【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当第2四半期連結累計期間における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、極端な気象関連事象による世界各地での災害、米欧中央銀行による政策金利の引き上げが経済活動に影響し、世界的なインフレ率に改善の兆しは見られるものの、世界経済の成長率は緩やかな減速傾向となりました。米国では、雇用・所得環境が底堅く、また、過剰貯蓄の取り崩しや政府補助金を通じた投資喚起策が内需をけん引し、景気は堅調に推移しました。中国では、不動産部門の想定以上の不振による景気の長期低迷化、景気回復への不信感から個人消費が低下し、ゼロコロナ政策後の内需回復は鈍く推移しました。我が国経済においては、新型コロナウイルスの「5類感染症」への移行により感染対策が緩和されたことから、社会・経済活動の活性化などが内需の下支えとなり、内閣府発表の実質GDP成長率はコロナ危機前と同等程度まで回復しました。蓄電池の中でもリチウムイオン二次電池(LIB)分野においては、脱炭素化に加え経済安全保障の側面から、車載用LIBに関連する各国の政府補助金などの支援体制が整い、中国や欧米を中心に電動化車両(xEV)の販売台数は大幅に増加し、半導体供給不足の解消と共に市場は活況となりました。一方で、米国のインフレ抑制法(IRA法)に関連し米財務省が発表したEV税控除に係るバッテリー調達要件の厳格化により、サプライチェーンの新たな構築を求められるなど、自動車メーカーへのLIB調達に対する様々な影響を与える要因ともなりました。回路基板分野においては、米中貿易摩擦による半導体供給に懸念はあるものの、スマートフォン出荷台数は下げ止まりの傾向が見られ、電子部品需要は回復傾向を示しました。しかしながら、円安による輸入材料の調達コスト上昇や、サプライチェーンにおける在庫調整の影響も一部で残り、本格回復までには至りませんでした。このような情勢のなか、当社グループにおける車載電池用分野においては、米国IRA法が車載電池部品の50%以上が米国またはFTA締結国で調達されている場合に支援対象としたため、輸出用の国内製造電池向け銅箔の販売は低調に推移しましたが、米国向け銅箔は概ね堅調となりました。なお、Denkai America Inc.では車載電池用銅箔の試作・量産準備を進めています。回路基板用分野においては、中国のスマートフォン向けの一部製品では販売が回復しました。しかしながら、主要顧客による部品構成が変更となった影響が大きく、回路基板用銅箔の販売量全体では減少となりました。収益面においては、米国既存ラインの設備故障による大幅生産減および、顧客の生産変動による影響が悪化要因となり、営業利益以下の各段階利益は赤字となりました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間における生産数量は全品種合計で4,382㌧(前年同期比3.2%増)、売上高は8,578百万円(前年同期比2.3%減)、営業損失は545百万円(前年同期は営業損失565百万円)、経常損失は147百万円(前年同期は経常損失583百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は402百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失609百万円)となりました。
(2) 財政状態の分析(資産)
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて189百万円(0.8%)減少し、22,489百万円となりました。流動資産は主に現金及び預金の減少1,646百万円、売掛金の減少644百万円、製品の増加20百万円、仕掛品の増加76百万円、原材料及び貯蔵品の増加136百万円により2,137百万円(22.9%)減少し、7,206百万円となりました。固定資産は主に建設仮勘定の増加2,204百万円により1,948百万円(14.6%)増加し、15,282百万円となりました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べて218百万円(1.4%)増加し、15,449百万円となりました。流動負債は主に買掛金の減少337百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加243百万円、未払法人税等の増加50百万円により233百万円(2.5%)増加し、9,460百万円となりました。固定負債は主に長期借入金の減少5百万円により14百万円(0.2%)減少し、5,989百万円となりました。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末の純資産は、主に親会社株主に帰属する四半期純損失402百万円、為替換算調整勘定の減少9百万円、退職給付に係る調整累計額の増加4百万円により前連結会計年度末に比べて408百万円(5.5%)減少し、7,039百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の32.8%から31.3%へと1.5ポイント下降いたしました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,646百万円減少し1,933百万円となりました。当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において営業活動の結果増加した資金は、10百万円となりました(前年同期は1,145百万円の増加)。これは主に税金等調整前四半期純損失350百万円、減価償却費613百万円、売上債権の減少726百万円、仕入債務の減少366百万円、為替差益472百万円よるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において投資活動の結果減少した資金は、1,503百万円となりました(前年同期は3,003百万円の減少)。これは主に有形固定資産の取得による支出1,507百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において財務活動の結果減少した資金は、189百万円となりました(前年同期は1,142百万円の増加)。これは主に長期借入れによる収入300百万円、長期借入金の返済による支出479百万円によるものであります。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(7) 研究開発活動 当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は89百万円であります。
(8) 主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設等について、当第2四半期連結累計期間において、変更があったものは、次のとおりであります。
事業所名(所在地)
設備の内容
投資予定額
資金調達方法
着工年月
完成予定年月
完成後の増加能力
総額(百万円)
既検収額(百万円)
Camden Factory(米国サウスカロライナ州)
車載電池用銅箔生産設備
4,352
3,470
借入金
2022年3月
2024年3月
―
(注) 1.投資予定額の総額及び完成予定年月を変更しております。 2.投資予定額は、決算日の直物為替相場により円貨に換算しております。