【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況 当第3四半期連結累計期間における世界経済は、半導体をはじめ、原材料等の供給不足や物流網の停滞、さらにはウクライナ情勢の長期化、エネルギー・資源価格の上昇、欧米諸国における政策金利引き上げ等の影響により、成長が鈍化しました。 米国では、急速な物価上昇により個人消費など経済活動が低調となり、またインフレ対策として実行された政策金利引き上げにより景況感は落ち込みました。中国では、2022年12月にゼロコロナ政策が撤廃されたものの、急速な感染拡大等の懸念が高まり、今後の経済活動情勢を見極める必要が生じました。日本では、内需が緩やかな回復基調をたどりましたが、エネルギー価格や諸物価の上昇が続き、また為替相場で円安が進んだことによる影響に注意が必要な状況となりました。 車載用LIB(リチウムイオン二次電池)の市場においては、カーボンニュートラルの実現に向け、パワートレイン電動化の拡大が続きました。そのような中、半導体供給不足が長引き、xEVの生産は増加しつつも、その伸び率は抑制される結果となりました。また、日本及び米国においては、韓国等の電池メーカーによる本格的参入が進み、競争環境が厳しさを増しました。
回路基板用銅箔の主な市場である電子部品業界においては、中国の厳格なゼロコロナ政策により、中国本土で製造されるスマートフォンの出荷台数や関連する電子部品の需要が低迷しました。また車載用半導体の世界的供給不足が長引き、自動車生産の減速、さらには車載用機器の需要低迷につながりました。 このような情勢のなか、当社グループの車載電池用銅箔の需要は、大手メーカーの生産計画抑制により、受注数量は低調に推移しました。回路基板用銅箔のうち、スマートフォン向けハイエンド製品の需要は、主として中国大手スマートフォンメーカー向けの受注が振るわない状況が続きました。 収益面においては、受注数量の減少による操業度低下、電力価格高騰による製造コスト上昇の影響により、営業利益以下の各段階利益は赤字となりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における生産数量は全品種合計で6,592㌧(前年同期比29.2%減)、売上高は12,717百万円(同17.8%減)、営業損失は870百万円(前年同期は営業利益890百万円)、経常損失は1,055百万円(前年同期は経常利益874百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は994百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益632百万円)となりました。
(2) 財政状態の分析(資産)
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて1,824百万円(10.1%)増加し、19,858百万円となりました。流動資産は主に現金及び預金の減少509百万円、売掛金の減少1,485百万円、製品の増加146百万円、仕掛品の減少18百万円、原材料及び貯蔵品の減少303百万円により2,261百万円(23.7%)減少し、7,280百万円となりました。固定資産は主に建物及び構築物の減少50百万円、機械装置及び運搬具の減少353百万円、建設仮勘定の増加4,402百万円により4,085百万円(48.1%)増加し、12,577百万円となりました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べて1,038百万円(8.5%)増加し、13,316百万円となりました。流動負債は主に買掛金の減少289百万円、短期借入金の増加2,000百万円により1,598百万円(31.7%)増加し、6,647百万円となりました。固定負債は主に長期借入金の減少611百万円、繰延税金負債の減少2百万円により560百万円(7.7%)減少し、6,669百万円となりました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、主に親会社株主に帰属する四半期純損失994百万円、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ781百万円増加し、為替換算調整勘定の増加222百万円により前連結会計年度末に比べて785百万円(13.7%)増加し、6,541百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の31.9%から32.9%へと1.0ポイント上昇いたしました。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6) 研究開発活動 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は160百万円であります。
(7) 主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設等について、当第3四半期連結累計期間において、変更があったものは、次のとおりであります。
事業所名(所在地)
設備の内容
投資予定額
資金調達方法
着工年月
完成予定年月
完成後の増加能力
総額(百万円)
既検収額(百万円)
Augusta Factory
(米国ジョージア州)(注)1
車載電池用銅箔生産設備
未定(注)2
―
増資資金及び借入金
未定(注)3
未定(注)3
約9,500t/年(注)4
(注) 1.工場建設予定地を、米国サウスカロライナ州より米国ジョージア州に変更しております。2.世界的インフレを背景とした各種建設コスト上昇に伴う設備計画の見直しにより、前連結会計年度の設備の新設計画から投資予定額を変更しております。3.設備計画の見直しにより着工年月を2022年夏から、完成予定年月を2024年春からそれぞれ延期しております。4.完成後の増加能力を、約9,000t/年より約9,500t/年に変更しております。