【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、悪化が続き厳しい状況となりました。日本経済においても、感染拡大防止対策を講じつつ経済活動を再開しているものの、感染の再拡大により経済活動が抑制される状況が続いており、回復には時間を要すると見込まれます。
このような経営環境の中で、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う需要減少による販売減少のリスクに備え、テレワークやWEB会議といった新しい働き方により生産性を高め、全社での活動事業コストの低減等に努める一方で、製品PR動画を積極的に活用し、新市場での事業拡大に努めました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて87百万円減少し617億21百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて4億82百万円減少し72億19百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3億94百万円増加し545億2百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は225億33百万円となり、前連結会計年度270億54百万円と比較すると16.7%の減収となりました。利益面では、営業利益は20億91百万円となり、同39億65百万円と比較すると47.3%の減益、経常利益は22億66百万円となり、同39億99百万円と比較すると43.3%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は15億49百万円となり、同27億50百万円と比較すると43.7%の減益となりました。
事業のセグメント別の業績は、次のとおりです。
[迅速流体継手事業]
迅速流体継手事業は、半導体関連製品は回復基調にあるものの設備投資需要の停滞が続き、売上高は94億45百万円(前連結会計年度比18.2%の減収)となりました。利益面では、減収により、営業利益17億5百万円(同40.9%の減益)となりました。
[機械工具事業]
機械工具事業は、建設業界向けの販売が減少し、営業活動が限定されたことにより、売上高は70億25百万円(同22.4%の減収)となりました。利益面では、減収及び生産調整により、営業利益2億60百万円(同69.6%の減益)となりました。
[リニア駆動ポンプ事業]
リニア駆動ポンプ事業は、医療機器組み込み用ポンプや新製品の販売が堅調に推移したことにより、売上高は40億86百万円(同1.8%の増収)となりました。利益面では、営業利益1億4百万円(前連結会計年度は61百万円の営業損失)となりました。
[建築機器事業]
建築機器事業は、国内とアジアでの建設業界の需要低迷により、売上高は19億76百万円(同19.2%の減収)となりました。利益面では、減収及び経費の増加により、営業利益20百万円(同92.7%の減益)となりました。
海外売上高は、71億18百万円(前連結会計年度比6.7%の減収)となり、国内売上高の減少により、海外売上高の連結売上高に占める割合は31.6%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、定期預金の払戻による収入334億33百万円、税金等調整前当期純利益22億57百万円、有価証券の償還による収入25億99百万円等の増加があったものの、定期預金の預入による支出377億33百万円、有価証券の取得による支出26億99百万円、親会社による配当金の支払い6億96百万円、自己株式の取得による支出6億75百万円等による減少があったため、前連結会計年度末より40億63百万円減少し、当連結会計年度末には92億70百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、37億58百万円(前連結会計年度比7.6%増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益22億57百万円、減価償却費15億1百万円、売上債権の減少額8億17百万円等による資金の増加があったものの、法人税等の支払額10億70百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、61億15百万円(前連結会計年度比455.0%増)となりました。これは、定期預金の払戻による収入334億33百万円、有価証券の償還による収入25億99百万円等による資金の増加があったものの、定期預金の預入による支出377億33百万円、有価証券の取得による支出26億99百万円、有形固定資産の取得による支出11億46百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、16億43百万円(前連結会計年度比44.2%減)となりました。これは、親会社による配当金の支払い6億96百万円、自己株式の取得による支出6億75百万円、リース債務の返済による支出2億70百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
迅速流体継手(百万円)
9,141
81.3
機械工具(百万円)
6,500
64.6
リニア駆動ポンプ(百万円)
3,855
102.0
建築機器(百万円)
2,000
84.0
報告セグメント計(百万円)
21,497
78.3
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(2) 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3) 販売実績
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
迅速流体継手(百万円)
9,445
81.8
機械工具(百万円)
7,025
77.6
リニア駆動ポンプ(百万円)
4,086
101.8
建築機器(百万円)
1,976
80.8
報告セグメント計(百万円)
22,533
83.3
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
㈱山善
5,245
19.4
3,628
16.1
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産残高は、前連結会計年度末に比べて87百万円(前連結会計年度末比0.1%)減少し617億21百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加6億5百万円、投資有価証券の増加4億24百万円、受取手形及び売掛金の減少5億83百万円、電子記録債権の減少2億55百万円、有価証券の減少3億円等によるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債残高は、前連結会計年度末に比べて4億82百万(前連結会計年度末比6.3%)減少し72億19百万円となりました。これは主に未払法人税等の減少4億21百万円等によるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産残高は、前連結会計年度末に比べて3億94百万円(前連結会計年度末比0.7%)増加し545億2百万円となりました。これは利益剰余金の増加8億52百万円、自己株式の増加6億75百万円、その他有価証券評価差額金の増加2億97百万円、退職給付に係る調整累計額の増加1億21百万円、為替換算調整勘定の減少2億円によるものであります。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、225億33百万円(前連結会計年度比16.7%の減収)となりました。新型コロナウイルス感染症発生に伴う影響を鑑み売上目標は221億90百万円を計画していましたが、感染症対策を講じつつ経済活動を再開し、計画に比べて1.5%の増収になりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、20億91百万円(同47.3%の減益)となりました。営業利益目標は19億60百万円を計画していましたが、売上げの増加により、計画に比べて6.7%の増益となりました。
売上高と営業利益の各製品セグメントの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、22億66百万円(同43.3%の減益)となりました。経常利益目標は21億50百万円を計画していましたが、売上げの増加により、計画に比べて5.4%の増益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、15億49百万円(同43.7%の減益)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益目標は15億円を計画していましたが、計画に比べて3.3%の増益となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度を最終年度とする前中期経営計画(2016年4月~2021年3月)では、営業利益率20%、自己資本利益率(ROE)8%を経営目標としておりました。
前中期経営計画期間中の各指標の推移は以下のとおりであります。初年度からIT関連、合理化・省人化投資やアジア新興国の需要により堅調でしたが、米中貿易摩擦長期化の影響や新型コロナウイルスの感染拡大の影響による売上減少及び収益力と事業基盤の強化を目的とした投資を行ったための経費増により、営業利益率、自己資本利益率ともに計画を下回る結果となりました。一方で、新型コロナウイルス対応のための各種取り組みは、業務効率を向上させるためのIT・人材への投資や労働力不足を補うための生産設備の省人化、自動化の推進に寄与しました。
新たに策定した2021年4月(第66期)~2024年3月(第68期)を期間とする中期経営計画の基本方針に基づいて事業を進め、今後も資本を効率的に活用し、社会の課題やニーズに応じた製品、サービス等を提供して収益力の強化につなげ、営業利益率及び自己資本利益率の向上に取り組んでまいります。
なお、投資判断については引き続き需要の安定度を予測し経営環境や財務状況に基づいて慎重に行い、投資効果を意識して取り組んでまいります。
2019年3月期
2020年3月期
2021年3月期
営業利益率(%)
18.9
14.7
9.3
自己資本利益率(ROE)(%)
6.80
5.07
2.85
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関わる情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは、持続的な成長のための資金確保と自然災害等の不測の事態があっても顧客に商品を提供できるように内部留保の充実に努めており、研究開発、生産設備等の投資は自己資金で実施する方針です。
事業運営上必要な資金の流動性は、十分に確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。本連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度末における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、ならびに当連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響する様な重要な変動に関する事項の予見、予想等を行わなければなりません。将来に関する事項につきましては、本有価証券報告書提出日現在で過去の実績や状況に応じて合理的な基準に従って見積り及び判断したものであります。実際の結果は、見積り予測困難な不確実性があるため、これらの見積りと乖離する可能性がありますのでご留意下さい。
当社グループは、以下の会計上の見積りが連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えております。
固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損について、主として営業活動から生ずる損益(翌連結会計年度以降の見通しを含む)及び土地等の市場価格に基づいて兆候の判定を行っています。減損の兆候があると判断した場合には、年度計画や中期経営計画における売上高及び営業利益の計画値等に基づき割引前将来キャッシュ・フローを見積ります。
なお、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積りに与える影響に関しては「第5 経理の状況
1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載をしております。