【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、多くの国で経済活動が正常化し景気回復に向かっているものの、エネルギーの価格高騰や供給制約、インフレの継続や世界的な金融引き締めが経済を下押ししました。日本経済においても、新型コロナウイルス感染症対策がウィズコロナへ移行し個人消費を中心に回復の兆しが見られたものの、円安や原材料価格高騰の影響を受けた状況で推移しています。
このような経営環境の中で当社グループは、新型コロナウイルス感染症に伴い営業活動へ制限がありましたが、国内では2年ぶりに当社主催の展示会「アタックフェア」の開催を再開するなど、通常の営業活動へ向けて積極的に販売拡大に努めました。海外では中国におけるリチウムイオン電池の電解液用迅速流体継手の需要拡大が寄与し、売上が大きく伸張しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産残高は、前連結会計年度末に比べて25億円増加し668億35百万円となりました。
当連結会計年度末の負債残高は、前連結会計年度末に比べて2億59百万円増加し88億63百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産残高は、前連結会計年度末に比べて22億40百万円増加し579億71百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は280億91百万円となり、前連結会計年度252億81百万円と比較すると11.1%の増収となりました。利益面では、営業利益は36億65百万円となり、同33億55百万円と比較すると9.3%の増益、経常利益は38億18百万円となり、同35億14百万円と比較すると8.7%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は26億25百万円となり、同19億27百万円と比較すると36.2%の増益となりました。
事業のセグメント別の業績は、次のとおりです。
[迅速流体継手事業]
迅速流体継手事業は、半導体・産業機械業界の需 が好調に推移し、売上高は128億21百万円(前連結会計年度比12.1%の増収)となりました。利益面では、増収により、営業利益32億15百万円(同19.2%の増益)となりました。
[機械工具事業]
機械工具事業は、営業活動の制限緩和により対面営業を再開できたことで国内外の売上げが回復基調にあり、売上高は85億51百万円(同10.4%の増収)となりました。利益面では、増収により、営業利益6億30百万円(同43.0%の増益)となりました。
[リニア駆動ポンプ事業]
リニア駆動ポンプ事業は、米州での売上げが好調のため、売上高は44億36百万円(同6.2%の増収)となりました。利益面では、為替の影響、経費の増加及び原価率の上昇等により、営業損失2億円(前連結会計年度は2億50百万円の利益)となりました。
[建築機器事業]
建築機器事業は、設備投資及びインフラ整備の需要が緩やかな上昇基調にあり、売上高は22億81百万円(同19.1%の増収)となりました。利益面では、増収により、営業利益20百万円(前連結会計年度は32百万円の営業損失)となりました。
海外売上高は、アジア・欧州の売上げが好調であったことと円安の影響もあり、98億91百万円(前連結会計年度比16.4%の増収)となり、海外売上高の連結売上高に占める割合は35.2%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、定期預金の預入による支出312億22百万円、棚卸資産の増加15億12百万円、法人税等の支払い12億22百万円、投資有価証券の取得による支出9億93百万円、親会社による配当金の支払い8億27百万円、有形固定資産の取得による支出7億61百万円等による減少があったものの、定期預金の払戻による収入358億29百万円、税金等調整前当期純利益38億18百万円、有価証券の償還による収入11億円、投資有価証券の償還による収入10億円等があったため、前連結会計年度末より56億22百万円増加し、当連結会計年度末には204億3百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、22億99百万円(前連結会計年度比22.2%減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益38億18百万円、減価償却費13億43百万円等による資金の増加があったものの、棚卸資産の増加15億12百万円、法人税等の支払い12億22百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度における投資活動の結果得られた資金は、46億52百万円(前連結会計年度比27.8%増)となりました。これは、定期預金の預入による支出312億22百万円、投資有価証券の取得による支出9億93百万円、有形固定資産の取得による支出7億61百万円等による資金の減少があったものの、定期預金の払戻による収入358億29百万円、有価証券の償還による収入11億円、投資有価証券の償還による収入10億円等による資金の増加があったことによるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、14億98百万円(前連結会計年度比30.0%増)となりました。これは、親会社による配当金の支払い8億27百万円、自己株式の取得による支出3億72百万円、リース債務の返済による支出2億99百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
迅速流体継手(百万円)
13,002
105.9
機械工具(百万円)
8,820
107.3
リニア駆動ポンプ(百万円)
4,312
101.8
建築機器(百万円)
2,194
109.4
報告セグメント計(百万円)
28,329
105.9
(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(2) 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3) 販売実績
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
迅速流体継手(百万円)
12,821
112.1
機械工具(百万円)
8,551
110.4
リニア駆動ポンプ(百万円)
4,436
106.2
建築機器(百万円)
2,281
119.1
報告セグメント計(百万円)
28,091
111.1
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
㈱山善
4,633
18.3
5,242
18.7
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産残高は、前連結会計年度末に比べて25億円(前連結会計年度末比3.9%)増加し668億35百万円となりました。これは主に商品及び製品の増加9億85百万円、原材料及び貯蔵品の増加6億76百万円、現金及び預金の増加6億27百万円、電子記録債権の増加2億93百万円、無形固定資産の増加1億48百万円、投資有価証券の増加1億円65百万円、有価証券の減少6億円等によるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債残高は、前連結会計年度末に比べて、買掛金の増加3億71百万円、未払法人税等の減少1億47百万円等により2億59百万円(前連結会計年度末比3.0%)増加し88億63百万円となりました。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産残高は、前連結会計年度末に比べて22億40百万円(前連結会計年度末比4.0%)増加し579億71百万円となりました。これは利益剰余金の増加18億3百万円、自己株式の増加3億72百万円、為替換算調整勘定の増加7億11百万円、その他有価証券評価差額金の増加1億27百万円等によるものであります。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、280億91百万円(前連結会計年度比11.1%の増収)となりました。売上目標は275億60百万円を計画していましたが、感染症対策を講じつつも通常の営業活動を再開し始めたことにより、計画に比べて1.9%の増収になりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、36億65百万円(同9.3%の増益)となりました。営業利益目標は36億20百万円を計画していましたが、売上げの増加により、計画に比べて1.3%の増益となりました。
売上高と営業利益の各製品セグメントの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、38億18百万円(8.7%の増益)となりました。経常利益目標は36億60百万円を計画していましたが、売上げの増加により、計画に比べて4.3%の増益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、26億25百万円(同36.2%の増益)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益目標は25億10百万円を計画していましたが、計画に比べて4.6%の増益となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度を2年目とする中期経営計画(2021年4月(第66期)~2024年3月(第68期))では、新型コロナウイルス感染症の影響下における業績回復および営業利益率15%を目指し、中長期的には自己資本利益率(ROE)8%以上を経営目標にしております。
中期経営計画初年、2年目を含む4年間の指標の推移は以下のとおりであります。当連結会計年度は、上半期は新型コロナウイルス感染症の影響下での事業活動を余儀なくされましたが、デジタル関連製品需要が業績をけん引しました。下半期はデジタル関連製品需要の減速がみられましたが、展示会等の対面の営業活動が再開し、売上げに大きく貢献しました。また、医療向けのポンプ製品も堅調で売上げを下支えしました。今後も、資本を効率的に活用して新規事業開拓、新製品開発、合理化設備投資を推し進め、収益力および営業利益率ならびに自己資本利益率の向上に取り組んでまいります。
なお、投資判断につきましては、引き続き需要の安定度を予測し、経営環境や財務状況に基づき、投資効果を意識して取り組んでまいります。
2020年3月期
2021年3月期
2022年3月期
2023年3月期
営業利益率(%)
14.7
9.3
13.3
13.0
自己資本利益率(ROE) (%)
5.07
2.85
3.50
4.62
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関わる情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは、持続的な成長のための資金確保と自然災害等の不測の事態があっても顧客に商品を提供できるように内部留保の充実に努めており、研究開発、生産設備等の投資は自己資金で実施する方針です。
事業運営上必要な資金の流動性は、十分に確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。本連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度末における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、ならびに当連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響する様な重要な変動に関する事項の予見、予想等を行わなければなりません。将来に関する事項につきましては、本有価証券報告書提出日現在で過去の実績や状況に応じて合理的な基準に従って見積り及び判断したものであります。実際の結果は、見積り予測困難な不確実性があるため、これらの見積りと乖離する可能性がありますのでご留意下さい。
当社グループは、以下の会計上の見積りが連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えております。
固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損について、主として営業活動から生ずる損益(翌連結会計年度以降の見通しを含む)及び土地等の市場価格に基づいて兆候の判定を行っています。減損の兆候があると判断した場合には、年度計画や中期経営計画における売上高及び営業利益の計画値等に基づき割引前将来キャッシュ・フローを見積ります。