、公開会社として、当社株式の自由な売買を認めることは当然のことであり、特定の者又はグループによる大量買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かの最終的な判断は、当社株式を保有する株主の皆様に委ねられるべきものと考えています。しかしながら、当該大量買付行為が、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、必要かつ相当な手段を採ることによって当社の長期的な株主価値を確保することが必要であると考えています。
②基本方針の実現に資する取組み
(ⅰ)社是・企業理念及び中長期経営計画
当社グループは、社是「愛業至誠:良品と均質
奉仕と信用
協力と発展」とTOTOグループ企業理念「私たちTOTOグループは、社会の発展に貢献し、世界の人々から信頼される企業を目指します」に基づき、広く社会や地球環境にとって有益な存在であり続けることを目指して企業活動を推進しています。
当社の企業価値の源泉は、①高品質な製品を提供し続けてきた高度な生産技術力、②ユニットバス・ウォシュレットなどの新たな生活文化の創造に寄与する商品やネオレスト・ハイドロテクトなどの環境配慮商品を創造してきた研究開発力、③お客様の多様なニーズにきめ細やかに対応できる高品質かつ豊富な商品群、④お客様に安心・安全・信頼の証として認知された企業ブランド、⑤取引先との良好かつ長期的なパートナーシップに基づく販売力、⑥前記①~⑤の維持・発展を担う従業員等にあります。
当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保・向上させるため、2021年度から始まる10カ年の「新共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」を策定しました。
TOTO WILL2030を実現するための最初の3年間(2021年度~2023年度)を「中期経営課題(WILL2030 STAGE1)」として具体的な目標を定め、環境変化に対応していきます。
WILL2030 STAGE1では、事業活動と「TOTOグローバル環境ビジョン」をより一体化させ、更なる企業価値向上を目指します。
その戦略フレームは、企業活動のベースとなる「コーポレートガバナンス」と時代の変化に先んじるための「デジタルイノベーション」があり、「グローバル住設事業」「新領域事業」の2つの事業軸と、全社最適視点で横串を通す3つの全社横断革新活動です。
(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、経営の客観性・透明性を高め、経営責任を明確にすることによって、ステークホルダーの皆様の満足を実現し、企業価値を永続的に向上させることが企業経営の要であると考えます。
当社のコーポレート・ガバナンス体制につきましては、当社ウェブサイト
(https://jp.toto.com/company/profile/governance/corporate)に記載のとおりです。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、上記の基本方針のもと、2006年4月28日開催の取締役会において「当社株式の大量買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」を導入しました。その後、直近では2016年6月29日開催の当社第150期定時株主総会の決議により更新(以下、更新後の買収防衛策を「本プラン」といいます)しましたが、本プランの有効期限である、2019年6月25日開催の第153期定時株主総会の終結の時をもって本対応方針を継続しないことを、2019年4月26日開催の取締役会において決議しました。
なお、当社は本プラン廃止後も、当社株式の大量買付を行おうとする者に対しては、大量買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見などを開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努めるなど、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
④上記各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
上記②及び③に記載の取組みは株主共同の利益を確保し、向上させるための取組みであり、上記①の基本方針に沿うものであります。これらの取組みは、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的としたものではありません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、110億1千2百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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