【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。
(1)経営成績分析等
当期における我が国 及び 海外の経済情勢は、長引くコロナ禍からの正常化に向けた動きが見られる一方、中国での感染再拡大や、物価急騰、地政学的リスク等もあり、先行き不透明な状況で推移、緩やかな回復に留まりました。
世界の自動車生産台数は、日本・中国では感染の再拡大や半導体不足の継続により回復が遅れたものの、北米・アジアを中心に各地域で回復が見られたことから、前期に比べ増加しました。
このような状況のもと、当社の連結売上高は、日本は若干の増収に留まり、中国は日本車の減産により減収となりましたが、北米・アジアを中心に各地域とも自動車生産台数の回復に加え、新規受注やLED化の進展、為替換算の影響等により大幅増収となったことにより、過去最高の8,647億円(前期比13.7%増)となりました。
セグメントの状況は、以下のとおりです。
〔日 本〕
自動車生産台数は前期に対し増加しましたが、高級車を中心に半導体不足の影響を受けたことから、売上高は前期比2.8%増に留まり、3,210億円となりました。
〔北 米〕
自動車生産台数の回復や新規受注、LED化の進展等に加え、為替換算の影響により、売上高は前期比34.9%増の2,503億円となりました。
〔中 国〕
自動車生産台数は、感染の再拡大や半導体不足の影響を大きく受けた日本車の生産が減少したことから、売上高は前期比15.4%減の930億円となりました。
〔アジア〕
自動車生産台数の増加や新規受注、LED化の進展に加え、為替換算の影響により、売上高は前期比31.9%増の1,456億円となりました。
〔欧 州〕
自動車生産台数の回復や為替換算の影響等により、売上高は前期比24.5%増の415億円となりました。
〔その他〕
自動車生産台数の回復に加え、新規受注や為替換算の影響等により、売上高は前期比43.1%増の130億円となりました。
利益につきましては、世界的な原材料費・物流費・光熱費など諸費用の高騰、北米・欧州を中心とした雇用情勢ひっ迫による人件費の増加、日本・中国での急激な生産変動による固定費負担の増加等、経営環境が悪化する中、各地域で改善合理化を推進したものの、営業利益は前期比12.3%減の468億円、経常利益は同19.9%減の485億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同22.6%減の296億円となりました。
(2)財政状態分析等
当期末の資産の残高は、売掛金や投資有価証券の増加等により、前期末に比べ506億円増加の9,059億円となりました。
負債の残高は、支払手形及び買掛金が増加したこと等から、前期末に比べ74億円増加の2,354億円となりました。
純資産の残高は、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したこと、円安により為替換算調整勘定が増加したこと等から、前期末に比べ431億円増加の6,705億円となりました。
(3)キャッシュ・フロー分析等
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益490億円(前期比19.8%減)及び減価償却費413億円(同15.4%増)等による確保があったものの、設備投資398億円(同37.7%増)及び長期借入金の返済による支出6億円(同63.6%増)などにより、前連結会計年度に比べ237億円減少し、1,457億円(前連結会計年度末比14.0%減)となりました。なお、投資等に係る所要資金につきましては、自己資金及び借入金をもって充当いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益490億円、減価償却費413億円を主体に711億円となり、法人税等を支払った結果、597億円(前年同期は657億円)の資金を確保いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入1,527億円に対し、定期預金の預入による支出1,645億円、設備投資398億円等を実施した結果、715億円の支出(前年同期は521億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金等の支払い98億円等を実施した結果、132億円の支出(前年同期は84億円の支出)となりました。
なお、当社グループの資金需要のうち主なものは、材料費、人件費、研究開発費及び設備投資資金です。これらの資金需要につきましては、自己資金及び銀行借入金を充当しており、銀行借入については必要資金を精査し、不測の事態に備え、必要な借入枠増枠やその検討等を進めております。
(4)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産、負債の金額及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(5)生産、受注及び販売実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
日本(百万円)
486,213
101.5
北米(百万円)
243,853
137.0
中国(百万円)
95,638
76.7
アジア(百万円)
152,395
129.9
欧州(百万円)
41,758
132.6
その他(百万円)
12,820
134.0
合計(百万円)
1,032,679
109.9
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
②受注実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても構造・形式等は必ずしも一様ではありません。また自動車照明器は自動車メーカーの組付用が大部分で、各納入先より2~3ヶ月前より指定車種の生産計画の内示を受け生産予想をたてますが、実際の納入は、メーカーの翌日または旬日に合わせた指示により、ライン納入している状況であります。従って内示と実際とは異なる場合もあり、受注高及び受注残高を算出することは困難であります。また補修品については、販売計画に基づき見込み生産を行っております。
なお、連結子会社コイト電工㈱は、受注による営業活動が主体となっており、その受注高及び受注残高は次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
日本
34,793
97.4
13,080
93.6
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
日本(百万円)
321,074
102.8
北米(百万円)
250,365
134.9
中国(百万円)
93,031
84.6
アジア(百万円)
145,662
131.9
欧州(百万円)
41,576
124.5
その他(百万円)
13,009
143.1
合計(百万円)
864,719
113.7
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
トヨタ自動車㈱
148,042
19.5
121,715
14.1