【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、都市開発やインフラの老朽化対策などの建設需要は堅調に推移しましたが、半導体関連の需要低迷が続きました。一方、世界経済は、中国経済の減速や長引く米中貿易摩擦の影響が懸念されるなど不確実性が強まり、低迷が続く展開となりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて4億40百万円減少し618億9百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて1億46百万円減少し77億1百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2億94百万円減少し541億7百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は270億54百万円となり、前連結会計年度289億59百万円と比較すると6.6%の減収となりました。利益面では、営業利益は39億65百万円となり、同54億87百万円と比較すると27.7%の減益、経常利益は39億99百万円となり、同53億70百万円と比較すると25.5%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は27億50百万円となり、同36億43百万円と比較すると24.5%の減益となりました。
当事業のセグメント別の業績は、次のとおりです。
[迅速流体継手事業]
迅速流体継手事業は、国内における半導体関連製品の販売が軟調であり、海外ではアジアを中心に販売が伸び悩み、売上高は115億40百万円(前連結会計年度比9.7%の減収)となりました。利益面では、減収により、営業利益28億84百万円(同17.8%の減益)となりました。
[機械工具事業]
機械工具事業は、国内の建設業界向けの販売は堅調でしたが、海外販売の不振により、売上高は90億54百万円(同6.0%の減収)となりました。利益面では、減収と経費の増加により、営業利益8億57百万円(同37.3%の減益)となりました。
[リニア駆動ポンプ事業]
リニア駆動ポンプ事業は、主に欧米向けの販売が減少し、売上高は40億14百万円(同4.7%の減収)となりました。利益面では、原価低減や生産性向上に努めたものの、減収と経費の増加により、営業損失61百万円(前連結会計年度は3億23百万円の利益)となりました。
[建築機器事業]
建築機器事業は、国内の建設需要が堅調だったため、売上高は24億44百万円(同4.3%の増収)となりました。利益面では、経費の増加により、営業利益2億84百万円(同0.0%の増益)となりました。
海外売上高は、76億32百万円(前連結会計年度比13.9%の減収)となりました。主にアジアを中心に販売が伸び悩み、海外売上高の連結売上高に占める割合は28.2%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、定期預金の払戻による収入314億79百万円、税金等調整前当期純利益39億93百万円、有価証券の償還による収入14億円等の増加があったものの、定期預金の預入による支出313億64百万円、有価証券の取得による支出14億円、親会社による配当金の支払額13億94百万円、自己株式の取得による支出12億97百万円等による減少があったため、前連結会計年度末より5億円減少し、当連結会計年度末には133億34百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、34億91百万円(前連結会計年度比4.8%減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益39億93百万円、減価償却費14億5百万円等による資金の増加があったものの、法人税等の支払額11億22百万円、たな卸資産の増加額5億73百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、11億1百万円(前連結会計年度比62.5%減)となりました。これは、主に定期預金の払戻による収入314億79百万円、有価証券の償還による収入14億円等による資金の増加があったものの、定期預金の預入による支出313億64百万円、有価証券の取得による支出14億円、有形固定資産の取得による支出10億87百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、29億43百万円(前連結会計年度比63.0%増)となりました。これは主に親会社による配当金の支払額13億94百万円、自己株式の取得による支出12億97百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
迅速流体継手(百万円)
11,246
89.5
機械工具(百万円)
10,061
106.7
リニア駆動ポンプ(百万円)
3,778
92.5
建築機器(百万円)
2,382
103.5
報告セグメント計(百万円)
27,468
96.8
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(2) 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3) 販売実績
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
迅速流体継手(百万円)
11,540
90.3
機械工具(百万円)
9,054
94.0
リニア駆動ポンプ(百万円)
4,014
95.3
建築機器(百万円)
2,444
104.3
報告セグメント計(百万円)
27,054
93.4
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
㈱山善
5,441
18.8
5,245
19.4
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産残高は、前連結会計年度末に比べて4億40百万円(前連結会計年度末比0.7%)減少し618億9百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少5億79百万円、投資有価証券の減少4億86百万円、受取手形及び売掛金の減少3億14百万円、商品及び製品の増加5億12百万円、繰延税金資産の増加1億87百万円、リース資産(純額)の増加1億65百万円等であります。
(負債合計)
負債残高は、前連結会計年度末に比べて、支払手形及び買掛金の減少1億80百万円等により1億46百万円(前連結会計年度末比1.9%)減少し77億1百万円となりました。
(純資産合計)
純資産残高は、前連結会計年度末に比べて2億94百万円(前連結会計年度末比0.5%)減少し541億7百万円となりました。これは利益剰余金の増加13億56百万円、為替換算調整勘定の増加1億20百万円、自己株式の増加12億97百万円、その他有価証券評価差額金の減少3億62百万円、退職給付に係る調整累計額の減少1億11百万円によるものであります。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、270億54百万円(前連結会計年度比6.6%の減収)となりました。期初の売上目標は301億円を計画していましたが、半導体関連製品など迅速流体継手の受注減少やアジアを中心とした海外販売が伸び悩み、計画に比べて10.1%の減収になりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、39億65百万円(同27.7%の減益)となりました。期初の営業利益目標は47億20百万円を計画していましたが、売上げの減少により、計画に比べて16.0%の減益となりました。
売上高と営業利益の各製品セグメントの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、39億99百万円(同25.5%の減益)となりました。期初の経常利益目標は47億80百万円を計画していましたが、売上げの減少により、計画に比べて16.3%の減益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、27億50百万円(同24.5%の減益)となりました。期初の親会社株主に帰属する当期純利益は33億円を計画していましたが、計画に比べて16.7%の減益となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「2.事業等のリスク」に記載したリスク要因のほか、各国の経済政策・金融政策の変更や地政学リスクによる世界景気の激変が考えられます。
当社グループは、短期的な状況変化に拘わらず、長期的な視点で継続的に研究開発を継続していくことを方針として掲げており、2016年度を初年度とする5ヵ年の中期経営計画における経営目標として、営業利益率20%、自己資本利益率ROE8%を目指しております。
本中期経営計画期間中の各指標の推移は以下のとおりであり、米中貿易摩擦長期化の影響や期末に発生した新型コロナウイルスの感染拡大の影響による売上減少と収益力と資本効率の向上を目的とした先行投資を強化したための経費増により営業利益率、自己資本利益率ともに計画を下回る結果となりました。
新型コロナウイルスの影響は長期化も想定し、業務効率を向上させるためのIT・人材への投資や労働力不足を補うための生産設備の省人化、自動化をより一層進めるとともに感染収束後の市場に向けた研究開発を進めてまいります。
今後も資本を効率的に活用し、社会の課題やニーズに応じた製品、サービス等を提供して収益力の強化につなげ、自己株式の取得を並行して進めながら、中長期的な自己資本利益率の向上に取り組んでいきます。
なお、投資判断については引き続き需要の安定度を予測し経営環境や財務状況に基づいて慎重に行い、投資効果を意識して取り組んでまいります。
2018年3月期
2019年3月期
2020年3月期
営業利益率(%)
19.3
18.9
14.7
自己資本利益率ROE(%)
7.27
6.80
5.07
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関わる情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは、持続的な成長のための資金確保と自然災害等の不測の事態があっても顧客に商品を提供できるように内部留保の充実に努めており、研究開発、生産設備等の投資は自己資金で実施する方針です。
事業運営上必要な資金の流動性は、十分に確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。本連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度末における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、ならびに当連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響する様な重要な変動に関する事項の予見、予想等を行わなければなりません。将来に関する事項につきましては、本有価証券報告書提出日現在で過去の実績や状況に応じて合理的な基準に従って見積り及び判断したものであります。実際の結果は、見積り予測困難な不確実性があるため、これらの見積りと乖離する可能性がありますのでご留意下さい。
当社グループは、以下の会計上の見積りが連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えております。
繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積りに与える影響に関しては「第5 経理の状況
1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する会計上の見積り」に記載をしております。