【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第1四半期連結会計期間より、IAS第12号「法人所得税」(2021年5月改訂)を適用しており、遡及適用後の数値で前第1四半期連結累計期間及び前連結会計年度との比較分析を行っております。この基準の適用による当要約四半期連結財務諸表に与える重要な影響はありません。なお、会計方針の変更の詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 重要性がある会計方針」に記載のとおりです。
(1)経営成績に関する経営者の説明および分析
地球温暖化が引き起こす気候変動により、深刻な大災害が世界各地で頻発しています。わが国においても2050年までに二酸化炭素など地球温暖化の主な原因となる温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」方針が示され、企業は継続的価値創造のためにデジタルを活用した企業変革を一層加速することで、マーケティング活動を含めた企業のビジネスそのものを脱炭素型・社会課題解決型へ変容させることが求められます。
デジタルビジネスが活況を迎える一方で、企業がインターネットやデジタルテクノロジーに精通したクリエイター人材を自社で採用・育成することは難しく、人材不足が企業のデジタル推進を阻む大きな壁となっています。DX白書2023によると、日本企業の8割以上が、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する人材は質・量ともに不足していると回答しています(独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023、2023年3月16日発行)。
このような状況において、当社グループはミッション「“MEMBERSHIP”で、心豊かな社会を創る」を掲げ、デジタルビジネス運用支援を通じ、顧客企業の経営スタイルやマーケティング活動、サービスおよびプロダクトを「地球と社会を持続可能なもの」へと転換させることを目指しております。
<連結決算の概況>
当第1四半期連結累計期間より前期までのEMC事業とPGT事業を統合し、「DGT(Digital Growth Team)」サービスの提供を開始いたしました。DGTサービスとは、顧客企業のビジネスグロースに寄与するべく、データ分析やUX(※1)、エンジニアリング等も含む様々な専門スキルを持ったデジタルクリエイターが3名以上で顧客専任チームを編成し、顧客企業のデジタル化を顧客と共に実際に手を動かしながら推進・支援するハンズオンのサービスとなります。デジタルクリエイターがダイレクトに顧客企業のデジタルビジネスの成果向上を追求し、その運用を仮説検証型で継続的に支援いたします。また、今後は、運用を通じて顧客企業の炭素生産性(※2)向上を支援し、脱炭素につながるアクションを日々の運用業務で実施してまいります。
2024年3月期は、DGTの確立を目指し製販分離による営業体制を一層強化し、成果型チームモデル提供社数(※3)を拡大することで、デジタルクリエイターの稼働率を着実に高めてまいります。そのために、Web運用領域以外の高付加価値な先端技術領域に特化した社内カンパニーを積極的に立ち上げ、専門組織による全デジタルクリエイターのスキル育成および配置転換等を通じて、専門カンパニーのデジタルクリエイター数を拡充し、非Web運用領域における成長の加速と、収益力の向上を図ります。加えて、グループ全体の人材ポートフォリオを改善するために中途採用を戦略的に拡大し、サービス力向上の土台を築いてまいります。
当第1四半期連結累計期間の売上収益は4,498百万円(前年同四半期比17.4%増)、営業損失は562百万円(前年同四半期は67百万円の営業損失)、税引前四半期損失は548百万円(前年同四半期は93百万円の税引前四半期損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は389百万円(前年同四半期は67百万円の親会社の所有者に帰属する四半期損失)となりました。
売上収益は前年同四半期比17.4%増、重要指標としている付加価値売上高(売上収益から外注・仕入を差し引いた社内リソースによる売上高)も前年同四半期比16.2%増となり、第1四半期連結累計期間としては過去最高を更新しました。営業利益は、新組織の立ち上がりに時間を要し、稼働するデジタルクリエイターの数が伸び悩み、一時的に稼働率が低下したことに加えて、先行的な採用投資を継続したことで、営業損失となりました。
一方で、成果型チームモデル提供社数は前期末比7社増、全取引社数も前期末比15社増と、顧客社数は増加しました。専門カンパニーは新たに3社設立し、所属するデジタルクリエイター数は501名(前期末より63名増加)、付加価値売上高成長率は前年同四半期比41.9%増と堅調に拡大しました。これにより、Web運用以外の売上比率は39.0%となり、前期末比3.2ポイント上昇しました。
またデジタルクリエイター数については、目標成長率である付加価値売上高25%成長を目指し、積極的に新卒および中途採用を拡大しております。当第1四半期連結累計期間において、2023年4月に585名の新卒社員が入社したことに加え、中途採用者数が60名となり、当第1四半期末におけるデジタルクリエイター数は連結で2,579名(前期末比567名増)となりました。
引き続き、製販分離による営業戦略および専門カンパニーの拡大戦略を加速させ、2024年3月期第4四半期において、四半期単独で付加価値売上高成長率25%および営業利益率10%ペースの高成長・高収益モデルへの転換および、通期連結業績予想の達成を目指します。
当社グループは、「ネットビジネス支援事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
<当社グループ全体の方針および取組み>
当社は、営業戦略、サービス戦略、人材戦略を当社グループで統合的に実行し、グループ横断で行うことを目的として、2023年4月からEMCカンパニー、メンバーズキャリアカンパニー、メンバーズエッジカンパニー、ビジネスプラットフォームカンパニーの4カンパニーを統合し、本部制を導入いたしました。本統合により、旧EMC事業の顧客へは非Web運用領域サービスの展開を、旧PGT事業の顧客へは成果型チームモデルの提供を加速し、グループ一体で様々なデジタル専門スキルを持ったデジタルクリエイター専任チームによるハンズオンの継続的実行・グロース支援サービスであるDGTサービスを確立いたします。
なお、営業戦略、サービス戦略、人材戦略の詳細は、上記<連結決算の概況>に記載しております。
わが国における新型コロナウイルス感染症の影響やエネルギー、地政学上の問題による経済への影響は不透明なものの、デジタルテクノロジーの更なる進化や世界の脱炭素への取り組み、および日本の人口減少の影響等を受け、企業のデジタル投資は一段と加速すると同時に、IT/デジタル人材の不足は更に拡大するものと捉えております。そのような環境において、当社グループは引き続き積極的な新卒・中途採用、ならびに専門スキル育成等への人材投資を通じて、顧客への価値創造の源泉であるデジタルクリエイター数の拡充、スキルの向上ならびに社員エンゲージメントの向上等、人的資本の拡充に取り組み、DGTサービスによる「世界一のデジタルビジネス運用支援」を実現してまいります。
そして引き続き、長期ビジョンであるVISION2030(https://www.members.co.jp/ir/pdf/20200508_04.pdf)の達成に向け、重要KPIであるソーシャルクリエイター(※4)10万人、ソーシャルエンゲージメント(※5)総量100億、社員数1万人、営業利益100億円の達成を目指して取組みを推進してまいります。
(※1)UX(ユーザーエクスペリエンス):製品やサービスなどを利用するにあたって得られる「体験・経験」のこと。
(※2)炭素生産性:温室効果ガスの排出量あたりの国内総生産(GDP)のこと。当社では、商品やサービスの製造、販売、回収などの際に排出される炭素あたりの利益などを企業の炭素生産性として計測し、ビジネスモデル構築や運用支援を立案。
(※3)成果型チームモデル提供社数:取引先企業のうち、3名以上のデジタルクリエイターが顧客企業専任のチームとして顧客の成果向上を追求し、サービスを提供する顧客の数のこと。
(※4)ソーシャルクリエイター:デザイン思考を持ち、ビジネスの推進や制度設計、アウトプットを通じて社会課題の解決を図ろうとするクリエイター(職人)志向性の高い人材のこと。
(※5)ソーシャルエンゲージメント:社会課題解決施策としてメンバーズグループが手がけたコンテンツ・プロダクト・サービスに対する接触回数のこと。
(2)財政状態の分析
資産、負債及び資本の状況
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は10,412百万円(前連結会計年度末比893百万円の減少)となりました。これは主として、繰延税金資産が176百万円、その他の流動資産が73百万円増加したものの、現金及び現金同等物が570百万円、営業債権及びその他の債権が556百万円減少したことによるものです。
負債合計は、4,753百万円(前連結会計年度末比186百万円の減少)となりました。これは主として、その他の流動負債が265百万円増加したものの、営業債務及びその他の債務が217百万円、未払法人所得税が155百万円、リース負債が32百万円減少したことによるものです。
資本合計は、5,659百万円(前連結会計年度末比706百万円の減少)となりました。これは主として、資本剰余金が43百万円、資本金が40百万円増加したものの、利益剰余金が781百万円減少したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末より570百万円減少し、3,909百万円となりました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間において営業活動の結果使用した資金は、117百万円(前年同四半期は57百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、営業債権及びその他の債権の減少額529百万円、その他192百万円、減価償却費及び償却費128百万円によるものであり、支出の主な内訳は、税引前四半期損失548百万円、営業債務及びその他の債務の減少額238百万円、法人所得税の支払額147百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間において投資活動の結果使用した資金は、23百万円(前年同四半期は1,124百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出23百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間において財務活動の結果使用した資金は、430百万円(前年同四半期は359百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は、新株予約権の行使による収入72百万円によるものであり、支出の主な内訳は、配当金の支払額385百万円、リース負債の返済による支出117百万円によるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)従業員数
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数は587名増加し2,861名、臨時従業員数(平均雇用人員)は55名となりました。これは主に業務拡大に伴う採用によるものであります。
(7)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第1四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
(改修)
当第1四半期連結累計期間に完了した主要な設備の改修は次のとおりであります。
事業所名
(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
投資額(千円)
完了年月
本社
(東京都中央区)
ネットビジネス支援事業
事務所内装設備・什器等
77,547
2023.4
#C2130JP #メンバーズ #サービス業セクター