【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限の緩和等によって経済活動が徐々に正常化へ向かう一方、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格の高騰、円安進行による輸入価格の上昇、世界的な金融引き締めなどにより、景気は依然として厳しい状況が続きました。
当社グループの主な関連業界である建設及び住宅関連業界においては、コロナ禍で落ち込んだ企業の設備投資意欲の回復や政府による国土強じん化の加速化対策から建設投資は堅調に推移しました。
このような状況の中、当社グループにおいては、新型足場「アルバトロス」の採用ユーザー拡大に対応するため国内外での増産を進める一方、2022年9月には大阪府泉大津市に新たな機材センターをオープンし、販売とレンタルの両面で製品の安定供給に努めました。鋼材などの原材料価格上昇や急速な円安による海外からの仕入コストの上昇に対しては、販売価格の改定を行い利益率の改善に取り組みました。また、前連結会計年度に子会社化した東電子工業㈱においては、M&A後も半導体製造装置電源やアミューズメント向けにプリント配線板の受注が拡大していることから、新工場の建設に着工し増産体制の構築に努めました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、前期比9.9%増の607億17百万円となり過去最高となりました。利益面においては、売上高の増加に加えて、仕入コストの上昇が販売価格の改定に先行する状況が徐々に改善した結果、営業利益は前期比116.3%増の24億20百万円となりました。経常利益は、為替予約によるヘッジ効果や外貨建資産の評価において為替差益を計上したことに加え、持分法による投資損失が減少したことから前期比216.9%増の35億68百万円と大幅に増加しました。
親会社株主に帰属する当期純利益においては、持分法適用関連会社であるPT.KAPURINDO SENTANA BAJAの市場での優位性と将来の成長が見込まれることに鑑み、株式の一部を取得し連結子会社化したため、特別損失に株式の段階取得に係る差損として2億82百万円を計上すると共に、非支配株主に帰属する当期純利益として3億32百万円を控除しましたが、経常利益の大幅な増加が寄与し前期比242.8%増の15億46百万円となりました。
なお、PT.KAPURINDO SENTANA BAJAは、2022年9月30日をみなし取得日として持分法適用関連会社から連結子会社となりました。(報告セグメントは、レンタル関連事業)
各セグメントの状況は次のとおりであります。なお、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。
セグメントの名称
連結売上高
セグメント利益又は損失(△)
金額(百万円)
前期比増減率(%)
金額(百万円)
前期比増減率(%)
建設機材関連事業
24,472
23.1
2,767
105.2
レンタル関連事業
16,973
6.4
437
404.1
住宅機器関連事業
13,780
△8.6
△124
-
電子機器関連事業
5,491
26.1
225
46.6
報告セグメント計
60,717
9.9
3,306
138.1
調整額
-
-
261
-
連結損益計算書計上額
60,717
9.9
3,568
216.9
(注) 1 セグメント利益又は損失は、連結損益計算書の経常利益と調整を行っております。
2 セグメント利益又は損失の調整額は、主に報告セグメントに帰属しない持分法による投資損益、為替差損益や支払利息などの営業外収益及び営業外費用であります。
建設機材関連事業
当事業の売上高は、前期比23.1%増の244億72百万円となりました。建設用仮設機材の販売においては、新型足場「アルバトロス」や「SKパネル」が期初から好調に推移しました。主力製品の「アルバトロス」は既存顧客からの追加購入が着実に増加するとともに、新規顧客での採用や「アルバトロス」の使用現場多様化に向けた関連製品の開発も販売増に寄与し、前期比55.0%増と大幅に増加し、コロナ禍以前を上回って過去最高の販売高となりました。
損益面では、売上高の増加に加えて、鋼材等の原材料価格上昇による在庫評価の影響や価格改定などにより、セグメント利益は前期比105.2%増の27億67百万円となりました。
レンタル関連事業
当事業の売上高は、前期比6.4%増の169億73百万円となりました。中高層用レンタルにおいては「アルバトロス」を中心に仮設機材の稼働率が期初から前年を上回って推移するとともに、低層用レンタルにおいても受注が堅調に推移しました。また、コロナ禍の影響を強く受けていたイベント向けレンタルにも回復の兆しが生じました。
損益面では、依然として厳しい価格競争のなかにあるものの、売上高の増加によってセグメント利益は前期比404.1%増の4億37百万円となりました。
住宅機器関連事業
当事業の売上高は、前期比8.6%減の137億80百万円となりました。アルミ製はしごや脚立などの製品のほか玄米保冷庫の販売が、量販店向け、金物卸店向けともに堅調であったことや、高所作業台やアルミブリッジなど子会社製品の拡販が進みました。一方でフィットネス関連製品は、前連結会計年度中に準備を進めた新製品を順次発売したものの、円安によるコスト上昇に対して実施した販売価格改定の影響や物価高騰による個人の消費マインド後退の影響を受け売上高が減少しました。
損益面では、仕入コストの上昇に対応した価格改定の効果は実現しつつあり、アルミ製はしごや脚立などの利益改善は進んだものの、フィットネス関連製品の減収の影響が大きく、セグメント利益の改善は前期比76百万円に止まり、1億24百万円の損失となりました。
電子機器関連事業
当事業の売上高は、前期比26.1%増の54億91百万円となりました。前連結会計年度に子会社化した東電子工業㈱の売上高が期初から寄与したことに加えて、電子部品の需給ひっ迫の影響を最小限に止めたことによって海外向けの無線機の販売が好調であったことや、国内向けにおいても特定小電力無線機や業務用無線機の販売が堅調に推移しました。
損益面では、売上高の増加によってセグメント利益は前期比46.6%増の2億25百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物の残高は前期末に比べ15億47百万円増加し66億28百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期と比較して税金等調整前当期純利益が増加しましたが、好調な受注に対応すべく棚卸資産を計画的に積み上げたことなどから、26億88百万円の収入(前期比23百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、東電子工業㈱において新工場建設に着工したことなどから有形固定資産が増加したこと、持分法適用関連会社であるPT.KAPURINDO SENTANA BAJA株式の一部取得を行ったことなどから、37億23百万円の支出(前期比59百万円の支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の増加などにより、25億37百万円の収入(前期比19億54百万円の収入増)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前期比(%)
建設機材関連事業
26,117,293
29.1
電子機器関連事業
5,569,900
23.7
住宅機器関連事業
2,291,490
△15.1
合計
33,978,684
23.9
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前期比(%)
住宅機器関連事業
8,144,043
△9.5
建設機材関連事業
2,066,605
2.7
合計
10,210,649
△7.3
(注) 金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.受注実績
当社グループの主な製品は、そのほとんどが需要予測による見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
建設機材関連事業
24,472,788
23.1
レンタル関連事業
16,973,007
6.4
住宅機器関連事業
13,780,907
△8.6
電子機器関連事業
5,491,083
26.1
合計
60,717,786
9.9
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は636億81百万円となり、前期末に比べ54億47百万円増加しました。総資産の内訳は、流動資産が419億42百万円(前期末比55億6百万円増)、固定資産が217億39百万円(前期末比59百万円減)です。総資産の主な増加要因は、好調な受注に対応すべく実施した計画的な生産による棚卸資産の増加(前期末比36億29百万円増)や、東電子工業㈱における新工場建設などによる有形固定資産の増加(前期末比10億30百万円増)であります。
(負債)
負債は、352億38百万円となり、前期末に比べ45億22百万円増加しました。その内訳は、流動負債が225億95百万円(前期末比25億89百万円増)、固定負債が126億42百万円(前期末比19億32百万円増)です。負債の主な増加要因は、計画的に棚卸資産を積み増したことに伴って借入金が増加(前期末比34億75百万円増)したことや、利益増加に伴い未払法人税等が増加したこと(前期末比8億68百万円増)であります。
(純資産)
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益が15億46百万円となったことや、剰余金の配当を7億94百万円実施したことなどにより、284億43百万円(前期末比9億25百万円増)となりました。
b.経営成績の分析
経営成績及びセグメントごとの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、製造販売及びレンタル事業を行うための投融資計画に基づく、各事業に必要な資金の調達として、内部資金及び外部借入による資金調達を基本方針としております。なお外部借入のうち、主に運転資金に関するものは短期資金で、投融資に関するものは長期資金での調達を基本としております。
内部資金に関しては、営業活動によるキャッシュ・フローにより継続的に資金を獲得しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度の連結業績に関する目標の達成状況は次のとおりであります。
売上面におきましては、当社のコア事業である建設機材関連事業において、新型足場「アルバトロス」が既存顧客からの購入ならびに新規顧客での採用ともに増加したことに加え、レンタル関連事業におきましても、中高層用レンタルを中心に仮設機材の稼働率が期初から前年を上回って推移しました。
また、電子機器関連事業において、前連結会計年度に子会社化した東電子工業㈱が期初から寄与したことなどにより、当社グループの売上高は計画比4.6%の増加となりました。
利益面におきましては、売上高の増加に加え、鋼材などの原材料価格上昇や急速な円安による仕入コストの上昇が販売価格の改定に先行する状況が徐々に改善しました。さらに為替予約によるヘッジ効果や外貨建資産の評価益などにより、営業利益は計画比57.1%増、経常利益は計画比114.9%増、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比53.1%増となりました。
指標
2022年3月期
(実績)
2023年3月期
(計画)
2023年3月期
(実績)
対前期比
増減
対計画比
増減
売上高 (百万円)
55,255
58,020
60,717
+9.9%
+4.6%
営業利益 (百万円)
1,119
1,540
2,420
+116.3%
+57.1%
営業利益率 (%)
2.0
2.7
4.0
-
-
経常利益 (百万円)
1,126
1,660
3,568
+216.9%
+114.9%
経常利益率 (%)
2.0
2.9
5.9
-
-
親会社株主に帰属する
当期純利益 (百万円)
451
1,010
1,546
+242.8%
+53.1%
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、上記のほか、2021年4月30日に公表いたしました「中期経営計画2024」に記載しております。なお、中期経営計画につきましては、2023年5月2日に公表しております「中期経営計画の見直しに関するお知らせ」により、最終年度にあたる次期の数値目標を見直しております。これらの内容につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。