【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、各種政策の効果による社会経済活動の正常化が図られ、景気は緩やかな回復基調を辿りましたが、海外景気の下振れリスク、物価上昇、供給面での制約等、依然として先行き不透明な状況にありました。
このような情勢のもと、農業機械事業及び軸受事業における業績、ならびに財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
<農業機械事業>
国内売上高は、国の畜産クラスター事業*1の採択が進み、高品質な国産飼料増産と食料自給率の向上に貢献する細断型シリーズ*2や牧草梱包作業機の可変径ロールベーラ*3を中心としたエサづくり関連作業機の売上が伸長したことに加え、除雪作業機スノーブロワ*4の早期受注活動が売上に寄与し、増収となりました。また、海外売上高は、オンライン展示会の活用効果による新規市場(北米、中南米等)への売上や、合弁会社からのロイヤリティ収入により増収となりました。
農業機械事業全体の売上高は72億78百万円と前事業年度に比べ10.1%の増収となりました。
*1:政府による畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業
*2:細断型シリーズ
*3:エサづくり関連作業機
*4:除雪その他
<軸受事業>
得意先からの受注の回復により、売上高は4億52百万円と前事業年度に比べ9.2%の増収となりました。
a.財政状態
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ4億66百万円増加し、91億13百万円となりました。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ3億13百万円増加し、20億61百万円となりました。
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ1億52百万円増加し、70億52百万円となりました。
b.経営成績
当事業年度末の経営成績は、売上高77億30百万円(前年同期比10.0%増)、営業利益6億9百万円(前年同期比15.0%増)、経常利益6億73百万円(前年同期比13.5%増)、当期純利益4億76百万円(前年同期比19.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
農業機械事業は、売上高72億78百万円(前年同期比10.1%増)、セグメント利益5億72百万円(前年同期比14.0%増)となりました。
軸受事業は、売上高4億52百万円(前年同期比9.2%増)、セグメント損失10百万円(前年同期はセグメント損失20百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ4億26百万円減少し7億78百万円(前年同期比35.4%減)となりました。 また、当事業年度中における各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、15百万円(前年同期は7億2百万円の獲得)となりました。 これは主に税引前当期純利益6億73百万円、減価償却費2億69百万円がありましたものの、売上債権の増加額8億35百万円、法人税等の支払額2億25百万円などがあったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、85百万円(前年同期比57.6%減)となりました。 これは主に有形固定資産の取得による支出79百万円、無形固定資産の取得による支出24百万円などを反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、3億25百万円(前年同期比105.4%増)となりました。 これは主に自己株式の取得による支出2億1百万円、配当金の支払額1億13百万円などを反映したものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
農業機械事業(千円)
6,864,711
107.7
軸受事業(千円)
456,096
109.7
合計(千円)
7,320,808
107.8
(注)金額は販売価格によっております。
b.商品仕入実績
当事業年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
農業機械事業(千円)
350,975
88.7
合計(千円)
350,975
88.7
(注)金額は仕入価格によっております。
c.受注実績
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
農業機械事業(千円)
7,278,213
110.1
製商品(千円)
6,308,138
110.3
部品(千円)
890,260
101.6
その他(千円)
79,813
563.9
軸受事業(千円)
452,558
109.2
合計(千円)
7,730,772
110.0
(注)1.上表の製商品とは、農業機械事業における作業機本体及びそのアタッチメントのことをいい、部品とは、作業機用の補用部品のことをいいます。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社クボタ
1,993,906
28.4
2,024,394
26.2
ヤンマーアグリ株式会社
1,134,377
16.1
1,567,430
20.3
日本ニューホランド株式会社
793,720
11.3
879,956
11.4
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ4億66百万円増加し91億13百万円となりました。これは主に売掛金が3億86百万円、電子記録債権が3億29百万円、未収入金が1億53百万円それぞれ増加し、現金及び預金が4億26百万円減少したことによるものであります。
(負債合計)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ3億13百万円増加し20億61百万円となりました。これは主に電子記録債務が2億18百万円、契約負債が63百万円、未払消費税等が39百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(純資産合計)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ1億52百万円増加し70億52百万円となりました。これは主に利益剰余金が3億63百万円増加し、自己株式が2億1百万円増加したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業利益)
売上原価につきましては、売上高の増加に加え、原価低減活動・経費削減等に努めましたものの、人件費の増加や資材高騰、エネルギーコストの上昇等による製造原価高の影響を受け、売上原価率は前事業年度と比べ0.6ポイント上昇し、69.3%となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、人件費や旅費交通費が増加したものの、支払運賃効率の改善や減価償却費の減少により、売上高比率が前事業年度と比べ0.9ポイント改善し、22.8%となりました。
以上の結果、営業利益は、売上高の増加等により前事業年度に比べ79百万円増加し、6億9百万円となりました。
なお、農業機械事業のセグメント利益は、売上高の増加により、前事業年度に比べ70百万円増加し5億72百万円となりました。
軸受事業のセグメント損失は、売上高の増加に伴い、10百万円(前年同期はセグメント損失20百万円)となりました。
(経常利益)
営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、雑収入の増加等の要因により前事業年度に比べ71万円増加し、64百万円の収益計上となりました。営業利益から営業外損益を加減した経常利益は、前事業年度に比べ79百万円増加し6億73百万円となりました。
(税引前当期純利益)
特別利益から特別損失を差し引いた純額は、減損損失の減少等の要因により39万円の利益計上(前事業年度は2百万円の損失計上)となりました。経常利益から特別利益及び特別損失を加減した税引前当期純利益は、前事業年度に比べ82百万円増加し6億73百万円となりました。
(当期純利益)
法人税等合計は、税引前当期純利益の増加により、前事業年度に比べ6百万円増加し、1億97百万円となりました。税引前当期純利益から法人税等合計を差し引きしました結果、当期純利益は前事業年度に比べ76百万円増加し4億76百万円となりました。
また、1株当たり当期純利益は、前事業年度に比べ7.59円増加し42.34円となり、自己資本利益率(ROE)は前事業年度に比べ0.92ポイント増加し、6.88%となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社の運転資金需要は主に製造用部品の仕入代金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。販売費及び一般管理費における主な資金需要は、人件費、支払運賃、旅費及び交通費等であります。また、設備資金需要としましては、生産設備投資や、研究開発投資に加え、情報処理のためのソフトウェア投資等があります。
これら運転資金あるいは設備資金につきましては、手持資金(利益等の内部留保資金)、銀行借入金及び売上債権の流動化により調達することとしております。また、今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積や債権流動化による売上債権の早期資金化等を通じ、一層の財政状態の健全化を図ってまいります。
2)財務政策
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、手持資金又は借入により資金調達することとしております。
このうち、運転資金につきましては、原則として手持資金で賄っておりますが、不足が生じた場合には、都度金融機関からの短期借入で調達しております。また、設備資金につきましては、設備投資計画に基づき、案件ごとに手持資金で賄えるか、不足するかの検討を行い、不足が生じる場には手許流動性資金を勘案の上、金融機関からの短期借入又は長期借入で調達しております。
なお、当事業年度末における借入金を含む有利子負債の残高は124百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は7億78百万円となっております。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況
当社は、安定的に利益を出すことのできる体質を構築し、売上高及び営業利益を重視しておりますが、同時に安定性や効率性を計る指標として、自己資本比率及び自己資本利益率(ROE)を重要な指標として位置づけております。
当事業年度における自己資本比率は76.74%(前事業年度比2.46ポイント減少)であり、自己資本利益率(ROE)は目標の10.0%に対して実績は6.88%(前事業年度比0.92ポイント増加)でした。今後も利益計画の達成を図るとともに、これらの指標について改善されるよう取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資本の財源及び資金の流動性については、原則として自己資金を財源としておりますが、手許流動性資金を勘案の上、必要都度運転資金としての当座借越による短期借入金の調達をしております。手許資金として現預金のほか、電子記録債権等を保有しており、流動性を確保しております。
当社の資金需要の動向としましては、ものづくり体制の強化、新製品開発や新技術の研究開発、グローバル化への対応等のための投資に充当しております。株主還元につきましては、経営基盤の強化を図り株主資本の充実に努めることにより、将来にわたり継続的、安定的に適正レベルの配当を実施することを基本方針としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しております。なお、本表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断及び見積りには過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した基準を設定した上で実施しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢等による社会・経済への影響が今後さらに拡大、長期化した場合には、需要の減退や、生産活動の停滞、受注済み案件の出荷延期に伴う売上の減少の影響等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。